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  4. スーパードンキーコング3 謎のクレミス島
≫スーパードンキーコング3 謎のクレミス島
■発売元 任天堂
■開発元 レア
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 7500円(税別) / バーチャルコンソール版:823円(税込)
■公式サイト ≫スーパーファミコン版 / ≫VC版(Wii)
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 32ページ
■推定クリア時間 3〜5時間(エンディング目的)、7〜12時間(完全攻略目的)
キャプテンクルール率いるクレムリン軍団から、ドンキーを救出してかれこれ数ヶ月。

ある日の朝、ディディーの部屋に訪れたディクシーは、彼の部屋が空っぽになってる事に驚く。そしてふとテーブルの上を見ると、「ドンキーと島を探検してくる。明日、戻る」と走り書きしたメモが置かれていた。

そして、ディクシーは二人の帰りを待ったのだが、翌日…翌々日になっても二人は帰ってこなかった。不安になったディクシーは一人、彼らを探す為、二人が向かったDKアイランドの北にある島『クレミス島』へと向かった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆スーパーファミコン史上最高画質と言わんばかりの美麗なCGグラフィック
◆シリーズの伝統、CGならではの滑らかさが素晴らしい、キャラクター動作
◆同じくシリーズの伝統、リアルさを彷彿とさせない反応の良さが見事な快適な操作性
◆キーアイテム入手によって道が開いていく、それまでとは毛色の異なるゲーム進行形式
◆重量級キャラの概念を更に強化させた事により、より劇的に向上した戦略性
◆上に同じく、重量級キャラの概念を強化した影響により、キャラごとのアクションの違いが生じた『チームアップ』
◆波止場、小屋、大木、滝、更には巨大パイプ、工場などと…前作とは180度異なる、全7+1ワールド40コース
◆各エリアへの自由な出入が可能となるなど、フルモデルチェンジされたマップ画面
◆集めるアイテムが更に増え、また一段とやり応えがアップした完全クリア条件
◆グラフィックに負けず劣らずの秀逸な音楽(若干、音質と勢いは低下したが)
◆やや統一感に欠けるが、従来通りの簡単過ぎず、難し過ぎずを保ったゲームバランス
◆クレジット制が解除され、自由に行えるようになったセーブ

--- Bad Point ---
◆アクションゲームらしからぬ面倒臭さを生んでしまっているゲーム進行形式(『わらしべイベント』の存在も許し難い)
◆交互プレイ式の為、相変わらず難ありな2人プレイモード『Two Player Team』
◆開閉シャッターなど、異常なほどに取り入れられた『一時待機』を強制するステージの仕掛け群(アクションゲームのテンポの良さを損なってしまってる)
◆面白味に欠ける、バナナバード救出イベントにおける瞬間記憶のミニゲーム
◆地味な新キャラ『ディンキー』(能力的に目立ったものが無い)
◆役立たずでプレイ時のストレスをも生じさせてしまっている新アニマルフレンド『エリー』と『パリー』
◆地味極まりないボス戦(作業感が丸出しで、演出面も劣悪)
◆睡魔を呼び起こす『パイプ』のコース曲(昼食後にやるとヤバい…)
◆理不尽なバランス調整が成されてしまっている隠しワールドのコース『スイーピーの森』と『ポンコツロケットでGO!』
▼Review ≪Last Update : 9/29/2007≫
何時になったら、『カミさん』とやらは姿を現すのか!?

気がつけばシリーズ最大の謎に…。


フルCGによる美麗なグラフィックと高度なアクション性で一躍、任天堂の看板タイトルにまで成長した『スーパードンキーコング』シリーズの最新作にして第三弾。制作はこれまでと同様、イギリスのソフトハウス『レア』が担当。

