
©1990 Nintendo
■発売元:任天堂
■ジャンル:アクション
■CEROレーティング:A(全年齢対象)
■定価:7,900円(税別)

©1990 Nintendo
■発売元:任天堂
■ジャンル:アクション
■CEROレーティング:A(全年齢対象)
■定価:7,900円(税別)
マリオとルイージはピーチ姫とともに「恐竜ランド」の「ヨースター島」へバカンスにやってきた。
だが、島に到着して間もなくピーチ姫が姿を消してしまう。
2人は島中を探し回るも、ピーチ姫の姿はどこにもない。
やがて島の外れに来た2人は不思議な模様の卵を発見。
じっと卵を見つめていたところ、中から「ヨッシー」と名乗るドラゴンが出てきた。ヨッシーによるとある日、恐竜ランドにカメの姿をしたバケモノが現れ、魔法で島中の仲間たちを卵に閉じ込めてしまったという。
どう考えてもこれは宿敵・大魔王クッパのしわざだ。ピーチ姫もクッパにさらわれたに違いない。
早速2人はヨッシーとともに、ピーチ姫と恐竜ランドの仲間たちを救出するため、冒険に出るのだった。
▼Good Point
◆隠されたゴールを通過することでルートが変わり、思いもよらぬ展開が生まれていく見所満載の新要素「コース分岐」
◆コース分岐の導入で、過去にも増して強化されたコース内を探索する遊びと舞台となる世界を開拓していく遊び
◆クリアしても後から再挑戦できるというリプレイ性も備わった、全90以上のコース(※一部のコースは再挑戦不可)
◆特殊なアクションを可能にするブロックに金網など、前作にも増してボリュームアップしたコース内の仕掛け
◆同じく前作以上、もしくは匹敵するほどの種類が存在する敵キャラクターたち(一部、やたらタフな敵も……)
◆敵に大ダメージを与える、床に当たるブロックを壊すという特徴と独特の挙動が特徴の新アクション「スピンジャンプ」
◆マリオ(ルイージ)とは異なる多彩な攻撃技と能力で、独特の動かす面白さを表現した相棒キャラクター「ヨッシー」
◆前作のすごろく風から一転、直接歩みながら進めていくという冒険感が強く表現されたワールドマップ
◆いざという時のパワーアップや、ダメージを受けた時の挽回に便利な新システム「ストックアイテム」
◆空中飛行に留まらず、近接攻撃や滑空を可能にするという優れた性能が光る新変身「マントマリオ」
◆実体化させるか否かでコース全体の難易度が上下する、興味深い見所を備えた新要素「点線ブロック(!ブロック)」
◆分岐要素などの関係で著しく変動しつつも、易しすぎず難しずの基本は終始徹底された絶妙な難易度
◆使うボタンは過去作に増して増えたが、基本は十字キー+2ボタン(YとB)という取っつきやすさを厳守した操作周り
◆多重スクロールする背景、巨大な敵キャラクターなどのスーパーファミコンの強みを適度に活かしたグラフィック
◆コミカルな雰囲気と冒険のワクワク感が表現された愉し気な音楽と効果音
▼Bad Point
◆頼もしいが、制約もそれなりに設定されたヨッシー(「お化け屋敷」「お城」のコースでは同行してくれない)
◆一部、再挑戦ができない制約が課されたコース(特にボス戦がある「お城」のコースが再挑戦できないのは惜しい)
◆独特のボタン(十字キー)入力が求められる関係で、相応の慣れと練習が要されるマントマリオの飛行アクション
◆前作よりも総数が大幅に削減された変身アクション(その分、マントマリオの性能面でカバーされてはいる)
◆なぜか命中するとコインに変化する仕組みに変更され、絵的な地味さが増したファイアーマリオのファイヤーボール
◆「お化け屋敷」「お城」「スイッチ」のいずれかのコースをクリアした時に限られたセーブタイミング
◆なぜかテキストがカタカナ表記で、微かな読みにくさが付きまとうセーブ画面
ワニではありません。カエルでもありません。スーパードラゴンのヨッシーです。
◇ファミリーコンピュータ(ファミコン)向けに発売され、横スクロールアクションのジャンルを広く世に知らしめた歴史的名作『スーパーマリオブラザーズ』のシリーズ第4作目。タイトル名『スーパーマリオワールド』となっているが、パッケージおよび説明書に記載されたロゴには「スーパーマリオブラザーズ4」の名が付けられている。今回は1990年11月21日発売のファミコンの後継機種「スーパーファミコン」本体の同時発売のゲームソフトとして登場した。
内容は過去の3作に引き続きステージクリア型の横スクロールアクションゲーム。主人公のマリオ(&ルイージ)を操作し、またもクッパに捕まったピーチ姫を救出するため、新たな舞台「恐竜ランド」の7つ以上のワールドごとに用意されたコース(ステージ)を攻略していくというものである。
