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≫HUNTDOWN(ハントダウン)


■発売元:Coffee Stain(パッケージ版:Beep Japan) / ■開発元:Easy Trigger Games、Coffee Stain /
■ジャンル:アクションシューティング / ■CERO:C(15歳以上対象) ※激しい暴力表現あり /
■定価:1,990円(税込)、3,380円(税別:パッケージ版)

◆公式サイト / ストアページ
≫『Huntdown [ハントダウン]』(Beep Japan公式サイト)
≫ハントダウン(My Nintendo Store)
≫Huntdown(Microsoft Store)
≫Huntdown(Epic Games Store)
≫HUNTDOWN(Steam)

©2017-2021 Huntdown® is a trademark of Easy Trigger Games. ©2021 Coffee Stain Publishing.
©2021 Clear River Games. Published by Beep Japan Inc. All rights reserved.
▼Information
■プレイ人数:1〜2人 / ■セーブデータ数:3つ / ■必要容量:1.2GB /
■プレイモード:TVモード、テーブルモード、携帯モード / ■推定クリア時間:5~6時間
時は21世紀。大規模な戦争によって国家は崩壊。
そして、その廃墟から欲望に満ちた社会が生まれ出た。

新たな社会では、不当な利益を得る巨大企業が台頭し、その規則に従う者たちにのみ市民権が与えられた。
それ以外の者たちは、犯罪に手を染める以外の選択肢しか残されなかった。
しかし、それが原因となって、ギャング組織が乱立する事態が発生。
やがて、彼らは警察でも手に負えないほど、新社会における脅威となってしまった。



巨大企業「島本(SHIMAMOTO)」は平和と秩序のため、市民権にも犯罪にも興味を持たず、ただ賞金のためだけに戦うバウンティーハンターたちにギャングとその組織の壊滅を依頼。

かくして、彼らを狩って追い詰める「HUNTDOWN」の時間が始まりを告げた。
▼Pros cons Pick up
--- Good Point ---
◆ステージクリア型アクションとしての王道を厳守した、安心感と親しみやすさ重視のゲームデザイン
◆弾数制限、カバーアクション、そして少し高めな敵の耐久力など、FPS/TPSらしさを表現した要素の数々
◆違いは初期装備の銃火器のみながら、違った戦い方と動かす楽しさが表現された3人のハンター
◆敵配置や仕掛けの設置などで、易しすぎず難しすぎずの適切さ重視の姿勢が滲み出たゲームバランス
◆個性豊かな敵たちの銃撃戦からトラップ地帯の突破まで、綺麗に起伏が描かれた全20ステージ
◆人間のみの縛りがありながら、使い回し皆無でそれぞれ異なる個性が表現された20体ものボスたち(中でも特筆すべきは「グランドマスター・ユウダイ」で、人によっては爆笑不可避)
◆弾数制限あり・なしそれぞれの強弱の差が極度に現れないよう、気を遣った調整が光る銃火器の性能
◆初心者向け「イージー」から上級者向け「スゴ腕」まで、幅広くフォローされた難易度選択機能
◆見た目は鮮烈ながらも出血のあり・なしが選べる機能まで用意された配慮が光る暴力表現
◆文字通り「むせ返る」ほど濃すぎる描き込み具合が異彩を放つドット絵主体のグラフィック
◆往年の名作サイバーパンク映画などへの強い影響が現れた世界観とハードなストーリー
◆サイバーパンクな世界観と、1980年代の映画っぽさが表現された印象深い音楽
◆鮮烈な暴力表現あり、爆発も仰々しさ十分など、見た目を裏切らない重厚感バリバリのエフェクト演出

