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≫アニマニアクス
■発売元 コナミ
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 6090円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンテニュー形式)
■総説明書ページ数 27ページ
■推定クリア時間 5〜7時間(エンディング・完全攻略目的共に)
ワーナー・ブラザーズ社は、ある新作超大作映画のシナリオを完成させた。
だが、そのシナリオを世界征服を企む悪の実験用ネズミ二人組、ピンキーとブレインに盗まれてしまった。彼らは映画で稼いだお金を、世界征服の資金にしようとしているらしい。しかし、マヌケな彼らは逃げる際、映画撮影所のあちこちにシナリオをばら撒いてしまった。

それを知ったワーナー社の会長は、極秘の内にシナリオを取り戻してくるよう、ヤッコ、ワッコ、ドット達『ワーナー・ブラザーズ』に依頼したのだった…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆3人のキャラを操作しながらステージを攻略していく、独特のゲームシステム
◆高速ダッシュに物投げ、肩ぐるま等、多彩且つユニークな基本アクション
◆トリッキーなギミック満載で終始、気の抜けない構成が刺激的な全6つものステージ
◆宇宙生物の襲撃にドラキュラの奇襲、隕石落下等、あまりに激情的なステージギミック
◆映画撮影所らしい、様々なジャンルの映画を題材にしたネタが満載のステージロケーション
◆乱入ステージなどの罠が満載で、本編に負けず劣らずのスリルが満載のマップ画面
◆集めたシナリオにより結末が異なる、やり込み甲斐満点のマルチエンディングシステム
◆地味ながらもスーパーファミコンの機能を上手く活かした、コナミらしい仰々しい演出
◆キャラクターを動かす面白さへのこだわりが光る、快適且つ直感的な操作性
◆基本かなり高いが、実力で十分にカバーできる丁寧さが光る、絶妙なゲームバランス
◆練習ステージ、スロットによるボーナスなど、地味ながらも充実したサポートシステム
◆個性豊かな表情と芸達者な動きを披露してくれる、秀逸なキャラクターグラフィック
◆本編の愉快な世界観に程好くマッチした、心地良い音楽(地味に名曲もあり)
◆まさに執念の塊としか言い様の無い、驚異的な活躍を見せる警備員『ラルフ』

--- Bad Point ---
◆3人である事の意義があまり活かされていない、ステージ構成並びにアクション(三人いる故の恩恵が少ないのも問題)
◆ゲームテンポを致命的に殺いでいる、ミス後のやり直し判定(その場復活の方が…)
◆実力でカバーできるが、それでもアクションゲーム初心者には厳し過ぎると言わざるを得ないゲームバランス
◆バランスの厳しさを煽っている印象が否めない、ステージ構成の奥行き概念(特に海洋ステージのボス戦にて、その問題が露呈される)
◆同じくバランスの厳しさを煽っている、一撃アウト制(今作はダメージ制にして欲しかった)
◆バランス上の問題もあり、やる事すら苦痛でしかないシナリオ集め
◆覚え難い上にメモもし難い、極悪なパスワード(もっと分かり易いものに…)
▼Review ≪Last Update : 5/24/2008≫
そんな顔でワシを見るなよ…。

だってボクら、必至で頑張ったんだもん…。


全米で視聴率1を獲得し、国内でも1996年にテレビ東京系列で放送された、ワーナー制作のアニメ『アニマニアクス』を題材としたアクションゲーム。実は海外では1994年の時点で既に発売されていた、いわゆる逆輸入作品でもある。

