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≫スーパートランプコレクション2
■発売元 ボトムアップ
■ジャンル テーブル
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 6090円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンテニュー形式)
■総説明書ページ数 46ページ
■推定クリア時間 20分〜1時間(エンディング目的)、14〜60時間(完全攻略目的)
ババ抜き、スピード、神経衰弱等の個性豊かなトランプゲームを収録した、あの『スーパートランプコレクション』が帰ってきた。楽しさ色々、10種類。
カラフルで可愛い世界観を背景に、白熱必至のショータイムが今、幕を開く!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ゲームならではの遊び易さと奥深さが光る、多種多様な10種類のトランプゲーム
◆コレクションソフトならではの圧倒的な自由度の高さ(気軽に楽しめる敷居の低さを実現)
◆『星を集める』、『相手に勝利する』と言った明確さが潔い、各ゲームのクリア条件
◆対戦相手を集める手間やカードをきったりする手間をかけず各ゲームを楽しめる、随所において効果的に反映されたゲームならではの強み
◆ゲームならではの強みによる抜群の遊び易さが光る、トランプゲーム『スピード』
◆上に同じく、ゲームだからこその強みによる気軽さが光る、ギャンブルゲームの『ポーカー』と『ブラックジャック』
◆強烈な中毒性を含んだ、『ポーカー』と『ブラックジャック』のカンスト狙い
◆程よい手応えと心地良い達成感を提供してくれる、適度なゲームバランス
◆シンプル且つ軽くてレスポンスの良い、抜群の操作性
◆カラフルで可愛らしい、ファンタジックなグラフィック(&世界観)
◆サウンドテストが収録されてないのが勿体無いくらいに出来が良い音楽
◆多彩且つ細部まで丁寧に作り込まれた演出群(特に『大富豪』の演出は秀逸)
◆文字フォントの固さも相まって、異様な面白さを醸し出してる台詞
◆可愛らしいオープニングデモ(特にペンギンの動作が面白い)

--- Bad Point ---
◆一部のゲームにしか搭載されてない中断機能(全てのゲームにつけるべきだった)
◆一部のゲームにしか搭載されてないパスワードコンテニュー(同上)
◆最大で2人までと、意外に少ない対戦人数(4人まで出来た方が良かったのでは…)
◆リセットするしか脱出法がない、クリア後のデモ(ボタンで出来れば…)
◆各トランプゲームにルールの説明がない(簡素でも良いから入れるべきだった)
◆発動させるとゲームが停止してしまう、『スタッフメッセージ』の裏技
▼Review ≪Last Update : 10/27/2007≫
カンストはいつの日か。

何時になったら限界に達するんだ…?


『ババ抜き』や『スピード』を始めとする、7種類のトランプゲームを収録した、1995年にボトムアップから発売されたスーパーファミコンソフト『スーパートランプコレクション』の続編。

ゲームならではの強みと息抜きに最適な手軽さが光る、トランプゲームの決定版だ。

ゲーム内容は題名通り、『ババ抜き』や『スピード』と言ったトランプゲームを一本にまとめたコレクションソフト。収録されているトランプゲームは全部で10種類で、先程に紹介した『ババ抜き』、『スピード』、そして『神経衰弱』のほか、

