≫ブロブ カラフルなきぼう
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■発売元 |
THQジャパン |
■開発元 |
Blue Tongue Entertainment |
■ジャンル |
ぬりえアクション |
■CERO |
A(全年齢対象) |
■定価 |
7140円(税込) |
■公式サイト |
≫こちら ※音が鳴ります |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1〜4人 |
■セーブデータ数 |
4つ(※1ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー可) |
■その他 |
ヌンチャク専用 |
■総説明書ページ数 |
20ページ |
■推定クリア時間 |
10〜11時間(エンディング目的)、35〜50時間(完全攻略目的) |
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「色は犯罪だ!!」
ブラック会長率いる『インキーコーポレーション』が、音楽と沢山の色に覆われた平和な街『レインボーシティ』を侵略。音のしない、白黒の世界へと変えてしまった。住民の『レイディアン』達も彼らに捕まって元気を奪われてしまい、身体の色まで白黒の『グレイディアン』とされてしまった。
インキー達に対抗する4人のレイディアン『カラーサポーター』も各地を戦っていたが、戦力不足で次第に追い詰められ、遂にインキー達に拘束されそうになる。
だが、その時!何処からともなく現れたレイディアンが、インキー達を一網打尽にする。
彼こそ、ブロブ!インキー達を倒す為、そしてかつて自分の故郷だった街を救う為現れたヒーローだ。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆街の建物などに色を塗り、活気を取り戻していく、斬新極まりないゲーム展開
◆大半が街だが、仕掛けの配置から地形まで、違いを演出する工夫に秀でたステージごとのロケーション構成
◆複数のエリアで構成されているなど、かなり凝った作りの全8以上ものステージ
◆自由に色塗りを楽しめる作りが秀逸な『フリーペイント』モード
◆白熱の「潰し合い(文字通り)」が味わえる、『マルチプレイ』モード
◆白黒で、音も無いという初期の街の状態から醸し出される、異様な悲愴感
◆Wiiリモコンの特性を程好く活かしたバランスの良さが光る、秀逸な操作性
◆ハイセンスなエフェクト周りの演出(特に色を塗った際の曲線が秀逸)
◆色を塗る、敵を潰す、色を注入するなど独自色満点のブロブのアクション
◆敵全滅から指定色塗りまで、バリエーション豊かなミッションイベント
◆アイテム収集、ミッションコンプなど、充実したやり込み要素
◆単にクリアするだけなら温く、完全クリアするなら手強いという二面性が上手く醸し出された、絶妙なゲームバランス
◆シンプルながら、色彩センスに秀でた独特のグラフィック
◆街に活気が戻る過程の演出が秀逸な、インタラクティブ感溢れる音楽
◆可愛らしさを思わせぬブラックジョークが炸裂する、皮肉の利いたストーリー
◆可愛らしさを思わせぬ過激な表現も飛び出す、センス溢れるムービーデモ
--- Bad Point ---
◆無駄に多すぎる1ステージ単位のボリューム(最低でもクリアに30分はかかる)
◆簡単に時間の引き延ばしができてしまう為、ほとんど意味を成してない制限時間(主にメインのステージにて)
◆少な過ぎるボス戦(ラストしかない)
◆リモコンを振る為、少し癖があるジャンプ操作
◆何故かアクション本編でしか確認できない、ステージの攻略状況(他の画面からでも確認できるようにすべきだった)
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▼Review ≪Last Update : 10/11/2009≫
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白黒バンザイ!
ゲームボーイ時代に逆戻りか?!
オランダの学生達が作ったフリーソフトをベースにして制作された、完全新作の3Dアクションゲーム。開発はオーストラリアのソフトハウス『Blue Tongue Entertainment』が担当。
白黒の街を隅から隅まで塗り潰しまくる、不思議な爽快感!
