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  4. 流星のロックマン3 ブラックエース
≫流星のロックマン3 ブラックエース
■発売元 カプコン
■ジャンル ブラザーアクションRPG
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5040円(税込)<全バージョン共通>
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜7人
■セーブデータ数 2つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ対応、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応
■総説明書ページ数 44ページ
■推定クリア時間 15時間〜18時間(エンディング目的)、80〜90時間(完全攻略目的)
電波技術は更なる発展を遂げ、電波の実体化など、これまで不可能だった様々な事ができるようになった。
だが、その弊害として電波ウィルスの凶暴化、ノイズ率上昇によるシステムの暴走が世界中で頻発するようになる。

そんな中、突如として謎の巨大流星『メテオG』が地球に接近。
ウィルスの凶暴化とシステムの暴走が、激しさを増していく。

そんな事が起きているのも知らぬスバル達。
やがて、そのメテオGの接近に絡む事件が彼らを襲う事になる。

果たして、スバル達の運命は?
そして何故、メテオGは突如、地球に接近したのか?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆過去2作の良い所取りでまとめられた、如何にも集大成らしいゲームデザイン
◆ロックマンらしいアクション風味のイベントまで導入され、更に仰々しいものへと進化したマップデザイン(ギミック)
◆『ノイズ率』、パネルアウトの追加で、より奥深いものへ進化した戦闘システム
◆ノイズ率を高めて特殊能力が得る、不利な状況を逆手に取るその仕組みと一発逆転の可能性を含んだ作りが見事な『ノイズチェンジ』
◆カードの『サイズ』の追加で、過去2作以上にフォルダ編集の仕方と中身が露骨に表れる、趣の異なる戦闘バランス
◆初代より操作が簡略化され、グッと快適性が増したマップのタッチ系ギミック
◆前作を超える躍動的な動きが目を見張る、戦い甲斐満点のボス戦
◆ロックマンらしい手強さと万人向けのノリが絶妙に合わさったゲームバランス
◆王道ながら初代の黒さが復活した、見所満載・魅力満点のシナリオ
◆相変わらずのアクションのロックマンに匹敵する快適さが光る、抜群の操作性
◆コマンド全般が下画面だけに絞り込まれ、より快適になったメニューインターフェース
◆カード集めにクリア後のシナリオなど、相変わらず無駄に充実したやり込み要素
◆前2作と異なり、クールな作風へと様変わりした、SFっぽさ溢れるグラフィック
◆過去最高の完成度を誇る音楽(特に戦闘曲全般の出来が見事)
◆操作解説、ヒントなど、シリーズ伝統の良心的で充実したサポート機能群
◆戦闘システムの進化の恩恵で、更に白熱の戦いが楽しめるようになった対戦プレイ(Wi-Fi対戦も実装)

--- Bad Point ---
◆全体的に複雑化したシステム(過去以上に敷居が高くなってしまっている)
◆全部で11種類ありながら、持てる数が2種類と少ないノイズチェンジのフォーム
◆能力的に極端さが際立つノイズ別のバランス(ジェニミが強力過ぎる)
◆数は減ったが姑息さは残る無意味なバージョン制(玩具との連動もまた然り)
◆発生したら絶対に回避不能なのが嫌らしい、緊急系のエンカウント
◆一部、デザインが崩れてるキャラクターの顔グラフィック(特にミスターキング)
◆快適にはなったが、無理矢理さも目立つタッチ系ギミック
▼Review ≪Last Update : 11/22/2009≫
そして、再会の時は来た。

