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≫高橋名人の大冒険島
■発売元 ハドソン
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 スーパーファミコン版 : 8925円(税込) / バーチャルコンソール版(Wii):800Wiiポイント
■公式サイト ≫VC版(Wii)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※バックアップ機能・パスワードコンテニュー無し)
■総説明書ページ数 紛失している為、不明
■推定クリア時間 2〜5時間
恋人のジーナと共に幸せなひと時を過していた高橋名人。だが、突如として現れた『悪魔っ子・ダーキー』の手により、ジーナは石にされてしまい、幸せなひと時は一瞬にして崩された。

ジーナを石にされた事に腹を立てた名人はすぐさま、ダーキーを追いかける。
目指すはダーキーの住処である悪魔城。
果たして名人はダーキーを倒し、ジーナを元に戻す事ができるのか?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ステージをひたすらクリアしていくという、シンプルで分かり易いゲームシステム
◆セーブ機能なし、一撃アウト制などと、全体的に緊張感のあるゲーム内容
◆手強い所もあるが、頑張れば誰でもクリアできる絶妙のゲームバランス
◆適度なボリューム(特にステージ総数が減った点はお見事。やり易くなった)
◆ジャングル、火山、砂漠、クジラの体内などの奇想天外な舞台が盛り沢山のステージ
◆快適且つ、動かしているだけでも気持ちの良い操作性
◆トリッキーな攻撃とアクションを披露してくる、個性的なボスキャラクター達
◆ステージ攻略の幅を大幅に拡張した新アクション「しゃがみ」(&「ハイジャンプ」)
◆かつての武器、オノの存在を掠めるほどの使い勝手の良さを誇る、新武器「ブーメラン」
◆大きめに描かれた、はっきりとしたグラフィック(特にキャラクター関係)
◆驚異的なクオリティを誇る、質の高い音楽(名曲も満載)
◆スーパーファミコンの拡大・縮小機能を巧みに使いこなした、派手なデモシーン
◆個性豊かな名人のやられ様

--- Bad Point ---
◆オノの使い勝手が悪い(重みが加わった影響で、微妙に扱い難さがアップ…)
◆セーブ機能やパスワード機能が無い為、クリア時にそれなりの時間が必要となる
◆最終ボスの倒し方がスー○ーマリ○3のラスボスと同じ(おい!)
◆いま一つ、やり難さの漂うステージ3のボス(フィールドの特殊さが影響してる…)
◆ややアクの強い、登場キャラクター達
▼Review ≪Last Update : 4/28/2007≫
……そんなに一面の曲が好きか。

我が父よ…。


16連射と「ゲームは一日1時間!」の格言でお馴染み、高橋名人が主役を務めるアクションゲーム『高橋名人の冒険島』のシリーズ最新作にして、スーパーファミコン初進出作品。

見易さ抜群のグラフィックと適切なゲームバランス、そして高クオリティの音楽。
幅広い年齢層のユーザーが安心して遊べる、傑作アクションゲームだ。

基本的なゲーム内容は、初代と同様のステージクリア型の横スクロール型アクションゲーム。プレイヤーは高橋名人を操り、様々なステージを突破し、悪魔っ子ダーキーの居城『悪魔城』を目指していく、大変シンプルな内容だ。
用意されているステージは全5ワールド20ステージ。初代(『高橋名人の冒険島』)の全10ワールド40ステージに比べると、かなりボリュームダウンしてしまってはいるが、相当な時間をかけてプレイしなければ完全攻略は到底無理だった初代の事を考えれば、このボリュームダウンは英断である。おかげで今作は、まさに「誰もが気軽に楽しめる」、理想的なアクションゲームに進化した。これはこのシリーズにとっては、かなり大きな出来事だ。
しかし、かと言って簡単になったという訳ではない。
初代から引き続き、名人は敵の攻撃を一発でも喰らえばやられてしまう、軟弱体質であるし(つまり、『一撃アウト制』を採用している)、果物のアイテムを回収していかなければメーターがゼロとなってアウトになってしまう、バイタリティーシステムも引き続き積まれている。
ステージの仕掛けに関しても、今作はかなりトリッキーだ。通常のアスレチックに加え、トロッコステージ、暗闇ステージ、更には縦スクロールの迷路ステージなどと、まさに『大冒険島』の名に相応しい、ダイナミックな仕掛け群がプレイヤーの前に立ちはばかる。更に、ステージの地形に関してもジャングル、遺跡、火山、砂漠、更にはクジラの胃袋の中、巨大な大木、雪原などと奇想天外なものが盛り沢山で、プレイヤーを翻弄する。
そして、ステージの最後に待ち構えるボス達も、ユニークなアクションと攻撃でプレイヤーに襲い掛かってくる。その個性の強さは、シリーズ屈指。
このように、全体的に軟化したとは言え、従来の手強さは残されている。まとめるならば、敷居の高さを取り除き、とっつき易くなった…とでも言うべきか。そんな作品に今作は仕上がっているのだ。