一度、頂点の座に立った者は転落の道を辿る運命…。グラフィックは劇的に進化したがその他の面が大幅に劣化してしまった、残念極まりないアクションゲームだ。

ゲーム内容は、過去の2作と同じ。ディクシーとディンキーのいずれか一人を操り、多種多様なコースを攻略していく、横スクロールのステージクリア型アクションゲームである。システム周りもミッションクリアタイプのボーナスステージ、パートナーキャラを投げて敵を攻撃したり、高い足場に移動するチームアップのアクション、そしてアニマルフレンドのスペシャルアタック等、前作『スーパードンキーコング2』と同様ものを継承。全体的には前作のシステムを元にした、パワーアップ版とも言うべき作りとなっている。しかし、かと言って前作と全然変わらない内容…という訳ではなく、当然のようにシステム面の変更や新しい要素の追加もしっかり行われている。
中でも目覚しいのがゲーム進行形式の変更。これまでのシリーズでは、ワールドごとに用意された5つのコースを順番にクリアしていき、終盤のボス面で待ち構えるボスを倒すとワールドクリアとなり、次のワールドへの扉が開く…という流れとなっていた。しかし、今作では5つのコースを順番にクリアしていく流れこそ同じものの、ボスを倒した後の展開が激変。何と、次のワールドへの扉が開かなくなってしまったのだ。
というのも、本作では全体マップ画面がこれまでとは全く違う、乗り物によって各地を移動するものに改められ、一部の乗り物で無いと乗り越えられない地形、行ける場所が存在するようになったのである。なので、仮にボスを倒したとしても、乗り物が特定の地形を突破できるものでないと、次のワールドへは行けない。その為に今作では、ボスを倒す事で手に入る『乗り物のパーツ』を『ファンキーのボート小屋』なる場所へ持って行き、乗り物をパワーアップさせながら次のワールドへの道を切り開いていかねばならないのだ。別の言葉で言い表せば、RPGチックになったとも言うべきか。このような手順を踏みながら、今作の本編は進行していくようになっているのである。
それまで一本道に徹していたマップにも遊びを盛り込んだこの試みは、実にユニーク且つ挑戦的…なのは間違いないのだが、面倒臭い印象は否めず…結果として、アクションゲームとしてのテンポのよさを損なっているのは否定できない。RPGのようなお使いなどせず、純粋にアクションが楽しみたいシリーズファンの方にとって、今回のマップ画面の変更には正直な所、憤りを覚えざるを得ないだろう。
しかも、今作にはこのマップ画面を意識してか『わらしべイベント』までも用意されており、これが何と今作の完全クリアの条件として関わってくるようになっている。他にも『バナナバード』なるキャラの救出イベントで瞬間記憶問題のようなミニゲームも用意されているなど、アクションゲームとしてのテンポを損なうものは数知れず。
多種多様なコースを駆け抜ける疾走感と爽快感を何よりも大事にしていた前作をベースとしながら真逆のものを取り入れたのは、前作との違いを明確にしようという意志の表れなのかもしれないが、結果としてアクションゲームらしからぬ面倒臭さが全面に出てしまい、それまでの面白味が失われてしまった事は残念としか言い様が無い。
まさに、進化の方向を誤ったとはこの事である。

