≫NO MORE HEROS(ノーモア★ヒーローズ)
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■発売元 |
マーベラスエンターテインメント(現:マーベラス) |
■開発元 |
グラスホッパー・マニファクチャ |
■ジャンル |
殺し屋アクションアドベンチャー |
■CERO |
D(17歳以上対象) ※過度の暴力、出血、欠損、性描写あり
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■定価 |
7140円(税込) |
■公式サイト |
≫こちら |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1人 |
■セーブデータ数 |
4つ(※1ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー可) |
■その他 |
ヌンチャク専用 |
■総説明書ページ数 |
28ページ |
■推定クリア時間 |
13〜16時間(エンディング目的)、35〜40時間(完全攻略目的) |
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見知らぬマブい女と朝まで飲んだのが全ての始まりだった――
あれよあれよという間に『全米殺し屋ランキング』11位に認定されてしまった、オタクの殺し屋トラヴィス・タッチダウン。早い話が、ランキングの頂点(1位)目指せという事らしい。
かくして、イカれた殺し屋達による物語がここに幕を上げた。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆アルバイトなどの仕事をこなして資金を集め、敵との殺し合いに挑むという、日常と非日常が入り混じったカオスとしか言い様が無いゲームデザイン
◆Wiiリモコンの傾き検知を始めとする特性を最大限に活かした痛快&爽快な操作性
◆リモコンで武器の傾きを調整して攻撃や防御を行う、独特の手応えが異彩を放つチャンバラ風味の戦闘とアクション
◆殺し合いをする場としては不釣合いにも程がある、ランカー戦フィールド
◆珍妙なギミックとネタで敷き詰めた珠玉のレベルデザインが光る、ランカー戦道中ステージ
◆一見普通に見えて、何かがおかしいアルバイト専用ミニゲームの数々
◆露骨な差別化が図られた戦闘内容が素晴らしいランカー戦
◆濃過ぎるとしか言い様がない登場キャラクター達(特に主人公のトラヴィスとランカー達)
◆簡単過ぎず難し過ぎずの絶妙な塩梅とメリハリの付け方の上手さが光る難易度バランス
◆難易度選択機能、アクション解説モードなど、徹底した初心者プレイヤーへの配慮の数々
◆トゥーン風味で描かれたスタイリッシュで独特の味わいに満ち溢れたグラフィック
◆ランカー戦やイベントを大いに盛り上げる、ハイテンションで微かにネタも炸裂した音楽
◆カオス過ぎるストーリー(台詞回しもハチャメチャ)
◆カオス過ぎるストーリーを大いに盛り上げる、スピーディなカット割りが光るムービーデモ
◆縦スクロールシューティング、元気ロケッツのPVを始めとする謎のおまけ要素の数々
--- Bad Point ---
◆悪く言えば、かなり人を選ぶ内容のストーリー(合わない人にはとことん合わない)
◆広過ぎて地形を把握するのも大変な拠点マップことサンタデストロイの街
◆ドット絵調で描かれている所為で視認性が悪く、地形把握も困難な役立たずのミニマップ
◆ミニマップ同様にドット絵調で描かれてるのみならず、項目まで英語表記となってしまっている為、視認性・使い勝手共に宜しくないメニューインターフェース
◆常に目的地まで移動する必要がある上、リトライする際も移動必須の煩わしさがもどかしいアルバイトイベント
◆存在意義不明のフリーミッション(プレイするメリットも皆無で、空気同然)
◆全20種類以上と数は多いが、使用機会に恵まれないプロレス技
◆資金稼ぎの作業が生じる都合で少し単調になり易い本編(ランカー戦は別)
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▼Review ≪Last Update : 5/13/2012≫
