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  4. 数陣タイセン
≫数陣タイセン
■発売元 任天堂
■開発元 ミッチェル
■ジャンル 対局型パズル
■CERO A(全年齢対象)
■定価 3800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 3つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ&ダウンロードプレイ対応、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応
■総説明書ページ数 25ページ
■推定クリア時間 6〜8時間(エンディング目的)、35〜45時間(完全攻略目的)
『数陣タイセン』は、数字の札を使った新しい対局型パズルゲーム。
盤の上で札をつなげ、得点を稼いだり対戦相手の邪魔をしたりします。
札を上手く繋げ、相手の手を読みながら高得点を目指していきましょう。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆1〜5の数字の札を繋げ得点を稼ぐ、シンプルながらも強烈な奥深さと独自を兼ね備えた珠玉のゲームシステム
◆数字の並び順、同数、囲みなど多彩なバリエーションに富んだ札の繋げ方(役の種類)
◆相手の役を自分のものにする、横取りする面白さと熱さを演出する珠玉の要素『虹札』
◆接合部を増やしたり、相手を一回休みにさせるなどの多彩な効果を持った『アイテム』
◆地形変化の『発展』、得点倍増マスなど、対戦の行く末を不透明なものに演出するランダム要素の数々
◆相手の先を読む心理戦の面白さに秀でた、白熱必至・中毒性満点の対戦プレイ
◆パズルゲームとは思えぬほどボリューム満点・やり応え満点のメインモード『物語』
◆詰め将棋的な一手一手を考える面白さが味わえるのみならず、プレイヤーのスキルアップにも繋がる仕組みとなっているのが実にニクい、サブモード『お題』
◆称号集めに高ランクチャレンジなど、コアユーザーも納得の充実したやり込み要素
◆懇切丁寧な解説が秀逸な、作り込まれたチュートリアル(説明書要らず)
◆全てタッチペンだけで行う、DSらしい直感的な快適さが見事な操作性
◆適度に温くて適度に手強い丁度良さが心地良い、絶妙なゲームバランス
◆地味ながらも盛り上げる所は盛り上げる堅実さに富んだ演出(特に大量の接合を成し遂げた際に表示される一枚絵グラフィックの迫力はなかなか)
◆状況に応じて曲調が変化する、インタラクティブな仕掛けに富んだ音楽
◆得点を取得したという質感に優れた、気持ちの良い効果音

--- Bad Point ---
◆蛇足な『占い』(ゲームテンポを殺いでしまってる)
◆完全ランダム形式なのが煩わしい称号チャレンジ(任意方式にすべきだった)
◆お世辞にも賢いとは言い難いCPルーチン(おバカな動きをしない所は良いんだが…)
◆逆に丁寧過ぎてウザったいチュートリアル(もう少し短くしても…)
◆広範囲の盤上での戦いにおける、タッチペン当たり判定の狭さ
◆ひたすらに地味を押し通したグラフィック(一枚絵とかは頑張ってますが)
▼Review ≪Last Update : 12/31/2008≫
喝!

それは『週間!ご意見番』だけで十分です!