進化の方向を誤ったのはマップだけではない。コースの構成にも誤った進化が施されてしまっている。というのも、随所のコースにおいて『一時待機』を強制する仕掛けが過剰なほど導入されてしまっているのである。中でも開閉シャッターはその極みで、仮にシャッターの通過に失敗した場合、またスイッチの位置まで戻らなければならない『作業感』を出しており、アクションゲームの疾走感を殺いでしまっている。またシャッターとは別に、特定の攻撃で無いと倒せない敵が塞いだ通路、こちらの行動スピードが強制的に遅くなるコース、コントローラの操作が逆転するコースと言ったものも致命的である。
下から迫ってくる巨大なのこぎりや3D攻撃を仕掛けてくる敵など、面白いアイディアが凝らされたコースもあるが、総じて今作のコースの出来は劣悪と評するしかなく、アクションゲームとしては及第点に達してるとは言い難い。これもまたマップと同様、進化の方向性を間違えた恰好だ。イタズラに複雑なものにすれば良いってもんじゃない。
そして、プレイヤーキャラクターにも今作ではディディーの代わりに『ディンキー』なるキャラがディディーの代わりとして登場しているのだが、前作のディクシーほどのインパクトは無く、ドンキーにディディーの特徴を付加しただけの味気ないキャラクターとなってしまっているのが寂しい。『水切りジャンプ』なる彼ならではの技もあるのだが、使い勝手が悪い上に使用場面に恵まれず、とって付けた印象が否めないのも痛い。ただディンキーの追加により、チームアップのアクションにディクシーがプレイヤーならば地面を破壊するプレス攻撃が、ディンキーがプレイヤーならば高い所まで到達できる投げができると言った差異が設けられたのは評価に値する点だ。これにより、チームアップとタッグプレイの戦略性を増加させ、より奥深いゲームプレイを演出する事に成功している。また、重量級キャラの概念が復活し、ディンキーでなければ倒せない敵が登場しているのも戦略性のアップに一役買っており、二人の差をより引き出した所も見事だ。
しかし、それでも全体的に地味な事に変わりはなく、前作を遊んだ時ほどの衝撃が無いのは寂しい所である。この点に関しては進化の方向事態に誤りは無いが、できる事ならばもう少しはっちゃけて欲しかったところだ。
これぐらい、極力シンプルにまとめるのも決して悪い事じゃないが。
だが、アニマルフレンドは論外。特に今回、新たに加わった『エリー』と『パリー』の二匹は役立たずも良い所で、前者の「特定の敵キャラを前にすると逃げ出す」という弱点は蛇足としか言い様が無い。ゲームシステム的にも面白さに直結しておらず、単なるプレイの煩わしさを出すだけに至ってるのも致命的だ。これは進化どころか大失敗も良い所だろう。

何気にボス戦も今回は酷く、コースと同様に作業感に満ちたメンツばかりで、全く戦ってる感触が得られない。倒した時の演出も地味極まりなく、アクションゲームならではの手応えを出し切れてないのも痛過ぎる。
一方でコースの地形に関しては、今回もバリエーション豊かで、自然地形から人工的な場所まで、多種多様なコースがプレイヤーの前に立ちはばかる。バラエティー豊かな展開は今作でも相変わらず健在で、プレイヤーを全く飽きさせない。そして、各コースを彩るグラフィックもこれまた素晴らしく、スーパーファミコンの最高画質と言っても過言ではない美しさを実現している。特に今作では水の描写が必見だ。
音楽もなかなか。前作に比べると残念ながら出来は劣るが、相変わらず名曲は満載で、従来の味を残している。特に『大木』、『クレバス』、そして『滝』の曲は必聴の価値ありだ。しかし、その反面…『パイプ』の曲は要注意。特に昼食をとり終わった後にこれを聴くと、猛烈な睡魔に襲われる恐れがある。時間を無駄にしかねないので、気をつけた方がベストだ。…それ以前に、この曲自体が問題だが。正直、この曲があるせいで本作の音楽は評価を落としてしまってると言ってもおかしくは無い。もう少し、勢いのある曲だったら話は違ってたのだが。

操作感、ゲームバランスも従来の絶妙さを実現。ただ、バランスに関しては、完全攻略の条件が面倒になったのとコースの落差が激しい為にやや崩壊している所がある。それでも理不尽さが無いのは流石任天堂…と言ったところか。
他にも地味に濃くなったストーリーとクレジット制で無くなったセーブ、そしてワールド内部のマップの自由離脱が可能になったなど、前作から劇的に進化した部分はあり、それなりに頑張っている印象をうかがい知る事はできる。
だが、それでも今作がこれまでのシリーズに比べると劇的に劣る作品である事は残念ながら、覆らない。折角、いつものようにグラフィックと音楽、そして操作性やゲームバランスの面は良い仕事をしているというのに、肝心のアクション性を著しく損なう誤った進化が施されてしまっているのは本当に勿体無いとしか言い様が無い。
操作性、バランスは悪くないので、遊べる事は確か。しかし、面倒臭さが強く、正統なアクションゲームとして評価を下していたシリーズファンの方、そしてアクションゲームが好きな方には、あまりお薦めできない一本である。
とにかく、残念としか言葉に出ない。前作のような勢いが備わったゲームなら文句無しに名作だったのに…。改めて、続編におけるジンクスの惨さを痛感する次第だ。
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