≫朧村正(おぼろむらまさ)
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■発売元 |
マーベラスエンターテインメント(現:マーベラス) |
■開発元 |
ヴァニラウェア、ベイシスケイプ(音楽) |
■ジャンル |
絢爛絵巻和風アクションRPG |
■CERO |
B(12歳以上対象) ※暴力、殺傷描写あり |
■定価 |
7140円(税込)<※廉価版:2800円(税込)> |
■公式サイト |
こちら ※音が鳴ります |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1人 |
■セーブデータ数 |
5つ(※1ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー可) |
■その他 |
ヌンチャク対応、ゲームキューブコントローラ対応、クラシックコントローラ対応 |
■総説明書ページ数 |
21ページ |
■推定クリア時間 |
8〜12時間(各シナリオエンディング目的)、16〜24時間(両シナリオクリア目的)、40〜50時間(完全攻略目的) |
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世に数多の妖刀あり。
それは、ひとたび抜かれれば、血を吸わずにはおられぬ刀。
神気を帯びた名刀でさえ、恨みの血糊に長く浸れば陰気、妖気を生じて妖刀に変ずるという。
それを手にした者は人斬りに魅せられ、果ては非業の最期を遂げるとか。
時は元禄、将軍徳川綱吉の治世。
太平の世に妖しの気配。
妖刀を巡って入り乱れし者の争いが魑魅魍魎を招き寄せ、龍神鬼神をも巻き込んで災いの火を広げゆく。
妖刀を巡りし者らの運命は、果たしていかなる結末か。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆もはや芸術以外の何者でもない、超美麗な2Dグラフィック(背景、キャラクター全て)
◆和の世界観に自然とマッチした、美しくて力強い音楽(戦闘系の曲が秀逸)
◆2Dアクション特有のテンポの良さが最大限に活かされた、スピーディなゲーム展開
◆全100種類もの刀集めから隠しダンジョン攻略など、充実したやり込み要素群
◆一切もたつかない、キビキビとした動作が気持ち良い、プレイヤーアクション
◆ゴリ押しの楽々プレイからシビアなプレイまで、全てに対応した懐の広いゲームバランス(難易度選択機能の賜物)
◆途中であっても切り替えできるのが良心的な難易度選択システム
◆迫力満点のアニメーションと攻撃パターンでプレイヤーを魅了する、個性豊かなボス達
◆それぞれ異なる内容と演出で上手く差別化された、二人の主人公ごとのシナリオ(片方が途中でも再開する時、寄り道でもう片方のシナリオが遊べるのも良心的)
◆各シナリオ共にクリアまで8〜10時間ほどと、適度な量にまとめられた総計ボリューム
◆夜桜に彩られた街に浮世絵風の海など、日本各地の情景の魅力が存分に表現されたマップロケーション(天国など、幻想的な舞台があるのも面白い)
◆直感的且つ思い通りに連続技が作れる反映の凄さが光る、抜群の操作性
◆和の世界観に絶妙にマッチした、芝居がかった独特の台詞回し
◆各シナリオの展開と台詞回しの魅力を見事に表現した、豪華声優陣によるボイス演出
◆思わず腹がなるほど、「美味しそう」に仕上げられた食べ物全般のグラフィック(※空腹時のプレイは大変危険)
--- Bad Point ---
◆ギミックに乏しく、起伏が甘いマップ構成(似たようなマップが多過ぎる)
◆乏しい雑魚敵のバリエーション(忍者や僧とかが中心。もう少し多くても)
◆起伏の乏しさと雑魚敵の乏しさ故に、後半辺りから発生するゲーム展開の単調化
◆かなり作業的な展開に陥り易い各種やり込み要素(特に隠しダンジョン系)
◆世界観とマッチしているが、難読漢字が多用されてる都合、やや理解し難い台詞回し
◆性能的に似たりよったりの感が否めない刀(単に威力の違いでしかない気が)
◆やや表現的に刺激が強過ぎる温泉シーン(汗)(百姫のところとか特に…)
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▼Review ≪Last Update : 10/18/2009≫
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行く手阻む者…斬る!
情けなど無用!
