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≫ロックマン11 運命の歯車!!


■発売元:カプコン / ■ジャンル:アクション / ■CERO:A(全年齢対象) /
■定価:4990円(税別)、4990円(税込:ダウンロード版)

◆公式サイト / ストアページリンク
≫『ロックマン11 運命の歯車!!』(カプコン公式サイト)
≫『ロックマン11 運命の歯車!!』(My Nintendo Store)
≫『ロックマン11 運命の歯車!!』(PlayStation Store) ※PlayStation 4版
≫『ロックマン11 運命の歯車!!』(Microsoft Store) ※Xbox One版
≫『ロックマン11 運命の歯車!!』(Steam) ※Windows PC版

©CAPCOM CO., LTD. 2018 ALL RIGHTS RESERVED.
▼Information
■プレイ人数:1人 / ■セーブデータ数:8つ(※ユーザーごとに作成可) / ■必要容量:2.1GB(ダウンロード版) /
■対応機器:Nintendo Switch Proコントローラー / ■備考:amiibo対応、オンラインランキング対応 /
■推定クリア時間:3~4時間(エンディング目的)、45~60時間(完全攻略目的)


数十年前、ローバート工科大学電子工学科でロボット研究に取り組む学生二人が方針を巡って対立。
トーマス・ライトはロボットに心を持たせる思考回路の研究を、アルバート・W・ワイリーは全てのロボットがヒーローとして人々から慕われ、認められるための力を誇示する「ダブルギアシステム」の研究を提示した。
だが、学会はライトの研究を全面的に支持し、これを承認。
ワイリーの研究は危険と見なされ、凍結されるに至った。

そして現代。様々な出来事を経て、世界征服を目論む悪の科学者として名を馳せたワイリーは、学生時代にライトと対立した頃の夢を見る。それを機に「ダブルギアシステム」のことを思い出した彼は、装置の開発を急ぎ再開する。
そして、ライトの研究所でロボット八体の定期診断が行われる日。

……運命の歯車が回り始める。
▼Pros cons Pick up
--- Good Point ---
◆「いつものロックマン」を徹底した王道のゲームデザイン
◆窮地の打開に役立つのみならず、攻略の多様化を演出する「ダブルギアシステム」
◆現行路線に回帰した各種システムとアクション(チャージショット、スライディングなど)
◆シリーズ随一の使い勝手の良さを誇る、全8種類の「特殊武器」
◆クリア状況に限らず、いつでも離脱可能になったステージ脱出機能(新規に用意されたシステムメニュー経由で、好きなタイミングでセレクト画面に戻れる!素潜りプレイに対応!)
◆特殊武器やギアの活用で簡単になる明確な”答え”が設けられた見所満載のステージ構成
◆軽やかな挙動とレスポンス、かゆい所に手の届く豊富なオプションと便利機能が異彩を放つ操作性
◆ギアによる苛烈な攻撃ターンが加わるなど、いつになく派手さとやり応えが増したボス戦
◆換金アイテムが溜めやすくなり、より恩恵にあずかりやすくなったアイテム購入システム
◆シリーズ最高の柔軟性と練り込み具合を誇るゲームバランスと個性付けが見事な4種の難易度
◆一周短めながらやり込み要素満載で、十分な密度を擁しているボリューム
◆背景とキャラクターに明暗を付け、抜群の視認性を実現した3DCGによるグラフィック
◆シリーズ伝統のメロディアスな楽曲満載の音楽
◆新たに消去オプションも設けられるなどの配慮も整ったボイス演出(出演声優陣は総入れ替え)
◆ライトとワイリーの対立という、シリーズの根幹を掘り下げる”エモさ”を秘めたストーリー
◆真面目さとユーモアが混ざった「ギャラリー」のセンス溢れる解説テキスト

