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アーケードアーカイブス ドンキーコング


© 1981 Nintendo Arcade Archives Series Produced by HAMSTER Co.

■発売元:ハムスター(※原作発売元:任天堂)
■ジャンル:アクション
■CERO:A(全年齢対象)
■定価:838円(税込)


「ジャンプマン」の恋人である「レディ」が大柄なゴリラ「ドンキーコング」にさらわれた!
さまざまな妨害をジャンプなどで乗り越え、レディの元へと向かうんだ!

Good / Bad Pick up


▼Good Point
◆挙動は鈍いが、コミカルで小気味よい効果音もあって動かしているだけでも楽しいき持ちにさせてくれる操作感
◆ジャンプという単純なアクションに異なる遊びを明示して、固有の遊び応えを確立させた全4ステージ
◆程好い塩梅の不確定要素と、その納得感を高めるステージ構造によって実現した、絶妙かつ手応えのある難易度
◆日本語版の原作のみならず、ファミコンの移植版などしか知らないプレイヤーには必見の変則構造の海外版
◆見た目こそ簡素ながら、キャラクターのコミカルかつ細やかな動きが光るグラフィック
◆メロディこそ単調ながらも、ゲーム全体の雰囲気と絶妙にマッチしている耳に残る音楽
◆軽い気持ちで遊ぶのにも、ガッツリ遊ぶのにも対応したアーケードアーカイブス特有の豊富な設定機能の数々

▼Bad Point
◆悪く言えば、挙動の鈍さもあって縦横無尽に動かせる気持ちよさとは無縁の操作感
◆全ステージ踏破目的であれば、あっという間に終わってしまうボリューム
◆比較的緩やかな1周目の調子から急に跳ね上がる2周目以降の難易度
◆全ステージの中でも特に不確定要素による事故が頻発しやすいステージ1(主に2周目以降で顕著)
◆ゲーム本編開始までの画面遷移の遅さなど、やや難のある快適性(※アーケードアーカイブスとしての部分)
◆1個しか作成できない中断データ(できればあと2つ欲しかった……)

Game Overview


後のスーパースターと長老の原点、ここにあり。

◇往年のアーケードゲームの名作たちを家庭用ゲーム機向けに復刻するプロジェクト「アーケードアーカイブス」のNintendo Switch専用タイトル。1981年に任天堂から発売されたアクションゲーム『ドンキーコング』を忠実に移植したものである。『ドンキーコング』はアーケードゲームとして誕生したのち、任天堂の家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」(ファミコン)向けに移植されたことがあるが、そちらは原作から一部のステージをカットするなどの変更が加えられたアレンジ版で、原作とは異なる作りとなっていた。本作は1999年にNINTENDO64向けに発売された『ドンキーコング64』収録バージョンと同じく原作を忠実に移植したもので、ファミコン版では削られたステージも収録されている。なお、『ドンキーコング64』にあったヒロインがコインと化す高難易度モードはない(当たり前だ)。

◇大柄のゴリラ「ドンキーコング」に捕まったヒロイン「レディ」を救出するため、主人公の「ジャンプマン」を操作して全4つのステージに挑むというのが主な内容。各ステージはレディが待つ場所まで辿り着ければクリア。そのまま次のステージが始まって、再びレディの元を目指すというのが主な流れとなる。逆にドンキーコングが投げてくるタル(樽)やジャッキ、節々で出現する敵に接触したり、高所から落下してしまうとミスになって残機が1つ減る。また、制限時間制も採用されていて、画面右上に表示されているボーナススコアが0に達すると時間切れでミスとなってしまう。
残機をすべて失うとゲームオーバーで、最初のステージ1からやり直し。4ステージすべてをクリアすると2周目が始まり、以降、4ステージ攻略を果たすたびに3周目、4周目と増加していく。さらに周回を重ねるたびに樽や敵などの数が増えたり、速度が上がるなど難易度も上がっていき、クリアおよび周回を重ねることが困難になってくる。

◇ジャンプマンの基本アクションは移動とジャンプのみ。それ以外でステージ中にある「ハンマー」をキャッチすると、一定時間、それを振り続ける状態になる。この状態に限り、樽の破壊や敵の撃破が可能。ただし、完全な無敵状態というワケではなく、ハンマーを振り上げた時に生まれる僅かなスキマに樽や敵が入ってきてしまうと接触判定になり、ミスとなる。