遂に全ての謎が明かされる。


ゲームボーイアドバンスで発売されたロックマンエグゼシリーズの後継作にして、値崩れなどの様々な話題を振りまいた『流星のロックマン』のシリーズ第三作目。

システムからシナリオまで全てが最終形に達した、シリーズ最強の傑作だ。

内容は前二作と劇的に異なる。基本はシナリオクリア型のアクション要素を取り入れたロールプレイングゲーム。主人公スバル(ロックマン)を操り、イベントや敵との戦いを攻略していくというものと、過去二作と同じである。
劇的に異なるのはゲームシステムを始めとする、全体的な作り。
まず画面構成からして圧倒的に違う。前二作では、下画面がメインだったのに対し、今回は下画面がメニュー画面中心のサブ扱いとなり、メインが上画面へと移った。それに伴い、タッチパネルを使ったマップの仕掛けの作りが大幅に変化。下画面に表示される指定アイコンをタッチするだけの簡易的なものに改められた。また、二階建ての建物等で、上に登る時や下に下りる時にも下画面に自動的に移動用のタッチコマンドが表示されるように。直接、そのコマンドをタッチして移動すると言う、妙に凝ったものにアレンジされている。
更に前作で廃止された『電脳世界』が復活。『電波世界』の概念は、第一作目と同様のウェーブロードで構成されたものに戻された。ただ、前作の名残として、地上も歩ける。そして今回から『現実世界』の全域で電波変換が可能になり、『電波世界』への入口に当たる『ウェーブホール』が廃止。変身の自由度が大幅に高められている。
シナリオのメインダンジョンも、今回は1と同様に電脳世界中心だが、そこも1の反省が活かされ、電脳世界の入口までの道順が短縮、突入時のタッチ操作が下画面に表示される専用コマンドをタッチするだけとなるなど、大分改善されている。フィールドマップに関して言えば、1をベースにした進化と言った感じだ。その為、前作とはかなり毛色が異なる。
フィールドだけでなく、バトルシステムにもかなりのアレンジ、新要素が加えられている。基本はこれまでと同じ、3D視点で展開する横軸移動スタイルだが、『ロックマンエグゼ』を髣髴とさせるパネルアウト(移動範囲が狭まる要素)が追加され、ほぼ別物に近い作りに。戦術もこれまでとは違うテクニックが問われ、特にカスタム画面で選択するバトルカードに加えられた『サイズ』が曲者。大きいカードを入れると、小さいカードがその影に隠れて選べなくなるなど、フォルダ(デッキ)編集の仕方が露骨に表れるので、これまで以上に編集の仕方が問われてくる。
『ノイズ率』、『ノイズチェンジ』、『マージアウト』、『ファイナライズ』と言った新要素もまた、戦闘を過去のとは別物に演出。使うカードの威力が大き過ぎると、ノイズが強くなって敵の姿が視認し難くなったり、ノイズを高めて属性を変更させ、攻撃力を高められるなど、そこで繰り広げられる演出、そして戦術に前二作の面影など、僅かしか無い。シンプルに戦えた昔は何処へやら。この点に関しては、フィールドマップ以上にこれまでとは毛色の異なるものに仕上げられている。
他にも様々な変更点があるのだが、これらだけでも一目瞭然だろう。基本はこれまでと同じなのに、別物同然な『流星のロックマン』になってしまっている。フィールドマップの進化はまさに続編と言えるが、戦闘はもはや続編と言うよりは新作そのもの。全てにおいて、「あり得ない」進化を遂げてしまっているのである。

