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≫スーパーボンブリス
■発売元 BPS
■開発元 エイプ(現:クリーチャーズ)
■ジャンル アクションパズル
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 7875円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 6つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 24ページ
■推定クリア時間 4〜7時間(エンディング目的)、35〜50時間(完全攻略目的)
テトリスの派生作『ボンブリス』が満を持してスーパーファミコンに登場。シリーズ初のコンピュータ対戦を始めとする、4つのゲームモードで貴方の睡眠時間は削られる…!?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆テトリスとは似てるようで違う、爆破の重要性を打ち出した独創的なゲームルール
◆爆破がテーマのゲームならではの爽快感溢れる演出群(エフェクトにも力が入ってる)
◆面クリア、詰め将棋などの多彩な遊びが味わえる、全四種類のゲームモード
◆シリーズとしては初めて、一人でも対戦の醍醐味が楽しめるようになった新モード『VS.COM』(対人戦を想定したバランス調整もユニーク)
◆個性豊かなブロックの初期配置が異彩を放つ、『コンテストモード』のラウンド群
◆コンテスト、パズルなども含めて100ラウンド以上と、やたらと充実した総計ボリューム
◆テトリスとは異なる一発逆転要素の多さが刺激的な、白熱必至の対戦プレイ
◆落下速度、難易度設定など平等な対戦を演出する為に凝らされた、充実のオプション
◆本物のブロックを動かしているという、生々しい手応えが秀逸な操作性
◆適度に温くて厳しい、絶妙さが見事なモード別のゲームバランス(VS.COMだけ除く)
◆クールな色使いが印象的な、デザイナーのセンスに富んだグラフィック
◆エキセントリックなデザインが強烈な『VS.COM』の登場キャラクター達(濃い…)

--- Bad Point ---
◆初代からの水増しに留まった、無難過ぎる進化(経験者は物足りなさを感じるかも…)
◆対人戦を想定したとは言え、厳しく設定し過ぎな感もある『VS.COM』の対戦キャラクター達の強さ
◆単に強い事だけが強調され、いま一つ個性が薄い『VS.COM』対戦キャラクター達
◆リアルとは言え、少し気持ち悪い感も否めない操作性
◆やや耳障りなところのある、ブロック落下の効果音
◆何故かコマンドの隠しとして用意された『2プレイヤーズ(対戦プレイ)』のハイスピードモード
▼Review ≪Last Update : 9/20/2008≫
つ、釣り合ってない!強さが釣り合ってないぞ!

だって、対人戦の再現を目指したんで。


ファミコンでリリースされ、その爽快感溢れるゲーム性で好評を博した、テトリスの派生作『ボンブリス』シリーズのスーパーファミコン初進出作品。開発は過去のボンブリスシリーズと同じ、エイプ(現:クリーチャーズ)が担当。

