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≫スパークワールド
■発売元 Den'z(アイ・ティー・シー)
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 8925円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 パスワードコンティニュー形式
■その他 マルチプレイヤー5対応
■総説明書ページ数 29ページ
■推定クリア時間 5〜6時間
乗り物達全てが意志を持ち、人間のように暮らしている世界『CAR WORLD(カー・ワールド)』。
一見平和に見えるこの世界にも、陰で悪事を働く奴が居た。
その名はドン・ゴーガン。この国のカジノを一手に牛耳る大富豪であり、裏では麻薬密売組織を動かす大ボスとして、数々の悪事を働いていた。

だが、この国の警察は彼に全く手を出せずにいた。というのも、警察署長のマクマホンはゴーガンの弟。その縁から、ゴーガンの所業の数々には一切、口を出さず、彼の思うがままにしていたのだ。
それが原因で治安は乱れ、秩序も無くなっていく一方だった。

一向に腰を上げようとしない警察に怒りを爆発させた新米刑事のビートとバーツは、マクマホンに辞表を叩き付け、世界各地に散らばった密売組織の手先達を叩き潰す為、立ち上がる。
果たして二人はゴーガンとマクマホンに正義の鉄槌を下す事ができるのか?
波乱の戦いが幕を上げた。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ステージ内を徘徊する数人の相手プレイヤー達との乱戦を勝ち進みながら展開していく、対戦スタイルのレベルデザインで構成された『ストーリーゲーム』
◆対戦方式故の密度の濃さ、内容量の多さで異彩を放つ総計ボリューム
◆対戦方式ならではの気の抜けない緊張感がありながらも、アイテムを駆使すればごり押しも容易に効く懐の広さも兼ね備えた、秀逸なゲームバランス(難易度設定)
◆強敵との対決とも言うべき難易度調整の上手さが炸裂した、ストーリーゲームのボス戦
◆窮地を乗り切る際に活躍する救済処置的な要素としてまとまっている『特殊アイテム』
◆元が元故に、それなりに白熱する作りの対戦モードこと『バトルゲーム』
◆乗り物が人間のような動きをする、独特の作りが光るキャラクターデザイン
◆元が元であるが故の安定した操作性
◆戦闘主体の本編を適度に盛り上げる、ノリの良い音楽
◆場面に応じた曲の設定、適度に派手なエフェクトなど、基本はしっかりと抑えてる演出周り

--- Bad Point ---
◆ボンバーマンの物真似でしかない、独自性皆無で志も低過ぎる最低なゲームデザイン
◆乗り物キャラクターであるが故の工夫の無さ(ボンバーマンのキャラ替え同然の作り)
◆爆発ではなく、放電で相手に攻撃するという設定が仇となっている地味すぎる効果音(とは言え、ボスを撃破した際にはそこそこ良い感じの音が鳴る)
◆ボンバーマンシリーズでも実現し得る余地があり過ぎのアイテム
◆同じく、ボンバーマンシリーズで実現し得る余地があり過ぎのステージギミック
◆対戦スタイルであるが故の敵への攻撃の当て難さ(どの敵も動きを見計らう必要がある)
◆非搭載のライフアイテム獲得総数を表示する機能(この為、ライフアイテムを持ち過ぎると、あと何回の電撃に耐えられるのかが把握しきれなくなってしまう)
◆悪い意味で突っ込み所満載のストーリーとエンディング(乗り物であるが故の必然性が皆無…)
▼Review ≪Last Update : 11/17/2013≫
乗り物世界でバトルロワイヤル!