--- Bad Point ---
◆過去作にも増して長く構成されたステージ(特に8ボスステージ。初回だと10分以上かかる)
◆全ステージに登場するだけでなく、強さもそこそこな中ボス(特殊武器を突けば一瞬で倒せる)
◆ギアシステムの関係で、全体的に反射神経を極度に要求される局面が多いステージ構成(だが、本編にギアの使用を強制する場面は一切ない。全ステージ、全ボス戦がギア無しで攻略可能)
◆基本操作を学ぶチュートリアル周りの不足(&オープニングステージの廃止)
◆デフォルト指定された難易度「オリジナルスペック」(初見時は「アドバンスド」以前推奨)
◆妙に不親切なセーブ機能(ステージセレクト画面で実施画面に移行しないと行えない上、ステージクリア時にセーブを促す場面がない。このせいでオートセーブと勘違いしやすい)
◆やり込みを除けば物足りなさは否めない本編のボリューム
◆数は多いが、全体的に上級者向けばかりな「チャレンジ」
◆デフォルト音量設定による音楽の聴こえにくさ(プレイ時は必ずここをいじることを推奨)
▼Game Overview
「これを組み込めば、全てのロボットがヒーローとなるのだ!」



◇数多くの続編、派生作が作られてきたカプコンの看板タイトルにして横スクロールアクションゲーム、『ロックマン』の最新作。シリーズ生誕30周年記念作品にして、前作前作『ロックマン10 宇宙からの脅威!!』から8年ぶりとなる完全新作。

◇ゲームの内容はお馴染みのステージクリア型アクション。全8体のボスが待ち構えるステージを自由に選んで攻略し、お馴染みの宿敵「Dr.ワイリー」が目論む世界征服の野望阻止を目指す。システム周りもボスを倒すと得られる「特殊武器」、それを適切なボスに使うと大ダメージを与えられる「相性」、ステージセレクトなどのお馴染みのものを網羅。また、サポートキャラクター「ラッシュ」、換金アイテムを消費してサポートアイテムを購入するシステムも健在。さらに前2作では省かれていた「スライディング」、「チャージショット」のアクションが復活している。また、後者を防御状態の敵に命中させると一時的に態勢が崩れ、攻撃チャンスが訪れるという「ガードブレイク」なる要素も導入。仕組みとしては『ロックマンX8』の「クラッキング」に近い。

◇新要素は「ダブルギアシステム」。ロックマンを一時的に強化させる機能で、超加速状態にして周囲の動きを遅くする「スピードギア」、通常攻撃の「ロックバスター」から特殊武器を含む全てを大幅強化する「パワーギア」の2種類が使えるようになった。一時的の通りに専用のゲージが満タンに達するとオーバーヒートとなり、クールダウンまではギアが使用不能になる。また、ロックマンの体力が半分以下になるとスピード、パワー両方を発動させる強力な「ダブルギア」が発動可能に。この時に限り、チャージショットも「ファイナルチャージショット」なる高火力の攻撃を繰り出せるようになる。

◇難易度選択も前作から続投。選べる難易度は4種類に増加し、シリーズ初心者向けの「NEW COMMER(ニューカマー)」と中級者向けの「ADVANCED(アドバンスド)」が用意されている。標準難易度は「ORIGINAL SPEC(オリジナルスペック)」となる。「NEW COMMER」では残機が無限になるほか、穴に落下してもサポートキャラクターの「ビート」が常に助けてくれるようになったりと、シリーズ歴代の中でもかなり易しめの難易度に調整されている。前作の「EASY」で謎の足場が登場するといった、不自然な表現もなくなり、ゲーム全体を構成する要素で易しさを表現する手法になっている。

◇前2作はファミコンの新作をコンセプトにグラフィック、サウンド共に懐かしの8ビットスタイルとしていたが、今回は現行路線へと回帰。『ロックマンロックマン』とは少し作風の異なる最新の3DCGと、豪華になった音楽と効果音をバックに楽しめる。ボイス演出も復活している。ただ、根っこはいつものロックマン。シリーズ再起動と新たな一歩を踏まえた新作に完成されている。
▼Review ≪Latest Update :4/30/2023 | First Publication Date:8/4/2019≫
ロックマンの核にして原点、「答えのあるアクションゲーム」を突き詰めた珠玉の傑作。
おそらく、本作は過去の初代『ロックマン』シリーズの中で、その遊びが最も面白い作品だろう。それを物語るのが「特殊武器」。シリーズ定番の要素だが、今回は総じて使い勝手に優れた武器が多く、ボス戦だけに留まらず、ステージ道中の攻略でも活躍してくれる。そして、これを使うことで今回はあらゆる難所を簡単にできてしまう。一定のタイミングで電流が流れるトラップ地帯を全て破壊して無効化する、天井と地上にトゲが敷き詰められた場所にあるリフトを強引に突破する、仕掛けに先んじてこちらからトラップを発動させるなどなど。使うか使わないかで、派手に難易度が激変するのだ。

