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≫NewスーパーマリオブラザーズWii
■発売元 任天堂
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 3つ(※ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー可)
■その他 ヌンチャク対応
■総説明書ページ数 40ページ(※見開き形式のクイックガイドも同梱)
■推定クリア時間 7〜10時間(エンディング目的)、40〜55時間(完全攻略目的)
ピーチ城で行われていた、ピーチ姫の誕生会。
マリオ達が祝福する最中、そこに何者かから巨大なバースデーケーキが送り届けられる。そのケーキの中には何と、クッパJr.とコクッパ七人衆が隠れていた!

彼らはあっという間にピーチ姫を誘拐。
そして、巨大な飛行船で何処かへと飛び去ってしまった。
またしてもさらわれたピーチ姫を助ける為、マリオ達は飛行船の後を追う!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ゴールを目指すだけの2Dマリオ伝統の分かり易く、取っ付き易いゲームシステム
◆ファミコン時代のマリオと同じ感覚で動かせる、単純明快で直感的な操作性
◆簡単過ぎず難し過ぎずの塩梅でまとめられた、進化したゲームバランス
◆リモコンを使ったユニークな操作と見た目の面白さが光る、新しい変身アクション
◆シリーズ初、最大四人までの同時プレイが可能の白熱必至のマルチプレイ
◆『マリオブラザーズ』究極進化系とも言える、熱い戦いが楽しめる『コインバトル』
◆変身アイテム必須という理不尽な縛りが消え、集め易くなった『スターコイン』
◆スターコイン集めのほか、上級者向けのスペシャルコースまでも収録され、大幅にやり甲斐の増したやり込み要素
◆前作と同様「その場を楽しむ面白さ」にこだわった作り込みが見事な全80以上のコース
◆難しいコースを自動で攻略してくれる衝撃の設計、そして8回ミスした際に要素が開放されるチャレンジ精神を刺激させる設定が見事な『お手本プレイ』
◆完全攻略のお供として大活躍するサポート機能『おたからムービー』
◆携帯機から据え置き機へと進出した事で、より仰々しくなった演出全般
◆マリオシリーズファンならニヤリとしてしまう小ネタの数々(カメックの魔法など)
◆ユニークな遊びが仕込まれたエンディングのスタッフロール
◆マリオシリーズファン感涙のコクッパ7人衆の復活(2003年の『マリオ&ルイージRPG』以来、6年ぶりにカムバック!)

--- Bad Point ---
◆無理矢理、モーションセンサーを取り入れた煩わしい操作性(特にタルなどを持ち上げる際の操作は違和感バリバリ)
◆一部コースにおける、センサー操作を取り入れたギミック(無理矢理過ぎて面白くない)
◆リモコンを傾けたり、振りながら戦うワールド6の船ボス戦(ストレスが溜まる…)
◆DS版よりも更に重くなったアクション全般の挙動(特に泳ぐ操作の鈍さはしんどい)
◆特定のコースだけでしか使えなくなり、一発ネタに成り下がってしまったヨッシー
◆過去のマリオの焼き直しがほとんどのコース内の仕掛け(リモコンネタも正直、地味。)
◆各ワールド全コースのスターコインを集め終えないと遊べないスペシャルコース(スターコインの全獲得に構わず、最初からプレイできる方が良かった…)
◆DS版のアレンジがメインで、新鮮味に欠ける音楽(曲もパンチに欠けるものばかり)
◆アイスフラワーの過剰な出現率(その為、変身パターンが偏り易い)
▼Review ≪Last Update : 7/4/2010≫
「オレ達を忘れたとは言わせない!」

この瞬間を待っていたぜ…。


ニンテンドーDSで発売され、500万本強の大ヒットを記録した2Dマリオ久々の新作『Newスーパーマリオブラザーズ』の続編。据え置きハードの2Dマリオとしては、スーパーファミコンの『スーパーマリオワールド』以来の完全新作である。