だが、その戦い方は…。


産業機器の製造、開発等を主事業とする株式会社アイ・ティー・シーのゲームブランド『Den'z』より発売された、完全新作のアクションゲーム。

某爆弾男の模造品である。

ゲーム内容は2D見下ろし視点で展開する、ステージクリア型アクションゲーム。プレイヤーは十字に広がる電撃を放つ電池を武器とする主人公を操作し、自由に選択可能なステージで繰り広げられる敵との戦いに挑み、最終ステージを目指すというものである。
ゲームモードは全部で二種類。多種多様なステージで繰り広げられる戦闘を攻略していく『ストーリーゲーム』、最大四人までの対戦プレイが可能な『バトルゲーム』が用意されている。…と、ここまで読んで、「何処かで聞いたような…」と違和感を抱いた方は少なからず居ると思われる。2D見下ろし視点、主人公が十字に広がる電撃を放つ電池を使う。これらの事柄から、ゲームに詳しい方はとある有名な作品を挙げる事だろう。
そう、ボンバーマン。株式会社ハドソンが誇る看板タイトルにして、世界的にも有名な爆弾男が主人公の名作アクションゲームだ。今作はそのボンバーマンを露骨なほど踏襲した、コピーと言っても全く擁護の余地無しのゲームなのだ。悪く言えば、パクリ。そもそも、主人公が十字に広がる電撃を放つ電池を使う時点で既にボンバーマンであるのは、もはや言うまでもなく。単に爆弾を電池に置き換えただけだ。しかも、コピーとなっているのは武器だけに限らず。本編には電撃の効果範囲を拡大するパワーアップアイテムまで登場する。加えてそれらのアイテムは電撃で破壊可能なブロックに隠されているという徹底振りだ。もはや、そのまんま過ぎて突っ込む気力も失せる。挙句の果てには、電撃は敵味方を問わずダメージを与える仕様で、上手く扱わねば自分で自分を傷つける悲劇を招くボンバーマン的な展開が普通に描かれる始末だ。もう、清々しいほどにボンバーマンのネタを拝借しまくり。正直、これを作ったのは子供かと本気で疑ってしまうほど、センス皆無の仕上がりとなっている。いや、これはボンバーマンではなく、スパークワールドという名の完全新作なんだと豪語しても、言葉が悪いが馬鹿の遠吠えも同然。よくこんなクリエイターとしての魂やプライドの欠片も無いものを世に出せたなと、飽きれてしまうぐらいにソックリな内容になっているのである。普通に模造品の烙印を押される資格を持つ作品と言っても良いぐらい。仮にも世界的にも有名なゲームをこうも露骨なまでにコピーするとは、正直、その節操の無さには逆に感心させられてしまう。勿論、悪い意味でだ。
そのような内容であるだけに、ゲームシステム等に関してはこれ以上、語るべき所はない。全てがボンバーマンのコピーに徹しているので、今作特有の売りは皆無に等しいからだ。
ただ、完璧なコピーという訳ではなく、レベルデザインや一部のシステムに関しては少し捻りが加えられていたりする。例えば『ストーリーゲーム』だが、「戦闘を攻略していく」と述べた通り、本編はボンバーマンで言う所のCPU対戦がメインとなっていて、ステージ内を徘徊する雑魚敵を倒していく要素は無い。その為、手に汗握る緊張感に富んだゲーム展開が味わえる内容になっている。更に各ステージはスタート時に自由に選択が可能という、プレイヤーの好きな所から始められるステージセレクトシステムを起用しているのも特徴の一つだ。しかし、あるステージから始めればその後の展開が有利になるなどの戦略的な要素は無い。単に選べるだけなので、ある意味では質素な作りと言えるかもしれない。その他にも登場するアイテムに時限式の死亡アイテムと言った物騒なものが用意されていたり、数回の電撃にも耐え得るライフアイテムが大量に登場する、ストーリーゲーム限定の装備型アイテム(但し、使用できるのはどれも1回限り)が存在するなど、一捻りが加えられていたりする。
そのような違いを明確に打ち出したところもあるので、一概にボンバーマンの模造品とは言い難い部分もある。しかし、意地悪な見方をしてしまえば、どれもボンバーマンで普通に実現でき得るネタばかりなので、今作ならではとも言える独自性は無い。実際に一部には後発のボンバーマンシリーズで実現したネタも幾つかある為、如何に今作が唯一無二の要素を揃えていない内容なのかが分かる。所詮、コピーはコピーでしかあらずの一言。総じて、既存タイトルを見て足りない要素を足しただけに過ぎない、非常にお粗末な捻り具合になっている。
まさに、センスの欠片も何も無いとはこの事。正直、何を考えてこんなのを作ろうとしたのか、企画そのものにツッコミを入れたくなるぐらいの酷さが炸裂したゲームになってしまっている。いや、さすがに違いのあるゲームになっているだろう、と思った方も実際に動いている所を見れば嫌というほど思い知らされるだろう。こいつはアウトだ、と。

