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≫スーパーマリオギャラクシー
■発売元 任天堂
■ジャンル 3Dアクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 6つ(※1ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー可)
■その他 ヌンチャク専用
■総説明書ページ数 28ページ
■推定クリア時間 9〜14時間(エンディング目的)、50〜90時間(完全攻略目的)
その年のキノコ王国の空には、点を覆うほどの大きな『ほうき星』があった。
百年に一度訪れるその『ほうき星』からは、沢山の星くずが降り注ぎ、大地に落ちた星くずはキノピオ達によって集められ、後にとても大きなパワースターに生まれ変わったという。

そんな百年に一度、星くずの恵みをお祝いする『星くず祭』の夜。
マリオはピーチ姫からの招待状を握り締め、祭が行われているお城へと足を運んだ。
楽しげに踊るキノピオ達に迎えられ、幸せなひとときを感じるマリオ。
そのまま、ピーチ姫の待つ城へと向かうのだが…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆これまでとは異なり、2Dマリオ風の進行形式に改めた、取っ付き易いゲームシステム
◆一本道による進行に特化し、道中で迷う事がほとんど無くなった、珠玉のコース構成
◆特定のコースをクリアしろと言った縛りが無くなり、自由気ままなスタイルで進められるようになった本編構成(『スーパーマリオ64』とほぼ同じ感覚で、気ままに進めて行けるようになっている)
◆上下反転しても落下しない奇妙な光景、落下への恐怖を軽減する要素として機能しているのが見事な新要素『重力』
◆重力による前代未聞の光景が実現した、新鮮味に富んだカメラワーク(しかも、下手に回転しないから酔い難い)
◆3Dアクション初心者に頼もしい、使い勝手の良さが見事な新アクション『スピン』
◆ハチマリオ、アイスマリオと久々の芸達者ぶりを魅せてくれる、マリオの変身アクション
◆宇宙が舞台であるからこその、ミステリアス且つぶっ飛んだコースロケーション
◆ヌンチャクとリモコンの両方を使いながらも、抜群の取っ付き易さを誇る操作性
◆嫌らしい要素が撤廃され、マリオらしい気持ち良さが蘇った、絶妙なゲームバランス
◆パワースターコンプリート、裏シナリオなどと充実しまくりのやり込み要素
◆宇宙ならではの星の美しさ、モデリングの素晴らしさが見事なグラフィック
◆同じく宇宙ならではの壮大さが秀逸な音楽(シリーズ懐かしの名曲も収録!)
◆王道ながらも、マリオとしては異質なミステリアスな雰囲気が新鮮なストーリー
◆満を持して、3Dマリオ初登場のルイージ(裏シナリオもあるので、ファン必見!)

--- Bad Point ---
◆あまりに特殊過ぎて感覚狂い(3D酔いでなく)が起き易い、球体コースのカメラワーク
◆ほぼフルオートな為、過去のシリーズにも増して自由度の低いカメラ操作
◆2P側が退屈になりがちな、二人同時プレイ『アシストプレイ』
◆カメラ操作が効かない都合もあってか、動き難さが洒落になってない水中コース
◆全体的に弱体化し過ぎなボスキャラ達(ラスボスもそんなに強くない…)
◆大ジャンプのタイミングが掴み難い『バネマリオ』
▼Review ≪Last Update : 7/26/2008≫
マリオ、宇宙を冒険する。

正しくは、「マリオ、15年ぶりに宇宙を冒険する。」(←マリオランド2より)


『スーパーマリオ64』、『スーパーマリオサンシャイン』の流れを汲む、3Dマリオシリーズ最新作。開発は『ドンキーコングジャングルビート』を手掛けた、任天堂東京開発部が担当。

スーパーマリオサンシャインの屈辱、ここに晴らされたり!
正真正銘の正当進化系として感動的な返り咲きをした、3Dマリオ久々の名作だ!