独創的なシステムと演出が光る、センス溢れる傑作だ。
基本は一つ一つのステージを攻略しながら展開する、正統派3Dアクション。だが、ゲームシステムが非常に独創的。白黒の町(ステージ)に点在する建物に植物、住民達に色を塗り、町全体の活気を取り戻していく、『塗り絵遊び』をメインとした、極めて斬新な内容となっている。
塗り絵遊びという事で、プレイヤーが操るキャラクターにして、今作の主人公『ブロブ』が持つアクションの数々も奇抜。敵から色を抜き取って自分の体に取り込み、その取り込んだ色で建物を塗ったり、特定の施設に一定量の色を注入して破壊したり等と、(良い意味で)変態なアクションを披露してくれる。そんな変態なアクションを駆使し、ステージをクリアしていく。この内容を聞くだけでも、今作が他の3Dアクションゲームとは大幅に一線を欠く…いや、欠き過ぎたものなのは、想像に難くないだろう。
欠き過ぎた内容なだけに、ゲーム性の新しさも相当なものだ。ステージ上に点在する建物等に色を塗って行くその気持ち良さは、他の3Dアクションゲームに無い、独自の爽快感に満ちている。敵を倒していくのではなく、「人を助ける」事を中心とした展開も新鮮。戦いが当たり前となってるアクションゲームに一石を投じる、革新的なゲームデザインだと言っても、過言ではない。何より秀逸なのが、圧倒的な自由度の高さだ。そもそも、塗り絵遊びのゲームというと、例えばある建物は指定の色を塗らなければいけないとか、制約が多そうな印象を抱くと思う。自由に塗れるとしても、正解があるからその通り塗らないと、拙いとか。それに塗り絵の色塗りは、意外と精密なテクニックが求められがち。何かのキャラクターの塗り絵で、質感(ツヤ)を出したければ、一部の色を意図的に薄くしなければならないとか、より良い物を目指そうとすると、それなりのパワーが必要とされてくるものだ。
だが、今作にはそんな縛りもテクニックなど、全く無い上、必要とされない。建物然り、植物然り…何処にも正解の色など、設定されてない。別に赤で塗ろうが、青で塗ろうが、お構いなし。この世界を自分色で染めてやるぜ!…という、プレイヤー側の欲望を、そのまま反映できるようにされているのだ。堅苦しく考える必要も、変に凝ったテクニックを行う必要も無し。気軽に色を塗る面白さを追求しただけの簡単な作りとされている。
勿論、時には指定の色を塗る事も要求されてくるが、あくまでも一部だけ。基本は自由に塗るのがメインなので、そんなに難しく考えず楽しめるようになっている。あえて現実のルールを無視し、純粋に色を塗る面白さと自由に動き回るアクションの面白さを優先したのは本当、お見事の一言だ。これが仮に、建物は灰色とか、そんなルールが決められていたら、かなりストレスの溜まるゲームとなっていたのは言うまでも無い。また、建物に色を塗るにしても、基本的にブロブを建物に「くっ付ければ」、全体に色が染み渡るようになっている大雑把さも見事。これもまた、無駄に細かく塗る仕組みだったら、ストレスの溜まるものになってたに違いない。
巷の3Dアクションゲームとは一線を大きく欠くゲームデザインとシステム。これだけでも相当なインパクトだが、きちんとアクションゲームとしての面白さと気持ちよさも今作は大事にしている。何処をとっても、完全新作タイトルとしては飛び抜けた完成度。これがアマチュアのクリエイターが作ったと言うのだから本当、驚かされるばかりだ。
ゲームシステムの斬新さ、アクションの気持ち良さばかりでない。密度の濃いステージ、センス溢れるエフェクト絡みの演出と言った部分も、高い完成度を誇っている。
ステージは全部で10個と少ないが、一つ一つの密度が濃い為、物足りなさを全く感じさせない。各ステージの自由度の高さもかなりのもの。基本的に各ステージは、幾つかの『エリア』によって構成されていて、町に色を塗っていく事で溜まる『カラーエネルギー』が規定値に達せれば、エリアの入口となる『ゲート』が開放され、次へと進めるのだが、このエネルギーの溜め方がまた、(良い意味で)大雑把。建物を塗る、『ミッション(ステージ中にいる仲間から課せられるチャレンジ)』を攻略するなど、色々な選択肢があり、プレイヤーのやりたいままに進めて行ける。別に全部の建物を塗らなくても、或いはミッションを攻略しなくても、ゲートが開けばそれで良し。堅苦しく考えずに楽しめるのは、アクションだけではあらず。こう言った所にも、気持ち良く遊べるようにする為のこだわりが炸裂しているのである。
各ステージのギミックを始めとする、個性付けも秀逸だ。大半のステージは『白黒の町』という事で、地形はほぼ統一されているのだが、ある所は敵の大群が襲い掛かってくる戦闘区域が多い、ダメージを受ける黒インクだらけと言った感じに、それぞれに固有のネタを仕込んでいるので、同じ地形ながら異なる味わいが出ている。