まさにこれぞ『羊の皮を被った鬼』とも言える、極辛アクションゲームだ。

ゲーム内容は、オーソドックスなステージクリア方式を採用したアクションゲーム。ワーナー・ブラザーズの三人組を操作し、全6つものステージを攻略していくと言うものだ。
舞台となるステージは基本的に、全体マップ画面から選択。ステージは映画撮影所(スタジオ)とラルフ、給水塔の計3種の異なるものが存在し、この内、映画撮影所(スタジオ)が今作における主舞台。プレイヤーはここを中心に攻略していく事になる。映画撮影所のクリア条件は、最深部にある出口を目指すと言う、至ってシンプルなもの。なので、ひたすら前へ前へと進んで行けばあっさりとクリアできてしまう。だが、どのステージも全体的なボリュームは多めで、且つ内部に仕込まれたギミックもトリッキーなものが満載なので、そう簡単には攻略できない。キャラクターゲームという事もあって、その辺の作りは甘めになっているのかなと思ったら大間違い。如何にも、この手の2Dアクションゲームには手馴れたコナミらしい、職人技の数々が全ステージにおいて炸裂しているのだ。
件のステージ内に仕込まれたギミックも、タマゴから無数に湧き出てくる、ムカデ型の宇宙生物が雨となって降り注いでくる地域、巨大な隕石が後方から追いかけてくる高速スクロールエリア、恐竜ロボット(一部剥き出し)がでかい足で踏みつけてくる地帯、更には本家ジョーズ(流れる音楽まで本家ジョーズ)が後方から迫ってくる海と…いずれも強烈に濃い。それらの強烈なギミックを乗り越えながら、出口を目指してステージを進んでいくスリルは相当なもの。本当に終始、気の抜けないゲーム展開を楽しむ事ができる。
ステージごとのロケーションも、映画撮影所という事で色々なジャンルの映画を模した作りとなっているのが秀逸。その個性豊かなジャンルを模したステージは、プレイヤーの好奇心と挑戦意欲を大いに刺激させてくれること、間違いなしだ。
また、各ステージは全体マップ上にて自由に選択する事もでき、先に難しいステージから始めるか、或いは簡単なステージから始めるかと言った戦略的なプレイも可能。ステージ上の仕掛けの豊富さのみならず、こう言った自由度の高さも今作ならではの魅力である。
それでいてなお面白いのが、このマップ上に幾つもの罠が仕掛けられている事。先に登場した『ラルフ』がまさにその代表格で、今作ではマップ上並びにステージ内にて警備員のラルフというキャラがプレイヤーを執拗に追いかけてきて、これに万が一、(マップ上にて)捕まってしまうと『ラルフステージ』なるラルフ自身がプレイヤーを追いかけてくる特殊ステージがスタート。仮にラルフに捕まってしまうとプレイヤーアウトとなり、三人の内の一人がマップ中央部の『給水塔』へと送り込まれ、強制的にマップ画面へと戻されてしまうのだ。捕まってしまった仲間は、『給水塔』のステージを攻略する事で戻ってくるのだが、また逆に捕まればここに逆戻り。だから、マップでもステージでも常に慎重な行動が要求されてくるのだ。
ステージ上の仕掛けのみならず、こう言った付加要素でもスリルを演出してしまう、その尋常なき徹底振りは正直、やり過ぎの一言に尽きる。幾らキャラクターゲームで作り込むにしても、限度がある。しかし、それらの事柄がゲーム展開をより面白くし、尚且つバリエーション豊かなものにしているのも事実。全く持って、してやられたとはこの事である。
それでも正直な所、終始気が抜けない為に全体的に腰を据えて臨まないと安心してプレイに望めないなど、作り込んでしまったが故の欠点が出ている感も否めない。マップ画面上の仕掛けも、幾ら何でも余計過ぎな印象が強いのも事実だ。
しかしながら、キャラクターゲームでありながらもアクションゲームとしての面白さを何よりも重視した、このこだわり満載の作り込みは素直に圧倒的である。この驚くほど作り込まれたステージとその要素をご覧になるだけでも、今作を遊んでみる価値は十分にある。それほどまでに今作、キャラゲーとしてはかなり作り込まれているのである。