『パズループ』、『直感(通勤)ヒトフデ』などの地味ながらも良質なパズルゲームを世に送り出してきたソフトハウス、ミッチェルが送る対局方式の新作パズルゲーム。

新しいけど懐かしい手応えが新鮮な、DSパズルゲーム最強の名作だ。

とは言うものの、公式サイトやゲームのパッケージを見る限りでは、「こんな地味なタイトルの何処が最強なんだ?」と疑問を持ってしまうのも正直、致し方が無いだろう。だが、そんな事実があろうとも今作は間違いなく、ニンテンドーDSが誇る最強のパズルゲームだ。見た目は確かに地味だが、中身は火傷するぐらいに熱い!どうして任天堂はこのゲームのプロモーションに力を入れなかったの!?…という疑問が噴出するほど、強烈なゲームに仕上がっているのだ。そんな「最強」という名を持つ今作の簡単な詳細と魅力をこれよりご紹介。
まずゲーム内容だが、簡単に言ってしまえば『将棋』や『囲碁』などに似た対局方式で行われる対局型パズルゲーム。いわゆる『テトリス』みたいな落ちモノ系とは違うタイプのパズルゲームである。基本ルールもシンプルながら結構独特。1〜5の数字が記された札を盤の上で繋げて得点を稼いだり、相手の邪魔をしたりしながら目標総合得点の獲得を目指していく、何処と無くトランプのポーカーっぽい要素を絡めたものとなっている。
ただ、札を繋げると言って、単に横か縦に置けばそれで得点が稼げるって訳じゃない。札には『接合部』と呼ばれる接着箇所があり、この接合部が既に盤上に置かれている札とくっ付くようにセットしなければ、得点を獲得した扱いにはならないようになっている。簡単に言ってしまえば、配管作業をやるようなもの。そんな感じに札と既に置かれている札のパイプこと、接合部をくっ付けていくというのが、今作の対戦における基本スタイルなのである。純粋に数字を並べるだけの簡単なパズルとか思ったら大間違い。しっかりと接合部も考えて繋げて行かなければ、得点を稼ぐことすら不可能な、なかなか考え甲斐のあるパズルゲームに仕上げられているのだ。
また、そんな数字の繋げ方(役)も様々。普通に1〜5の数字を順番通りに繋げる『数列接合』、数字が同じものを繋げる『同数接合』、数字に関係なく接合部を一周させるように繋げる『包囲接合』、そして数字に関係なく全ての接合部を余り無く繋げる『完全接合』など、実にユニークなものが用意されている。
この接合を複合させる…数列接合と包囲接合を組み合わせて得点を稼ぐと言ったいわゆる『連鎖』みたいな荒業もでき、上手く繋げられれば普通に繋げた時以上の得点が稼ぎ出す事も可能だ。だから、自分は順調に数字を繋げているからこのまま余裕で勝利…と思わせて、相手側が複合接合をして一気に大逆転されてしまう…なんてこともしばしば。最後の最後まで一筋縄に行かないゲーム展開を存分に演出してくれる。
更にプレイヤーが盤上にセットできる札も普通の色札以外に『虹札』と呼ばれる、虹色の札が存在。これもまた先の複合接合と同様に対戦を大いに盛り上げてくれる。と言うのも、この札はどんな色の札でも脇に接合できてしまう。つまり、仮に相手が設置した札であってもこちら側の色札を関係なく接合させる事ができてしまうのである。
故に、仮に相手が虹札で「1・2・3…」と数列接合を作っていた時、こちら側がその流れに4の色札を接合させて相手の数列接合の得点をゲットすると言う、横取りプレイも普通にできてしまう!黙々と数字を並べて得点を稼ぐゲームなのかと思ったら大間違い。実はちゃんと妨害要素もバッチリで、単にそれだけでは終わらないほど熱くて盛り上がる仕様となっているのだ。そんな妨害要素があるものだから対戦は盛り上がること、盛り上がること。相手をこちらの策に貶めると言った心理戦の面白さも相当なもので、これまでのパズルゲームには無い、まさに対局型だからこその面白味というのも存分に満喫できてしまう。接合に色んな種類があると思ったら、相手の流れを妨害する要素までもあり。ここまで来たら、今作の対戦(対人戦)が如何に盛り上がるものであるかは想像するに難く無いだろう。
その他にも既に置かれている札の接合部を増やすと言った事ができる『アイテム』があったり、得点を一定数稼ぐと事によって地形が変化する『発展』と呼ばれるものがあったりなど、対戦を盛り上げる要素は盛り沢山。得点が倍になるマスが出現するなんてのもあるなど、ランダム要素も充実していて、一層ゲーム展開の先行きを見えなくする。
数字の札をつなげる基本ルールを聞いて、さぞかし地味なゲームだと思った方は多いだろう。しかし、個々の要素を見れば分かる通り、実際は地味ながらも火傷するほどに熱過ぎ!一歩間違えれば、リアルなケンカも置きかねないほど白熱必至のパズルゲームに仕上げられているのだ。
こんなに危ない要素が凝らされていちゃ、最強と呼ぶ以外に無いのもよく分かるだろう。