また、新要素も幾つか追加されている。その中でも代表的なのが、名人のアクション。今作では、初代では無い事自体が難易度を上げる要因にもなっていたと思われる、「しゃがみ」のアクションが新たに追加。これにより、しゃがんだ状態による攻撃ができるようになり、更に敵の攻撃の回避法も増え、攻略の幅が広がっている。また、このしゃがみ状態でジャンプする事でできる、ハイジャンプのアクションも非常に便利。「どうしてこんな便利なアクションを初代で実現しなかった!?」と疑問が湧いてくるほど。これらもステージ総数の軟化と同じ、素晴らしい進化の一つだ。
そして、名人の攻撃武器に「ブーメラン」が追加された事も大きな進化。これにより、四方八方への敵への攻撃が可能となり、より直感的なゲームプレイが楽しめるようになっている。はっきり言って、その便利さは従来の『オノ』の存在感を薄めるほど。というか、今作は『オノ』がロクに役立たない!(汗)攻撃時に「重み」が加わった事(厳密には、僅かに間が入るようになった)が大きく影響している…。ただ、これをメインにゲームを攻略すると難易度が僅かに上昇し、歯応えのあるプレイが楽しめると言う意外なメリットが。アクションゲーマーならば一度、試してみる価値はあるかもしれない。
他にもノーミスで同じ攻撃アイテムを回収し続けると武器がパワーアップし、ボス戦が容易になるなど、細かな変更点は色々とあり、いずれもゲームの質を大幅に向上させる要因となっていて、続編の暗黙のルール「前作以上の内容を目指す」をしっかりと実現しているのが凄い。改めて、本作の制作を手がけたスタッフの手腕の凄さには脱帽する次第だ。

操作性に関しても比較的キビキビ動作し、動かしているだけでも楽しい。また、初代から何かと話題をさらった名人のリアクションも、スーパーファミコンに舞台を移行した影響でよりバリエーション豊かになった点も注目だ。
そしてグラフィックに関しては、キャラクター、文字フォント共に抜群の見易さ。とにかく全てが大きめに描かれていて分かり易い。しかも、その分かり易さがゲームバランスと上手く直結しており、「不公平な判定」というのを一切出さないようにしている所がまた凄い。グラフィックがゲーム部分と高レベルで直結した、好例というに相応しい。
音楽も凄い。とにかく音質のクオリティが半端じゃなく、「これがスーパーファミコンの底力なのか!」と唸らせられるほど完成度高い。曲自体も名曲が多く、特に1面の曲は未だ(2007年現在)に、我が父親が口笛で吹くほどの強烈さ。必聴の価値ありだ。この他、水中ステージや雪原、最後の城の曲も必聴の価値ありだ。
ちなみに、本作の音楽を手掛けているのは、何と『アクトレイザー』で多大な影響を世に与えた、古代 祐三氏である。それならば、この完成度の高さにも思わず納得である。

ゲームバランスも概ね安定しており、先ほどのグラフィックの見易さもあって、誰もが納得できる難易度を実現。手強い所もあるが、大変適格なバランスを実現している。
他にも拡大・縮小機能をフルに活かしたデモ、派手な演出など見所は満載。 セーブ機能やパスワード機能が無い為、クリアするならば勢いが必要である事、使い勝手が悪くなったオノ、3面のボスの倒し難さとラスボス戦の露骨な他作品のパクリなど、気になる点もある事はあるが、完成度の高さに揺らぎは無し。
分かり易いゲームシステム、美麗で見易いグラフィック、高品質の音楽、適切なゲームバランス、そして緊張感溢れる内容と全体的に、高い完成度を誇る本作。アクションゲーム好きのみならず、多くのユーザーに体験して欲しい、スーパーファミコン屈指の傑作アクションゲームだ。結構な秀作、おススメです。
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