◇「スーパーキノコ」に象徴されるパワーアップアイテムを獲得するとマリオが「スーパーマリオ」へと変身(強化)する要素、コース最深部に設けられたゴールの到達を目指す基本ルールといった、これまでのシリーズで採用されてきたシステムなどは本作にも継承。ゲームデザインの骨子は前作『スーパーマリオブラザーズ3』のものを引き継いでおり、その中でも特に象徴的だったすごろく風のフィールドを移動しながら挑戦するコースを選ぶ「ワールドマップ」は本作でも採用されている。
ただし、マップのすごろく感は大幅に薄れ、キャラクターも実際にその場を歩きながらコースからコースへと移動する形に改められた。コースも前作は1度クリアすると二度とプレイできなくなる仕組みだったが、今回はクリアしたコースも後から再プレイができる仕組みに。これにより、挑戦したコースでダメージを受け、マリオが弱体化してしまった場合、クリア済みの簡単なコースへと戻ってアイテムを取りなおすといった攻略法が使えるようになった。ちなみに一度クリアしたコースはスタートボタンでポーズしたのち、セレクトボタンを押せば即座に離脱してワールドマップへと戻れる。
◇新要素は新たな仲間キャラクターの「ヨッシー」。コース内のハテナブロックを叩くと出現し、ジャンプして上から背中に乗っかることで、一緒に行動できるようになる。搭乗中、Yボタンを押すとヨッシーが長い舌を伸ばす。この舌が敵に接触すれば、そのまま対象を飲み込んで食べてしまう(食べた敵はコイン1枚分として換算)。食べられる敵には限りがあるため、万能な技という訳ではないが、敵を速やかかつ簡単に倒す選択肢としては、本作にも健在の炎の球を投げる「ファイヤーマリオ」に匹敵するものになっている。また、ヨッシー搭乗中は踏みつけ攻撃も強化。カメの敵「ノコノコ」であれば甲羅にならない形で仕留めることもできる。ノコノコに関しては、普通に食べても口に甲羅を含んでしまうのだが、再度Yボタンを押せば中身を吐き出すことができる。この飲み込んだ際の甲羅の色に応じて吐き出した際の効果も変わり、緑は普通に吐き出すのに対し、赤なら3方向に拡散する炎を放つというような違いが現れたりもする。ほかにヨッシーに登場している時は、敵に接触してもパワーダウンとはならず、搭乗状態が解除されてヨッシーが逃げ出してしまう。この時、逃げ出したヨッシーに再度乗れば元の状態に戻ることが可能だ。全体的に冒険を手助けする相棒としての色合いが強いと同時に、マリオ(ルイージ)では到底できないアクションと技の数々が異彩を放つキャラクターになっている。
◇ヨッシー以外にも新要素として「ストックアイテム」「コース分岐」がある。前者は予備のパワーアップアイテムが手持ちのアイテムとしてストック(温存)されるというもの。似たシステムは前作『スーパーマリオブラザーズ3』にもあったが、今回は1つだけコースの現地で調達したパワーアップアイテムをストックでき、そのままコース内に持ち運んで使えるようになった。ストックされたアイテムは画面上に表示された青い枠に温存され、セレクトボタンを押すと落下。そのまま取ればアイテムに応じたパワーアップを図れる。また、ダメージが受けた時にもアイテムは落下し、そこから取ることができればパワーアップによる回復に繋がるなど、ピンチを挽回する役割も担ったシステムになっている。
後者は文字通り。今回は一部のコースに「第二のゴール」が用意され、そこを通ったか否かで新しいコースが現れたり、ルートが開拓されるようになった。第二のゴールは「カギ穴」が大半を占めており、ここにコース内のどこかに置かれた「カギ」を持ってきて挿し込むとゴールになって新たなルートが出現する。基本的には無理に狙う必要はないのだが、解放していくことで思いもよらぬショートカットも作られるなど、攻略に大きな変化を与えてくれる。
◇このほかお馴染みのパワーアップにも滑空と急降下による振動攻撃が可能な「マントマリオ」なる新種が追加。コースにも新たに「テレサ」を始めとするオバケの敵ばかり出てくる「お化け屋敷」が追加されたほか、仕掛けにも壁を垂直に駆け上がれる「三角ブロック」、表と裏を自在に動き回れる「金網」、特定の条件達成で実体化する「点線ブロック」といった新種が加わっている。道中に現れる敵にも新たなメンツが大量に登場。そしてマリオのアクションにも「スピンジャンプ」なる回転ジャンプ、金網に捕まっている時限定の「パンチ」などが追加され、これまでのシリーズにも増してできることが増えている。極め付けとして、前作にはなかった途中経過を記録してくれるセーブシステムも追加。最初から最後まで通しでプレイする必要もなくなった。
