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  4. スーパードンキーコング
≫スーパードンキーコング
■発売元 任天堂
■開発元 レア
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 9800円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 32ページ
■推定クリア時間 4〜6時間(エンディング目的)、8〜10時間(完全攻略目的)
恐ろしいほど風の強い、嵐の夜の事…。

ディディーコングはドンキーコングに言われて、バナナ倉庫の見張りをしていた。
しかし程なくして悪名高いクレムリン軍団が現れ、ディディーは彼らに捕まってタルに閉じ込められてジャングルの茂みに放り込まれ、倉庫にあったバナナも全て盗まれてしまった。

翌朝、クランキーに叩き起こされたドンキーは倉庫の有様を見て驚く。
そして倉庫付近の地面に点在する複数のブーツの足跡から、犯人がクレムリンの一味だという事が分かったドンキーは、バナナを取り戻す為、そして行方不明の相棒ディディーを助ける為、ジャングルの奥へと入って行った…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆フルCGによるレンダリング技術を用いた、圧倒的なグラフィック(新しい背景見たさにプレイヤーの先へ進みたい意欲を促進させる、けん引役としても活躍する)
◆本物のゴリラからモデリングをしているだけにある、リアルで滑らかなドンキー達の動作
◆滑らかな動きを思わせない機敏さが秀逸な、シンプルで分かり易い直感的な操作性
◆2人のキャラクターを使い分けながら進めていく、戦略性の高いゲームシステム
◆各ワールドのコースをクリアしながら、最後に待ち構えるボスを倒す…という分かり易い進行形式
◆美麗なグラフィックもさる事ながら、細部まで丁寧に作り込まれている全33のコース
◆ボーナスステージの探索とクリア率コンプリートと、やり応え満点のやり込み要素
◆ジャングル、洞窟、更には工場に毒ガスの洞窟などと多種多様なコースの地形群
◆突進攻撃、羽ばたきジャンプ、ハイジャンプと言った特徴ある能力とアクションが魅力的なアニマルフレンド(特にカジキのエンガードはかなり便利。)
◆美麗なグラフィックを更に映えさせる、重厚で哀愁漂う音楽
◆高めではあるが、諦めずに挑戦すれば必ず突破できる絶妙さが見事なゲームバランス
◆ファン必見にして衝撃的な初代ドンキーコングの劇的な老化(笑)

--- Bad Point ---
◆チェンジプレイなのがぎこちない、2人プレイモード『Two Player Team』
◆少し嫌らしい、レベル選択のマップ(ワールドマップ)への脱出法(ボスを倒すかマップ上にあるファンキーコングの小屋にある飛行機を使わないとマップに出れない)
◆ボスの一部に使い回しがある上、しかも対決となる舞台の背景が全て統一されてしまっている(ラスボスは除く)
◆極端に限定化されたセーブポイント(レベルクリア後に自動セーブされないのも痛い)
◆コース攻略の大きな妨げとなってしまっている、アニマルトークンのボーナスゲーム(これを3つ集めると、コースの攻略が既に突破した地点からやり直しに…。)
▼Review ≪Last Update : 8/25/2007≫
デジタルゴリラ、推参!

カッコ悪…。(本音)


ドンキーコング生誕13周年の一環で発売された、ドンキーコングシリーズ最新作の2本目(1本目はゲームボーイの『ドンキーコング』)。実制作は『バトルトード』等で知られるイギリスのソフトハウス『レア』が担当。

