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≫マリオとワリオ
■発売元 任天堂
■開発元 ゲームフリーク、エイプ、ビートマニアック(音楽)
■ジャンル パズルアクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 ソフト単体版 : 6930円(税込) / マウス同梱版 : 9975円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※バックアップ機能・パスワードコンテニュー無し)
■その他 スーパーファミコンマウス専用(※通常コントローラでは遊べません
■総説明書ページ数 紛失している為、不明
■推定クリア時間 2時間〜6時間(エンディング目的)、7時間半〜8時間(完全攻略目的)
マリオ、ルイージ、ヨッシー、ピーチの面々は「妖精を見ると幸せになれる」という言い伝えを信じて、妖精の森へとやってきた。しかし、妖精の森へ着くや否や、ルイージが突如として行方をくらましてしまう。一体、ルイージは何処へ行ったのか…そう彼を探すマリオ達の前に、愛機の小型飛行機『ブルドック号』にまたがってワリオが現れる。
彼は現れるや否や、空中からマリオ達にバケツを投げつけ、目隠しさせてしまった。しかも、そのバケツはマリオ達の手では取れないものだった。あまりに唐突過ぎるワリオのイタズラによって、大パニックに陥るマリオ達。

この一部始終を目撃していた、1人の妖精がいた。妖精の名はワンダ。ワンダは、ワリオによって目隠しされてしまったマリオ達を助ける為、彼らの前に現れ、マリオ達と共にルイージの発見に協力する事になる。こうして、ワンダという心強い味方を迎えたマリオ達は、改めて、ルイージの発見に乗り出す。
果たして、マリオ達とワンダはワリオの執拗な攻撃をかわし、無事、ルイージと再会する事ができるのか。
不思議な冒険が今、始まる。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆目隠しされたマリオ達をゴールまで無傷で導く、シンプルで斬新なゲームシステム
◆たった1ボタンしか使用しない、シンプル過ぎる操作性
◆一撃アウト制による、強烈極まりないスリル
◆ボリューム満点で、綿密に作り込まれた全10+1レベル110面のステージ(特にパズル性の高さ、アクション性の高さを存分に発揮したステージはお見事の一言に尽きる)
◆選んだキャラクターによって難易度が大きく異なってくるという、実に奥深い要素
◆いかにも”マリオらしさ”に満ちた、自由度の高さ
◆高めだが、理不尽さもなく綺麗にまとめられているゲームバランス
◆スター集め、ハイスコア狙い、最小クリック数クリアなど豊富に盛り込まれたやり込み要素
◆奥行きがあり、本当にその場が存在するかのようなリアルさが見事な背景グラフィック
◆ルイージファンにたまらないゲーム内容(全ステージのゴールにルイージがいる(笑))
◆ワリオをボコボコとハンマー殴る快感が素晴らしいボーナスステージ
◆不自然さ大爆発のスペシャルステージ(その訳は、見れば分かる…。)

--- Bad Point ---
◆セーブ機能が無い(本作には正直、あるべきだった…)
◆あまりに厳しい、後半のレベル9(やたらと高度なテクニックを要求される場面が多い)
◆あまりに地味で音源的にも貧弱な音楽(印象的な曲は多いのだが…)
◆小さな子供にはちょっと厳しすぎる感のある難易度(それなりにバランスは取れているのだが、一撃アウト制というのが人によってはちょっとキツいかも…)
◆敵の種類がちょっと少ない(あと2匹ぐらいは登場して欲しかった)
▼Review ≪Last Update : 7/21/2007≫
だから…、取れって。

遊んだ人の9割(推定)がツッ込む事。


スーパーファミコン初の周辺機器『スーパーファミコンマウス』の操作に特化した、新感覚のアクションパズルゲーム。制作は後に『ポケットモンスター』でその名を馳せるゲームフリークと『MOTHER2』の制作に携わったエイプが担当。

スーパーファミコンマウス専用の操作だからこそ成し得た単純且つ、独特な操作性とオリジナリティの高いゲームシステム、そしてアイディアが光る、異色のパズルアクションゲームだ。