基本的なゲーム内容は、これまでの3Dマリオシリーズと同様の3D視点で展開するアクションゲーム。マリオを操作して3Dのギャラクシー(コース)を駆け巡り、様々なトラップを掻い潜ったり、特殊なイベントをこなしたりしながら、まだ未発見状態のギャラクシーを登場させる為のキーアイテム『パワースター』を集めていく、お馴染みのものとなっている。
システム周りは、前作に当たる『スーパーマリオサンシャイン(以下、マリサン)』を踏襲。ポンプアクションこそ廃止されたが、行動範囲を狭めて攻略性に特化したコース構成、アクション性の高いアスレチックコースと言ったものはそのまま引き継がれている。今作では、そんな前作の特徴の一つでもあった『攻略性に特化したコース構成』を大幅にブラッシュアップ。『スーパーマリオ64』のような箱庭を歩き回る自由度が完全に失われ、かつての2Dマリオシリーズを髣髴とさせるような、懐かしい香り溢れるものに変貌した。更に舞台となるコースも、1つのコースに隠された『パワースター』の量が少なくなり、逆にコース自体の物量が増加。前作にも増して、多彩なコースを楽しめるようになっている。
また、ゲーム本編の流れも大幅に変化。『ほうき星の天文台』と呼ばれる拠点となる地に点在する、『ドーム』から各ギャラクシー(コース)へと飛んでそこを攻略し、最終的に現れるクッパが占拠するギャラクシーに挑んで『グランドスター』を入手、新たなドームへの道を開いていく、これまた2Dマリオを髣髴とさせる、ワールドクリアタイプの流れに改まっている。
要は今作、『スーパーマリオブラザーズ3』や『スーパーマリオワールド』を3Dに翻訳したとでも言うべきアクションゲームとなっているのである。マリサンと同じ仕組みを継承しながらも、その手応えはまるで別物同然なのだ。
その為、マリオ64や前作のマリサンのような内容を期待すると、相当な肩透かしに遭う。広い箱庭を自由に動き回れる遊びはできないし、舞台となるコースも一本道ばかり。見方を変えればある意味、退化したとも見て取れる有様となっている。だけど、それで面白くなくなったという訳でもなく。むしろ、劇的に面白いものへ進化した。
何よりも今作、コースを歩き回る自由度は無くても、攻略の自由度がある!というか、蘇った!前作では、特定のストーリー(シャインを手に入れる為の課題)を攻略しないとクリアできないという、意地悪な構成となっていたが、今作は基本、一本道ながらも「特定のコースをクリアする必要も無く、スターを規定数集めれば必ずクリアできる」というマリオ64を彷彿とさせる構成となったので、プレイヤーの気ままに攻略が楽しめるようになった。
更に、コース設計とゲームバランスと巧みの域に!どのコースも極端に行動範囲が狭まれたので、いわゆる行き先が見えなくなる「迷い」が無くなり、サクサクとテンポ良く進めていけるようになった。しかも、行動範囲が狭いと言っても、「これは元からあるコースなんです」と言う説得力に富んだコースデザインとなっているので、マリサンのような無理矢理、スタッフに動かされているみたいな感じも皆無。そして、コース道中のトラップも極端に嫌らしいものが無くなり、そんなに腕に自信の無い方でも、”ちょっと”頑張れば必ず突破できるバランスに改められたので、不快感を覚える事も一切無し!前作で多くのユーザーを苦しめたアスレチックも、今回はそう言った気配りが行われているから、失敗しても苛立たない。むしろ、コースを駆け抜ける面白さが際立っているから、楽しさすら感じてしまうほど。
これだけでも今作が、如何に強烈な進化を遂げたかはお分かりになるだろう。3Dでありながらも、誰もが楽しめるマリオを実現!まさに正当進化系にして、「老若男女が楽しめる」と言っても過言ではない、驚くべき3Dアクションゲームに仕上がっているのである。前作の無念を遂に晴らしてしまったのだ。まさに屈辱、ここに晴らされたり!