これはマジで大革命以外の何者ではない!スーパーファミコンとは思えない、美麗なグラフィックと戦略性の高いゲームシステムで送る、豪華絢爛のアクションゲームだ。

ゲーム内容は、横スクロールタイプのステージクリア型アクションゲーム。プレイヤーはドンキーコングとディディーコングのいずれかを操作し、全6レベル33にも渡るコースを突破し、クレムリン軍団に奪われたバナナを取り戻す為、親玉のアジトを目指して突き進んでいく。悪く言えば、『スーパーマリオワールド』のキャラクターをマリオからドンキーコングに置き換えただけのゲーム。敵を倒す方法が踏み付けだったり、バナナを100本集めると残り人数が増えるシステムがあったりと、所々にマリオシリーズから横取りしたシステムや影響を受けた要素が点在しており、はっきり言ってゲームとしての斬新さはほとんど無いに等しい。それ故に、マリオシリーズに慣れ親しんだ方ならばすんなりと本編に解け込められるメリットこそあるが、シリーズをこよなく愛す熱狂的なファンの方にとっては、あまりのゲームとしてのソックリさに怒りを覚えてしまうかもしれない。かと言って本作、そう簡単に『マリオのパクリ作品』だと言い切れるほど、酷いゲームではない。というかむしろ、この時点で結論を言ってしまうと、本作はスーパーファミコンでは三本の指に入るクラスの名作と言ってもおかしくない、高い完成度を誇る逸品なのだ。
その理由として先ず、戦略性の高いゲームシステムが挙げられる。先に触れたが、本作ではプレイヤーが操作するキャラクターは一人でなく、ジャンプ力やパワーの異なる個性を持った二人を交互に操作しながらコースを攻略していくという、ネタ元のマリオには無かった、風変わりなシステムが導入されており、お互いの特性を上手く活かし、様々な状況に応じて二人を使い分けていくというその手応えは、マリオには無かった新しい面白さを提示している。更にそれと同時に、アクションゲームとしては異質な戦略性の高さも打ち出しており、指先だけでなく、頭の回転も問われるというアクションゲームとしては新しい手応えを実現している。しかも、その頭の回転を問われる場面というのが、いずれも深く考え込む必要のあるものではなく、瞬時に判断する必要のものばかりに限定されてるのが実にお見事。アクションゲームにおいて重要な『テンポの良さ』を損なわない工夫が凝らされており、純粋に遊んでいて気持ち良い快感を醸し出している。
また、二人を操作すると言っても基本は前方に出ているキャラクターのみがプレイヤーが操作する事になるキャラクターで、後方にいるキャラは自動操作という仕組みになってるので、操作自体に煩わしさが無く、それでいてキャラクターのチェンジ方法もボタン一発で行う事ができるほどシンプルであるなどと、操作周りも変に込み入ったものになっておらず、純粋に遊んだ際の気持ち良さを追求している姿勢もお見事。この辺りに関しても、アクションゲームとしてのこだわりをヒシヒシと痛感させられる。
確かにゲームの根幹を成す要素はマリオと同じである。しかしこのように本作では、マリオには無い新しい遊びと手応えを全面において表現しており、似ている事は似てるけど、遊び応えがまるで違うという差異を上手く引き出しているのだ。
これが単純に本作が、マリオのパクリだと言い切れない決定的な理由である。

だが、理由はそれだけでなく、他にもある。それが二つ目の濃密なコース構成。総勢6+1レベル33ものコースが本作には用意されてるのだが、このコース一つ一つの濃さが凄い。数こそ少ない感こそあるが、いずれのコースも全体のボリュームが満点で、意外と長めに作られているのだ。しかも長いと言っても、いずれも適度な長さでダレる事が無く、尚且つどのコースも仕掛けや敵配置の起承転結が上手くまとめられており、長めながらも決して苦痛に感じない…むしろ、その過程が楽しいと思ってしまうバランスで構築されているという作り込みの深さ。各コースごとに張り巡らされてる仕掛けも本作ならではのオリジナリティの高いものが満載で、コース全体を明るくするスイッチ、自動で右に流れていくロープとリフト、無数のエレベーターなどとバラエティ豊かで、プレイヤーを飽きさせない。特に『タル大砲』なる仕掛けが醸し出す、キャラチェンジとは違う瞬時の判断力が問われる緊張感は相当なものがある。その他にも、コースにはメインのルート以外に隠し部屋(ボーナスステージ)があったり、秘密のショートカットがあったりなどと、プレイヤーの探究心をくすぐる要素も完備されているという徹底振り。とにかく、何処もかしこも…濃い。
また、歯応えのあるゲームバランスとやり込み要素の豊富さも挙げずにはいられない。ゲームバランスは流石に海外が制作したゲームという事もあってか、やや高めに設定されているのだが、理不尽に難しい箇所は全くあらず、諦めずに挑戦すれば必ず突破できるという、海外製のゲームとしては珍しい、絶妙のバランスを維持している。セーブできる場所が限定されてるなどの嫌らしい所もありはするが、それも焦らずに取り組んでいけばどうにかなる程度のレベル。達成感とそれに四苦八苦する面白さを打ち出した、説得力且つ楽しさを大事にした調整が施されている。
更に本作はやり込み要素も充実していて、ゲームのクリア率がパーセンテージで表示される要素が盛り込まれている。このクリア率はコースクリアのみならず、先程触れた隠し部屋ことボーナスステージを発見した数も含まれており、クリア率を最高にするには、全33ものコースに配置されたボーナスステージを見つける必要がある。それがまた実に手応え満点で、狙い出すと本作は難易度が通常の2倍ほどに膨れ上がる副作用まで生じる。しかも、その手強さはコアユーザーでも手こずるほど。クリアするだけでも結構手応えがあるのに、それ以上のものを提示してしまうとはどんだけだ…。
このように本作コースからゲームバランス、更にはやり込み要素と作り込みは尋常でなく、全編を通じて制作側の鬼気迫る勢いをプレイを通して肌で感じる事ができる。基本的にはマリオからの影響が強めだが、それを更に面白く、プレイヤーを最後の最後まで飽きさせない起伏のあるものにさせたこの姿勢には改めて感服する。…と同時に、やり過ぎだ。