◆セブンブリッジ
◆ドボン
◆ページワン
◆ポーカー
◆ブラックジャック
◆大富豪
◆7並べ

が用意されている。
この内、『ババ抜き』と『セブンブリッジ』、そして『ドボン』は本作初登場となるゲーム。その他の7つは、前作の『スーパートランプコレクション』から引き続き継承となっている。
基本システム周りは、コレクションと釘を打った作品だけに、制約に縛られずに自由気ままに各々のゲームを楽しめる、極めて自由度の高いものとなっており、アクションゲームやRPGのように『敵の大ボスを倒す』とか『世界を救う』と言ったような明確な最終目的は全く設定されていない。感動のエンディングとかも用意されていないので、たった1つのゲームだけを遊んで止めても、そして全てのゲームを遊び尽くすまで続けても、一切の支障無し。それ故にゲームとしてはあまりに薄っぺらい印象を抱いてしまうかもしれないが、あくまでも本作はコレクションソフト。色んなゲームを自由気ままに楽しめる事が特徴のゲームである。だから悪戯にプレイヤーへの課題を用意して行動を縛ってしまえば、実にコレクションソフトとは程遠い窮屈なゲームとなってしまう。そんな窮屈さを出さない為、どれをやってもやらなくても構わない『遊び場』としてのカラーを強調したその判断は、実に正しい選択だったと言える。その事もあって本作は、誰もが気軽に楽しめる『敷居の低さ』とゲームとしての『手軽さ』を実現。まさに、コレクションソフトならではの強みが反映された格好だ。
勿論、かと言って全く本作がやり甲斐の無いゲームと言う訳ではない。各ゲームには『クリア条件』なるものがしっかりと課せられており、プレイヤーにトランプゲームの面白さと確かな手応えを提供してくれる。クリア条件も基本的に複雑なものは無く、勝利する度に集まる『星』のアイテムを規定数集める、相手に勝利すると言った単純明快なものばかり。シンプルな面白さと分かり易さを徹底した、実に潔い仕上がりとなっている。これもコレクションソフトとしてのカラーを強調したが故の賜物と言った所か。
他にも、腕のあるプレイヤーも楽しめるように難易度選択機能(対戦相手選択機能)を設けたりなど、幅広い層を意識した配慮も万全。このように本作は、誰もが楽しめる敷居の低さとコレクションソフトならではの自由度の高さ、そしてゲームとしての手軽さが発揮された、『万人向け』と称すに相応しい内容に仕上がっているのだ。

また、随所で『ゲームだからこその強み』が発揮されているのも見逃せない。現実のトランプとは違い、対戦相手となる存在が予め用意されているので、たった一人でも各トランプゲームが楽しめてしまう事、自動的にカードをきってくれたり、揃えたりしてくれる機能の存在、そしてカードを片付ける手間が要らない事などは、まさにゲームだからこそ実現した産物。仮想世界だからこその手軽さとプレイのし易さ(遊び易さ)が、本作では見事に描かれているのである。
そのゲームだからこその恩恵は、各トランプゲームにも素晴らしい影響を与えており、中でも『スピード』は最もその恩恵を受けているゲーム。予め用意された対戦相手と勝負できるだけに留まらず、カードは自動整理されるので散らかす事も無く、そしてカードを出す動作もボタン一発で済むなど、現実のスピード顔負けの遊び易さと熱中度を実現してしまっているのだ。また、次に出すべきカードを教えてくれる、点滅表示機能までも搭載するなど、初心者対策も万全。遊び手の棲み分けをも実現してしまってるのである。ここまで来ると流石に、(良い意味で)やり過ぎとしか表現のしようがない。
この『スピード』の特徴だけでも、本作におけるゲームだからこその強みは実感できたかと思う。それ程に本作は、現実のトランプ顔負けの面白さと遊び易さを実現してしまっているのだ。正直、この『スピード』を遊ぶだけでも、本作の魅力は十分に伝わるだろうと思う。
ちなみに、ゲームだからこその強みの恩恵を受けてるゲームは『スピード』だけではない。『ポーカー』と『ブラックジャック』の2つのゲームも、ゲームならではの恩恵を受けたゲームだ。何よりもこの2つ、ギャンブルゲームとも言われる代物だから、とてもマジに遊べるようなものではない。それが本作では、いとも簡単に遊べてしまう。しかも、勝つたびにクレジット(お金)が増えていく要素も導入するなど、カジノの雰囲気を味わう事もできる。これだけでもこの2つ、ゲームだからこその強みが発揮されてると言い切れるだろう。なお、クレジットを増やす遊びはなかなか中毒性があり、特にカンスト(カウンターストップ)を狙うプレイは結構燃えるのでお薦めだ。また、この2つのゲームはパスワードコンテニューを搭載しており、持続プレイが可能。気軽にじっくりと楽しめる作りになっている。それだけに、クレジットの最大値がやたら長めに設定されており、何処でストップするのかが分からないのがタマにキズだったりするのだが、これはこれで、長く楽しめるという副作用を及ぼしているので、結果としてはアリ…と言ったところか。
この他の7つも及第点の域で、いずれもゲームならではの遊び易さと手軽さを演出。総じて、どのゲームも現実のトランプを軽く凌駕する、仮想世界ならではの遊び易さを実現しているのだ。ここまでも、ゲームにした事で一層遊び易くなった遊びと言うのは実に珍しい。改めて、トランプとビデオゲームの相性の良さを実感させられる。