無難な進化に留まった、オーソドックスな続編である。

まずは簡単に、ボンブリスのあらましを。基本的には、テトリスと同タイプの落ちモノパズルゲームで、落ちてくるテトラミノ(ブロック)を横一列に並べていくというものとなっている。だが、テトリスと似ているのはそれぐらい。ブロックの列を消す仕組みは全く違い、今作では『爆弾ブロック』なるそのまんまなものを並べて、列を消していく仕組みとなっている。テトリスのように、ブロックだけしか並ばない列を作って消そうとしても、絶対にそれが消える事はない。そのまま残ってしまうのである。更に仮に爆弾を並べて消したとしても、その量が少なかったりすると破壊し切れなかったブロックはそのままフィールド内に残されてしまう。つまり、並んだブロックを全て消したければ、より多くの爆弾を列にセットする必要が生じてくるというわけ。ブロックを並べるのも大事だが、それ以上に如何に上手く爆弾を列に組み入れていくかが要されてくる、知略的な面白さを強調したゲーム性、バランスを押し出しているのだ。
以上がボンブリスと呼ばれるゲームの大まかなあらまし。こんな感じにテトリスとは違う、『破壊』に重きを置いたパズルゲームとなっているのである。地道にブロックを消していくテトリスとは違い、爆弾のセットの仕方次第では予想だにしない大連鎖(誘爆)も起こせ、大胆なプレイを堪能する事もできる。また、爆弾は普段は小さいが、4つの爆弾を組み合わせる事で巨大化させるなんて事もできる。勿論、その爆弾の破壊力はでかいだけに強烈。更に沢山作れば、僅か数手でフィールド内のブロックの山を消し去るなんて荒業も。まさに『豪快』の言葉がよく似合うゲームとなっている。そんなボンブリスは過去、ファミコンでシリーズ二作がリリース。スーパーファミコンでも『スーパーテトリス2+ボンブリス』という、本家テトリスとの共演作が発売された。本作はボンブリス単独としては、初のスーパーファミコンタイトルとなる。
基本的に過去のシリーズとの大きな変化は無い。あるとしたら、新しいゲームモードとしてコンピュータ対戦の行える『VS.COM』が追加された程度で、他はランダムで落ちてくる100個のブロックを駆使してフィールド内のブロックを全て消す『コンテストモード』、決められたブロックを使ってフィールド内のブロックを消していく『パズルモード』、そして二人プレイの『2プレイヤーズ』と言った、過去のシリーズと変わらぬラインナップで構成されている。
しかし、『2プレイヤーズ』…対戦プレイで選べる専用のステージが50面にも増大していたりなど、スーパーファミコンならではの進化も加味。更にバッテリーバックアップ機能によって個別のセーブファイルが設けられ、モード別のスコアが詳細に記録されるようにもなったのみならず、プレイの進行具合も一目で付くようになり、プレイアビリティも劇的に向上。
さほど劇的とは言えない進化が無い為、地味過ぎる感も否めないが、総合的にはこれまでのボンブリスシリーズの伝統を尊重した、とても無難な進化に落ち着いている。あまり大きな変化は無いので、シリーズをプレイしてきたユーザーならば、さほど違和感を抱くことなく、安心して楽しめるだろう。
勿論、未経験者の方も少しプレイすれば一発で理解できるほど、敷居の低いものとなっているから、安心して楽しめる。パズルゲームらしい取っ付き易さはテトリスに負けず劣らず。本作でもそれは健在である。

そんな今作の魅力は、まさにその無難な進化に落ち着いているが故の変わらぬ面白さ、それに尽きるだろう。元々、ボンブリスのゲームデザインというのは初期の時点で完成されており、テトリスとは一線を欠く爽快感溢れるゲーム性と『コンテスト』、『パズル』双方の圧倒的なボリュームとやり応えは十分なインパクトを兼ね備えていた。本作でもそのゲーム性とインパクトは損なわれておらず、むしろあえて無難な進化を選択したが故に一層、それらに磨きがかけられている。
前者、ゲーム性に関して言えば主に演出周り。爆発時のエフェクトこそ、初代からのものを引き継いでるが、効果音はスーパーファミコンの恩恵を受け、より質感のあるものへと大きく様変わりし、よりリアルな爆発の快感を堪能できるようになった。また、今作では『コンテスト』、『パズル』共に各ラウンドごとの背景グラフィックも種類が増え、一種のツアー感覚が味わえるようになったのも磨きをかけられた箇所の一つ。夜景の綺麗な都会に綺麗な森など、多彩なパターンが用意されているので、それら見たさについコントローラを握りたくなってしまう。各背景グラフィックも気合の入った仕上がりとなっていて、その感情を昂ぶらせるだけの説得力を兼ね備えているのもお見事。色数の増加で、より決め細やかなグラフィックが表現できるようになった、スーパーファミコンならではの進化と言ったところだ。
そして後者、インパクトの面についてもまた然り。『コンテスト』、『パズル』の二つのモード共にステージは全て一新、先にも語った通り、ラウンド別に細かなスコアが記録されるようになったので、遊び甲斐も大幅に進化(深化)している。
新しいモードであるコンピュータ対戦の『VS.COM』の存在も大きい。
プレイヤーが攻略する対象が増えてボリュームが増したのもそうだが、それまでの黙々とブロックの山を消していくゲームスタイルに、そのブロックを効率的に消していくアクションゲーム的な要素がプラスされ、新しい遊びが一人でも味わえるようになったのは、ボンブリス全体にとっては、大きな変革と言ってもおかしくはないだろう。
一人は黙々、二人(対戦プレイ)はドンパチと言った柵が壊された。黙々とやるよりも派手に遊びたい、相手が見つからないから対戦の面白さが味わえないと嘆いていたユーザーにとって、この変革はまさに涙モノ。
しかも、そんなユーザーの声に答えるの如く、対戦相手となるコンピュータの強さも手強く設定。本当に人と対戦しているかのような錯覚が堪能できる辺り、如何に今作が対戦を体験した事の無い方に対して提供された作品なのかがうかがい知れる。裏を返せば、初心者にとっては酷な仕様でもあるが。
また、対人戦の方…お馴染みの二人プレイも、同じように元は旧来のものを継承しつつ、高速化機能の追加で、よりスリリングなプレイが味わえるようになっている。更にあえてネタバレするが、裏技を使えば尋常にならない落下速度での対戦プレイも可能。あまりにハチャメチャな光景に、誰もが笑いが止まらなくなってしまうだろう。
ゲーム性、そしてインパクト(ゲームモード)の進化全て、基本的にはハードのスペックが上がったからできない事をやった、と発想としては正直、大したものでは無い。元のルールを崩すかのような試みも成されてなければ、過去との大きな違いとかも無い。だが、元から完成されていたボンブリスをより際立ったものにさせようとしたという意味では、これらの試みは成功していると言っても良いだろう。
このように今作、続編モノとしては本当に無難過ぎるほどの進化しかない。かと言って、新しさが皆無な訳でもなく、上位ハードに移行したが故の恩恵は盛り沢山。良い意味で、嫌悪感の無い『無難さ』が通されているのだ。元が完成されているのだから、下手に手を加えたりでもしたらボンブリスでなくなる!これらの進化はまさに、そう言ったスタッフの不変の面白さを追求したが故のこだわりの賜物と言えるだろう。