そして、満を持して語るのが革命的としか言葉に表せない美麗なグラフィック。これが本作の全てと言っても良いだろう。スーパーファミコンでは実現不可能と言われた、フルCGによるレンダリング処理を取り入れた驚異的な美しさを誇るグラフィックを実現してしまっているのだ。その美しさは、精巧なドット絵の美しさとは比較にもならない凄さ。思わず「これ、ほんとにスーファミなのか?」と目を疑ってしまう事間違いなしだ。
また、高い技術力と圧倒的な描画力によって実現したそのグラフィックは、ただ見ているだけでも楽しく、それがゲーム本編と上手く融合して、美しい背景を見たいが為に先のコースやレベルへと進みたくなる欲が湧き出すという、心理的な副作用をも発揮しているのも凄いとしか言い様が無い。確信犯にも程がある。
だが凄いのは背景だけではない。キャラクターの動きも非常に滑らかで、特にプレイヤーキャラでもあるドンキーとディディーの動きは、本物のゴリラの動きをモデリングして作られてるという事もあって、あまりにもリアル。しかも、そんな滑らかな動きに反して操作性は抜群で、海外製ゲームの特徴でもあった、リアルな動きを表現するが故のもたつきのある操作性が実現されてないのが凄い。いかに製作スタッフが、日本のゲームを研究して、本作を作り上げたのかが伺えるこだわりだ。言うまでも無いが、この美しい映像を堪能するだけでも、本作をプレイする価値は十分どころか百分もあると言えよう。とにかく、インパクトが半端じゃない。
そして、これらの美しい映像を更に映えさせる、音楽の素晴らしさも語らずにはいられない。これもまた、スーパーファミコンとは思えないほど重厚且つリアルで、本当にその世界にいるかのような錯覚を受ける。曲自体も見た目のコミカルさとは反した、何処かシリアスで哀愁の漂う曲が盛り沢山で、良い意味でギャップが激しい。勿論、名曲も満載で特に水中面、(炭鉱風の)洞窟面、そしてラスボス戦の曲は必聴の価値ありだ。

他にもゲーム攻略を助けるアニマルフレンドなる動物の仲間達による、特徴あるアクションが楽しめたり、マリオと戦った初代ドンキーコングがあらぬ姿で登場したりと見所は満載。
先にも述べたセーブポイントの極端な限定や二人プレイモードの煩わしさ、道中で特定のアイテムを集めた際に挿入されるミニゲーム終了後の扱い、レベル選択のマップ(ワールドマップ)への脱出法が若干、嫌らしいものとなっている等…不満点もここで羅列してみるが、繰り返しとなるがいずれも些細なレベル。致命的でないのが幸いだ。
とにもかくにも、もう最初に結論を言ってしまってるので繰り返しはしない。言う事は唯一つ。お薦め。アクション初心者から上級者まで、幅広く楽しめるスーパーファミコン屈指の豪華絢爛アクションゲームの決定版だ。スーパーファミコンの秘められし力が放つ、”デジタルゴリラ”の世界を心行くまで満喫してみて欲しい。格好悪いのは気にしない方向で。
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