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≫ゼルダの伝説 神々のトライフォース
■発売元 任天堂
■ジャンル アクションアドベンチャー
■CERO A(全年齢対象)
■定価 スーパーファミコン版 : 8085円(税込)
バーチャルコンソール版(Wii) : 900Wiiポイント
■公式サイト ≫スーパーファミコン版 / ≫VC版(Wii)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 紛失している為、不明
■推定クリア時間 25〜40時間(エンディング目的)、45〜60時間(完全攻略目的)
大雨がハイラルを打ち付ける不吉な深夜。
主人公の耳に

「助けてください…私はゼルダ…」

と少女の声がこだました。
自分は城の地下牢に捕らわれている、と話す少女の声に導かれるがまま、主人公はハイラル城へと足を運ぶ。その先で彼を待ち受ける運命とは?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆落ち着いて考えれば必ず解ける、絶妙なバランスで構成された謎解き
◆新たなアイテムを手に入れ、それまで解決できなかった謎を解いていく快感
◆数は多めでありながらも、程よいボリュームで構成されているダンジョン
◆コントローラ全てのボタンを使用しながらも、全く煩わしさが無い抜群の操作性
◆回転斬り、高速ダッシュ、泳ぐなどとより種類が増えたプレイヤーのアクション(操作手順も複雑でなく快適)
◆マップ表示機能並びにアドバイスメッセージのの追加により、迷う事無く進められるようになったゲーム展開
◆なかなかトリッキーな動きを見せる、各ダンジョンのボスキャラ達
◆360度に移動できるようになり、大幅に回避行動が取り易くなった敵の攻撃
◆初心者の方に優しい、あちこちに盛り込まれた初心者救済処置とヒントの数々
◆隠された洞窟、秘密を持った敵、奇妙な現象などと無駄に作り込まれた小ネタの数々
◆より重厚で、壮大な雰囲気に仕上げられた完成度の高い音楽
◆王道でありながらも、雰囲気がとてもよく出来ているストーリー展開
◆個性的で、ユニークな登場キャラクター

--- Bad Point ---
◆ダンジョンを途中で止めると、また入口からやり直す羽目になる(クリアした仕掛けがリセットされてしまう…)
◆ちょっと種類が少ない気がする、ダンジョンの音楽
◆必ずゲーム終了となってしまう、やや煩わしさの残るセーブシステム
◆あまりにグロテスクなボスの存在(詳しくは言わないが、生理的に応える…。)
▼Review ≪Last Update : 7/14/2007≫
目玉に”アレ”をぶち込めるというのは如何なものでしょうか。

初心な子供には応えますってば…。


ファミコンディスクシステムで発売され、アクションアドベンチャーというジャンルを確立し、世界中のファンを魅了した名作『ゼルダの伝説』のシリーズ最新作。初代の系統を継ぐ正統な続編として、実に5年のブランクを経てリリースされた。