そんな「あり得ない」進化の数々こそが今作最大の売り。『流星のロックマン』としての味を保ちつつも、全く異なるゲーム性を演出してしまっているその出来栄えはまさに、奇跡の業と言ってもおかしくない。
特に秀逸なのは、戦闘システム全般のアレンジだろう。基本的に左右しか動かせないシンプルさはそのままに、戦闘バランス、戦略面を過去の二作と全くの味にさせ、新たな面白さを見事に表現している。『ノイズ率』上昇による敵視認のし難さ、『ノイズチェンジ』は、まさにその真骨頂と言えるだろう。それまで、普通にカードやバスターを駆使して敵を倒すだけのシンプルなアクション性に、二つを上手く使い分ける精密なRPG風味の戦略性を付加させた事で、単なる雑魚敵との戦いにおいても、幅広い戦いが楽しめるようになった。ノイズを上げれば上げるほど強くなる、ノイズチェンジのシステムも、不利な状況であっても一発逆転が狙えるなど、洗練された戦闘バランスにより更に大きな深みを与えている。あえてノイズを高めて一気に強敵を仕留める…など、大胆な戦い方もできるようになり、選択肢が増えたのもまた、アクション好きとRPG好きの双方を意識した調整を取ったこのシリーズとしては、劇的な進化だと言える。
戦闘システムだけでない。フィールドマップの出来栄えも、今回はエグゼシリーズから考えて、過去最高の出来と言っても良い。タッチパネルを適度に使う仕掛け、ロックマンシリーズらしいアクション色全開のイベント、進むべき方向を影ながら示したマップの色使いと、これまでの反省点が顕著に現れている。更に前作最大の欠点、エンカウント率も今回は大幅に改善され、快適にマップ探索が行えるようになったのも嬉しい所だ。マップの作り自体も、変に入り組んだ構成でなくなり、かなり動き易くなっている。また、今回は電脳世界が復活し、1の作りに戻っているが、現実と電波世界をリンクさせたネタも豊富にあるなど、これまでの良い所を丁寧にまとめ上げているのもさすがの一言に尽きる。例によって、お使いイベントが多めと、まだ改善の余地がある部分はあるのだが、エグゼシリーズの時から考えれば、このアクションのロックマン顔負けの内容への大進化は、実に感慨深いものがある。
でも、シンプルさが売りだった今作が、戦闘システムも含め、より複雑化してしまったのはエグゼシリーズの歴史が繰り返されたようで少し悲しくもある。いずれの新要素も無駄が無いのはさすがであるのだが、シンプルさこそが、流星シリーズの売りなだけに、ここまでギュウギュウにやらずも良かった気がする。パネルアウト、カードサイズの概念だが、これらは必要だったかどうかというと疑問だ。特にパネルアウトだが、戦略性を高める点では上手く機能しているが、動かせる範囲が狭いが故の戦い難さを生んでしまっているのがしんどい。エグゼの場合は元々その範囲が広い故、違和感がなかったが、元から狭い今作だと違和感がある。
それにこの動かす際の手間の少なさも一つの売りであっただけに、敷居を高めてしまった感も否めない。ノイズ絡みの要素で十分、違いは出てるだけにそれだけに絞れば良かったんじゃないのだろうか。折角、前作までそのシンプルさを貫いて来たのだから、パネルアウトとかは廃して、元にこだわったゲームデザインを徹底して欲しかったところだ。
とは言え、全体的には高水準でまとまってるので、そんな致命的ではないのだが。こう、欠点はあっても些細なレベルに過ぎないだけでも、今作が如何に本気で作られたのかを実感させられる。前作で少し迷走していた雰囲気があったが、やっと今回、突き詰めた格好だろうか。シリーズ集大成と言うのに、こんなにも相応しい出来も無いだろう。

また、前作では王道のノリになってしまったシナリオも今回、原点回帰。一応、内容は前作と一緒の王道ヒーローモノなのだが、残酷なシーンが増えており、なかなか黒い内容になっている。更にシリーズの謎とされていたスバルの父親など、核心に迫る場面も多く、これまでシリーズをプレイしてきたユーザーなら絶対に見逃せない描写も盛り沢山。全シリーズ経験者は要チェックと言っても良いだろう。
その他、操作性からバランスは申し分無し。バランスはノイズチェンジの性能差に極端な開きがあったり、戦闘難易度が前作並みなのがタマにキズだが、総じて高水準でまとまっており、ロックマンらしさと流星シリーズ特有の万人向けの絶妙さを発揮しているのが見事だ。やり込み要素もカード集めに裏シナリオと充実。前作から初起用された、2つのセーブデータも今回健在で、ストーリー中心のプレイが楽しめるようになってるのも嬉しい。
グラフィックもインターフェースのデザインなど、これまでと異なるクールなテイストで仕上げられていて印象的だ。キャラクターの顔グラフィックで一部、崩れたものがあるのは目に付くが、全体的な質は極めて高い。
そして音楽、これも素晴らしい出来だ。特にラスボス戦も含めた戦闘曲全般は、シリーズ過去最高の出来栄えと言っても良いだろう。まさに音楽には定評のあるロックマンシリーズの本領発揮と言った感じだ。

また演出全般も派手になり、ファイナライズの攻撃演出からノイズによる残像エフェクトなど、かなり込み入った仕上がりで、単に見ているだけでも楽しい。掛け声ボイスの演出も前作以上増え、臨場感が向上したのも見逃せない進化だ。
姑息な玩具との連動要素があるなど、相変わらずな欠点もあるが、全体的な完成度はまさにシリーズの集大成に相応しい傑作級の出来と言っても良い。ただ、シナリオが前作からの続きモノとなっている為、いきなり今作から始めると分からない続編ならではのシーンが沢山あるのは、ちょっと勿体無いところではあるが。
ともあれ、シリーズの続編としても、また単品のRPGとしてもDS史上、三本の指に入る高い完成度を誇る今作。ロックマンファンは勿論、RPG好きも是非、プレイして頂きたい流星シリーズ最高の逸品だ。
但し、シナリオが完全な続き物となっている為、プレイする際は必ず1と2を攻略しておこう。
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