ゲーム内容は、キャラクター誘導式のステージクリア型のパズルアクションゲーム。プレイヤーは妖精のワンダをマウスを使って操作し、左右に勝手に歩き回るマリオ達を杖で叩きながら、ルイージが待つゴールまで誘導していく。
基本システムを聞く限りでは、ワリとシンプルなゲームなんだなという印象を受けるかもしれないが、本作はパズルアクションゲーム。そんなサクサクとマリオ達を誘導していける簡単なゲームにはなっていない。足場を造ったり、進路上に立ちはばかる敵を倒したり、更にはマリオ達の方向転換を積極的に行わなければならないなどと、常に頭をフル回転させながら、様々な状況に応じた作業をこなしていかなければならないのである。
特に本作において、最もプレイヤーに要求されるのが足場を造る作業。基本的に本作でマリオ達が駆け巡るステージには、常に足場となるブロックが登場する。そのブロックの大半は、大抵ステージ開始前にはまだ出来上がっておらず、ここをマリオ達が通過してしまうと下の段へと落下、最悪その下の段にトゲが設置されていたら速攻でミスとなってしまう。更に、その足場を造らねばならない所がゴール前ならば、永久にそのステージはクリアできず終いになる。そう言った事態を回避する為にも、プレイヤーはブロックを造ってマリオ達の進路を確保していかなければならないのである。はっきり言うが、本作に登場する大半のステージはこのブロックを造らなければ、1面もクリアする事は不可能。それ位、作業自体のウェイトが高く設定されているのだ。
なおブロックの造り方は、点線で囲まれたブロックを左ボタンでクリックするだけと非常に簡単。ブロックのピースを集めてくっ付ける…みたいな面倒な作業をする必要はない。これと言って変に頭を使う必要もなく、直感的に行なう事ができる。この辺りの配慮は、流石マリオの名を冠しているだけのアクション的なこだわりだ。下手に面倒な事を入れれば、マリオらしさが失われる事をよく分かったゲームデザインと言える。
しかし、ブロックと言っても本作に登場するのは1種類だけではない。一定時間経つと消えてしまうブロックやマリオ達の歩行を遅くするブロックなど、多種多様なブロックがプレイヤーの前に立ちはばかって来るのである。中には、こちらの制御が一切効かないものがあったり、造ると別のブロックが消えてしまう変なものもある始末。
加えてブロック以外にも、ステージによっては敵キャラまでもが襲い掛かってきたり、ブロックの作成手順を考えなければ上手くゴールまで到達できないパズル要素満載のステージまでもが出てくるをのだからパニック必須。
操作性とルールこそ単純ではあるが、実際はかなり忙しい。
全体的にマリオらしいアクションの楽しさと忙しさ、そしてパズルの巧妙さが絶妙な嫌らしさを醸し出している、極めて歯応えのあるゲームに仕上がっているのである。挙句の果てに本作は一撃アウト制まで採用。ほんのちょっとのミスが大事故へと繋がる、圧倒的なスリルも満ちているのである。たまったもんじゃない…。