『プリンセスクラウン』、『オーディンスフィア』等、美麗な2Dグラフィックに定評のあるソフトハウス『ヴァニラウェア』が放つ、新作アクションRPG。音楽は『オーディンスフィア』、『くまたんち』に引き続き、崎元仁氏率いるベイシスケイプが担当。
もはや芸術も同然な、驚異の2Dグラフィック!
爽快感満点・見応え満点の傑作アクションRPGだ。
内容は横スクロール方式で展開する、アクションRPG。数本の刀を武器として扱い、日本各地の道中を動き回りながら、敵との戦闘など、次々と起こるイベントを攻略していくというものだ。アクションRPGを名乗っているが、肝心のゲームの流れはアクションゲームそのもの。基本的にイベントの大半はボス戦なので、ボスがいる場所を目指す…というアクションゲームの感覚で遊ぶ事ができる。
一方で、RPGの要素自体は薄め。レベルアップ等のプレイヤーキャラの成長要素と、マップ探索程度しかない。謎解きとか、その辺の内容を期待してプレイすると、肩透かしを食らうかもしれない。ただ、アクションゲームの色が濃い為、サクサクとテンポ良くゲームを進めて行けるのは大きな強み。いわゆる「お使いイベント」みたいな作業的な展開もほとんど無いので、純粋にストーリーを楽しみたい、アクションを楽しみたいというプレイヤーには、この上ない作りとなっている。
また、サクサクとテンポ良く進んでしまう性質上、ボリューム不足となる弊害が生まれるが、今作はそこも上手くカバー。二人の異なる主人公を用意し、選んだキャラクターごとに全く違うストーリー、ゲーム展開が楽しめるシステムを起用し、ボリューム不足感を補っている。
更に二人の主人公のシナリオは、一つのセーブファイルで同時進行が可能。プレイ再開時にも、どちらのシナリオから始めるかを選択できるなど、痒い所に手の届く配慮が徹底されている。両方プレイしたければ、二つのファイルを使う、嫌らしい仕組みになってない辺り、二つで一本のシナリオというコンセプトが一貫されていて秀逸だ。下手な水増し感、それを思わせる下心が無いのも好印象である。
そして、各主人公のシナリオも女性主人公の百姫は翻弄劇、男性主人公の鬼助は人情劇という風に上手く差別化されており、それぞれ違った魅力が引き立っていて面白い。
各シナリオのボリュームも程好く、一人平均8〜10時間以内でエンディングまで到達できるなど、二人分プレイするのに苦にならない内容に仕上げられているのも良い感じだ。この辺はまさに、先のアクションゲームらしいテンポの良さの恩恵によるもの、と言ったところだろう。二人分を気持ちよく遊んでもらいたい為、あえてテンポを優先したその配慮には頭が下がる。先のシナリオ別プレイの所と被るが、下手な水増しを行ってないこのスッキリとした構成は「清々しい」の一言に尽きる。昨今のRPGも、これを少しは見習ってはどうか、と言いたくなるほどである。
そんな今作最大の売りは何と言ってもゲーム全体を彩る、芸術も同然な2Dグラフィックである。
テンポの良さもまた、今作の大きな売りだが、正直、それよりこっちのインパクトがでかい。もう、これは単純に公式サイトなどで紹介されているスクリーンショットを見るだけでもすぐ分かる。背景然り、キャラクター然り、描き込み具合が半端じゃない。どうやったらここまで描き込めるんだ?…と、素で疑問に思ってしまうほどの驚異的な美しさの2Dグラフィックを表現してしまっているのである。この2Dグラフィック自体は、開発を手掛けた『ヴァニラウェア』の強みであり、過去の『オーディンスフィア(PS2)』でも、その強みが存分に発揮した、芸術的なファンタジー世界を描いていた。今作も作風はそちらと似通っているのだが、舞台が日本、世界観が和であるだけに、全体的にそちら以上に「日本らしさ」が強調された仕上がりになっているのが、面白いところ。さながら「21世紀の浮世絵」と言っても良いその完成度の高さには、ゲーム好きだけのみならず、ライトユーザーでさえも見とれてしまうだろう。平面絵に長けた日本人だからこそできた、その職人技は、まさに究極のお家芸である。ちょっと大げさではあるが。
