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≫タイニー・トゥーンアドベンチャーズ
■発売元 コナミ
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 8400円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンテニュー形式)
■総説明書ページ数 22ページ
■推定クリア時間 4〜7時間
あのタイニー・トゥーンの面々が、今度はスーパーファミコンで大活躍。お馴染みのバスター・バニーを操って、学校、荒野、お化け屋敷等の個性豊かな舞台をダッシュ&ジャンプで駆け抜けろ!

ハイスピリットなアスレチック・ワンダーアクション、ここに登場!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ステージを順に攻略していく、アーケードライクで単純明快なゲームシステム
◆一般的なものから変則的なものまで、バリエーション豊かで濃過ぎる全6ステージ
◆崩壊する線路に波動砲を放ってくる宇宙船間など、無駄に豪華なステージギミック
◆ゲームルールからバランスまで、おまけなのにも関わらずやたら丁寧に作り込まれた『アメフトステージ』
◆重さ比べにスカッシュ、迷路など個性豊かで地味に面白い、全5種類のミニゲーム
◆ゲームらしい嘘っぽさと風になる爽快感が秀逸なダッシュアクション
◆パスワードコンティニュー、難易度選択機能など充実したサポートシステム群
◆シンプルで取っ付き易く、動かすだけでも面白い珠玉の操作性
◆統一感が無いが、プレイヤーのスキルが直接結果に反映される、絶妙なゲームバランス
◆原作のアニメの雰囲気を忠実に再現した、ポップで華やかなグラフィック
◆同じく原作のアニメの雰囲気にマッチした、明るく楽しげな音楽
◆地味ながらもコナミらしい、スーファミの機能を活かすこだわりが光る演出群
◆原作に忠実な動きと性格付けが秀逸な登場キャラクター達

--- Bad Point ---
◆統一感の無いゲームバランス(序盤から高難易度ステージが出てくるなど、無茶苦茶)
◆そのバランスのせいもあって、あまり意味をなして無い感のある難易度選択機能
◆少ないボス戦(ラスボスも含めて3つぐらいしかない。ちょっと寂しい…)
◆ゲームオーバーにならないと表示されないパスワード(不親切)
◆同じく、覚え難い上にメモもし難いパスワード(絵柄で表現するのは止めて…)
▼Review ≪Last Update : 6/7/2008≫
ウサギはすばしっこい。

しかし、このウサギはもっとすばしっこい。


1991年にテレビ東京系列で放送された、ワーナー製作のアニメ『タイニー・トゥーン』のアクションゲームのシリーズ第三弾にして、スーパーファミコン初進出作。ファミコン版の『タイニー・トゥーンアドベンチャーズ2』の発売から、僅か一ヵ月後にリリースされた作品でもある。