◇アーケードアーカイブス版には「前期」「後期」「海外版」の3バージョンが収録されていて、タイトル画面にて選べるようになっている。「前期」は原作発売当時のものを忠実に再現したバージョン。「後期」は前期に存在したバグを修正したバージョンで、一部の裏技(反則技)が封じられていたり、一部のメッセージテキストが変更されている。「海外版」は文字通りアメリカなどで展開されたバージョン。基本は日本語版と同じだが、ステージ構成が大きく変わっていて、ステージ1(25m)のクリア後、ステージ2として日本語版におけるステージ4(100m)が始まり、クリアするとそのまま周回へと突入する仕組みになっている。ステージ2(50m)、ステージ3(75m)は周回のたびに追加されていく仕組みで、全ステージが遊べるようになるのは3周目以降となる。このため、全体的なゲームバランスの塩梅が異なる。

◇ほかに本作に限らないアーケードアーカイブス独自要素として、「ハイスコアモード」と「キャラバンモード」も用意されている。前者はデフォルトの難易度でどこまで高得点を出せるかに挑むもので、後者は制限時間5分間の間にどこまで得点を稼げるかに挑むやり込み要素となる。各モードおよびメインのアーケード版を楽しむモードもオンラインランキング機能が備わっており、インターネットに繋げれば他のプレイヤーとの得点争いに挑むことも可能。また、本編で+/-ボタンを押すことで表示されるメニュー画面では画面比率、ボタン設定、レイアウトなどの各種オプションで細かく設定可能。中断セーブやデフォルト残機数の上げ下げなど、ゲーム全体の雰囲気を楽しむことに特化した設定もできるようになっている。

Review 【Latest Update :2/22/2026 | First Publication Date:2/22/2026】


動かす楽しさと上手く動かしたい意欲を刺激する枠組みが完成されきった傑作。

遊び自体は主人公のジャンプマンを移動させ、転がってくる樽や穴を跳び越えながら愛しのレディの元へと向かうだけと単純明快。だが、程好くままならない操作感と、納得感を強調した不確定要素のおかげか単調さは皆無で、終始ヒリヒリとしたスリルを味わえるアクションゲームに完成されている。

特に操作感は独特の触り心地のよさがあって、単純にキャラクターを動かしているだけでも楽しい。正直、アクションそのものの挙動は重い。移動はノロノロとしているし、ジャンプもゆったり、かつ(ゲーム内グラフィックで言うところの)樽1個分の高さまでしか跳べない。縦横無尽に思うがままに動かせる気持ちよさとか、スピード感とは完全に無縁。

ただ、移動でもジャンプでも、主人公のジャンプマンがコミカルで小気味よい効果音を鳴らす仕掛けが凝らされているのもあって、不思議と楽しい気持ちが湧きやすい。とりわけジャンプに関しては、樽を飛び越えた時にも独特且つ耳に残る(ついでに口ずさみたくもなる)効果音が鳴ることから、最もその特色が現れている。「ハンマー」による攻撃も、絵的にはジャンプマンがハンマーを上下に振り続けるだけの単純なものなのだが、その時限りに流れる音楽と樽や敵を倒した時の確かな手応えを実感させる効果音もあって、楽しさと嬉しさが刺激される。

このような音響面での工夫もあって、挙動は重いのに動かしているだけでも楽しい手触りが表現されており、動かしていて苦にならない操作感が確立されている。加えて音のコミカルさからプレイヤーの印象にも深く残りやすいインパクトもあって、本作の数ある特徴の中でも非常に見所のある部分となっている。

ジャンプに重きを置いたゲーム全体の設計および各ステージの作りも興味深い。ステージは数こそ4種類と少ないが、それぞれ異なるジャンプの使い所を意識させる方針が明確に打ち立てられており、やることはレディの元への到達(※ステージ4のみ除く)と共通していながら、固有の遊び応えを得られる仕上がりになっている。

ステージ1なら転がってくる樽を避けること、ステージ2はベルトコンベアの流れに逆らいながらの進行、ステージ3ならリフトと狭い足場の乗り継ぎといった具合に。単に跳ぶだけのアクションをステージ構造と遊びの方針と掛け合わせ、多彩な遊びを実現させたその仕上がりは地味ながらも唸らされる部分。プレイヤーを飽きさせない変化に富んだ構成が確立されている点でも、考えさせられるものになっている。

