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  4. スーパーメトロイド
≫スーパーメトロイド
■発売元 任天堂
■開発協力 インテリジェントシステムズ
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 9800円(税別) / バーチャルコンソール版:800円(税別)
■公式サイト ≫スーパーファミコン版 / ≫VC版(Wii)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 紛失している為、不明
■推定クリア時間 2時間半〜12時間
惑星SR388のメトロイド殲滅作戦において、バウンティ・ハンター『サムス・アラン』は最深部に巣食うクイーンメトロイドを倒し任務を完了させた。
だがその時、ただ一つ残った卵がサムスの目の前で孵化し、メトロイドの幼生が誕生。
そのメトロイドの幼生…『ベビーメトロイド』は初めて見たサムスを母親と思い込み、彼女にまとわりついてきた。サムスはこの無邪気なベビーメトロイドと共にスターシップに乗り込み、惑星SR388を後にした。

サムスが持ち帰ったベビーメトロイドは、スペースコロニー内の『宇宙科学アカデミー』に持ち込まれ、その特殊な生体構造が研究される事となった。メトロイドが持つ優れたエネルギー特性は、人類にとって非常に有効であると科学アカデミーが結論を出したのである。更にそのアカデミーが出したレポートの末尾には、メトロイドは本来平和的活用を目的として人工的に創り出された生命体である可能性を示唆していた。
こうしてベビーメトロイドはアカデミーの方へと預けられる事となり、銀河には平和と秩序が戻ってきたと思われた。サムスも従来の気ままなハンター稼業へと戻り、普段と変わらぬ日々を過していた。
ところが、ある日の事…サムスのスターシップに緊急指令が伝えられた。

非常事態発生!
直ちに科学アカデミーへ科学アカデミーへ急行せよ!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆理不尽さが消滅し、更にアクションゲームとしてのバランスが良くなったマップ構成
◆説明書を読まなくても、プレイしていく内に次第に慣れられる抜群の操作性
◆決して文章を通して語ろうとしない徹底振りが素晴らしいストーリー
◆マップ表示システムの導入により、大幅に低下した進行上における”迷い”
◆隠されたルート、アイテムを見つけながら未知の空間を隅々まで調べていくという奥深い探索要素(探索における自由度の高さもかなりのもの)
◆高めではあるが、理に適った難しさと説得力を表現している絶妙のゲームバランス
◆チャージショット、高速ダッシュ、丸まり状態でのジャンプ、そしてワイヤーアクションと…より多彩且つダイナミックになったサムスのアクション
◆生理的嫌らしさと汚さを追求した、敵キャラクター達(特にヨダレは圧巻(笑))
◆限られた制約を逆手に取った、こだわりに満ちた恐怖の演出の数々
◆ヌメッとした質感と空気感が素晴らしい、背景グラフィック
◆恐怖心を煽らせる、無気味な音楽(惑星の地底の雰囲気を上手に表現している。)
◆ゲームとストーリーを高レベルで融合させた、最高の演出で展開するラスボス戦

--- Bad Point ---
◆癖があり過ぎるデフォルトの操作(オプションで変更できるが…)
◆相当な慣れが要求されるグラップリングビームによるワイヤーアクション
◆ワイヤーアクションの使用を強制するようなゲーム後半に訪れるエリアのマップ構成
◆理不尽さには無いが、高めに故にアクション初心者には辛いものがあるゲームバランス
◆進行のヒントが皆無なのもあり、少々迷い易い(マップを活用していけば何とかなるレベルになってはいる…)
◆ラスボス以上に強い、終盤のボス『リドリー』(配置を間違えてるような…)
▼Review ≪Last Update : 8/25/2007≫
静かだからこそ、生み出される空気がある。

そして、恐怖がある。


広大なマップと絶妙の謎解き、そして不気味な演出と練り込まれた世界観で多くのユーザーを魅了した任天堂としては異質なダークな雰囲気漂うアクションゲーム『メトロイド』シリーズの第三作目にして完結編。

まさにこれぞ、スーパーの名に相応しい進化。より快適になったゲームシステムとグロテスクな世界観、そしてゲームならではの映画的演出で送る、メトロイドシリーズ最高傑作だ。