例によって、今作の悪い意味での最大の見所は、悪質と言っても良いぐらいにボンバーマンのコピーに徹してしまっているこの内容である。繰り返しになるが、基本的なゲーム性からシステム、細かい要素に至るまで、あらゆる要素がボンバーマンそのもの。独自性なんてものは微塵も無い、職人の志すら感じられない酷い内容となっている。そうも露骨なぐらいにボンバーマンであるにも関わらず、今作は本家本元たるハドソンに訴えられる事もなく、普通に世間へと流通してしまった。正直、何故にこんなコピー同然の内容でハドソンは動こうとしなかったのか、非常に不思議である。このようなゲームが発売された事自体に気付かなかったのか、それとも大してヒットしなかったから無視を決め込んだのか。或いは、当時の大らかさが事を許したのか。様々な可能性が考えられるが、真相は定かで無い。しかし、幾らハドソンからのお咎めがなかったからと言って、今作が許されたゲームでないのはもはや言うまでも無い話だ。幾ら大らかな時代だったからとしても、この内容はボンバーマンを考案した人にしてみれば、絶対に許されたものではない。今作の制作を手掛けたスタッフにゲームクリエイターを名乗る資格は無い、と断言できるほどである。
特にそう断言できる象徴的な箇所が世界観だ。ストーリー紹介の所を見ればお分かりの通り、今作は乗り物をモチーフとしたキャラクター達が生活する世界を舞台としている。当然のように主人公も乗り物(自動車)で、敵キャラクター達も乗り物である。しかも電車、戦車、更にはヘリコプターまで、何でも登場する愉快な内容になっている。だが、こうやって乗り物のキャラクターが登場するユニークな世界観でありながら、ゲーム本編にはその特徴や売りを活かそうとする工夫がほとんど成されていない。ただの飾りに徹してしまっているのである。
そもそも、キャラクターを乗り物としているのなら、例えば一時的なダッシュ移動ができるとか、燃料の概念による行動制限があるなど、普通はそんな乗り物ならではのネタを取り入れるものだろう。作品独自の魅力や売りを際立たせる目的で。幾ら基本が他作品のコピーであったとしても、そう言った独自の味付けを施していれば、『似て非なるゲーム』というそれなりの価値と魅力を持った内容になっていたかもしれないのだ。実際にスーパーファミコンでは『スーパータリカン』、『レンダリング・レンジャーR2』というコナミの魂斗羅シリーズの物真似とも言うべき作品があるが、これらは全て独自の味付けを行っている。前者は探索要素と豊富なアクション、後者はレンダリングCGを起用したグラフィックとそれをフル活用した大量のボス、方向転換の要素を取り入れたシューティングステージと言った具合だ。いずれも作品独自の特徴を確立しており、ただの物真似では終わらない、魅力溢れるゲームとして完成されている。まさに先程の似て非なるゲームと言い切れる内容なのである。対し、今作はどうなのかというと、既に述べた通り。そんな工夫は成されていない。全くではなく、対人戦主体の展開、ステージセレクトシステムと言った違いはある。しかし、肝心のゲームシステム部分はボンバーマンのコピーに徹してしまっているので、今作だからこその体験を何もプレイヤーに提供してくれない。結局、ただの物真似に終始してしまっているのである。
本当、呆れた仕事ぶりだ。こんな適当な仕事をこなす人間がゲームクリエイターを名乗るとか、ふざけるなの一言に尽きる。第一、何の為にキャラクターを乗り物にしたのだ?乗り物にした以上はそれだからこそ可能な遊びを考えるものだろう。何故、そんな当たり前の事をしなかったのか?結局、乗り物にしたのはボンバーマンのコピーというのを隠す為、乗り物が戦う対戦型アクションゲームと見せかける為だけだったのか?
実際、どのようなコンセプトでこの世界観を採用したのかは神のみぞ知るだが、ゲームシステム部分に乗り物ならではの遊びが何一つ盛り込まれていない時点でそれを狙った可能性は極めて高いと言えるだろう。全く持って、ふざけた話である。例え基本が物真似であったとしても、違った遊びを追求するのはある種のお約束みたいなものだ。現に先に挙げた二作は、そのお約束を徹底させている。今作も一応、対戦主体の展開やステージセレクトシステムなどで違いを出そうとした形跡は見受けられる。しかし、最も肝心な遊びの部分で違いを出そうとした形跡は何一つなく、模造品としてまとまってしまっている時点で努力不足であると同時に、当時のボンバーマン人気に便乗しようとした邪な考えが透けて見える。
冗談抜きに、乗り物が生活する世界観を活かせば、似て非なるゲームとしての価値は高まったかもしれないのだ。模造品ではなくなってたかもしれないのである。実際に本編をプレイしてみると、そう言った可能性がステージ構成やバランス調整などに秘められている。しかし結局、今作は模造品で終わってしまった。本当、残念でならないと同時に今作を制作したスタッフの努力不足と便乗狙いに憤りを覚える次第である。それほどまでに今作のゲームとして独自色を出そうとした努力が感じられない。志の低さ、邪さに満ち溢れた内容になってしまっているのだ。