--- Bad Point ---
◆表記ゆれ、不自然な会話の繋ぎ、一部テキストが途中で切れているなど、全体的に雑な日本語ローカライズ
◆悪く言えば、戦闘以外の場面では違いを感じにくい3人のハンターたち(身体能力の違いのなさが大きい)
◆中盤以降に登場する、ロケットベルトを装着した敵の厄介さ(特に倒した時に暴走し、落下した時の動き。どこに墜落するのか、警告が表示されない上、動きも不規則なので対処しにくい)
◆折角、個性豊かなボスたちがいるのに収録されていない「ボスラッシュモード」
◆悪く言えば、アクションゲームとしては比較的普通の作り(ただその分、勘所をバッチリ押さえている)
▼Game Overview
人生を充実させたい?ならば、悪党を狩ろう。



◇スウェーデン・トロールハタンに拠点を置くインディーゲーム開発チーム「Easy Trigger Games」開発による横スクロール型アクションシューティングゲーム。販売は『Goat Simulator』で知られるCoffee Stainが担当。また、国内ではNintendo Switch、PlayStation 4向けにパッケージ版も展開されていて、そちらの販売はBeep Japanが担当している。(なお、PlayStaiton 4版に関しては執筆時点でダウンロード版が配信されていない。それ以外のNintendo Switch、Xboxシリーズ、PC向けには配信中) あらすじからして世紀末バリバリな通り、プレイヤーは賞金稼ぎこと「ハンター」たちを操作し、襲い来る悪党たちを銃火器でお掃除していく。最終的な目標は4つの区域を占拠する組織の壊滅である。

◇ハンターは3名いて、ゲームスタート時にいずれか1人を選択する。3人とも移動速度を始め、身体能力は共通しているが、初期装備の銃火器、投てき武器がそれぞれで異なる。元特殊部隊員の女性「アナ・コンダ」の場合は単発3連射のハンドガンと放物線を描くハンドアックス。サイボーグ警察官(血液型:AK-47)「ジョン・ソーヤー」は連射力低めながらも1発の威力が高いスコープ付きハンドガンとブーメラン。そして、死神の異名を持つ殺人マシン「モウ・マン」は優れた連射力を誇るハンドガン、殺傷力高めのクナイとなっている。なお、選ばなかったハンターは後からポーズメニュー画面経由で切り替えられる。ただ、切り替えを実施すると攻略中のステージの進捗がリセットされ、最初からやり直しになる。

◇各ステージのクリア条件はターゲットこと、最後に待ち受けるボスを抹殺すること。ステージ構成も基本、襲い来る悪党たちに鉛弾をプレゼントしながら撃退しながら進めていく形。ただ、ゲームデザインは『魂斗羅』や『ガンスターヒーローズ』のような「ラン&ガン」ではない。武器が銃火器で、それを撃ちながらステージを進む点で「ラン&ガン」っぽいが、初期装備を除く銃火器には弾数制限があって、無限に撃ちまくることができない。また、悪党たちこと雑魚敵の耐久力も気持ち高めに加え、彼らも銃火器などで応戦してくるので、走りながら突撃する戦い方だと甚大な被害を被ることになる。

◇そのため、彼らとの距離を取ったり、時には周辺にある遮へい物を利用し、反撃を防ぎながら迎え撃っていく戦い方が本作における基本戦術になる。要はファーストパーソンシューター(FPS)、サードパーソンシューター(TPS)と同じ。それらのジャンルの横スクロールアクション版とも言えるゲームデザインになっている。
一応、それぞれのハンターが持つ初期装備の武器は弾数が無限で撃ちまくれはするが、マシンガンのような連射は不可能(モウ・マンのハンドガンですら、マシンガンレベルの連射力はない)。その意味では、現実の銃火器の仕組みを踏まえて仕上げた横スクロールアクションゲーム(アクションシューティングゲーム)とも言える。

◇銃火器周りの仕組み、ハンターそれぞれの違いを除けば、コアの遊び自体はアクションゲームとしては正統派。ボスを倒すというゴールを目指し、ステージを駆け抜けていくことに終始する。見た目は世紀末バリバリで、悪党たちの見た目もヒャッハー全開ではあるものの、アクションゲームとしては非常に親しみやすい作りで、いい意味で見た目とかい離した作品になっている。
▼Review ≪Latest Update :10/20/2024 | First Publication Date:10/20/2024≫
このビジュアルからは想像もつかない、アクションゲームとしての盤石さと安心感が異彩を放つ傑作。
少々、強い表現を用いると、これは横スクロールアクションゲーム好きなら、遊ぶのは義務と言ってもいいほどの代物。登場キャラクターは皆、濃いめで世界観もストーリーも殺伐としているが、アクションゲームとしては驚くほど親しみやすい仕上がりで、遊び応えも申し分ない仕上がりになっている。