モーションセンサーの呪縛に囚われた操作性は、残念にも程がある。
しかし、2Dマリオの人を選ばぬ面白さは健在の良作だ。

ゲーム内容はマリオシリーズ伝統の横スクロールのステージクリア型アクション。マリオを操作し、多彩なコースを攻略しながら、クッパにさらわれたピーチ姫救出を目指す、お約束のものである。基本的なゲームシステムは、ニンテンドーDSで発売された前作『Newスーパーマリオブラザーズ』のものを継承。過去の『スーパーマリオブラザーズ3』や『スーパーマリオワールド』の良い所取りの作りとなっている。しかし、DSからWiiへと二画面から一画面へと後退(?)したのもあり、二画面を活かしたコースと演出は撤廃。雰囲気的には、前作以上に昔ながらの2Dマリオに回帰したものとなっている。
また、システム周りでもDS版にあった『スーパーマリオワールド』より拝借した救済処置『ストックアイテムシステム』が廃止。ダメージを受けても、画面上部からアイテムが降って来なくなり、僅かながら全体の難易度が引き上げられた。ただ、ストックアイテムは廃止されたのに対し、イベントなどで手に入ったアイテムを管理する『スーパーマリオブラザーズ3』より拝借した『アイテムウィンドウ』は健在。あくまでも、コース本編の難易度が上げられた程度で、システム周りは従来の親切さの活きた仕上がりとなっている。
当然のように続編という事で、新要素も幾つか加えられている。第一にサポートキャラ・ヨッシーの登場。2Dマリオでは『スーパーマリオワールド』以来となる、ヨッシーのアクションが今回は楽しめるようになった。アクション周りは過去のマリオワールドを踏襲しつつ、主役を務めた『ヨッシーアイランド』のふんばりジャンプも加えた、良い所取り。更に乗っている最中は音楽にリズムが付くなどのお約束もあるなど、、至れり尽くせりな仕様となっている。ただ、今回は引継ぎが無い。というのも、今作では特定のコースでしかヨッシーに乗る事ができず、そこをクリアすると、自動的にヨッシーと別れてしまう。マリオワールドのように、クリアしてもヨッシーに乗ったまま、他のコースを遊べない仕様となってしまっているのだ。極端に言うと、今回のヨッシーはコース固有のギミックと言った感じ。パートナーですら無いのだ。故に久々に2Dマリオでヨッシーのアクションが楽しめると期待してプレイすると、痛い目に遭うのは必至。常にヨッシーと冒険できる事を楽しみにしていた方には残念な新要素と言っても良いだろう。正直、無理矢理入れた感バリバリである。
一方で、第二の変身アクション周りはそうでもなく。今作では新たにプロペラマリオ、ペンギンマリオ、アイスマリオの三種類が新たに追加されたが、いずれもヨッシーのように空気ではなく、新たなゲーム性を演出する新要素として機能している。特に久々に空を飛ぶアクションが楽しめる、プロペラマリオの登場は、前作で空を飛べ無い事に不満を持ってたユーザーの期待に応える、大変魅力的なものになっているので必見だ。なお、前作の変身は『マメマリオ』を除き、全て廃止。前作の目玉でもあった巨大マリオも今回は無いので、変身自体のインパクトは僅かに衰えてしまっている。あの迫力に惹かれたプレイヤーには正直、物足りなさを感じてしまうかもしれない。とは言え、先のプロペラマリオ、氷の床を滑れるペンギンマリオなど、新しいアクションはどれも癖になる面白さ。今回も「マリオと言ったら変身アクション」の声に応えた、魅力溢れるものになっているので、アクション好きのユーザーの心も大いに満たしてくれるはずだ。
その他、今回は最大四人までの協力プレイ、対戦プレイができるようになったほか、『お手本プレイ』なる、クリアできないコースの攻略をコンピュータが自動的にクリアしてくれるシステムまで実装されている。特に後者は衝撃的なシステムで、それではゲームも何も無いじゃないかと、コアなユーザーなら激怒しかねない代物だが、あくまでもこれは、8回以上もミスを繰り返した際に出現するもの。最初から使えるシステムではないので、その点は考えられている。むしろ、このシステム追加の恩恵で、今作は今まで以上にやり込みプレイが熱い。というのも、全てのコースを8回以上のミスをせずに突破し、エンディングを迎えられれば特別な勲章が得られる特典があるからだ。逆にそれ以上のミスをしてしまえば、もう勲章を得ることは不可能。勲章目的のプレイなら、やり直しとなる訳だ。こんなシビアな特典があっては、やり込み派なら自然とやってしまうもの。とんでもない救済処置の追加で、ゲーム性崩壊かと思いきや、逆にやり込み度が上がってるという、驚異的な進化を今作は遂げてしまっているのだ。まさにこれぞ、ゲーマー泣かせな任天堂からの挑戦状。初心者をフォローしつつ、上級者には牙を向けるその設計には、コアユーザーなら闘争本能を刺激させられるだろう。
そんな具合に一部、空気な新要素も存在するが、全体的にはDS版の前作を踏襲し、強化を施した作り。やり込み甲斐も過去作以上になるなど、まさに新世代の2Dマリオというに相応しい、贅沢な内容となっている。

