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Gato Roboto(ガトーロボト)


Copyright 2019 doinksoft. All Rights Reserved.

■発売元:Devolver Digital
■開発:doinksoft
■日本語ローカライズ:架け橋ゲームズ(※翻訳:小川“とら猫”公貴)
■ジャンル:探索型“ネコちゃん”アクション
■CEROレーティング:A(全年齢対象)
■定価:820円(税込)


軍の中尉「ゲイリー」は、宇宙船でのルート巡回中に小惑星からの救難信号を受信する。
この件を報告した司令官によれば、発信源の小惑星には破棄された軍の研究施設があるという。

不審に思ったゲイリーは内部を調査するため、小惑星へと向かおうとする。だがその時!

船に同乗していた愛猫「キキ」が操縦コンソールを誤操作!

宇宙船は荒れ狂い、そのまま小惑星に不時着してしまう。
反動でゲイリーも負傷し、宇宙船から身動きが取れない状態になってしまった。

この突発的ネコちゃんトラブルに対しゲイリーは、不時着の難を逃れたキキに施設内に用意された猫でも使えるバトルスーツを起動させて内部の調査を任せることにした。

果たしてキキはご主人のゲイリーを助けられるのだろうか。そして、救難信号の正体とは。

Good / Bad Pick up


▼Good Point
◆遠距離主体の攻撃、開閉ゲートなどの要素を取りそろえ、徹底的に『メトロイド』を表現しきったゲームデザイン
◆異なるアクションとシステム、果ては難易度も表現して独自の体験を作り上げている「バトルスーツ」着脱システム
◆身軽な操作感と縦横無尽なアクション、そして敵に接触すれば一撃必殺の緊張感が光るバトルスーツ未着用時のキキ
◆『メトロイド』オマージュながらも、性能や使い勝手に明確な違いを設けて新しさを表現しているアップグレード時の追加アクション(特に『メトロイド』における「ミサイル」に該当する「ロケット」)
◆怪しい場所に気付きやすい見せ方の工夫と、それによる迷いにくさが傑出しているフィールドマップ
◆水中メイン、溶岩などのダメージ地帯多めなど、分かりやすい個性付けを図って独自の体験を作り出している各エリア
◆小粒ながらも大量の小ネタと歯応えのある難易度によって、見た目以上の密度と満足感を表現したボリューム
◆迷いにくさならではのテンポ感を出しつつ、戦闘では一筋縄ではいかない歯応えを出すメリハリの利いた難易度
◆白黒を基調とした古風な見た目ながら、細かなアクションと意外に派手なエフェクトで魅せるグラフィック
◆研究施設内の不気味な雰囲気を引き立てる、こもった音質が特徴の音楽(地味に『メトロイド』らしさもある)
◆思いもよらぬ展開と思いもよらぬ結末が待つストーリー(特に結末は色んな意味で必見)
◆ストーリーの面白さを引き立てると同時に、ネコのプロである“持ち味”も炸裂した日本語翻訳

▼Bad Point
◆力押しはほぼ通用せず、的確な立ち回りと攻撃の回避が試されがちのボス戦(最序盤ですらそのバランス)
◆3つのエリアに繋がるハブエリアにおけるシーケンスブレイクの誤認を誘発させる一部地形(特に「」の入り口付近が極めて勘違いしやすく、意図せず高難易度ルートに入り込んでしまう事故に繋がりやすい)
◆扱うボタンは最小限で取っつき易いが、やや挙動周りでクセを持った操作感(特にバトルスーツ時のジャンプ)
◆壁の駆け上がりに代表される一部チュートリアルの不足
◆なぜかBボタンが決定に設定されたメニュー操作(PC版なら配置的に違和感がないが……)
◆思いもよらぬがゆえのインパクトはあれど、人によっては好みが分かれるストーリーの結末
◆密度は濃いものの、短い点は隠しきれないボリューム(また、やり込み要素もタイムアタックぐらいと最小限)
◆起動時にJoy-conなどを認識せず固まってしまうなどのフリーズ系バグの存在(発売当時に比べて、アップデートが実施されたことによって発生率は下げられているが、それでもゼロではない)

Game Overview


いいぞ、ネコちゃん!