特に素晴らしいのがゲームバランス。ステージ、ボス戦を含めた全編が易しすぎず、難しすぎずの芸術的とも表せる絶妙な塩梅でまとめられている。中でもその良さが現れているのが、雑魚敵たちとの戦闘。近接攻撃で攻めてくるタイプ、遠距離攻撃で攻めてくるタイプが常に適切なバランスで現れては襲い掛かってくるので、こちらの立ち回りが単調になりにくい。

FPS、TPS風とは言え、全体的なゲームテンポは横スクロールアクションゲームとしてのものを維持しているのもいい。前述したように本作には遮へい物に身を隠し、敵を迎え撃つカバーアクションの要素がある。それもあって、銃撃戦は割と本物さながらの緊迫感があるのだが、悪く言えば、この要素自体はゲームの進行に待ったをかけるもの。戦闘でその場に留まることになるため、先に進みたくても敵を倒せないと進めないというテンポを乱す負の側面がある。そんな要素が横スクロールアクションゲームの本作にもあるとなると、結構止まり止まり進む形なのかと思いきや、意外にもそんなことはない。そもそも本作、それによる流れの滞りが生じないよう、カバーアクションの活用が求められる戦闘シーンを控え目にしている。

さらにグレネード(手りゅう弾)、接近時限定で発動するノックバック効果のある近接攻撃など、遮へい物に身を隠す敵に致命傷を与えたり、待機を解除させられる武器や攻撃手段も用意されている。なので、カバーアクションが要求される場面でも、割と素早く決着する。横スクロールアクションゲームらしいテンポで楽しめるよう、適度に工夫しているのである。
それは敵の耐久力も同様で、気持ち高めとは言え、別に何十発も撃ち込まないと倒せないほど固くはない。FPS、TPSだとヘッドショットを狙わないと、場合によってはそれだけ撃ち込む必要があるが、本作でそこまでやる必要があるのはステージ最後に待ち受けるボス。雑魚敵に関しては数発、威力の高い武器であれば一撃で倒すこともできるように調整されている。

こうした調整もあって、戦闘が間延びして、徐々にプレイヤーが追い詰められていくようなこともない。それに回復アイテムも結構手に入る。本作は数回のダメージを許容する体力制を採用しており、FPSやTPSのような自動回復式とはなっていない。ただ、敵を倒すと結構な頻度で回復アイテムを落としてくれるので、戦闘で体力が空寸前にまで減ったとしても、意外に挽回が効く。
多少、運も左右するが、九死に一生を得やすいのである。なので、場合によっては「ラン&ガン」な突撃策も通用したりする。あくまでも、「場合によっては」であるから、無計画にランボー突撃をかませば地獄一直線だが。

このように全体的に細かい所まで絶妙に調整されたゲームバランスを成り立たせている。それに加え、ステージの構成とボス戦、銃火器ごとの性能などの部分も丁寧に設計されている。とりわけ秀逸なのはボス戦。ストーリー設定の通り、相手の多くは人間なのだが、いずれも個性の強い攻撃パターンと意表を突く仕掛けの数々で、変化に富んだ展開が繰り広げられる。

また、本作には20ものステージが用意されている。それぞれに固有のボスが待ち受けていて、数にして実に20体に及ぶ。その数だけでも圧巻なのだが、特筆すべきはその20体のボスに使い回しが皆無なこと。ネタが人間縛りだと、どこかで限界が生じそうに考えてしまうところがあるが、実際はその懸念を吹き飛ばすがごとく、個性的にも程があるボスたちが続々と出てくる。一部、人間縛りを無視したタイプのボスもいるが、それもサイボーグ警察官やら、殺人ロボットがいる世界観であれば、そんなのが居ても不思議じゃないと納得させるものになっている。アクションゲームと言えば、ボス戦の面白さが何よりも重要だと考えている人なら、本作のメンツには感涙必至だろう。それほどの見所となっている。