その他、操作性もスーパーファミコンに移行した恩恵を受けてか、「ヌルッ」とした生々しさが付加され、独特の味を持ったものに進化。カクカクと動かない為、一種の気持ち悪さもあり、予期しない事故が起こると言った欠点もありはするが、「自分が本物のブロックを動かしている!」と錯覚してしまう、その手応えは要チェックである。
ゲームバランスも『VS.COM』の対戦相手が強力過ぎたりと粗もあるが、他のコンテストやパズルは適切な難易度に調整されており、元来の面白さを尊重しているのがお見事。特にパズルは極めて絶妙なバランスで、どのラウンドも落ち着いて考えれば必ず解けるという、思考型パズルゲームの醍醐味を厳守した作り込みが成されているのがお見事。その気合の入れ様は説明書のQ&Aで「こちらがクリアできるように調整していますから、詰まることはありません」と語っているところからも感じ取れる。でも、それならばコンピュータの強さも気合を入れて調整して欲しかったと、言いたくなってしまうのも事実。その辺は正直、残念である。
また、各ラウンドや背景グラフィックを盛り上げる音楽も曲の種類が少なめで、盛り上がりに欠けるのが辛い。悪い意味で背景に溶け込んだ、空気的な曲が大半を占めてしまっているのが何とももどかしい限りだ。
これもまた、先のバランスのようにもう少し、気合を入れて欲しかった。プレイヤーのモチベーションを持続させる為にも、これの存在はきわめて重要なのだから。ただどの曲も、聴いていてさほど不快感を感じない辺りは、流石。これはゲームの雰囲気へのマッチングが上手く出来ている事の現れと言っても良いだろう。

それ以外にも、コンテストを始めとする各モードの遊び応え満点のスコアアタック、何処かエキセントリックなデザインの登場キャラクター達など、魅力的なポイントは満載。
続編タイトルとしてはあまりに無難すぎて、シリーズを遊んで来た方には少し、物足りなさを感じてしまうかもしれないが、爆発の爽快感に重きを置いたゲーム性と各種モードのボリューム、白熱必至の対戦プレイは今なお、色褪せぬ面白さが充実。既に完成されたゲームシステムと少ない容量を元に、スーパーファミコンだからこそできる事を可能な限り詰め込んだ、この『スーパーボンブリス』。ファミコンの初代からシリーズを遊んで来たプレイヤーは勿論、未体験の方にも自信を持ってお薦めする、名作アクションパズルゲームだ。テトリスと同じようで違う、この摩訶不思議なゲーム性は一度でも味わってみるべき。某爆弾男ではないけど、ボカボカとブロックを壊しまくってみましょう。
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