Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. Super Famicom>
  4. 魔法陣グルグル2
≫魔法陣グルグル2
■発売元 エニックス(現:スクウェア・エニックス)
■開発元 タムタム
■ジャンル ロールプレイング
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 8400円(税込)
■公式サイト ≫スクウェア・エニックス:紹介ページ
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 39ページ
■推定クリア時間 16〜25時間
魔王ギリを倒す為に旅を続ける見習い勇者のニケと、グルグルの魔法を使う事のできるミグミグ族の女の子ククリ。闇魔法結社の総裁に言われた通りに、ジェムジャム大陸にやって来た彼らは、プラトー教の聖地シュギ村へと辿り付く。
村は既に降神祭の真っ只中で、ニケとククリは案内役のラジニにつられて、大聖堂へと向かう。大聖堂では今まさに、巫女のジュジュに神が乗り移らんとする所。
だが、ジュジュは突如として、思わぬことを口走った!

「神はもうされた…神は…神は……、……我はギリなり!」

一体、これから村に何が起ころうというのか?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆自動操作のニケとマニュアル操作のククリの双方を動かしながらゲームを進めていく、原作での二人の関係を忠実に再現したゲームシステム
◆謎解きとかもせず、敵を倒しながらボスの部屋を目指す、RPGとしては潔さ満点の分かり易い進行システム
◆敵を倒すだけのものから、単独行動を取るものまで、バリエーション豊かなダンジョン
◆顔の異なる住民から風景まで、それぞれの特徴を鮮明に描いている街のマップ構成
◆地続きによるテンポの良さとスムーズな展開が光る、リアルタイム方式の戦闘システム
◆予期せぬ所から敵が現れ、戦闘に参加してくるなど、リアルタイムならではの乱入要素
◆十字キーとボタンの組み合わせによる独特の操作性が光る、ククリの魔法陣システム
◆作戦コマンドによる様々な攻撃(行動)パターンを備えた、ニケの攻撃システム
◆それまでのRPGからアクションRPGとなる変貌っぷりがもの凄い、ニケの単独行動
◆経験値が豊富に入る為、次の達成までの過程が早めに設定されているレベルアップ
◆複雑に見えて、実は結構大雑把に動かせる、幅の広さが秀逸な操作性
◆RPG初心者にはこの上ない程に優しい、緩いゲームバランス
◆大きめで原作の雰囲気を忠実に描いている、見易さ抜群のグラフィック
◆時にほのぼのと、時にシリアスと様々なジャンルの曲が多数用意された音楽
◆原作に忠実な展開とオリジナルの展開が交互に織り交ざったストーリー
◆何気ない街の住民まで、ちゃんと固有グラフィックが用意された、登場キャラクター達

--- Bad Point ---
◆妙に低いフレームレート(グラフィックの大きさが影響している?)
◆動かしても決定しても音が鳴らないカーソル(せめて決定の音は入れるべきだった)
◆即死になる攻撃を初っ端から放ってくる、ラスボス最終形態
◆単独行動のし易さもあり、レベルを上げ過ぎるとククリの存在を食ってしまうニケ
◆雰囲気は出てるが、時にウザったいボイス(時にタイトル画面のボイスは蛇足)
◆原作未完故の宿命が痛いほど反映されたエンディング
▼Review ≪Last Update : 12/8/2007≫
これが原作未完故の宿命である…。

それでも、ちょっとは弾けてみましょうよ…。


90年代の少年ガンガンを代表する名作であり、ダンジョンクリアタイプのRPGとして発売された『魔法陣グルグル』のシリーズ第二弾。アニメ版の放送終了から約1ヵ月した後にリリースされた、何とも出遅れた感のある作品でもある。