また、グラフィックは単に綺麗なだけではない。動きの面でも、このグラフィックの良さは最大限に活かされており、文字通りの「華麗な戦い(或いは、魅せる戦い)」が楽しめるのも大きな強み。エフェクト絡みの演出、キャラクター動作と、全てがテンポ良く、且つスピーディに展開され、先の美しいグラフィックと相まって、とんでもなく派手で迫力満点のアクションが、画面いっぱいに繰り広げられる。その迫力は2Dアクションの常識を逸するクラスで、実際にプレイしている本人も自体も、つい見とれて「ボーっ」としてしまうほど。怖いぐらい、素晴らしい動きを見せてくれるのである。
更に、こういうグラフィックに凝ったアクションゲームは、操作性がもっさりしてしまう弊害も出るが、そこも万全。キャラクターの動作は滑らかながら、レスポンスはすこぶる快適で、直感的に思うがままにキャラクターを動かすことができる。操作自体も総じてシンプルで、連続攻撃からコンボまで、思い通り敵に叩き込めるその気持ち良さは半端じゃない。滑らかな動作を全く思わせない、攻撃時の隙の無さも見事で、アクションゲームの爽快感を尊重したその配慮には溜息が出る。絵としての美しさだけでなく、動きの美しさと気持ち良さも尊重するとか、そのゲームをよく理解した作りには本当、圧倒させられる。絵の美しさだけに注力し過ぎて、肝心のゲーム性を怠るゲームが多い中、こうも美しさとゲーム性の両立が出来ているゲームも希少だ。改めて、ヴァニラウェアの映像とゲームに対するこだわりの深さを痛感させられる次第である。
ただ、グラフィックと操作性が優れている反面、ゲーム展開への工夫が足りず、やや単調気味になり易いのは残念。主にマップの事なのだが、一本道でギミックが少なく、基本的に敵と戦うぐらいしか変化を与える要素が無いのは寂し過ぎる。テンポを優先したが為になってしまったのかもしれないが、せめて特殊な地形を用意したり、もう少し敵のバリエーションを増やすなどの工夫を施して欲しかったところだ。特に敵は、あと3〜4ぐらいはバリエーションを増やすべきだった。さすがに忍者と僧が中心となるのは味気ない。
ただ、背景グラフィックのバリエーションの多彩さが単調さをカバーしている辺り、まだ救いと言えるかもしれない。単調とは言え、「日本各地を楽しむ」という一種の遊びが演出されているから。
まさに、グラフィックさまさまというべきか。
グラフィックだけでなく、音楽も良い出来。特に戦闘系の曲は名曲揃いで、サウンドテストが無いのが惜しまれるぐらいだ。作曲及びプロデュースが崎元仁氏と、スタッフもかなり豪華でクオリティの高さも納得させられる。
ゲームバランス、やり込み要素もなかなか。やり込みは単調化し易いのがデメリットだが、刀集めに隠しダンジョンなど、なかなか充実している。バランスも難易度選択機能(常時切り替え可能)がある為、幅広さが引き立っていて上手い。特にボス戦のバランスは秀逸で、道中の雑魚敵とは異なる戦いの面白さがきちんと表現されているのが見事だ。
そしてシナリオ、演出周りもかなり凝った仕上がり。時代背景を意識し、台詞回しや言葉の癖をその時代に合わせたものにするなど、独自のこだわりが発揮されている。登場人物達を演じる声優陣(※ちなみにイベントはフルボイス)も実力派揃い。中でも百姫役の沢城みゆきの演技は秀逸。お淑やかな姫と血に飢えた侍の二面性を丁寧に表現した演技には、声優に詳しくない人でも、プロの技というものを痛感させられるだろう。
その他にも皆無同然なロード時間、ヌンチャク&リモコン、クラシックコントローラなど、あらゆるスタイルに適応した操作のバリエーションも魅力的。展開が単調化し易い欠点はあれど、アクションRPGとしての完成度はかなりのもの。テンポの良いゲーム展開と抜群の操作性、初心者から上級者まで幅広く対応したゲームバランスと、全ての面において突出した出来を誇っている。グラフィックに音楽と、ゲームを彩る要素の完成度も相当なもので、それら目的でプレイしても、高い満足感を味わえるほどの贅沢さ。総じて、あらゆる面で高い完成度を誇るこの『朧村正』。
Wiiをお持ちのプレイヤーなら、是非とも挑戦してみて頂きたい傑作アクションRPGだ。オススメです。
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