ゲーム内容は謎解き要素の強い、横スクロール型のアクションゲーム。プレイヤーは主人公のサムス・アランを操作し、舞台となる惑星ゼーベスの地下迷宮を探索しながら、最終エリアを目指して突き進んでいく。
基本的なシステム周りはディスクシステムで発売された初代『メトロイド』をベースにしたものとなっており、ゲームボーイで発売された前作『メトロイド2』で採用されていた各エリアに潜むメトロイドを一定数撃破し、エリア内に点在する巨大な酸の池の水位を下げながら奥地へと迫っていくという分かり易い進行形式は排除。自らの手で突破口を見つけていく、初代と同様の非常に自由度の高い内容に回帰した。
この為、前作ではシステム上の都合もあってあまり起こり得なかったエリア進行上における『迷い』が復活。僅かながらゲームとしての敷居が上がってしまっている。これにはシリーズ経験者のみならず未経験者も不安を覚えるかもしれないが、本作の迷い易さというのは初代ほどではなく、マップ構成がプレイヤーに進むべき道を自然に示してくれる、目に見えないガイドラインが張られており、これと言って何も考えず、ただ開いていく道の赴くままに進めていけば、自然とゲーム終盤まで到達できる作りとなっている。
更に今作では探索の心強いサポーターとして、自分が進行したルートやまだ進行していないルートを色で表現してくれるエリアマップ表示機能も追加されており、現状確認やエリアごとの地形の特徴をより把握しやすくなっている。また、このマップは謎解きのヒントとしても活躍するほか、新しい遊びとして自らの足でマップを埋め尽くしていく、ダンジョンRPGさながらの新しい遊びを実現しているのも見逃せない。別途に用意した紙でオリジナルのマップを書き上げる楽しみが失われてしまったのは初代をやり込んだ方には物足りなさを覚えるかもしれないが、このマップの導入によりゲーム自体の遊び易さが劇的に向上したのは評価に値すると言っても異論は無い。まさに、続編の在るべき進化と言えよう。
しかし、全体的に遊び易くなったとは言え、そんな最後まですんなりと行くほど本作は生ぬるいゲームにはなっておらず、道中には頭を悩ませる謎解き(主に進路確保)が数多く登場し、プレイヤーを大いに悩ませる。だが、基本的に本編で登場する全ての謎解きは各マップ内部をしらみ潰しに調べれていけば必ず解けるものばかりで、理不尽な所は一切あらず。また、初代で多くのプレイヤーを苦しめた反則的な隠しルート、そして無駄に縦に長いマップと言ったものも無く、全マップ共に適度なボリュームで構成とされており、これと言って遊んでいて苦痛を感じる事も同じく、一切無い。
ゲームとして遊び易くしつつも、初代の味をしっかりと継承し、尚且つ…誰もが心地良い達成感を味わえる為のバランスを維持する。このように本作は、ゲームとしての遊び易さと手強さが非常に絶妙なバランスで成立した作りとなっているのである。まさにこれぞ、任天堂マジックと言ってもおかしくは無い。

また、シリーズの伝統でもあるアイテムによるサムスのパワーアップシステムは本作でも継承。丸まり(モーフィングボール)、ミサイル攻撃、強烈な体当たり攻撃『スクリューアタック』と言ったお馴染みのもののほか、新たにチャージショット、高速ダッシュ、空中連続ジャンプと言った新アクションが初登場。これまでのシリーズ以上により多彩でダイナミックなアクションと進化する事の快感を手に感じられるようになっている。
特に『グラップリングビーム』によるワイヤーアクションは、本作の数あるアクションの中で最も異彩を放っており、使いこなす事によって大胆なショートカットが行えてしまうなど、一見地味な作業ともなりがちなマップ探索に更なる深みを与えている。ただ、このアクション自体、異彩放つどころか扱い難さまでも放っており、十字キーとLRボタンでいちいちレーザーの発射位置を決めなければレーザーが引っ掛かるブロックにかけられなかったり、振り子運動は自動ではなく十字キーによる手動で行わなければならないなどと、他ゲームだが『バイオニックコマンドー』や『ミッキーのマジカルアドベンチャー』のワイヤーアクション以上の敷居の高さが出てしまってるのが何とも痛い。しかも、ゲーム中盤から終盤にかけ、このアクションを使いこなさねば突破できないマップと言うのが徐々に出てくる為、絶対にマスターしなければならないと言うのも辛い。正直な所、この難解さはやり過ぎの一言に尽きる。せめて、振り子運動については自動方式にすべきだった。他に使いこなせないと突破できない箇所もできるだけ、数を抑えて欲しかった。折角他のアクションが良い味を出してるのに勿体無い。だが、念の為のフォローとして、このアクションが自由にできるようになった際に味わえる快感は他には無いものがあるので、マスターの為に頑張ってみて欲しい。改めて本作のアクションゲームとしての自由度の高さ、そして上達の面白さを実感できるはずだ。
また、本作ではこのアイテムに更なる意味合いを持たせる為、新たに『アイテム回収』の要素が盛り込まれており、一度クリアしてもまだまだ楽しめる為の工夫が凝らされている。他にも如何に素早くゲームをクリアできるかと言ったタイムアタックも完備されている。クリアした時間によって、エンディングが変化する、お約束の要素もバッチリ健在。
新しいアクションのみならず、アイテムを集める、そして如何に早くゲームをクリアするかと言った要素が付加され、よりアクションゲームとしての深みが増している。これぞまさに、スーパーならではの豪華な進化…だ。