8体ボスの全ステージの中盤に登場する中ボスも最たる象徴。素のロックマンで戦うと長期戦になる一方、特殊武器で戦うと、たった数発撃ち込むだけで倒せてしまう。特殊武器の威力を底上げする「パワーギア」の効果を付与すれば、1~2発程度、時間にしてたった2~3秒の内に決着可能。強敵がただの障害物も同然になるのだ。そうも極端な違いが現れるので、今回は場面に適した武器を見つけ、活用していくのが非常に楽しい。そして、打開策を発見した時の快感が桁違い。以降のプレイスタイルにも劇的な違いが現れ、今まで苦戦していた場面が180度一変する、まさに答えを発見した嬉しさを味わえるのである。

基本的に「特殊武器」は、ボス戦にて使うのが推奨されやすく、ステージ攻略では必要な場面に限って使う傾向があった。しかし、元々『ロックマン』とはプレイヤーが適切な答えを見つけ出し、ボス戦も含む難所を潜り抜けていく遊びをコンセプトに作られたアクションゲームであるということを、シリーズ生みの親で元カプコンのプランナー・A.K氏は『ロックマンマニアックス(※ウェッジホールディングス、復刊ドットコム:刊)』の漫画家・ありがひとし氏との対談にて語っている。ボス戦に限らず、ステージでも使って最良の攻略法を探って欲しい。そんな思いを込めて、氏がディレクターとして関わった初代『ロックマン』と『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』は作られたという。実際に後者では、そのことを匂わす場面がいくつかあり、難易度が劇的に変わる展開を楽しめた。

その「答えのあるアクションゲーム」を本作は既存の要素と新システムを組み合わせ、作り上げている。これだけでも、本作がいかに大きなことを成し遂げたのかが分かるだろう。
しかも、特筆すべきは今回の開発スタッフである。過去のシリーズに携わった経験のない(※派生作はある)、新しいメンバーがこれをやってのけているのだ。一部、旧作に関与した人物もいるようだが、主要メンバーは『ロックマンエグゼ』シリーズ、『ミッキーのマジカルアドベンチャー』シリーズに携わった方々。初代『ロックマン』シリーズに関わった経験は無いに等しい。でありながら、原点を突き詰めたロックマンを作った。これを奇跡と言わずとして何と言おう。実に驚くべき快挙だ。

また、新要素の「ダブルギアシステム」も秀逸。その強大な力に頼るか、あえて頼らないかの2択によって、柔軟性の高いステージ攻略が楽しめるようになっている。 なにより素晴らしいのが、絶対にギアを使わなければダメという場面が皆無なこと。明らかに使わないとダメだと思う場面ですら、使わず突破可能な”答え”が設けられている。起伏が激しいため、俊敏な行動と反射神経が必須な点で難易度は高めだが、強要しない作りはお見事の一言。プレイヤー各々が「答えを探し出す」という、ロックマンの核を大事にすると同時に、新たな可能性を付与する新システムとして完成されている。前述の通り、本作の「特殊武器」の魅力も引き立てており、まさに最高の相棒とも言える存在感を醸し出しているのも大変印象的である。

もちろん、全てが完璧という訳でもない。今回は8ステージが長めに構成されているため、初見プレイ時は攻略に費やす時間が長くなりやすい。簡単にできる「答え」はあっても総じてステージ上の仕掛けは苛烈など、一考の余地があった箇所が幾つかある。中ボスも総じて手ごわいどころか、全ステージに登場するのはやりすぎのきらいがある。
しかし、それも特殊武器で楽々と倒せる「答え」を用意するなど、徹底して理不尽さを抑え込んでいる。むしろ、確かな上達を実感できるものにまとめられている。それも今回は、答えの存在もあってとても派手に出る。「上手くなった!」「簡単にできるようになった!」という気持ちよさを手軽かつ存分に味わえるのだ。