そこに奥行きを与えているのが不確定要素。転がっていた樽がハシゴを辿って降りてきたり、敵が突然出現するなどの要素がそれに当たる。この手の不確定要素はプレイヤーに対しての不意打ち(もしくは初見殺し)として機能する都合、難易度的な理不尽さを強調してしまう側面があるが、本作は不思議と理不尽に感じにくい。

というのも、大体のケースが予測可能で、失敗してもプレイヤーの判断ミスだと納得できる見せ方になっている。基本、ステージの構造や法則を踏まえれば失敗に至る理由が分かる仕組みで、理不尽さよりも納得感が勝る。むしろ、「やっちまった!」と思わず笑ってしまうものになっている。特に転がってくる樽を避けていくステージ1はその特色が顕著に現れていて、理不尽にしすぎず、かと言って安心もさせずという絶妙なバランスが実現されている。

それでも突発的にくる都合、完全に理不尽さが抜けきっている訳ではないし、感じ方には個人差もあるが。ただ、なるべく納得感を出すと同時に、上達への意欲を適度に刺激するバランスになっているのは特筆に値するところ。主に周回込みでやり込んでみれば、本作のアクションゲームとしての抜け目のなさと完成度の高さを実感させられるはずだ。

逆に周回のやり込み以外、単純にエンディング目的でプレイした場合のボリュームは短い。そもそもステージが4つしかないので、あっという間に終わる。ただ、アーケードアーカイブス版に関しては、3種類の異なるバージョンとハイスコアとキャラバンという特別なモードも用意されているので、それら込みで遊べば一定の規模感は得られる。

アーケードアーカイブス版独自要素の中で最も注目は海外版。実は日本語版(前期、後期込み)とはステージの順序が著しく異なる変則的な内容に加え、難易度にも若干の調整が入ったものになっている。
これは日本語版の原作、もしくは後発のファミコン移植版しか経験がない人ほど「えっ!?」と驚かされる内容になっているので、ぜひ試してみていただきたい。ちなみにこの海外版に関しては、『ポケットモンスター』の生みの親で知られる田尻智氏が「ゲームバランスが完璧」と評していたりする(※発言元はこちら)。

また、ファミコン移植版しか知らないプレイヤーに対しては、同作でカットされたステージ2(50m)が遊べるというのもアーケードアーカイブス版の魅力ではある。
これ自体は1999年にNINTENDO64向けに発売された『ドンキーコング64』収録の「DKアーケード」でも体験可能だったが、解禁するにはある程度、本編を進める必要があった同作に比べると、アーケードアーカイブス版は格段にハードルが低くなっている。そもそも、単純に本作を買えばすぐに遊べるゆえ。また、海外版はさすがに『ドンキーコング64』にも未収録だったので、そちらしか知らない人もアーケードアーカイブス版はプレイする意義が十分にあると言ってもいいだろう。

ほかにアーケードアーカイブス版では、シリーズ特有の中断セーブ、デフォルト残機数設定などの多彩な遊び方を許容するオプションが備わっているので、雰囲気だけを楽しみたいという人にも取っつきやすい。全体的に画面遷移のテンポがゆったり気味であるなど、やや気になる部分もなくはないが、メインの『ドンキーコング』を遊ぶだけなら十分なレベルだ。

元が1981年製ゆえにグラフィックに音楽、ボリュームから演出に古臭さはどうしても付きまとうが、アクションゲームとしての完成され尽くした仕上がりと操作感の触り心地のよさには色褪せない魅力がある。また、グラフィックも実は結構キャラクターがよく動いていたり、音楽もメロディこそ単調ながらも耳に焼き付く曲が揃っているのも見逃せない。

任天堂のアクションゲームの源流とも言える作品なので、同社のゲームが好きな人ならばぜひお試しを。アクションゲーム好きには特にオススメ。また、『スーパードンキーコング』以降のシリーズでドンキーコングを知った人も、現クランキーコングの勇姿(?)を堪能できる作品として触れてみるのも一興だ。後にマリオを名乗ることになるジャンプマンの勇姿もお見逃しなく。