進める度に新たなアクションができるようになり、移動範囲が広がっていく過程もまた、プレイヤーを飽きさせない工夫として機能している。この辺の工夫の上手さは、レベルデザイン術の優れた海外メーカーだけにあると言ったところ。それでいて、『マリオ』等の国産アクションゲームに対する研究、リスペクトが発揮されていて、感慨深いものがある。
そして、建物等に色を塗った際のエフェクトを始めとする演出。これらも、ステージ攻略の楽しさに良いアクセントとなっている。特に「ブチャッ!」という生々しい効果音、飛び散って画面に染み付く絵の具と言ったものは、好き勝手に色を塗る快感に秀でており、プレイヤーをその虜とさせるインパクトに満ちている。エフェクトも独特で、このゲームだからこそ実現したその異様な様は、もはや芸術に近い。また、色を塗る度に音楽が派手になっていく演出も秀逸。色と音を失った町という設定だからこそ出来た、そのアイディアと工夫には、思わず開いた口が塞がらなくなってしまうだろう。単に演出として面白いだけでなく、ゲームの面白さへも直結させる徹底振り。ここまで来ると、一体このゲームを作ったスタッフは、どんだけ天才なんだと言いたくなってしまう。
ただ、個々の完成度が高い反面、欠点が露出されているのは残念。特にステージだが、1つのステージ攻略に30分以上、後半に至っては1時間以上は余裕でかかると言うのはやり過ぎ。中間地点(中断セーブポイント)も無く、ぶっ通しでやらないといけないのも、忙しいプレイヤーへの配慮が足りてない。短いと色を塗っていく面白さが弱くなる…という事で、広くしたのかもしれないが、それでもせめて中断機能は入れるべきだった。折角、他の所の出来は秀逸なのに、こういう配慮が欠けてしまってる事に関しては、ただひたすらに残念の一言に尽きる。もっと気軽にする為の工夫を凝らして欲しかったところだ。それでも、中だるみを起こさない工夫がされてるのは、流石だが。
また、色塗りに使用する色を赤・青・黄の三つに留めたのも、いい判断だ。少ないけどその分、色分けする際に手間がかからない。更に色が少ないからこその『色混ぜ』、赤と黄で『オレンジ』、青と黄で『緑』と言った要素が楽しめるのも、その賜物と言える。地味に美術(色)の勉強とヒントになるのも、大きな売りである。さながら、『GA 芸術家アートデザインクラス(きゆづきさとこ著)』だ。あれほど詳しい美術知識は得られないが(汗)。
そして、操作性もジャンプがリモコンを振らないといけないとか、少し癖のある所があるが、気持ち良いものに仕上げられている。特に、敵をロックオンし、リモコンを振って攻撃する時の爽快感は格別!スピード感溢れるそのアクションは、かなり癖になる。ゲームバランスも絶妙で、優し過ぎず難し過ぎずの職人的な調整となっている。
ボリュームもエンディングまでは8時間ほどだが、メダル集め等の寄り道要素が豊富で、やり込み甲斐がある。おまけもイメージラフから、プロトタイプ版のゲーム映像など、マニア心をくすぐるものが充実。
グラフィックや音楽と言った所も、独自のセンスが炸裂し過ぎてるとしか他に言い様が無い。既に語ったが、建物に色を塗った際のエフェクト、色を塗る度、曲が派手になっていく仕掛けはかなりインパクトがある。
CGムービーのクオリティも高い。ディズニーさながらの美しさで、ここもまたスタッフの独自のセンスが炸裂している。ムービー上で展開されるシナリオも、中々ブラックなジョークと過激な描写(※血は出ません)、皮肉が炸裂した内容で、可愛い世界観を思わせぬ深みがあって面白い。台詞がほとんど無く、全てキャラクターの動作で繰り広げられていく様も分かり易いのみならず、昔のサイレントムービーっぽい雰囲気に富んでいるのが、ノスタルジーを喚起させてくれる。
その他、無駄に熱い『潰し合い』が楽しめる対戦プレイ、見下ろしスタイルの酔い難いカメラワークなどの見所もある。
気軽に楽しめない壮大なステージと、やや癖のあるジャンプ動作は、人によっては好みが分かれるかもしれない。しかし、3Dアクションゲームとしての完成度の高さ、そしてゲームシステムの新しさは特筆に値する。色を塗る爽快感と圧倒的な自由度の高さ、センスある演出など、今作ならではの工夫も充実しており、完全新作のタイトルとしても、十分に合格点。それなのに、知名度が低いこの『ブロブ カラフルなきぼう』。
断言しよう。これはWiiを持ってる全てのユーザーが遊ぶべき傑作である。少しヘビーな作りだが、この新しさは、是非とも体験しておくべき。ゲームだからこそできた、楽しい色塗りに挑戦してみよう。オススメです。
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