しかし、ステージや細かなギミックの構成やアイディアが優れている反面、キャラクターのアクションについてはどうにも、いま一つな感じが否めない。先の通りに、今作でプレイヤーはヤッコ、ワッコ、ドットの三人組『ワーナー・ブラザーズ』を操作して、各種ステージを攻略していくのだが、この三人と言うのが全員、能力的な差異が無いのである。つまり、全員同じ。どれを使っても操作感は変わらないどころか、目立った特殊能力も持っていないのだ。
結局、三人でいる事の意味と恩恵と言ったら、プレイヤーの残り人数(保険)でしかない。一応、三人ならではのアクションとして『肩ぐるま』と言うものがあるのだが、各ステージにおいてこのアクションを使う局面と言うものはほとんど無い為、実用価値は無いに等しい。結局の所、三人である事の必然性というものがほとんど出ていないのだ。
しかも、なお嫌らしいのが先も少し触れたが、個々のキャラは一発でも攻撃を喰らったら、即アウト(給水塔送り)となる事。色々と強烈なギミックが凝らされたステージを駆け抜けていくに当たって、これはあまりに辛い。更に辛いというか、煩わしいのが一人ミスすると、強制的に中間地点まで戻されて、それまでの過程の攻略を再びやらなければならなくなる事。これも正直言って、辛過ぎである。特に、突破するのに苦労した難関を再びやり直さねばならなくなるというのは、アクションゲーム初心者には酷だ。この手のゲームならば『スーパードンキーコング』シリーズに習い、その場復活にした方が遥かにテンポも良くて不快さも無かった。これは本当に調整不足としか言い様が無い。先の例として挙げたゲームのようなシステムを採用して頂きたかった。
三人のキャラの個々の必然性もまた、もう少し押し出して欲しかったの一言に尽きる。例えば、あるキャラは加速性能が優れていたりとか、ジャンプ力が高かったりとか…そういう身体的な特徴を盛り込めば、もっと三人である事の必然性を押し出せたはずだ。三人でなければ繰り出す事の出来ない特殊なアクションについても、肩ぐるまのみならず強烈な攻撃とか、もっと用意して良かったはず。本当にこの辺に関しては、もっと気を使って欲しかった。
一撃アウト制も、このステージ構成からして、採用は避けて欲しかったところだ。
折角、ステージ構成やギミックなどが面白く仕上がっているのに、こういう所で無駄に損をしてしまっているのが本当に惜しい。流石にこの辺りに関しては、キャラクターゲームならではの限界があったのだろうか。いずれにしても、これは残念。高速ダッシュに踏み付け、物を持って投げる等、できる事はそれなりにあるし、アクションゲーム特有の動かす面白さが活きているのがせめてもの救いだが、本当…もう一押し…と言ったところだ。

反面、操作性に関しては良好。快適且つ感触の良いものを実現しており、これと言ってストレスを感じる事無く、キャラクターを思うが侭に動かせる。ボタン配置なども適切のみならず、オプションで好みのスタイルに変更できるのが実に有り難い。ゲームバランスも高めだが、遊ぶ度に実力がそのまま結果に反映されてくる調整が施されているので、理不尽なものになってないのが流石だ。
サポート周りも充実していて、パスワードコンティニュー、画面下に搭載されたスロットによるボーナスシステム、練習ステージの存在など、プレイのお供として大いに活躍してくれるものが用意されている。特にパスワードは、このあまりに手強いゲーム内容では実に有り難い要素だ。これが無ければ、本当にしんどいゲームと化していた。ただ、それでも肝心のパスワードと言うのがメモ必至、しかもメモに書き難いスタイル(全部、キャラの絵で統一)となってしまっている点は残念極まりない。もう少し、メモし易くて尚且つ、見た目でも分かり易いものを取り入れて欲しかったところだ。
グラフィックもなかなかの出来。特にキャラクターのドット絵は大変よく出来ており、実に個性豊かな表情と動きを披露してくれる。各種ステージの背景も色とりどりで、とても撮影所とは思えぬ臨場感が実に秀逸だ。音楽も作中の雰囲気にマッチした曲が満載。地味に名曲もチラホラあり、その中でもボス戦にて流れる楽しげな曲は必聴の価値アリだ。

演出周りも流石、コナミと言わんばかりの仰々しさ。地味だけど、スーパーファミコンの機能を効果的に活かした多くの描写の数々は、プレイヤーを釘つけにすること、間違いなしだ。映画撮影所らしい表現(カウントダウンなど)が盛り込まれているのも必見。他にも、ステージ内に落ちているシナリオを集めた数によって変化するマルチエンディングに個性豊かな登場キャラクター達など、魅力は盛り沢山の本作。
三人である事の必然性やあまりに辛らつなゲームバランス、一部の配慮の欠落が痛いが、全体的な作りは丁寧で、アクションゲームとしては普通に及第点の域。
可愛いパッケージからして、子供向けなイメージが強いが、子供が遊ぶには正直言って無理も良い所。むしろ、アクションゲーム好きやコアユーザーが遊ぶのに適した、まさに正真正銘『羊の皮を被った狼』ならず、『羊の皮を被った鬼』とも言うべき、スーパーファミコン末期を象徴する、極辛アクションゲーム決定版だ。
近年のアクションゲームが生ぬるくて仕方が無いという方にこそ、是非チャレンジしてみて欲しい逸品である。この可愛さで、このムズさ!たまりませんぞ、やめられまへんぞ。
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