また、本作ではストーリーを見ればお分かりの通り、ゲーム中に誘導する事となるキャラクターはマリオだけではなく、いつもはクッパにさらわれる役のピーチ姫にスーパードラゴンことヨッシーも誘導しなければならないキャラとして登場する。
本作では、この3人の内の一人をゲーム開始前に選び、ステージをクリアしていく事になるのだ。3人のキャラにはそれぞれ特徴があり、選んだキャラによってゲームの難易度が大きく変化してくる。つまりこの最初のキャラ選択は、難易度を選択する意味も持ち合わせているのだ。単純に『イージー』、『ノーマル』、『ハード』と一つの単語で難易度を表現していない所は、流石マリオと言った所だろうか。
各キャラクターの性能もマリオはオールランド型でほぼ全部のステージに対応できる能力を持ち、ピーチ姫は歩行速度と落下速度共に非常に遅く、ゆっくりとゲームを進めたい初心者の方には最適な特徴を持ち、ヨッシーは歩行速度と落下速度共に最も速く、テキパキとゲームを進めたい方に最適な特徴を持っているなど、いずれも個性がはっきりとしていて分かり易い。また、選んだキャラクターは各レベルをクリアした後やゲームオーバーの後に変更する事も可能で、なかなかクリアできないステージは別のキャラで挑んでみる…といったプレイも可能。下手に「選んだらずっとそれで」みたいな意地悪な要素を入れず、自由な形で攻略できるというこのスタイルは実に良心的。あまり「制作者からの挑戦状」というような硬いイメージが伝わってこない所も好印象だ。
更に本作にはレコード機能が用意されており、いずれの3キャラ限定で全ステージ攻略を目指すやり込みプレイにも対応。幅広いプレイスタイルで本編を遊ぶ事ができる。また、これらの他にもタイムアタックや最小クリック数チャレンジなどのプレイも可能であるなど、再プレイ欲を高めるやり込みも沢山用意されている。この辺のやり込みの深さは、如何にもマリオらしい。製作スタッフが如何にマリオの名を大切に考えながら、本作を作って来たかを伺う事ができる。キャラクターの性能を明確に分割し、各自独特の面白さと奥深さを兼ね備える。単なる好みでのものにせず、しっかりとゲーム本編と絡めた本作のキャラチェンジシステムはまさに芸術品と言っても過言ではない。とにかく、シンプルで幅広く…それでいて滅茶苦茶奥の深いゲームプレイを全編を通して楽しむ事ができるのだ。このバランス加減は美し過ぎる。

既に何度か話題に出ているが操作性も素晴らしい。マウスと1ボタンだけの超シンプル操作で、説明書を全く読まなくてもあっさりと覚える事ができる強烈極まりない敷居の低さを実現している。 また、この操作をフルに活かしたステージ構成も実に大変素晴らしく、特に素早いクリックさばきが要求されてくるアクション性の高いステージでは、本作がパズル”アクションゲーム”であるという事への尋常でないこだわりを感じ取る事ができる。
ステージの総数も全部で10レベル100ステージとボリューム満点。更にゲームをクリアした際のおまけとしてスペシャルな10ステージも用意されており、とにかくプレイヤーを最初から最後まで飽きる事なく楽しませてくれる。
グラフィックも秀逸。特に背景グラフィックの描き込みが素晴らしく、奥行き感がありつつ、マリオシリーズ独特の世界観を余すことなく表現したものに仕上げられている。この描き込まれた背景を見るだけでも、本作をプレイする価値は十分にあり。その作り込みの深さには、担当デザイナーの本気というものを思い知らされるだろう。
しかし、一方で音楽は地味。耳に残る曲はそこそこあるのだが、音源があまりに貧弱で、スーパーファミコンっぽくない。正直な所、まだ初期の作品である『スーパーマリオワールド』や『F-ZERO』よりも酷い。当時のレベルを考えれば、『ファイナルファンタジーIV』位のレベルは容易に表現できてただろうと思うのだが…。

また、ゲームバランスに関してもちょっと苦言を呈さざるを得ない。理不尽な所がなく、しっかりと調和の取れたバランスが維持されているのは良いのだが、マリオのゲームとしてはあまりに高過ぎる。特に前半はまだしも、ゲーム後半にかけての難易度の上昇っぷりは異常だ。レベル9とか、もう少しどうにかならなかったのだろうか。
それからセーブ機能が無いのも痛い。一応、ゲームの進行形式はレベル任意選択方式で、レベル8をクリアすれば直に最終レベルへと行けるようになってはいるのだが…その際にレベル8をクリアしなければならないというのが面倒。また、どうやっても必ずレベル9から始まるのもやや意地悪だ。この辺りに関しては、本当にどうにかして頂きたかった。せめてセーブはまだしも、パスワードくらい入れてもよかったんではないだろうか。
そのように、欠点もそこそこあるが、全体の完成度は十分に傑作に値する出来。特にたった1ボタンというシンプルな操作性とゲーム性、やり込み要素の豊富さ、ステージ構成の緻密さは特筆すべきものがある。
スーパーファミコンマウス専用ソフトという事もあって、通常のコントローラではプレイできないゲームとなっているが…もし、マウスを所持しているというのならば、是非とも遊んでみて頂きたい一品である。特に風変わりなゲームを求める方ほどおススメだ。この気持ち良さと手強さ、他のマリオゲームでは味わえない。
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