だが、本編やゲームが遊び易さを徹底している分、至る所で細かな配慮が欠けているのは残念。特に『中断機能』。これが何故か『ポーカー』と『ブラックジャック』の2つにしか搭載されておらず、後のゲームは変更するならば、一旦リセットしてタイトルに戻ってセレクト画面で選びなおさねばならないのは実に煩わしい。せめてこの機能は全てのゲームに標準装備して頂きたかった。また、条件を達成してクリアした後も結局、またリセットしなければセレクト画面に戻れないのも痛い。ABYXかスタートのいずれかのボタンを押せば戻れるようになってれば、快適だったのに…これは辛い。
他にも操作説明はあっても、トランプゲームのルール説明がないのも地味に痛い。せめて少しだけでも、開始前のオプションで表示されてれば良かったものを…。説明書に詳しく書いているから良いと言っても、中古で説明書無しで買った人にとっては、この不親切ぶりはきつい。ましてや、その買った人がトランプを全くやったことの無い人だとしたら尚更だ。こういう所は本当にしっかりやって欲しかった。勿体無いにも程がある。
しかし、一方で操作性自体はかなり良い。『スピード』のように手早い操作を要求されるゲームもある事を考慮してか、軽くてレスポンスの良い操作性を実現しており、ただカーソルを動かすだけでも楽しい快適さを実現している。何気にカーソルの効果音と決定音が聴いていて気持ちの良いものになってるのも見逃せない部分だ。
そして、グラフィックと音楽も上々。特に音楽は、サウンドテストが収録されてないのが勿体無いと思うくらい、出来が良い。中でも『大富豪』の革命発生のイベント後に流れる、あまりにも切ない曲は必聴の価値ありだ。また演出も上出来。各ゲームごとにそれぞれ異なった表現を用意するなど、かなりのこだわりを感じる。特に、先程も音楽の所で挙げた『大富豪』と『ページワン』における、派手で大胆な演出は必見。その他、短めながらも文字フォントの固さも相まって、強烈なインパクトを放つ、吹き出し台詞も要チェックだ。

ゲームバランスも申し分なし。少し、攻めパターンに単調さがあるのが気になるが、そこそこの手応えと達成感をプレイヤーに提供してくれる。そして、隠し要素もゲームスピードのアップなど、実に大胆なものが盛り沢山でプレイヤーを大いに楽しませてくれる。ただ、行うとゲームが止まってしまう裏技の存在には正直、首をかしげるものがあるが…。
それ以外にも、個性は無いけど可愛い動物の登場キャラクター達、可愛らしさ満点のオープニングデモなど見所は満載。 快適性の面や最大対戦人数(何と2人までしか遊べない)でそこそこ不満が残りはするが、ゲームとしての出来はかなりのもので、お値段も6090円(税別)とリーズナブル(注:スーパーファミコンのゲームとしては)。
暇つぶしに最適な手軽さとゲームならではの強みが反映されたトランプゲームと、有り余る魅力を兼ね備えたこの『スーパートランプコレクション2』。ゲーム初心者から上級者まで、幅広く楽しめるトランプゲームの決定版だ。純粋にお薦め。たった一人でトランプゲームを満喫したいという方にとっては、この上ない一本です。
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