お約束を守りつつ、新しさも混ぜ、かつて目指した形を突き詰める。それらを高いレベルで実現させているだけでも、今作は極めて大きな評価に値するし、制作スタッフの努力には大きな拍手を送るしかない。よくぞこうも立派なロックマンを作ってくださいましたの一言だ。シリーズの原点と核を提示した初代とその続編の思想を継いだ新作が30周年の記念すべき年に作られ、ロックマンというアクションゲームの核と原点が再定義された。本当にこれは快挙だ。 2011年のニンテンドー3DS向け某作品の開発中止を機に、氷河期に陥っていたシリーズに勢いを取り戻したとも言うべき復活。シリーズを追いかけてきた人、再始動を願っていた人の琴線を刺激する仕上がりなのだ。

魅力はまだ沢山ある。操作性はレスポンスの軽やかさと反応の良さもさることながら、サポートキャラクター「ラッシュ」の呼び出しがワンボタンで行えるようになったのは大きすぎる。また、右スティックによる特殊武器の選択操作も追加。指定の方向に倒すことで、即座に武器を切り替えられるようになった。この操作の導入も、今回における特殊武器の使い勝手向上に貢献している。

インターフェース周りでも今回、ステージ攻略完了・未完了を問わず、専用アイテム無しでいつでも離脱可能になったのも嬉しい改善点。おかげでどんなステージかを下見する「素潜り攻略」が試せるようになっている。。他にオプションではオート連射、ワンボタンによるスライディングを可能にする機能も用意。音響面でも音楽、効果音、ボイスの音量を細かく設定できるようになっている。特にボイスの音量設定はシリーズ初で、「ロックマンにボイスなんて要らない」という昔ながらのスタイルで遊びたいプレイヤーに応える選択肢を用意したのは、地味ながらも高く評価できるところだろう。
グラフィックと音楽の出来も素晴らしい。グラフィックはキャラクターと背景のコントラストの設定が絶妙で、派手な場面でもキャラクターを見失うことがない視認性の高さを実現している。音楽も印象深い楽曲が満載。ただ、デフォルトの音量設定に問題があり、効果音やボイスにかき消されやすい。このため、初回プレイの際は必ずこの設定をいじることを推奨する。
さらに今回はボイスも復活。声優陣は過去作から一新されているが、いずれも違和感なくハマっている。ストーリーもシリーズの根幹たるライトとワイリーの対立に改めて着目し、掘り下げるという過去作を全く知らないプレイヤーも楽しめる内容に仕上がっている。デモイベントは少なめだが、要点を的確に突く台詞回しが光る。
とりわけ若き日のワイリーがロボットへの思いを語るシーンは、未来を描いた派生作『ロックマンX』、『ロックマンゼロ』のストーリーにさらなる深みを与えるものになっている。システム側の特徴も自然に組み込まれており、中でもボス戦はワイリーが危険な技術を用いて挑んできているのかを実感させられる演出面の派手さが見事だ。

他に今回はアイテム購入システムも改善。ネジが簡単に溜まるようになり、その恩恵にあずかりやすくなった。全体のボリュームも本編は一周に3~4時間程度といつも通りの物量だが、特殊な条件下でのステージ攻略に挑む「チャレンジ」、クリア後専用の「Dr.ライトシミュレーション」、「実績」などのやり込み要素が充実しており、極めようとすれば倍以上の時間楽しめる。

ただ、「チャレンジ」が用意されているのがタイトル画面のメニュー最下部の「スペシャル」と、やや見落とされやすい位置づけなのは気になる。似たところでは、難易度選択機能もデフォルトが「オリジナルスペック」になっているのも疑問。同難易度は事実上のハードに当たる難しさだからだ。2番目の「アドバンスド」がデフォルトに適しているのに、なぜそちらを選んでしまったのか。結果的に初心者、シリーズ経験者に対する罠になってしまってるのは残念だ。もう少々、検討いただきたかった。

最後に少し厳しいことも書いたが、本作は純然たるロックマンの新作。そして、シリーズ屈指のゲームバランスと「答え」を探す楽しさを強みとする傑作に完成されている。ロックマンとはいかなる特徴を持ったアクションゲームなのか。それは「答え」を見つけ、色んな打開策を探っていくことにある。そんなシリーズの核にして原点を存分に味わえる今作。シリーズ経験者はもちろん、初めてロックマンに触れる人にも入門編としてお薦めできる逸品中の逸品だ。

刮目して、見よ!これが新たなる一歩を踏み出したロックマンだ!
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