全体としては前作の『スーパーマリオブラザーズ3』をベースにしつつ、各種システムと要素の拡張とパワーアップを重点的に図った正統進化系の続編に仕上げられている。特にコースの密度は分岐の導入で前作以上に濃くなり、数も90以上とボリューム満点。まさに“ワールド”の名に恥じない広大な世界を駆け巡る冒険を堪能できるアクションゲームと言える。
『スーパーマリオブラザーズ』シリーズ随一の多彩な攻略法を編み出せる作りが異彩を放つ傑作。
特に本作の中で光っている新要素が「コース分岐」だ。元々『スーパーマリオブラザーズ』シリーズは1作目の頃から、本編に用意されたステージ(コース)を順番通り、1個ずつ攻略しなくてもいい作りになっていた。一部のコースに先のワールドへ移動できる「ワープゾーン」があり、それを活用することで早々と最終ワールドまで進められることができたのだ。
本作には「ワープゾーン」はないのだが、代わりに件の「コース分岐」とそこから繋がる特別なワールド「スターロード」が導入されている。前述したように、本作は一部のコースに設けられた「カギ穴」を開けたり、第二のゴールに到達すると本筋とは異なるルートが開拓。普通にゴールすれば洞窟が舞台のコースが解禁されるのに対して、カギ穴の開錠、あるいは第二のゴール到達の上でクリアすると、水中が舞台のコースが解禁されるといった具合に、全く違った展開が生まれるのだ。その流れに従ってコースをクリアしていくと、メインルートよりも早く進められたり、一部のコースをスキップできる。
そして、さらなる分岐を発生すると「スターロード」なる特別なワールドに行き着く。このスターロードのコースは1個クリアするたび、舞台となる恐竜ランドの別の場所に設けられたスターロードへの入口と繋がるようになっている。スターロードの入口は1ヶ所のみならず、恐竜ランドの各ワールドに用意されているのだが、場所によっては繋がることで入口先のワールドへとショートカットが可能に。普通にメインルートを辿った時よりも早くゲーム本編を進められるのだ。しかも、少しネタバレになるが、その中には最終ワールド兼最終コースの「クッパの城」に繋がるところにもある。つまり、スターロードを重点的に攻略すれば、残る多くのワールドを丸ごとスキップしてクッパとの決戦に挑める。実力次第では最速クリアも夢ではないのだ。
仕組み自体は過去作の「ワープゾーン」と一緒だが、本作は「コース全体を隅々まで調べて別の入口を探す」「特別なワールドを攻略しながら先のワールドとの繋がりを作る」といった具合に探索と開拓の遊びを確立させているのが特色になっている。また、今回は一度クリアしたコースに戻って、改めてプレイすることが可能になっているのも地味に大きなポイント。要はそのままどんどん進めて最後まで行ってしまってもいいし、引き返してメインルートの攻略に戻ってもいい。それで「やっぱり一気に進めたい」となったら、引き返したルートに戻って挑戦する……という感じに、自由な遊び方ができるのだ。
こうした特色が足されたことで、今回は過去作でも随一の多彩な攻略法を編み出せる内容に完成されている。それもあって、改めて最初から遊んでみる周回プレイも面白く、工夫しがいのあるものになっている。
分岐ルートを解禁したか、無視したかで全体の難易度が変わる仕掛けが凝らされているのも本作の面白い部分。その象徴とも言えるのが「点線ブロック」。このブロックは分岐ルートを辿った際に発見される「スイッチコース」なるゴール代わりに巨大な「!スイッチ」が用意されたコースを攻略することによって実体化。実体化すると「!マーク」が描かれたブロックになり、下から叩くと特定のアイテムを出してくれる。また、ブロックは赤緑黄青の4色があり、実体化する対象は色に応じたスイッチコースをクリアしたものになる。つまり、すべての点線ブロックを実体化させたくば、全色のスイッチコースを発見してクリアする必要がある感じだ。一見、単にコース内に新しいブロックを出現させるだけの仕掛けだが、実はこれをやることでコース内に設けられた穴が塞がって、安全地帯が増えるというメリットがある。実体化なしだと大ジャンプが求められる難所も、ブロックを実体化させればジャンプせずに進められるようになったりと、コース全体の難易度が著しく変化するのである。
しかも、実体化するか否かはプレイヤーの自由。より安全に進めたいならスイッチコースの全攻略を目指してもいいし、難関に挑戦し続けたいのなら無視してもいいのだ。こういった要素および自由度を担保した仕様もあって、本作はプレイヤーの取り組み方次第で難易度が変わるようになっている。システム的な難易度選択ではなくて、遊び方次第で易しくも難しくもなるという、興味深い試みがなされているのだ。この種の遊び方次第で難易度が変わる仕掛けは、前作だとアイテムストックシステムが該当したが、今回はそれとは異なるアプローチで見せてきた感じである。そして、これ自体もやるか否かはプレイヤーが自由に決められるため、まさに十人十色とも言える遊びと攻略法を生み出してくれるのだ。