その他、操作性も基本はボンバーマンを完全に踏襲しているので、褒めるところは無い。名作をベースにしているのだから、良くて当たり前と言った感じである。ただ、ゲームバランスに関しては先ほど、本編が戦闘主体で展開すると言った通り、安定した歯応えとスリルが演出されており、なかなか良いまとめ具合になっている。主にボス戦周りの調整が良く、強敵と戦闘している雰囲気と手応えが強調されているのは見事だ。
全体のボリュームにしても、ストーリーモードのステージ総数が10個と結構な量で、それなりの遊び応えがある。ステージ構成も場所ごとに違った仕掛けを配置するなど、それぞれの個性が引き立っている。ただ、例によって仕掛けはボンバーマンシリーズで見た事のあるものばかりで、独自性は弱め。折角、全体のレベルデザインは良く出来ているというのに、ネタで評価を落としているのには呆れるばかりである。
グラフィックも平均的な出来で、これと言って特筆すべきところはない。ただ、今作において唯一、独自性を発揮している(こう書くのも複雑だが…)音楽に関しては良い出来だ。各ステージの展開を盛り上げる良質な楽曲が揃っている。しかも、あろう事か音楽担当はかの名作『反省ザル ジローくんの大冒険』と同じ方という意外な人選。正直、こんなボンバーマンのコピー作品にそのような方が参加しているのは、何処となくもどかしい気持ちになる。それ以前に今作で、最も良い仕事をしているのが音楽担当というのはどうなのだろうか。

演出周りも雑魚敵からボスを撃破した際のエフェクト、クリア時の達成感を煽るプレイヤーキャラクターのリアクションなど、ソツない出来になっている。ただ、効果音は全体的に弱く、特に電撃の音はもう少し重いものにすれば質感と手応えが向上していたと思うだけに残念だ。それでもボス撃破時の爆発音など、抑えるところは抑えているのは評価できる。
他にシステム周りでは今作、ライフアイテムが頻繁に出る為、なかなかやられ難いというのがあるのだが、そのライフアイテムを幾つ回収したのかが画面上に表示されないのは不親切。その為、いつの間にかやられてたなんて事故も起きるので迷惑極まりない。願わくば、画面上に表示するなどの配慮を施して欲しかったところだ。
一部、これは良いかもと言える部分はあるが、全体的にはどうしてこうなったと言いたくなる内容である。皆無同然の独自要素と飾りでしかない世界観、完全にボンバーマンなゲーム性と、残念ながら今作がとても評価できた代物でないのは事実である。もっと乗り物である事の意味を追求していれば、似て非なるゲームとして評価できたし、面白いソックリさんとして紹介していたかもしれない。結局、そういう努力が何処にもなく、悪質なコピー作品に終始してしまっているのには本当、憤りを覚えるばかりである。
一応、全く遊べないほど酷い作りではなく、普通に佳作とは言える出来にはなっている。しかし、これを遊ぶぐらいなら本家本元のボンバーマンの方が面白いので、お薦めはしない。基本的に物好き向けのゲームだ。話のネタにしたい、どういうゲームなのか気になった方のみどうぞ。
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