二つの相反する世界を舞台に繰り広げられる、壮大な大冒険。抜群の操作性とゲームバランス、最高級の謎解きで送る、アクションアドベンチャー最高傑作だ。

ゲーム内容は、RPGにアクション要素を織り交ぜたアクションアドベンチャーゲーム。プレイヤーは主人公を操作し、フィールドやダンジョンに張り巡らされた様々な謎やイベントを解いたり、敵と戦ったりしながらゲームを進めていく。
基本的には、ファミコンディスクシステムで発売された初代『ゼルダの伝説』と同じ内容だ。しかしながら、ほとんど自分の足でマップ上のダンジョンを見つけて攻略していかなければならなかった突き放し感の強かった初代と比べて、本作はストーリー性が大幅に強化された都合により、次に目指すべきダンジョンが何処であるのかを教えてくれるメッセージが提示されるようになったり、小手調べ並びに操作解説も含めたオープニングのダンジョンが用意されているなど、遊び手がストレス無く遊べる為の配慮が施された作りとなっている。広大なフィールドマップも初代に引き続き健在だが、今作ではマップ表示機能が新規に搭載された事もあり、現在位置が分からなくなったり、次に向かうべきダンジョンが何処なのか分からなくなったりする事は全くと言っていいほど無い。更に補足すると、これの追加で自らの手で紙に手書きでマップを描く必要もなくなったので、無駄な労力を要する事も無くなっている。初代に苦しんだ方にとっては、まさに感涙モノの改善と言えよう。結果として、「自分で世界を解き明かしていく事の面白さ」までもが無くなってしまったが。ただその分、本編の方が快適に楽しめるようになったので、これはこれで良い判断だったと言える。
しかし、快適にプレイできるようになったとは言うものの、従来通りのダンジョンやイベントなどにおける謎解きの『詰まり』は健在。また、進行のヒントも後半になると徐々に曖昧なものとなっていくなど、しっかりと従来の「自らで考えて道を切り開いていく事の厳しさと面白さ」は残している。便利なシステムが追加されて遊び易くなっても、やはりゼルダはゼルダ。根っこともなる部分はしっかりと初代の味を継承しており、今作でも全編を通じて、やり応え且つ好奇心を大いにくすぐる、至高の大冒険を味わう事ができる。
まさにゼルダである事を何よりも大事にした意識によって生じた昇華。
このように、システム自体は初代のものを継ぎながらも、細かな面で遊び手の事を何よりも意識した気配りが施された、実に続編らしい正統な進化を遂げた作りとなっている。

また、本作では操作性並びにプレイヤーキャラのアクションにも、大幅なアレンジ並びに新要素が加えられている。
操作性については、スーパーファミコンに舞台を移した事もあり、使用するボタンが結果として増加。見事に面倒臭そうなイメージが強くなってしまっているのだが、キーレスポンスは概ね素晴らしく、しっかりとボタン一つ一つが個別のアクションとして割り振られている(Bボタンは剣、Aボタンは特殊アクションなど)事もあり、これと言って煩わしさを感じる事も無く、自然とプレイヤーキャラを操る事ができる。また、剣による攻撃と特殊攻撃以外のアクションとして、ダンジョンなどで手に入れたアイテムのアクションがあるが、これに関してもメニュー画面を開いてYボタンにアイテムを登録すれば後は使い放題と、実に快適。システムや進行形式と同じく、遊び手の事を何よりも大事にしたこだわりが全体的に炸裂している。
そしてアクションに関しても、新アイテムの増加や攻撃技の追加によって、より一層多彩になっている。その中でも地味ではあるが、主人公が上下左右の4方向のみでなく360度、フィールド上を自由に動き回れるようになったのは大きな進化。このおかげもあって、敵の攻撃の回避がより直感的に行えるようになり、無駄なストレスを溜める機会が激減した。これもまた、マップ表示機能の追加と同様に初代ファンの方にとっては感涙モノの改善と言える。また、これによって操作性自体がもの凄く「柔らかくなった」というのも地味ながらも見逃せない所だ。やや表現がヒワイではあるが…。
この他、新たに『回転斬り』や『ダッシュ斬り』と言った新しい攻撃アクションも加わっており、敵との戦闘もバリエーションが豊かに。特に通常の斬る攻撃の2倍の威力を持つ『回転斬り』のアクションは、ボス戦で大いに重宝するなどその使用頻度はかなりのもの。見た目は地味ながらも、爽快感もなかなかで一度でもこの操作感は体験してみる価値はある。
全体的に操作性の方と同様に『気持ち良さ』と『快適性』を重視した配慮が隅から隅まで行き届いており、「自分の思い通りに技やアクションを繰り出す事の面白さ」がこれでもかと言わんばかりに実現されており、プレイ中に「面倒臭い」と感じる事は一切無し。ここでも遊び手の事を第一に考えた優しい配慮が炸裂している。
前回において問題だった所はバッサリと切り捨て、何よりも遊び易くする事を大事にする。如何にもあのマリオを作った任天堂らしい気の利いた配慮、と言うべきか。
とにかく全く不快感を感じる事も無く、キャラ操作並びにアクションを自由自在に動き回せ、全編を通じて全くストレスを感じる事も無く本編に没頭する事ができる。
全く持って、恐ろしい作り込みとはこの事である。凄いとしか言葉が出てこない。