しかも、今作が優れているのは基本ルールと対戦プレイの熱さだけでない。収録されているゲームモードからやり込み要素もまた、それと双璧を成すほどの強烈なインパクトを秘めたものに仕上げられているのである。
特にメインモードである『物語』とサブの『お題』、ニンテンドーWi-Fiコネクションを経由した『Wi-Fi対戦』の三つのモードのやり甲斐の深さは特筆もの。『物語』はその名の通り、ストーリーに沿いながらひたすら対戦相手と対局していくシンプルで質素な内容なのだが、収録されているステージの総数がまた相当なもので、一筋縄では行かないほどのやり応えを兼ね備えた構成となっているのが衝撃的。仮にもパズルゲームで、ここまで用意する必要は無いんじゃないのかと思ってしまうほど、充実した内容となっているのだ。肝心のステージもシンプルに小さい盤上で対局するところもあれば、鬱陶しいほどのギミックが凝らされた盤上で対局を行うところもあったりと、色んなパターンが用意されているのでなかなか単調にならない。場所によっては、一人で三人を同時に相手しなければならないシチュエーションとかもあるほどで、そのあまりに容赦しない展開には思わず、気持ちが熱くなってしまうこと、間違いなしだ。
更にこの『物語』にはやり込み派プレイヤーの為にCPUの思考ルーチンを更に高めた高難易度モードもおまけで収録。単に一回クリアすればそれで終わりとさせない工夫も、バッチリ凝らされているのである。そのある種『完璧』としか言い様の無い抜かりの無さには、遊んだプレイヤーの誰もがスタッフの本気と言うものを思い知らされるだろう。
もう一つの『お題』も、決められた手数でお題を解いていく単純明快な作りながら収録されている問題が200問以上とこれまたやり応え満点。更に問題の難易度も「出来そうなのだけど、出来ない」という恐ろしくもどかしく、それでいて絶妙なバランスでまとめられているので、ついつい、夢中になってしまう中毒性に優れているからこれまた恐ろしい。ある意味では、先の『物語』を凌駕するモードと言っても良いほどの存在感を醸し出している。しかも、このお題にて習得したテクニックはそのまま、『物語』での攻略や対戦プレイにおいて反映され、プレイヤーのスキルアップにも繋がるようになっているのがまたニクい。単に独立したモードにせず、しっかりと他のモードへの影響も考慮して作られている辺り、如何に今作のシステム(ルール)が広い発展性を持ったものであるか、それをヒシヒシと実感させられる次第だ。
そして極め付けの『Wi-Fi対戦』。これの面白さは、先のシステム周りの特徴を見て頂ければ一目瞭然なので多くは語らない。とにかく、ネット環境を持った方ならば絶対に遊んでおくべきモードだ、と。本編のCPU対戦とは全く違う、何を繰り出してくるかが分からない生身の人間が相手である故の緊張感、熱中度の高さは数あるDSソフトのWi-Fi対戦プレイの中でも「最強」と言っても決して過言ではない面白さに富んでいる。繰り返しとなってしまうが是非、このシンプルなルールがもたらす心理戦の面白さに富んだ対戦プレイは、今作をプレイした方ならば是非とも遊んでみて欲しい。
この三種類のモードの他にやり込み要素も今作は大変充実しており、『物語』における最小ターンクリアによる高ランクチャレンジ、称号チャレンジ(任意方式で挑めない仕様が嫌らしいが…)、一枚絵ギャラリー集めなど、先の『物語』の高難易度モード以外にもやり込み派プレイヤーを唸らせる楽しみは盛り沢山。
こんなにも色々な遊びが楽しめ、3800円ってのは流石に安過ぎじゃないのだろうか。そんな一言がつい、出て来てしまうほど、作り込みとやり応えの深さは尋常であらず。先のゲームシステムだけに留まらずこう言った内容面まで、今作は最強だとしか言い様が無い圧倒的な作り込みが成されているのだ。新しさだけでなく、やり応えの面でもここまで作り込むだなんて、スタッフは何処まで凝り性なのだろうか。全く持って、その恐るべきゲーム愛には脱帽するばかりである。

その他、操作性やゲームバランスと言った所も今作は最強の域に達している。特に操作性は全編タッチペン操作とゲーム初心者でも直感的、且つ快適に動かせる万人向けの仕様となっているので、煩わしさは皆無。肝心のペンの当たり判定や反応も良好で、DSのゲームとしては十分合格点に達した快適さを実現しているのも流石の一言だ。
ただ、広い盤上での戦いではマスが小さくなってしまう都合で若干、当たり判定が狭く調整されてしまっているのは正直、残念。あの大きさで快適な操作を実現する事自体、ある意味無茶があったのかもしれないが、できる事ならばもう少し、広い判定に調整し直して欲しかったところだ。
対してバランス面はさほど言う事無し。CPUのルーチンが若干、弱めではあるがその辺は高難易度モードで補完されているので心配はご無用。初心者も上級者も適切な歯応えが堪能できる、任天堂らしいバランスでまとまっている。
またグラフィックや音楽も総じて地味だが及第点の域で、特に複合接合を連続して行った際にデカデカと上画面に表示される一枚絵の迫力はなかなかのものだ。
音楽も対戦の状況に応じて曲が変わるインタラクティブな仕掛けが凝らされており、否が応にもプレイを盛り上げてくれる。曲自体も中華風の世界観にマッチした曲が盛り沢山で、作中のストーリーを良い感じに盛り上げてくれる。
あまり名曲と言えるようなのが無いのがちと、タマにキズではあるが…。

他にも今作には、『物語』の各対戦をこなした末に『占い』が強制的に挿入されるおまけがあったりするのだが、これも正直言って蛇足。逆にテンポを落とす作用を及ぼしてしまっているだけに、これはできればオプションの別途のモードとしてセットして欲しかったところだ。流石にステージをクリアする度に何度も何度も入れられちゃウザい。チュートリアル周りも丁寧だが冗長気味であり、もう少し短く出来なかったものか、悔やまれる。
しかし、それらも基本的には些細な問題点に過ぎず。肝心のゲーム自体は文句無しに最強の域に達しているので、面白さは折り紙付きだ。シンプルながらも何処か懐かしく、心理戦の面白さに優れたゲームルールと白熱の対戦プレイ、そして充実したボリュームとプロモーションも行われず、ひっそりと発売されたのが謎で仕方が無いこの『数陣タイセン』。
もう、多くは語らぬ。ニンテンドーDSをお持ちのユーザーなら要プレイの名作だ。これは文句無しにお薦め。今作と同じ扱いを受けた『ジェットインパルス』と同じく、これを遊ばずとしてDSは語れぬ。
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