◇アメリカはオレゴン州ユージーンに拠点を置く3名のメンバーからなるインディーゲームスタジオ「doinksoft」制作による探索型アクションゲーム。販売は『Hotline Miami(ホットライン・マイアミ)』『Enter the Gungeon(エンター・ザ・ガンジョン)』などでも同ポジションを務めたDevolver Digital。日本語版のローカライズは架け橋ゲームズ、翻訳は『OwlBoy(オウルボーイ)』『Battle Chef Brigade(バトルシェフ ブリゲード)』などを代表作とする小川公貴氏が担当している。
内容としては迷路のように入り組んだ空間内を探索し、時に敵と戦ったりしながら進めていく横スクロールの探索型アクションゲーム。プレイヤーは猫のキキになって、飼い主のゲイリーに変わって軍の研究施設内を進み、謎の救難信号の発信源を探すと同時にゲイリーの救出に挑む。端的に言えば『メトロイド』……もとい『ネコロイド』である。だがしかし、主人公の名前はキキであってニャムスではない。あしからず。(By『まわるメイド イン ワリオ』&『メイド イン ワリオ ゴージャス』)

◇ゲームシステムもかなり『メトロイド』を意識していて、逆に『ヴァニア(探索タイプの悪魔城ドラキュラ)』由来の要素やそれっぽさは皆無に等しい(ゆえに本作を「ネコロイドヴァニア」などと称するのは相当な的外れだと断言する)。
とりわけ象徴的なのはバトルスーツ。『メトロイド』の主人公ニャムス……違う。サムスのように強化スーツを身にまとい、遠距離のショット攻撃を主要武器として戦闘を繰り広げていくスタイルはかなりまんま。また、本編は複数の特徴あるエリアを探索しながら進めていくのだが、そのエリア間の移動に用いるのがエレベーターだったり、部屋と部屋を繋ぐところにショット攻撃で開く「ゲート」が設置されていたりする。おまけにショット攻撃とは別の武器としてミサイル改め「ロケット」があったり、マップ上にもロケットで破壊可能な亀裂のあるブロック、バトルスーツ状態では通貨不能な狭い通路などの見覚えのある仕掛けが多々登場する。ゆえに『メトロイド』の経験が多少でもあれば嫌でも「まんまやん!」とツッコミたくなること確実。特にゲートで繋がった部屋の構造はあまりにもソックリで、変な笑いが出るレベルである。

◇例によって、バトルスーツにはアップグレードの概念もあり、探索を通して特殊な装備を手に入れると新しいアクションが可能になる。その入手と同時に行動範囲も広がるという『メトロイド』らしい要素も備わっている。
ただ、独自の工夫も見られる。ひとつにアップグレードの一種で、前述でも触れた「ロケット」。仕組み自体は『メトロイド』の「ミサイル」に該当するが弾数制限がなく、無限に撃てる。だが、撃つたびに専用のヒートゲージが上昇し、満タンに達するとオーバーヒートとなり、一時的に撃てなくなるという制約が課されている。この仕組みの関係で連射が不可能で、威力に任せた力押しの戦術は通用しにくい。また、ロケット発射時には強めの反動がかかる。そのため、撃つたびにキキが後ろにほんの少しだけ仰け反る。立ち位置によってはダメージを受ける水や溶岩に落下、なんて事故にもつながるので、撃つに当たっては周囲の環境にも注意を配る必要がある。ロケット以外にも、メトロイドっぽいアップグレードが存在するのだが、それらも元ネタとは違う性能になっていたりと工夫が凝らされている。このこともあって、アクション周りの手触りはほとんど別物である。

◇さらなる工夫および独自の特徴としてバトルスーツの着脱がある。Xボタンを押すとキキがバトルスーツを脱ぎ(飛び出し)、単独で行動できるようになるのだ。逆にその状態からバトルスーツに触れると再びそれを装備する。マップ内の至るところに設けられたセーブポイントに待機した時も同様である。
単独行動時はジャンプを始めとする機動力が大幅に上昇するほか、壁を駆けあがったり、狭い通路を進んだり、水の中を泳ぐといったバトルスーツ装着時にはできないアクションが可能に。本編にはこのような単独行動を通してバトルスーツ装着時だと到達できない部屋に入り込んだり、行く手を阻む仕掛けを取り除くといった展開が用意されている。仕組み自体は『メトロイド』のモーフボールとサンソフトの『超惑星戦記メタファイト』の要素を掛け合わせたような感じだ。
ただし、単独行動時は敵への攻撃が一切不可能。さらに敵やその攻撃に一発でも接触すれば即刻ゲームオーバーになる。それもあって、慎重な行動が必要とされるという、バトルスーツ時とは異なる緊張感を味わえる作りにもなっている。
ちなみにバトルスーツ装着時は、体力ゲージのある限り耐えられるダメージ制。それぞれの形態ごとにダメージ周りの仕様がガラリと変わるのは、本作ならではといったところである。