高速ダッシュアクションの圧倒的な疾走感が癖になる、隠れた傑作アクションゲームだ。

ゲーム内容は、オーソドックスな横スクロールのステージクリア型アクションゲーム。プレイヤーは主人公バスター・バニーを操作し、全部で6つものステージを攻略していく。
最初に少し話したが、この『タイニートゥーン』はファミコンの方で二作がリリースされており、一作目は複数のエリアで構成されたワールドを攻略していく、いわゆるマリオチックなアクションゲームで、二作目はアクションからミニゲームまで、一つ一つが異なる内容で構成されたステージを自由に選んで攻略していくアクションゲームとなっていた。それに対し、今作はシンプルな一本道のステージクリア方式を採用した、アーケードライクなアクションゲームへとモデルチェンジ。総計ボリューム(ステージ総数)もファミコン版よりも少なくなっており、それまでのシリーズよりもスケールダウンした作りとなっている。しかし、そのスケールダウンを補う形で、ゲーム自体のやり応えは劇的に強化されている。具体的には一つ一つのステージの密度が(良い意味で)無駄に濃くなった。一般的なアクションステージはさる事ながら、高側強制スクロールによる列車ステージや隅々まで探索していく館のステージ、そして風船を足場にして渡っていく空中ステージ等、如何にもスーパーファミコンらしい、仰々しさ溢れるシチュエーションが画面いっぱいに展開されていくのだ。しかも、ステージ1つ1つのボリュームも相当なもので、あるステージに至っては下手すれば1時間もかかるほど。少ないように見えて、実は結構、ボリューム満点なのである。
それらのステージの随所に凝らされたギミックもまた、密度と並行してかなり濃い。何の前触れもなく、突如として崩壊していく線路、天秤の反動を利用するジャンプ台にピコピコハンマーのリフトなど、いずれも「あり得ない」と漏らしてしまうようなラインナップばかり。更にあるステージでは、宇宙戦艦が画面全体に広がる波動砲(仮)を撃って来るエリアがあったり、重力で上下が反転するエリアがあったりなど、明らかに「お遊びしている」としか言い様の無いネタが凝らされていたりもするほど。もはや『タイニー・トゥーン』という枠組みを超えた、その多彩且つ濃過ぎるギミック群には、誰もが開いた口が塞がらなくなってしまうだろう。この1つのステージに過剰なほどギミックとネタを仕込む様は、如何にもコナミらしい。
だが、それらのギミック以上に面白いのが途中、アクションゲームで無くなる事。詳細は伏せるが、何と今作には、アクションゲームではなくれっきとした『アメフト(アメリカンフットボール)』をするステージが用意されているのだ。しかも、この中身というのが結構、本格派。ルールもしっかりとしていて、これで1つのゲームが出来てしまうのではないのかと思わず錯覚してしまうほど、作り込まれているのである。幾らおまけとは言え、これは(良い意味で)やり過ぎである。そもそもアクションゲームをやっている最中にアメフトという、その流れからして無茶苦茶も良い所。何処までステージの個性を尊重する気なんだと、逆にツッコミたくなってしまうほどだ。本当、これはやり過ぎ。ある意味、このステージは本作最大の売りの一つと言っても過言ではないだろう。
他にも、ステージクリアの度にランダムで決定される、全5種類のミニゲーム(特にスカッシュの面白さは秀逸)など、ゲームとしての濃さを演出するものは盛り沢山。
ファミコン版に比べてスケールダウンした感は否めないが、アクションゲームとしての完成度と濃さは爆発的にパワーアップ。ある意味、スーパーファミコン史上最強の濃さを誇る一本と言っても良いほど、やり応えのあるアクションゲームに仕上がっているのである。仮にもキャラクターゲームで、これはやり過ぎだ。

ステージ構成とゲーム展開のみならず、プレイヤーキャラ・バスターのアクションも強烈。
ジャンプ中にYボタンを押す事で発動する空中キック等、基本的には同時期に発売されたファミコンの二作目と同じなのだが、本作ならではのアクションとして『高速ダッシュ』と言うのがある。これは画面上部の『ダッシュメーター』がMAXになった際、地上でYボタンを押す事によって発動する文字通りのアクションで、これがまた…最高に気持ち良い!
厳密には、これの発動時にできるアクションがどれもこれも濃い。複数の敵をまとめて倒したり、普段飛び越えられない大きな穴をジャンプとの組み合わせで飛び越えたり、壁を駆け上がったりなど、とにかくぶっ飛んでいる。特に壁を駆け上がるアクションは、その見た目からして面白い。第一、ウサギが軽々と…しかも、何食わぬ顔をして壁を軽々と駆け上がってしまうんですよ?おかし過ぎです。嘘っぽさ炸裂です。
更にこの高速ダッシュは、メーターを瞬時に最大値に引き上げるアイテムを取る事で、途中で止まる事無く続ける事もできる。その連続ダッシュを続けた際の気持ち良さは相当なもので、思わず自分自身が風になった、或いは『タイニー・トゥーン』に習ってロードランナーになったかのような錯覚をも味わえる。他にゲーム中には、このメーターをMAXにするアイテムを取り続けながら仕掛けを突破していく局面も豊富に用意されており、その特性を可能な限り活かし切ろうとする工夫が凝らされているのも必見だ。特に先に紹介した列車ステージにおける、この高速ダッシュを活かした仕掛けの数々は強烈で、速過ぎるが故に生じる、止まれない恐怖とスリル、そしてこのダッシュを駆使して仕掛けを突破していく面白さを一度に味わう事ができる。多少ながらバランス的に問題もあるのだが(後述)、本作をプレイしたのならば最低限、このステージの仕掛けは是非、体験しておくべきだ。それともう一つとして、空中ステージ終盤の脱出エリアも先の列車ステージと同じく、是非とも体験しておく価値がある。どんなに手馴れたアクションゲーマーであったとしても、その恐るべき仕掛けには思わず、心臓が縮まる思いをしてしまうだろう…。
強いて言うならば、高速ダッシュが活かされているのは道中のみで、ボス戦とかではどちらかと言うと、一般的な空中キックが重視されてるなど、物足りないところもあったりするのだが、一つのアクションでできる事を徹底的に追求した、開発スタッフの志の高さには感服するばかり。また、アニメの『タイニー・トゥーン』でもこのダッシュはお馴染みであり、それを違和感無くゲームへと昇華した手腕も流石の一言に尽きる。
これぞまさしく、原作のアニメとゲームが上手く噛み合った好例と言うに相応しいだろう。