しかし正直な所、今作は前作に当たるDS版よりも、ある点においてクオリティが圧倒的に劣る。それこそが今作最大の欠点、操作性だ。操作自体は非常に単純。リモコン横持ち、昔のファミコン版と変わらぬ直感的な感覚でマリオを動かせるものとなっている(また、ヌンチャクスタイルにも対応)。しかし、この操作がその単純さに反し、全く快適でない。何故、快適じゃないのかというと、この操作自体がリモコンのモーションセンサーの呪縛に囚われ過ぎているから。明らかにボタン操作にした方が快適としか思えぬアクションをセンサーに割り振ってしまっているのだ。
具体的には、タルなどの重い物を持ち上げるアクション。今までのマリオ…例えば『スーパーマリオUSA』とゲームボーイの『ドンキーコング』では、タルなどの上に乗っかり、そこでBボタンを押せば持ち上げるという至って単純なものだった。横からでなく、上から持ち上げる。その仕組みは地味ながら説得力があり、且つ操作自体も分かり易くて快適なものになっていた。ある意味、これ以上無い操作だったと言っても良いだろう。
だが今作は何を血迷ったか、その操作性を継承せず。それ以前に横からタルに触れ、1ボタンを押しながらリモコンを振るという、意味不明な操作を起用してしまっているのである。これが無駄に煩わしく、地味にイライラさせられる。というか、何故にリモコンを振る必要があるのかが意味不明だ。二通りの操作をするので済む事と一回の操作をすれば済む事、どっちが快適かと言われたら、明らかに後者だろう。無駄な手数を踏む必要がある操作など、あまり受け入れられたものじゃない。それが変に凝ったものであれば尚更だ。だというのに、今作は無駄な手数を踏む必要のある操作を取り入れてしまっている。どうしてこんな事をしたのか?コウラを持つ操作との差別化を図る為か、それともリモコンを活かす為か。どちらの理由があったにせよ、この操作を起用した事自体は愚の骨頂なのは言うまでも無い。そもそも、その二つの理由からして、「手数の少ない方が圧倒的有利」と簡単に論波できるので、説得力は無い。快適に動かすのにこだわるのなら、普通にそちらにすべきだったのに何故、無駄な方を起用するという謎の選択をしたのか。申し訳ないが、これを選択したその判断は大きな間違いだったとしか言い様が無い。今作に限らず、任天堂のWiiのゲームでは、明らかにボタンにした方がベストな操作をセンサーに割り振る悪癖が散見されるが、まさか仮にもマリオのゲームでもこんな悪癖を披露してしまうとは、いちユーザーとしてショックだ。マリオだけは、こんな操作とは無縁のゲームであって欲しかった。
他にリモコンのセンサーを活かしたものでは、傾きリフトのギミックもゲームテンポを阻害するものとして機能してしまっているのが辛い。これにしても、定位置で傾きを調整する方が面白かったのでは、と疑問符が浮かぶ次第である。
ただ、プロペラマリオの飛ぶ操作に関しては特に異論は無い。まるで竹とんぼを飛ばすかのようなあの気持ちよさは、リモコンのセンサーさまさまと言っても良いだろう。というか、そもそもセンサー操作はあれだけで十分だった。
また、挙動の鈍さも残念なところ。前作のDS版も挙動周りは少し独特だったが、ダッシュのスピード、ジャンプの反応などは的確な調整で、動かす気持ちよさは辛うじて活きていた。しかし、今作はジャンプするにしろ、ダッシュするにしても重い。更に水中ではその重さの弊害でか、スピーディに泳ぐこともままならないから、ストレスが溜まる。グラフィックが3D故、挙動もリアルにしたのかもしれないが、さすがに今回は忠実に従い過ぎた感が否めない。これでもう少し、ジャンプに軽さがあれば、少し反応も違ってたと思うだけにその点の調整を踏み誤った点は残念としか言い様が無い。
この他、操作性はマルチプレイでも悪影響を及ぼしており、相手とぶつかって跳ね返された際、元の初速に戻るまでに微妙な時間がかかる点についても、もっと快適にできなかったのかと疑問符が浮かぶ。この反応の悪さが逆にマルチプレイを盛り上げてるとも言えるが、快適に動かせない事がストレスにもなってるので、どうにも難しいところである。
前作にもDSのタッチ操作を入れている場面もあったが、あくまでもおまけ程度の扱いであり、本編は純粋なアクションに集中できる作りだった。そのストレートさが好きだった人も、決して少なくは無かったはず。そういう意味では、今作の呪縛に囚われた操作性は本当、残念極まりない。前作と同様、2ボタンだけで楽しめる素直な2Dアクションとしての面白さにこだわって欲しかった。他の任天堂のWiiゲームと同様に悪癖全開の作りになってしまったのは本当、無念である。