ほかにも(名称がややこしいが)「ストックアイテム」に何のアイテムを持ち込むか、ヨッシーとどこまで一緒に行動するかなど、様々な部分に多彩な攻略法を生み出すシステムや要素が揃っており、本当にプレイヤーの取り組み方次第で色々と変わってくる。前述したように自由な遊び方自体は、シリーズ1作目からの特徴。それを本作は豊富な要素とユニークなアプローチでさらに拡げ、文字通りプレイヤーだけの冒険が生まれる『スーパーマリオブラザーズ』の新作に完成されている。ある意味、1作目から積み重ねられてきた自由な遊びの極致とも言える仕上がりであり、特にその部分にほれ込んだ人ほど、本作の攻略面の自由度には圧倒されるだろう。同時に『スーパーマリオブラザーズ3』のさらなる進化系としての仕上がり、作り込みにも唸ってしまうかもしれない。それほどまでに本作は攻略周りの自由度の高さが異彩を放つ『スーパーマリオブラザーズ』になっている。
単純に『スーパーマリオブラザーズ』シリーズの新作および、ひとつのアクションゲームとしての仕上がりも盤石。基本ルールは過去の3作と変わらず継承されているのに加え、元々の分かりやすさもあって本作でシリーズ初体験という人でもすんなりと入っていける程度にハードルは低い。
操作周りも前作をベースにキャラクターの挙動をより軽やかにし、勢いづくと滑るといったクセのある仕組みも適度に残した手触りの良いものに進歩している。難易度も序盤は簡単、中盤からやや手ごわくなり、終盤は難関続きといった理にかなった調整が光る。今回は途中経過を記録してくれるセーブシステムが追加されたのもあり、前作のように最初から最後まで、通しでプレイする必要が無くなったのも嬉しいところ。
コースも90以上という物量の多さもさることながら、敵に仕掛け、アイテムと言った要素を効果的に活かして個性付けを図る作り込みの深さが光る。特に仕掛けと敵のバリエーションに関しては相当なもので、次々と新しく、時にビックリするネタが炸裂する展開は一見の価値ありだ。
それ以外でグラフィックと音楽もファミコンよりも高い性能のスーパーファミコンになったことで大幅にパワーアップ。特に多重スクロールする背景、巨大な敵キャラクター、一部ボス戦における拡大・縮小表現を活用した演出には、ファミコンのシリーズ作品からの進化を実感させられるだろう。効果音も全体的にコミカルな感じに改められているほか、ヨッシーの鳴き声のように一度聴いたら脳裏に焼き付いてしまうようなものが用意されているのもちょっとしたセールスポイントである。
一方で前作から退化した部分や、もったいなさを感じさせる部分も。退化は変身アクション。種類自体が大幅に減った。そのため、前作のような多彩な姿をお披露目するマリオ(&ルイージ)を期待すると肩透かしを喰らう。新しい変身アクションの「マントマリオ」も、特に飛行時の操作が結構クセ強めで(ダッシュしてジャンプした後、十字キーをタイミングよく進行方向とは逆に単押ししていくというもの)、それなりの慣れが必要とされるハードルの高さを持ち合わせてしまっている。一応、飛行自体はクリアに必須ではないのが幸いだが。
もったいなさに関してはコースの再プレイ範囲。通常コース、お化け屋敷は可能なのに対し、スイッチコースと城コースは一度きりなのがちょっと惜しい。特に城コースについてはボス戦も用意された密度の濃い内容になっているのもあって、再プレイ対象にしてほしかったところである。クリアするとマリオによって爆破(!)されてしまう設定を踏まえると自然な措置なのだが……。それ以外でもヨッシーはお化け屋敷、城コースでは同行してくれない、命中するとコインに変化するようになったファイヤーボールの違和感のある特徴といったもったいない部分や気になる部分は散見される。
とは言え、いずれもゲームの体験自体にマイナスの印象を与えるほどのものにはなっていない。それもあって全体的な完成度は傑作と言い張れるほど高いものになっている。ひとつのアクションゲームとしても攻略自由度の高さと多彩な攻略法を編み出せる作りは特筆すべきものがあり、誇張抜きにプレイヤーだけの冒険が作れる仕上がりになっている。
名作『スーパーマリオブラザーズ』の良さを継承しつつ、スーパーファミコンという上位機種に移行したなりのパワーアップと、遊びの豊富さで異彩を放つ本作。シリーズをこれまで遊んできたプレイヤーはもちろん、アクションゲーム好きならば避けて通れない1本だ。様々な遊び方が生まれる文字通りのマリオワールドを堪能してみよう。