更に、今作独自の新要素である『重力』も、そんな誰もが楽しめる3Dアクションゲームを実現させる為の存在として大いに機能している。冒頭の通りだが、コースは全てギャラクシー…『宇宙』となっている。それ故に、コース上には惑星やら隕石など、特徴的なものが続々と登場するのだが、今作ではこう言った足場の全てに重力が掛かっているのだ。だから、例えば惑星のフィールドにいる時、下に向かって移動すると、マリオは落ちる事無く、そのまま上下逆転した状態でそこに居続けてしまう。普通なら、上下が逆転すれば落ちるはずなのに、今作ではそんな重力がかかっている故に絶対に落ちないのだ。流石に重力が効いていないアスレチックステージの足場、ブラックホールとかは落ちたり、近づいたりでもしたらミスとなってしまうが、それでも今作は従来の3Dマリオシリーズよりも、落下によるミスが生じる事は少ない。なので、3Dの微妙な操作が苦手な方や初体験の方も、今回は各コースを駆け巡る面白さが堪能できる。落下による恐怖がほとんど無いので、気軽にマリオを動かせるのだ。まさに重力さまさまとはこのこと。
その重力がもたらした、独自のカメラーワークも必見。先に話したように、今回は重力がかかった場所ならば、マリオが逆さまになっても落ちないようになっているが故に、普段あり得ない異様な光景の数々を堪能する事ができる。そのまるで世界がひっくり返った光景の数々は、3D視点で展開するアクションゲームとしては新鮮以外の何者ではない。あまりに変な方向に動く為、感覚がおかしくなる弊害もありはするが、それを抜きにしても今作で楽しめる光景の数々はその目で確かめる価値あり。3Dアクション経験者、そして未経験者も、それらの光景には思わず「3Dアクションって、こんな事もできるのか…」と言葉を漏らしてしまうこと、間違いなしだ。
この他、アクション周りも今作はかなりの進化を遂げており、その中でもWiiリモコンを振るだけで発動する新アクション『スピン』の使い勝手の良さは特筆モノ。攻撃範囲もかなり広めに設定されていて、3Dアクション特有の敵の攻撃のし難さが解消されているのがナイス。3Dアクション初心者にとっては、これほど頼もしいアクションも他に無いだろう。
しかも、上手いのがこのスピン、乱発はできないという事。基本的に一発出したら、その次を出すまでには多少の時間がかかる仕組みになっている。元々、便利過ぎるアクションであるが故に、それなりのリスクもちゃんと凝らされているのだ。それはそれで、不便な…と言っても、乱発されるとバランスが崩れてしまうのだからこれも致し方が無し。この辺りの調整の上手さは流石、前作のポンプの経験が活かされていると言った格好だ。
また、このスピン以外にも、今作ではお馴染みの変身アクションも健在。変身できる種類も『ハチマリオ』、『オバケマリオ』、『アイスマリオ』等のニューフェイスが盛り沢山で、久々に芸達者なマリオが堪能できる。更に変身アクションには、あのお馴染みの『ファイアマリオ』も健在!3D初となるファイアマリオが使えるというだけでも今作、マリオファンならば絶対にやるべき一本なのは言うまでも無い。
このようにコース構成やバランスのみならず、重力やアクションなどの新要素も救済処置として見事な存在感を発揮。加えて、最新作ならではの新しさも演出した、実にバランスの取れた仕上がりとなっているのである。

Wiiリモコンとヌンチャクを扱う操作性も抜群の気持ち良さ。ゲームバランスも適度に優しく、適度に厳しくの絶妙なレベルとなっており、マリオらしい手応えに満ちている。
そしてコースことギャラクシーのバリエーションも多彩。宇宙という事で、水だらけの小惑星やら蜂の王国、巨大戦艦、幻覚だらけの空間など、摩訶不思議なものが盛り沢山で、これもまたマリオらしいユニークさに秀でている。
それらのコースを彩るグラフィックと音楽も相当なもの。中でも音楽は『ジャングルビート』で素晴らしい名曲の数々を生んだ、横田真人氏が手掛けているだけに完成度が飛び抜けてる。特にフルオーケストラで構成された『エッグプラネット・ギャラクシー』の曲は要チェック。あと、シリーズ懐かしの曲が随所に収録されているのも同じく要チェックだ。
更に前作の反省なのか、今回はストーリーもなかなかの出来。基本は王道ながらも、マリオとしては珍しいミステリアスな雰囲気に富んだ作りとなっており、異色のテイストを醸し出している。特に、今作の新キャラ『ロゼッタ』にまつわる悲しいエピソードは要チェックだ。また、今作ではこのストーリーに、3Dマリオシリーズ史上初、あのルイージが本格参戦!念願の出演を果たした彼ならではの大活躍(?)は見逃せない。

他にも、スター集めを始めとする歯応え抜群のやりこみ要素、先のルイージが主役を務める驚愕の裏シナリオなど、感動必至の魅力はまだ沢山ある。
球体ステージのカメラワークで感覚狂いが生じる事や水中ステージの動き難さ、視点変更の効く場所の少なさなど、カメラ周りの欠点が結構あるのが残念なところだが、ゲーム自体の完成度はまさに、マリオ64の正当進化系というに相応しいクオリティ。システム、ゲームバランス、グラフィック、サウンド、操作性共に最高の面白さ、素晴らしさを誇る今作。
もう、多くは語らない。Wiiを持っているユーザーならば要プレイの名作だ。文句なしにお薦め。数々の新要素とこだわりが成し遂げた、新しくて面白いマリオの世界がここにある。前作の難しさに悩まされ、煮え湯を飲まされまくった方も今回は大丈夫!冒険盛り沢山のギャラクシーへと飛び立ちましょう。
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