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「多くのゲーマーが短気だってことを、オレはビデオ屋のビショップから学んだ。」
耳が痛い…。
マーベラスエンターテイメント、グラスホッパー・マニファクチュアの共同プロジェクトによって誕生した、殺し屋アクションアドベンチャーゲーム。ディレクションとシナリオを『シルバー事件』、『killer7』など、独創的な作品を数多く輩出してきた個性派クリエイター・須田剛一氏が担当。
ハイセンスで電波全開、爽快感も抜群のイカれた傑作だ。
ゲーム内容は三人称視点で展開する、3Dアクションアドベンチャー。冴えないオタクの殺し屋、トラヴィス・タッチダウンを操り、『全米殺し屋ランキング』のランカーとの戦いに挑み、彼らを倒して自らのランクを上げ、ナンバー1の頂点を目指すというものである。本編はランカー戦挑戦に必要な資金集めを行う町探索、ランカーとの戦いを行うランキング戦の二つのパートを互いに繰り返す珍妙な形で展開する。町探索では、舞台となる『サンタデストロイ』の町中を歩き回り、ランキング戦挑戦に必要な資金集めの為のイベントをこなしていくのがメイン。資金集めの手段は基本的にアルバイトで、町にある『職業不安定所(※本編表記通り)』で受ける事ができる表のアルバイト、『K-ENTERTEINMENT』で受ける事ができる裏のアルバイト(仕事)の二つを何度もプレイしながら資金を溜めていく。表のアルバイトはココナッツ拾い、ゴミ拾い、ガソリンスタンドでの給油などの一般的なもの(中には地雷撤去、サソリ拾いと言った珍妙なものも)が中心。対照的に裏のアルバイトは、要人の殺害などのミッションが大半を占めている。また、表の方はミニゲームスタイルで行われるが、裏はランキング戦におけるアクションと同じ作り。内容が内容だけに、溜まるお金は裏の方が多いが、幾つか表のアルバイトを何度も攻略しないとできない制約が設けられているので、そう簡単には受けられない一長一短の仕組み。時に真面目に働き、時に汚れた仕事をこなすという殺し屋が主人公である事を最大限に活かしたパートに完成されている。
そして資金が溜まり、それを『ATM』に振り込むと、ランキング戦パートへと突入する。ランキング戦はステージクリア型アクションゲームの体裁となっていて、基本的に一本道の道中を進み、雑魚敵の群れを倒しつつ、ランカーことボスが待ち受ける場所を目指す。ランカーとの戦いは基本的に一対一の真剣勝負で、最終的にランカーの体力を空にすれば勝利。ランキングが一つ上がり、次のランカーへの挑戦ができるようになる。そして、その為に必要な資金集る為、再びアルバイトに奔走すると言った具合だ。これらの事柄を繰り返しながら、プレイヤーはランキングナンバー1の座を目指していく。まさに奇天烈としか他に言い様の無い構成だが、それが他に類を見ない珍妙なゲーム性を演出。まさに日常と非日常を体験するという、(良い意味で)狂気染みていておかしい”殺し屋ライフ”を堪能できる作りとなっている。
また、戦闘周りも非常に独特な作り。『ビーム・カタナ』と呼ばれる、映画『ス●ーウ●ーズ』でルー●・ス●イウォーカーが使ってた、ラ●トサー●ルのパチモンと思しき武器で敵を切り刻んでいく、チャンバラ風味のものとなっている。カタナの操作自体はシンプルで、単にWiiリモコンのAボタンを押すだけで斬撃が繰り出せる。ただ、カタナを振るう方向がリモコンの角度によって変わるという独自の要素があり、角度が悪いと弾かれてしまうなど、常に構え方を意識した戦いが求められてくるのが最大の特徴。リモコンの特性を最大限に活かした、独特且つ、本格的な作りになっている。更に構えの他にもつばぜり合い、止めの一撃など、リモコンを活かした特徴的な攻撃技も用意されており、それを状況に応じて使い分けるプレイも求められてくる。また、カタナは使い過ぎると充電切れを起こすようにもなっており、これを回復する為にリモコンを振って充電量を回復させるという、攻撃とは別の珍妙なアクションも盛り込まれている。更にカタナによる斬撃のみならず、気絶した敵に対して有効なプロレス技なんてのも用意。技自体も20種類以上と多彩で、操作もリモコンとヌンチャクを併用した特徴的なものになっており、Wiiだからこその操作感を堪能できるものに仕上げられている。