しかし、操作性が悪くなったとは言え、ゲームバランスは劇的に進化。特にDSの前作では、特定の変身アイテムを他のコースから持って来ないと取れないものがあった『スターコイン』が、全部そのコース内のアイテムを駆使するだけで取れるようになったのは嬉しい改善点だ。また全体の難易度が、かのお手本プレイシステム導入の影響で、歯応えに富んだものになったのもナイス。前作に物足りなさを覚えたプレイヤーなら、まさにそれを待ってましたと言わんばかりの納得の満足感を得られるだろう。
また、コース総数も隠しワールドの追加に伴って増加。ただ、地形周りに関しては過去のオマージュがほとんどであり、マリオ経験者には新鮮味に欠けるのが地味ながら残念。せめて1〜2つぐらい、新しい地形とかを入れて欲しかったところである。工場だとか、列車とか。とは言え、どのステージもボリューム、難易度共に申し分なく、歯応えはかなりのもの。作り込みは完璧と言っても良いだろう。
グラフィック、音楽もさすがにDSからWiiへと移っただけに大幅にクオリティアップ。しかし、音楽は前作よりも地味になった…というよりも、使い回しのアレンジがほとんどで、魅力的な楽曲にかけるのが辛い。ここにしても、地形周りと同様に少し、インパクトある新曲を加えても良かったんじゃないだろうか。ちょっと今回は空気過ぎるとしか言い様が無い。

演出周りは、さすがに大きな画面となっただけにそれを活かした派手なものが豊富に仕込まれている。また、ストーリーも前作と同様、キャラ動作のみの寸劇仕様で分かり易いのが良い感じ。何よりも今作は、2003年の『マリオ&ルイージRPG』以来、実に6年ぶりにコクッパ七人衆が復活、しかも初の3D化&ボイス付きで登場というのが泣ける。コクッパが好きなファンなら、今作は必ず買わねばならぬ一本なのは、言うまでも無いだろう。
やり込み要素の多さと歯応えは間違いなく前作以上。続編としては着実な進化を遂げた作品ではある。しかし、モーションセンサーの呪縛に囚われた操作性の問題で、気持ちよく遊べないのが実に勿体無い。操作性にセンサーの呪縛と無駄な重ささえ無ければ、確実にシリーズ最高の出来になってたであろう、この『NewスーパーマリオブラザーズWii』。
念の為だが、決して駄作ではない。十分過ぎるほどの良作である。しかし、アクションゲームは操作性が命というユーザーにはお薦めできない。そんなの関係なしに2Dマリオが遊びたくて仕方ない、マルチプレイで盛り上がれるゲームがやりたいという人に限り、お薦めできる一本だ。どちらかと言うと多人数向けです。
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