ゼルダシリーズの看板と言っても過言ではないダンジョンも、初代ゼルダ同様の素晴らしい出来栄え。数こそ全部11個と多めだが、どのダンジョンもあまり広くなり過ぎず、小さくなり過ぎずの絶妙なバランスで構成されており、肝心の謎解き自体もそんなに嫌らしいものは無く、落ち着いて考えれば必ず解けるがほとんど。勿論、中には手強い謎解きも用意されてはいるが、それらもしっかりと先程の法則性を守っており、理不尽さは全く無い。
プレイヤーごとの腕の差が明暗を分けるようなものもさほど無く、全体的なまとめ具合は完璧の域。アクションアドベンチャーが好きな方問わず、初心者から上級者まで「自らの手で真相を暴いていく快感」を満喫できる。
また、前作の売りでもあった、ダンジョンで手に入るアイテムでそれまで解けなかった謎やトラップを解いて行く(或いは突破する)快感は今作でも健在。RPGの経験値を溜める事によるレベルアップとは一味も二味も違う、リアルなレベルアップをその手で感じる事ができる。こう言った「らしさ」も、しっかりと残っている。
しかし、基本的にどのダンジョンも途中から再開する時は必ずダンジョンの入口からになる…というシビアなシステムが初代から引き続き継承されてしまっているのは残念。できる事ならば、中間ポイント(ショートカット)を置くなどの配慮を施して欲しかった。一応、同じ部屋を何度も行き来しない為に近道を用意するなどの配慮は成されているのだが。
そして、ゲーム以外のグラフィックとサウンド面は、流石スーパーファミコンという事もあり、かなりの出来栄え。ただ、音楽に関して、曲の種類が少なかったのはちょっと残念。特にダンジョンで流れる曲は、できれば色々な種類のものを用意して欲しかった。でも、曲の出来は相当なもの。特にカカリコ村、ボス戦で流れる曲は名曲と言っても過言ではない。
またストーリーも王道モノの「姫を救出して魔王の野望を阻止する」という内容で、そんなに珍しいものではないが世界観がかなり綿密に作られている事もあり、雰囲気がとても良い。また登場キャラクター達も大変個性的で、それらの中でも変なおじさん、鍛冶屋さん、闇の世界版の泉の女神様はとてつもない個性を放っているので必見だ。

ゲームバランスも謎解きからアクションの部分まで全体的に素晴らしく、優し過ぎず難し過ぎずの絶妙さ。また、フィールドマップ上には小ネタが多く散りばめられているなど、ゲーム本編とは関係の無い所まで丁寧に作られている。また、ゲーム進行においても自由度が高く、プレイヤーのスタイルによって色々な攻略法が可能であるというのも見逃せない。
ダンジョンの簡易ショートカット機能が無い事、音楽の少なさとセーブの煩わしさ、そしてあまりにグロテスクなボスがいるなど、細かな不満点や欠点もあるが、全体的な完成度はもうここまで来たら言うまでも無いが、メガトン級である。
優れた操作性と気持ちの良いアクション、歯応えのある謎解きと分かり易さのあるゲーム展開、そして細かなネタの数々と元祖アクションアドベンチャーゲームの続編を飾るに相応しい、飛びぬけた完成度を誇る本作。初代にはまった方のみならず、ゲーム初心者から上級者の方まで是非とも遊んでみて欲しい、アクションアドベンチャー最高傑作だ。
スーパーファミコンを持っている方ならば尚の事。
次から次へと湧き出る謎と壮大な冒険(&世界)に酔いしれろ。
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