基本こそシンプルなチャンバラだが、リモコン操作による独自のアクションの数々が意外な本格さと斬新な手応えを演出しており、懐かしいようで新しい爽快感が満ち溢れている。シンプル故に取っ付き易い設計になっているのも大きな見所だ。設定に奇天烈な所はあれど、作りは堅実。Wiiならではの魅力が詰まった戦闘に仕上げられている。
アルバイトで資金集めを行う町探索、リモコンとヌンチャクを活かしたチャンバラ風の戦闘と、どのパートも意欲的且つ、狂気的な面をもチラつかせた、何とも言えない出来栄え。アクション部分に限れば、Wiiの特徴を活かしたゲームだが、それで済まされないほどに他の要素の存在感、独自性が傑出したものになっている。Wiiならではのゲームだけど、ゲームデザインから世界観に至るまで濃厚な電波テイストが全開。これぞ唯一無二、としか言い様が無いほどの珍妙な魅力が詰まりに詰まった、いい意味で無茶苦茶な作品となっている。
例によって、今作の見所はその奇天烈極まりないゲームデザインだ。アルバイトをしてお金を溜め、殺し合いに挑戦してナンバー1を目指す。この流れだけでも既に奇天烈の極みで、一体、どうしたらこんなのが思いつくのかと、製作者のぶっ飛んだ…否、ぶっ飛び過ぎて大気圏を突き抜けてしまったかの如きセンスには、度肝を抜かれるものがある。
特に突出したインパクトを放っているのはランキング戦である。腕利きの殺し屋との命をかけた戦い…なのに、舞台となるのは学校や地下鉄だったりと、緊張感があるようでないような展開ばかりが描かれる。また、そのランカーと戦う前に突破する道中の構成も奇天烈・摩訶不思議の極み。地雷が大量に埋まった海岸の砂浜、正体不明の男が前方を走っていく謎の地下道、横に逃げ道がない窮屈な通路など、現実性皆無の荒唐無稽さ炸裂の設計となっている。また、特定のランカー戦の道中に至っては、突然、ミニゲームが始まる展開まであったりと、もう無茶苦茶。そして極めつけ、ボスことランカー達も変なのしか居ないという始末。日本刀を使いこなすサムライ女子高生、紳士的ガンマン、重装備婆ちゃんなど、お前ら、本当に殺し屋かと突っ込みを入れたくなる面子ばかり。しかも、その見た目通り、いずれの殺し屋達も無駄に個性的なので、精神的にも(いい意味で)疲れてしまうこと請け合いだ。舞台がおかしい、道中もおかしい、そして対戦相手のランカーは奇人・変人ショー。これだけでも、このランキング戦パートが突出したインパクトを放って居る理由は嫌と言うほど分かるだろう。もはや、常人の発想とは言い難い世界観と遊びの数々がこれでもかと言わんばかりに詰まっているのだ。そうも個性が強い為、プレイした誰もは開いた口が塞がらなくなってしまうのは必至である。
それでいて、ただ奇天烈なだけで終わって無いのが今作の素晴らしいところ。珍妙なネタが炸裂した道中は、バラエティーに富んだレベルデザインを念頭に置いた丁寧な作り込みが成されており、どのランカー戦の道中も新鮮な体験を味わう事ができる。展開の独自性、意外性もしっかり抑えており、プレイヤーを楽しませつつ、思わぬ所で裏切るバランスの取れた作りは、単に駆け抜けるだけでも楽しい気持ちよさ、充実感に秀でている。
奇人・変人ショーなランカー達も単に設定がおかしいだけでなく、戦闘自体が唯一無二の個性を持ったものとして完成されているのも見事。例えば、サムライ女子高生との戦いは文字通りの真剣勝負、重装備婆ちゃんは攻撃の隙を付いて移動し、ボス本人が待機する場所を目指す目的地到達型の戦闘になっていたりなど、それぞれが独立した戦闘に仕上げられているのだ。一人一人の戦闘内容が異なる故、同じ攻略法が通用する事も少なめ。常に違った戦い方が求められてくるので、新鮮な気持ちで各戦闘を楽しむ事ができる。また、ランカー自身の強さも適切。攻守を意識して戦わないとあっという間に攻め込まれるなど、戦う面白さと緊張感を強く反映したバランス調整が図られているのも実に見事だ。
無論、この徹底した作り込みが行われているはランカー戦だけではない。町中のアルバイトも、内容はふざけていても、攻略するには素早い身のこなしとテクニックが求められたりと、しっかりゲームとして作り込まれている。それでいて、ルール構築も驚くほど自然なものとなっており、一つの遊びとして完成されているのも凄いの一言に尽きる。