スーパーファミコンに移行した事もあり、グラフィック周りも劇的にパワーアップ。特にプレイヤーの前に立ちはばかるモンスター達のドット絵は、まさにハード性能の恩恵とも言うべき気持ち悪さを表現している。背景周りも惑星の匂いを感じてしまうような生々しさ、そして汚さを嫌と言うほど描いており、隙がない。
音楽についても総じてクオリティが高く、イベントごとに曲を変えたり、「そこに何かがいる」と思わせるように一部では静かな音楽を流したりと、インタラクティブな試みが成されているのもニクい。また効果音も全体的に重々しく、作品全体から漂う重厚さを助長している。特に、ボスキャラ達の鳴き声の生々しさは絶品だ。
だが、そんなグラフィックや音楽よりも優れているのが演出面。何もない部屋に突然ボスキャラが現れたり、いきなり恐ろしいイベントが始まったりと、全編においてプレイヤーの心境を混乱させるような恐ろしい演出がこれでもかと言わんばかりに用意されているのだ。凄いのがこれらの演出はゲームプレイと直結して行ってる事。基本的にこれらのイベントでは発生する際に一枚絵が表示されたり、文章が表示されたりと言った表現は一切無く、全てがプレイと一体化してリアルタイムで執り行われるようになっているのだ。まさに、ストーリーとゲームが連動しているのである。特にその集大成とも言えるラストの展開はもの凄く、ゲームにおける映画的な演出とは、こういうものだ!…という制作スタッフの方々の尋常でないこだわりと感動を味わう事ができる。はっきり言って、この展開を味わう為だけでも本作をプレイする価値は十分にあると言っても良い。いや、それ以前に…これが本作の全てと言っても過言ではない。それ位、凄い出来栄えなのである。

その他、操作性に関してもグラップリングビームの欠点こそあるが、全体的にかなり良好。更にオプションでボタン配置を変える事もでき、自分の癖にあった配置で楽しめる配慮が施されているのも素晴らしいの一言に尽きる。
ゲームバランスも繰り返しになってしまうが、まさに任天堂マジックとも言うべき、驚くべき絶妙さを全編において維持。適度な優しさと嫌らしさをプレイヤーに提供してくれる。
まるで映画を髣髴とさせられるような日本語字幕スーパー機能、特殊アクションのON/OFF機能と言った良い意味で無駄な要素も満載、極め付けはオープニングでまるで某映画を髣髴とさせられるようなムービーデモもあったりと、とにかくゲームシステムからゲーム本編とは絡まない箇所まで事細かに作り込まれている。 グラップリングビームの操作の難しさ、デフォルト操作の癖の強さ、そして絶妙とは言え初心者には辛い所もあるバランスと手放しには褒められない欠点もチラホラのも事実だが、総評としては文句なしの名作。より遊び易く奥深さが増した探索とアクションゲームとしての気持ち良さ、統一感のあるグラフィックと音楽、そしてゲームプレイと一体化した映画的演出と見所超満載の本作。
単刀直入に断言する。……超おススメ。
アクションゲームが好きな方のみならず、シリーズファンやスーパーファミコンを持っている方ならば絶対に一度はプレイすべき価値のある逸品だ。CGムービーでは決して表現する事のできない、こだわりに満ちたデモシーンを刮目せよ。
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