何も考えず、迷わず、ガンガン進んでいきましょう!
遊び易さ抜群のシステムと特徴的なプレイ感覚が光る、秀作RPGだ。

ゲーム内容は、世にも珍しい、ステージクリア方式を採用したロールプレイングゲーム。プレイヤーはニケとククリの二人のキャラを操作し(但し、実際に動かすのはククリで、ニケは自動操作)、様々な町に用意されたダンジョンを攻略していく。ダンジョンと言っても、いわゆる謎解き等は用意されてなく、内部でやる事は一貫して、敵を倒しながらボスが待ち受ける部屋を目指していく事となっている。ボスを倒すと、そのダンジョンとダンジョンがある町はクリアとなり、町に戻った後に『空飛ぶ靴』のアイテムで切り替わる『全体マップ』上に次の新しい町が出現。そこへと向かい、アイテム購入やイベント・情報収集を行った後、またダンジョン攻略に挑む…。ゲーム本編は、これらの繰り返しで、進行していくようになっているのだ。良い意味で捉えればシンプル、悪く言えば単調。
しかし、全てのダンジョンがボスを倒すだけの単調な作りになってるという訳では無く、町とダンジョンを交互に行き交いながら進めていく所があったり、ニケとククリの単独行動によって進めていく所があったりなどと、少し奇をてらったダンジョンも幾つか用意。システムの単調さを払拭する為の工夫は、しっかりと凝らされているのだ。
また、ダンジョン内で行う事は、敵を倒しながらボスがいる部屋を目指すというものだが、この敵との戦闘にもまた、面白いアイディアが盛り込まれている。戦闘システムそのものの話になるのだが、今作ではわざわざ専用の画面に切り替わる事も無く、フィールドマップ上でそのまま展開する、地続きタイプを採用しているのである。しかも、戦闘はリアルタイムで進行。こちらがキャラクターを動かしながら敵に攻撃(魔法陣による魔法攻撃)を加えていくという、アクションRPGっぽい要素も含まれているのだ。リアルタイムで展開するという事もあってか、現在戦闘中とは別の敵が近づいてきて、そのまま戦闘に乱入したり、かなり遠くの距離から攻撃を仕掛けてきたりと言った動的な要素も多々盛り込まれており終始、気が抜けない。しかも、ニケとククリの内、プレイヤーが操作するのはククリだけで、もう一人のニケは完全にコンピュータによる自動戦闘な為、彼の動きと体力にも気を配る必要があったりするなど、純粋に敵の攻撃だけに集中する訳にはいかない要素の存在も、戦闘のスリルを大いに助長する。
それでも、戦闘自体の難易度はかなり低めで、レベルを上げればある程度、力押しが効くようになっているのだが、アクションRPGを髣髴とさせるスリル溢れる敵の攻撃、二人の異なるキャラクターの同行に気を配るシステムはなかなか面白く、単調に見え易いゲーム展開に適度な刺激を与えてくれる。
他にも個性の強いキャラクター達が生活する町、町ごとの特徴を鮮明に描いたグラフィックなど、単調な展開を払拭する為の気配りは多数施されており、これと言って、遊んでいてダレてくるような事はほとんどない。一見からして、もの凄く平坦なゲームではあるが、ゲーム展開から戦闘システム、そして登場キャラクターまでにまで、丹念な味付けが施された、想像以上に起伏の富んだ作りになっているのだ。
原作のある、キャラクターゲームでありながら、ここまで丁寧な作り込みには頭が下がる。