ネタ要素が強いものとして他に、ビーム・カタナによる斬撃アクションもあるが、これもリモコン&ヌンチャク操作の魅力を最大限に活かしたものに完成されており、独特の動かす楽しさに満ち溢れているのが秀逸。センサー操作の割り当ても違和感がなく、純粋にリモコンを振り回すだけでも気持ち良いものに仕上げられているほか、レスポンスも良好なので、全くストレスを感じさせない。攻撃を決めた際の効果音、エフェクトも素晴らしく、ネタ要素を重視しつつ、アクションゲームの醍醐味を決して損ねさせまいとする、職人的な作り込み具合には好感が持てる。
日常と非日常が入り混じり、随所にて常人では考え付かないネタが炸裂する本編は、単に流し見するだけでも嫌というほどお腹いっぱいにされる。それでいて、ゲームとしても丁寧に作り込んでおり、確かな遊び応えと面白さを持ったものに完成されているのだから凄い。
ぶっ飛んだネタだけでも遊ぶ価値十分にありだが、アクションゲームとしての完成度も非常に高く、こちら目的でプレイしても全く後悔しない。唯一無二のネタが味わえ、唯一無二のゲーム性が堪能できる。これほど優れた完成度と確かな存在感を持ったゲームもWiiでは希少な存在と言っても良いだろう。ゲームとしても、ネタとしても非常に面白い。そんな唯一無二の傑出した魅力を持ったゲーム、それが今作なのである。
初心者への配慮も欠かしていないのも大きな見所。難易度選択機能、操作ガイドなど、豊富な救済処置を実装しており、アクションゲームが不得意な方でも遊べる懐の広さも今作は兼ね備えている。
難易度設定も適切だ。一部、強過ぎるランカーが居るが、総じて簡単過ぎず難し過ぎずの丁度良いバランスでまとめられている。最も簡単な難易度でも終始温いという訳ではなく、攻守を意識した戦いが求められてきたりと、悪戯に低くしてない辺りも秀逸。先の全体構成とアクションと同様、こう言った所に置いても職人的な仕事が炸裂している。
全体のボリュームも適切。エンディングを目指しても大体、13〜16時間ぐらいはかかるなど、十分過ぎるほどの満足感を得られる。アイテム収集等のやり込み要素、特典要素も豊富。中でも特典はネタバレになる為に伏せるが、ゲーム的に場違いなものが用意されていたりと、その良い意味でも無茶苦茶さは要チェックである。
トゥーン風味で描かれたグラフィックもインパクト抜群。止めの一撃を加えると敵が灰になったりなど、エフェクト周りも派手で、単に見るだけでも楽しいものに仕上げられている。ハイテンションなノリの音楽も素晴らしい出来。本編ではボイスや効果音の方が目立ってしまう為、やや空気な所もあるが、メインテーマやエンディングのスタッフロールなど、印象深い楽曲が満載。じっくり耳を傾けてみると、結構侮れない曲だったりするので、要チェックだ。
演出周りも先のエフェクトを始め派手で、スタイリッシュな作風が見るものに強い印象を残す。そして、ストーリーに至ってはもう無茶苦茶。ナンバー1を目指すという基本的な筋はあれど、その途上で描かれていく展開は荒唐無稽の極みである。終盤になると、更に何が何だか分からない展開になり、最後には誰もが予想できない驚愕のオチで締め括られる。しかし、訳が分からないイコール面白くないという訳ではあらず。むしろ、かなり魅力的な内容で、訳が分からないけど何故だか楽しめてしまう不思議な味わいに満ち溢れている。台詞回しもぶっ飛んでいて、英語のボイスと字幕が全く合致してないなど、ハチャメチャ。キャラクターもユニークで、主人公のトラヴィスは濃過ぎるの一言。彼の生き様と最後に待ち受ける運命を堪能するだけでも、今作をプレイする価値は十分にあると言っても良いだろう。
サンタデストロイの町があまりに広く、地形を覚えるのに時間がかかる点や簡易マップが見難い、稼ぎ用イベントであるフリーミッションの存在意義が不明であるなど、欠点も幾つか散見されるが、ネタ要素の強さとアクションゲームとしての完成度の高さがそれを帳消しにしてしまっている。奇天烈・摩訶不思議なネタのインパクトもさる事ながら、アクションゲームとしても非常に高い完成度を誇り、唯一無二の体験を提供してくれる今作。
過激な表現が含まれる為、万人には薦められないが、Wiiを持っている方なら是非、プレイしてみて頂きたい唯一無二の傑作だ。独特の操作感と斬新なアクション、そして異次元なネタの数々に酔いしれてみよう。お薦めの一品です。
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