ただ、非常に残念なのがゲームバランス。プレイヤー自身のスキルが反映される、絶妙なバランスを維持してはいるのだが、序盤からラストステージ並に難しいステージが出てきたりなど、全体的に統一感が感じられない仕上がりとなってしまっているのがあまりにも痛い。そのラストステージ並に難しいというのが、先の列車ステージなのだが…本当にここは、序盤のステージと言うのに難易度を高く設定し過ぎ。第一、序盤なのにラストよりも難しいと言う時点からして破綻している。これでは、アクションゲーム初心者なら挫折してしまうのは必至ではないか。その他のステージのバランスは問題無いだけに、ここに限っては一から再考して欲しかったところだ。折角、他の要素が頑張ってるのに…勿体無さ過ぎる。
反面、操作性はアクションゲーム特有の動かすだけでも面白い、申し分の無い感触の良さを実現。全くもたつく事なく、生き生きとバスターを操る事ができる。この辺は辛うじて、アクションゲームには手馴れたコナミらしさが炸裂している。
また、難易度選択機能やパスワードコンティニューなど、サポート周りも充実。前者は先のバランスの問題もあり、あまり意味を成してないのが寂しいが、それでもこう言ったものを用意し、プレイヤーへの気遣いが成されているというだけでもせめてもの救いと言えよう。
グラフィック、音楽の出来もなかなか。いずれも原作の雰囲気を忠実に再現しており、ファンも思わず納得の仕上がりとなっている。特に音楽は、思わず口ずさんでしまうような楽しげな曲が満載で、ゲームプレイを大いに盛り上げてくれる。

演出周りも全体的に地味だが、当時のコナミらしい、スーパーファミコンの機能をなるべく活かそうするこだわりが炸裂している。中でも先に挙げた宇宙戦艦ステージ、ラスボス戦はその代表格で、改めてコナミの技術力の高さを思い知らされること、間違いなし。それ以外にも原作に忠実な性格付けが成された登場キャラクター達、殺伐さが無く、終始、楽しげなノリで展開されていくストーリーなど、まだまだ見所は多い。
ゲームバランスのまとまりの無さが本当、残念極まりないが、アクションゲームとしての完成度はファミコンで発売された二作に引け劣らぬクオリティ。シンプルながらもステージを駆け抜ける面白さとゲームっぽい嘘っぽさを演出した高速ダッシュのアクション、無駄に濃い全6ステージとギミック、そして完成度の高い5種類のミニゲーム、地味ながらもこだわり満点の演出と、キャラクターゲームとは思えぬ手の込んだ作りが冴え渡る今作。
アクションゲーム好きからタイニー・トゥーンファンは勿論の事、スーパーファミコンを持っているユーザーならば是非、プレイしておくべき、隠れた傑作アクションゲームだ。
容赦なく走りまくれ!そして、大気圏を突破せよ!(ちなみに、本当に突破できたり…)
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