先も紹介したニケとククリの性能、並びにプレイ感覚の違いも互いの個性が滲み出ていて素晴らしい。
ゲーム中、最もプレイヤーが操作する事になるククリの場合は、原作を知るものならばお馴染み、魔法陣による攻撃アクションがあまりに秀逸。ABYXボタンに予めセットされた『元素(炎、水など)』を選択(ボタンを押しっぱなしに)し、十字キーで対象(敵を攻撃するか、ニケをサポートするか)、効果(魔法の速度など)を確定し、元素のボタンを離して魔法を放つという、一見、過程からしてややこしそうに見えるのだが、これが思いのほか快適に作られており、自らで魔法を作って攻撃するという彼女の持ち味を上手く活かしたものに仕上がっているのだ。しかも、ゲーム中はダンジョンでボスを倒す度に魔法陣の能力が強化。ゲームを進めるたびに、より派手な魔法が繰り出せるようになる、原作に準じたノリもしっかりと備わっているのだ。また、とりあえずボタンを適当に押せば繰り出せるという単純さもあり、例え操作系全てを把握していなくても簡単に繰り出せてしまう辺りも良い意味で大雑把。そんな操作を行っていく内に、自然と他の操作系も把握していき、多彩な攻撃方法が試せるようになるまでになる絶妙なバランス配分もお見事だ。これはゲーム展開の分かり易さと、難易度上昇の緩やかさによる賜物と言ってもいいだろう。魔法を作る度に待ち時間が要される為、単独行動時では逆に戦闘で不利という欠点を持つ辺りも、彼女らしい特徴が出ていてナイスだ。
そして、ニケの場合はゲーム中は全て自動行動なので、プレイヤーが操作する訳ではないのだが、LRボタンで切り替えられる『作戦コマンド』によって様々な攻撃パターンを構築する事ができ、これもまた原作での彼とククリとの関係を綺麗に描いた作り込みが成されている。自ら進んで先頭に乗り出す動きとかも、猪突猛進な彼の性格が反映されていて微笑ましい。また、彼は単独行動になると無類の強さを発揮。ククリとは違い、攻撃の手数が早い為に、敵との戦闘を有利に進められるのだ。しかも、ニケの単独行動時のプレイ感覚は、思いっきりアクションRPGそのもので、それまでのゲーム本編とは180度異なる、爽快なゲームプレイを堪能できてしまう。実際にこの単独行動の機会に触れれば分かるが、あまりの豹変ぶりに大半のプレイヤーは驚くこと、間違いなしだろう。
他にも元素ごとに種の異なる効果を敵に付与できる、魔法剣『キラキラ』による攻撃アクションも、原作の特徴をゲームに上手く落としこめている。自らが得意とする場面や人物関係など、両キャラクター共に個性が色濃く反映されているだけに留まらず、原作での性格や特徴も加味。それでいて、操作感の妙、並びにゲームプレイの変化を演出し、ゲームとしての面白さも全面に打ち出すというこの徹底振りには、つくづく…繰り返しになるが凄すぎて、頭が下がる思いだ。
原作のキャラクターをゲームと合致させ、そこから引き出された面白さを活かした、このゲームデザインには一種の恐怖感すら感じる。それ位に今作は、グルグルでなければ実現しなかったとも言うべきゲームに仕上がっているのだ。
もう、こう感じるだけでも、キャラクターゲームとしては合格同然だ。

操作性も先の通りだが、良好。複雑に見えて、実は結構大雑把にやれてしまうという幅の広さがあり、ただ触るだけでも楽しい面白さを表現している。ゲームバランスも総じて緩め。レベルなどが少年ガンガン原作の作品だけに、文字通り”ガンガン”上がる仕様になってるので(寒)、RPG初心者に優しい。また、アイテムなどの購入もお金が入手し易いので、楽に買える辺りもそんな緩さを助長している。
グラフィック、音楽もなかなかの出来栄えだ。特にグラフィックは、キャラクターのドットがもの凄く大きく描かれており、非常に見易い。町の住民ごとにそれぞれ、異なる顔グラフィックを用意している辺りにも、密かなこだわりを感じる。
ストーリーも原作の雰囲気を忠実に描いていて好印象。一応、原作の3巻と4巻をベースとしているのだが、原作を読んでなくても分かり易い作りとなってるので未見の方でも楽しめる。また、後半はゲームオリジナルの展開となっているので、原作ファンも新鮮に楽しめる事、間違いなしだ。だが、例によって結末は……(以下略)。

他にも、アニメと同様のボイスでしゃべるニケとククリ(注:フルボイスじゃない)、全体魔法でのド派手なエフェクト、原作に準じた失敗魔法陣など、素晴らしい描写は多々ある。
ただ、ゲームのスクロール時のフレームレートの低さはどうにかして欲しかったところだ。大きいキャラを動かしている影響なのかは分からないが、どうもぎこちなくて、見ていて辛い。もう少し、スムーズなゲームプレイというものを考慮した配慮を行って欲しかったところだ。また、カーソル決定時の効果音が無いのも痛い。これは何としても入れて欲しかった。おかげで、本当にそれを選んだのかどうかが疑わしくて気持ち悪い。
ラスボス最終形態の凶悪な先制攻撃など、まだ欠点はチラホラとありはするが、それでも全体的なゲームとしての完成度はなかなか高いものを持っている、この『魔法陣グルグル2』。原作のあるゲームというのは、これ位やるのが普通なのだ!…という事を改めて思い知らされる、スタッフの愛がたっぷり詰まった力作である。
原作を知らない初心者から原作ファン、そしてRPG好きまで幅広く楽しめる逸品だ。
機会があったら是非とも、「ギップリャ〜」の精神でご賞味あれ。(深い意味は無い)
≫トップに戻る≪