◇ほかに本編の進行はストーリー進行に沿っていく形だが、途中からハブと呼ばれるマップを介して3つのエリアを順に攻略するという展開になる。ただ、単にストーリーを進めていくだけなら“一応”1本道である。なにゆえ“一応”かは伏せる。
ほかにグラフィックは白と黒を基調としたものになっているほか、画面構成も携帯ゲーム機の液晶画面を意識したようなレイアウトになっているという特徴がある。ただ、全体的には「ホントの『ネコロイド』やっちゃいました(てへッ☆)」である。『まわるメイド イン ワリオ』のミニゲームとして収録されていた本物を知る人ならば、色んな意味で「やりやがった……!」となる作品に仕上がっている。しかも、こちらはガチモンの探索型アクションゲーム。スタイリッシュなローリングアクションを決めつつ、四方八方から襲い来るオッサン“ちょび髭”虫たちを撃滅していくアクションゲームでは断じてございません。

Review 【Latest Update :4/26/2026 | First Publication Date:4/26/2026】


ただのオマージュに終わらせず、独自性もしっかり持たせた珠玉の傑作。

『まわるメイド イン ワリオ』収録のオリジナル(?)『ネコロイド』を知る人間の視点からすれば、本当に「やりやがった!」としか言い様がないが、これで探索型アクションゲームとしての出来も盤石で、独自の体験も確立させているのだからズルい。

独自要素の中で、ひときわ光っているのはバトルスーツの着脱だ。スーツ着用時は敵に攻撃可能で、数回の攻撃に耐えられるダメージ制が解禁されるのに対し、未着用時は一切の攻撃が不可能で、1発でも受けた時点でゲームオーバー直行と分かりやすい対比が表現されている。そのため遊んでいて単調になりにくく、常に緩急を感じながら探索や戦闘を楽しめる。

着用時と未着用時で異なる操作感を表現しているのも、いいアクセントになっている。特に未着用時は高いジャンプ力や壁の駆け上がりといった身軽なアクションが気持ちよく、動かしているだけでも楽しい。「猫ならこれぐらいできても不思議ではない」という説得力の高さが出ているのも面白いところで、壁を地上と変わらないテンポで駆け上がる勇姿には「スゴいぞ、ネコちゃん!」と飼い主ゲイリーの気分で言いたくなってしまうかもしれない。水中に長時間潜れるアクションに限っては「ネコなのか……?」という違和感が滲み出ていたりするが、バトルスーツを使いこなす猫の時点で考えたら多分負けである。

一連のアクションがバトルスーツ着用と同時に不可能になるのも納得感があると同時に、その状態特有の操作感とアクションが表現されているのも素晴らしい。特筆すべきは機動性が急激に低下するわけではないこと。見た目は重装備なバトルスーツだが、移動速度はそこそこ早い上、攻撃も迅速かつキビキビと繰り出せるため、動かしていてストレスを感じさせない。唯一、ジャンプは未装着時よりも低くなるのだが、飛距離の長さでフォローしてハンデの印象を薄めている。

そして、アップグレードによるアクションの追加。できなかったことができるようになっていくのは「これぞ探索型アクションゲーム!」と言わんばかりの王道の面白さが凝縮されている。各種追加アクションがいずれも『メトロイド』を元ネタにしつつ、性能面で異なる個性付けを図っているのも経験者ならニヤリとさせられるところ。前述のロケットはその一例だ。それ以外にも攻撃判定のある回転ジャンプ「スクリューアタック」ならぬ「スピンジャンプ」も用意されているのだが、これも威力が控えめで、敵を連続して踏みつけるように当てれば『スーパーマリオブラザーズ』のような連続ジャンプを決められるという個性的すぎる特色を持つ。また、ロケットには発射時の反動を活かした飛距離稼ぎという応用アクションがあり、これを上手く活用すれば本来の本編の順序を意図的に崩す、いわゆる「シーケンスブレイク」も可能だ。そういった高度なプレイも許容している辺りにも、本作がいかに『メトロイド』を分かった人たちによって作られているかを実感させられるだろう。