他に個性豊かなボスたちが待ち受けるステージも仕掛けのバリエーションが豊富で、後半にいくたびに新種の敵が続々と登場するなど、飽きさせない工夫がされている。銃火器の性能も過度に強すぎるものもなければ、初期装備の銃火器もまるで戦えないほど弱いこともなく、いざという時には頼りになってくれるという絶妙な調整が図られている。

別に取り立てて斬新なシステムはない。強いていうなら、FPSやTPSっぽい要素ぐらい。それほど、アクションゲームとしては王道なのだが、王道ゆえに基礎部分の作り込みに抜かりなく、ジャンルの勘所を見事に押さえている。実際に遊んでみないと分かりにくいのがもどかしいが、繰り返そう。横スクロールアクションゲーム好きなら、遊ぶのは義務である。あえて騙されたと思ってプレイしてみていただきたい。最初のステージでキャラクターを動かし、銃火器を使った瞬間、分かるはずだ。色々と。
アクションゲームの面白さを左右する部分と言ってもいい操作性についても申し分ない。ボタン配置、キャラクターの挙動、すべてが動かすだけでも楽しくて気持ちよさすら感じさせる手触りとなっている。ちなみにNintendo Switch版だと、銃火器を照射するたびに重みのある振動がコントローラから伝わってくる仕掛けがある。なので、本物さながらの手触りを感じながら遊んでみたいならば、Nintendo Switch版が群を抜いておススメである。

アクションゲーム好きなら義務プレイとまで言ったが、それ以外の人には薦められないのかと言われれば、そんなことはない。難易度選択機能も備わっていて、アクションゲームに苦手意識のある人でも楽しめるように門戸が開かれている。
また、本作は暴力・出血表現が結構苛烈。特に敵やモブとして参戦している警官隊がやられた際には、そこそこ生々しい血しぶきが飛び散る。ただ、この表現周りにも設定機能を備えており、血をほとんど出なくすることもできる。もし、「面白そうなんだけど、過激そうなのが……」と感じたら、ぜひこちらを調整いただきたい。まあ、おそらくは遊び始めていくと次第に慣れて「ONにしていいかも?」なるかもしれないが。ただ、こうしたフォローもしているのはさすがの一言に尽きる。

重厚なドット絵で描かれたグラフィックも、思わずため息が出るレベルの完成度。『ブレードランナー』などを彷彿とさせる、サイバーパンク全開な世界観も必見だ。音楽もそうした映画を意識した作風の楽曲が多く、ステージごとの戦闘を盛り上げる。ストーリーもいい意味で殺伐としており、中でも終盤からエンディングにかけての展開はシビれるものになっていて必見。

それだけに、日本語ローカライズと翻訳に目立った粗があるのが残念。一部のテキストが途切れていたり、会話の流れが分かりにくいなど、日本語テキスト実装時のテストが十分にされていないと思しき個所があるのは純粋に萎える。
それ以外では、ゲームバランスは総じて良好なのだが、後半に登場するロケットベルトを背負った敵については、倒した後に暴走し、落下するまでの墜落位置推測がしにくいのが気になる。この落下に巻き込まれるとダメージを受けるだけに、できればどこに落下するかの警告を入れて欲しかったところ。あとは、折角ボス戦が面白いゲームだというのに、ボスラッシュモードが用意されていないのが勿体ない限りである。

でも、アクションゲームとしての完成度は指折り。素直に傑作と断言できる作品である。
繰り返しになるが、アクションゲーム好きなら遊ぶのは義務と言ってもいい代物だ。ジャンルの勘所を押さえに押さえた出来栄えに唸れ!そして、悪党を沢山狩り倒し、人生を充実させよう。
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