猫で『メトロイド』との対比を表現する発想は突飛と言えば突飛だが、実際に遊んでみると誇張抜きに「猫だからできる!」と納得させられること間違いなし。特に未着用時のアクションと着脱の場面は猫の体質的な特徴が発揮されているだけに、殊更その強みを思い知らされるはずだ。同時に『メトロイド』経験者ならば「スーツの下の主人公の姿が重要機密事項ではないからこその強み」というものも思い知らされるかもしれない。そもそも、『メトロイド』の主人公の中身というのは重大なトップシークレットゆえ(※某対戦ゲームの影響で今や公然の秘密だが)。

アクション周りに焦点を当てたが、フィールドの設計と個性付けも非常によく出来ている。新しいアクションと着脱の使い分けを自然かつさりげなく誘導する地形作りは元ネタの『メトロイド』に引けを取らず、3つのエリアも大半が水中だったり溶岩のダメージ地帯のオンパレードだったりと明確な個性付けがなされ、独自の探索・戦闘体験を作り出している。

意外に迷いにくいのも地味ながら特筆に値する。本作はストーリーの会話イベントが多めで次の目的地を逐一教えてくれる。ただ、細かい目的地は自分で探す手探り進行が基本。しかし、実際は流れに身を任せれば大体進められてしまうのである。これは構造の怪しさに気付きやすいフィールド設計と、エリアがコンパクトにまとまっていることが大きい。通過した場所の記憶が鮮明なうちに新しいアップグレードが手に入ることが多いため次の目的地が浮かびやすく、全体のテンポも維持される。

コンパクトという言葉からボリュームの少なさを想像しやすく、現に本作はエンディングまで初見で3時間少しと長くない。しかしそれが結果的にストレスの少ない探索の遊びを確立させており、「余分な時間」を最小限にするという探索型アクションゲームの課題にひとつの回答を示した仕上がりは、この手のゲームが好きな人なら必見も必見だ。

密度にしても全然薄くない。特に戦闘周りは道中の敵は耐久力が高めで安易な力押しは通じず、ボス戦もロケットの火力任せがほぼ不可能なほど歯応えがある。エリアによってはバトルスーツではなくネコ用潜水艇で探索・ボス戦に臨む展開もあり、大量のネタを詰め込んだ構成のため退屈するヒマは一切ない。タイムアタックのやり込みも用意されている。

文字通り「短いけど密度ぎっしり」を地で行く作りで、探索型アクションゲームの醍醐味と課題の両方に向き合った作り込みは、本作が生半可な思いで作られたものではないことを証明している。この手のジャンルが好きな人ほど仕上がりの巧みさに驚かされるだろうし、『メトロイド』好きにとっても「おそるべき、ネコロイド!」となること請け合い。なお、念のためだが「ネコロイド」なる敵が出てきたりはしない。

ほかにストーリーもなかなか面白い。飼い主のゲイリーを救うためにキキが研究施設内を探検していく大筋だが、途中から予期せぬ陰謀が明らかとなり思いもしない事態へと発展。その行く末には衝撃のエンディングが待ち受けており、見ればきっと「そんなバカな……」となること間違いなしだろう。多分。

台詞周りの日本語翻訳もバッチリ決まっていて違和感ゼロ。翻訳担当の小川氏は大の猫好きで、鳴き声の表現も状況に合わせて「にゃおん」と「みゃおん」を使い分けるといったプロの技が炸裂している。他のキャラクターたちの台詞も独特のセンスが発揮されており、氏を抜擢した架け橋ゲームズの判断には多大な拍手を送りたくなってしまうほどだ。

モノクロ調ながらエフェクトで派手さを適度に表現したグラフィック、手触りの良好な操作性など、総じて『メトロイド』のオマージュ作品としても、オリジナルの探索型アクションゲームとしても極めて高い完成度を誇る。

ボス戦の難易度が高めだったり、シーケンスブレイクを誤って起こしやすいハブエリアの設計、なぜかBボタンに設定された決定ボタンなど、違和感を抱かせる部分もそこそこある。起動時にJoy-Conなどを認識せずフリーズするといった進行不能系のバグも一部あるのは看過できない(発生頻度は2026年時点では相当稀になっているが)。

とは言え、本作が傑作と言えるだけの完成度を誇っている事実に揺らぎはなし。探索型アクションゲーム好き(特に『メトロイド』好き)はもちろん、ネコ好きにも見逃せない作品なので少しでも興味があればぜひ。『まわるメイド イン ワリオ』の『ネコロイド』を知っている人も、真のネコロイド誕生の瞬間を見逃すな。

「ネコロイド、オモロイドだ。異論はないな?子ネコちゃん」