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≫シヴィライゼーション レボリューション
■発売元 サイバーフロント
■開発元 Firaxis Games、2K Games<
■ジャンル 戦略シミュレーション
■CERO B(12歳以上対象) ※暴力描写あり
■定価 5800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 4つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ対応、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応
■総説明書ページ数 65ページ
■推定クリア時間 25時間〜30時間(エンディング目的)、300時間以上(完全攻略目的)
世界的な大ヒットを記録した、伝説的な戦略シミュレーションゲーム『シヴィライゼーション』が携帯ゲーム機に登場。
圧倒的な中毒性が携帯ゲーム機特有の手軽さで一層、その磨きを増す…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆麻薬も同然な中毒性(少しプレイするはずが、夜更かししてしまったり…)
◆他国との戦争から都市や文化の発展、外交まで、多種多様な要素を詰め込んだ独特で奥深い基本ゲームシステム
◆プレイヤーの好きな方針で進められる、自由度の高さと戦略性の幅広さが魅力的な全4つの勝利条件
◆4つの勝利条件がもたらす、先の読めない緊張感に秀でたマップ上の展開
◆懇切丁寧な解説、オプションでいつでもOFF可能な仕様が嬉しいチュートリアル
◆初心者から上級者まで、幅広く対応した全5種類もの難易度
◆ユニットの性能、マップに至るまで、緻密な調整が図られた全体のゲームバランス
◆特定条件下での勝利を目指す、フリープレイとは異なるゲーム性と戦略性が魅力的な『シナリオモード』
◆携帯ゲーム機の特性にマッチした、毎ターン可能の親切なセーブシステム
◆携帯ゲーム機の特性にマッチした、コンパクトな設計が成された戦闘マップ
◆事実上、無限に等しい総計マップ数(ランダムマップ搭載で1000回以上は遊べる)
◆ほぼ一生モノに等しい総計ボリューム(これさえあれば、他のソフトは要らない?)
◆マップ配信から対戦プレイまで、多彩な要素が詰め込まれたWi-Fiプレイ
◆実際の歴史上の人物達を再現した、文明ごとのメインキャラクター達
◆麻薬も同然な中毒性を際立たせる、無音設計の音楽(静かにプレイに集中できる)
◆説明書以上の情報量と初心者へのフォローが見事な、特典の戦略ガイドブック

--- Bad Point ---
◆悪い意味で、麻薬も同然な中毒性(廃人に化す危険性あり
◆沢山の要素を詰め込んでいるが故の敷居の高さ(初心者なら説明書、及びチュートリアルによる解説は必読。)
◆鈍い操作性(特にマップ上でユニットを動かすカーソルの操作感が重い)
◆賛否の分かれる、選択順番制によるユニット操作(自由な手順で動かせない)
◆都市の発展やユニットの増加に伴い、次第に悪くなっていくゲームテンポ(厳密には処理速度が重くなっていく)
◆処理が重くなるにつれ、稀に発生する事があるフリーズ現象(致命的…)
◆1つのマップを攻略するのにかかる時間の長さ(最短で1時間ほどと長め)
◆プレイに集中できるとは言え、やはり無音故に寂しい感も否めない音楽
▼Review ≪Last Update : 2/28/2010≫
気が付けば、既に夜明け。

ある意味、タイムマシンです。


1991年、PCにてマイクロプロース社より発売され、世界的な大ヒットを博した、人類文明の歴史と発展をテーマにしたターン制シミュレーションゲーム『Sid Meier's Civilization(シヴィライゼーション)』シリーズ初となる、家庭用ゲーム機向け作品。ニンテンドーDS以外にプレイステーション3、Xbox360でも発売された。

超危険な時間泥棒ゲームである。

ゲーム内容はターン方式で展開する戦略シミュレーションゲーム。マップ上のユニットを動かして自国の勢力と文明を発展させたり(新しい都市を作ったり)、時には他国との外交を行いながら勝利条件を目指して進めていくというものである。
いわゆる戦争(戦闘)を繰り返していくだけのシミュレーション(例:ファミコンウォーズのようなタイプ)でなく、国の勢力拡大や文化の発展など、多様な要素が一同にまとめられたシミュレーションとなっている。
極端に言えば、プレイヤー自らが歴史を創造していくシミュレーションと言った感じ。非常に壮大なスケールで構築されたゲームである。そんな内容ゆえ、今作では他の戦略シミュレーションとは異なり、マップでの勝利条件となるものも複数存在する。具体的には4通りで、文化による勝利、制覇による勝利、経済による勝利、テクノロジーによる勝利、これらの内、いずれかを達成すれば、マップクリア(勝利)となる。各条件の詳細を簡単に解説すると、『文化による勝利』は偉人や文化遺産、文化転向した都市を合計20所有し、最終的に国際連合を建設できれば勝利となる条件。都市文化の発展、マップ上で発見した遺跡などの『アーティファクト』の数で左右されてくる条件だ。『制覇による勝利』はいわゆる戦争による勝利。他国の首都を全て占領できれば勝利となる、最もシンプルで分かり易い勝利条件だ。『経済による勝利』はゴールドを2万以上所有し、最終的に世界銀行を建設できれば勝利となる。基本的に都市の数が物を言う条件で、各都市でゴールド(金)の生産に注力していく事で成し遂げることができる。先の文化の勝利条件で紹介した『アーティファクト』も、それに少し絡んでくる。最後の『テクノロジーによる勝利』は、宇宙飛行のテクノロジーを都市で開発し、最終的に宇宙ステーションをアルファ・ケンタウリに到達させられれば勝利となる条件。アルファベット、青銅器などの技術を開発し、他国との外交で自国に無い技術を提供してもらったりしていけば達成できる。外交以外に占領による実力交渉で技術を奪取する事もできるなど、手段は様々だ。
基本的にこれらいずれか一つを成し遂げれば、プレイ中のマップはクリアとなる。複数ある故に様々な手段を講じられるので、偏ったプレイになり難いのが、他の戦略シミュレーションとは一線を欠く特徴だ。一つの目的に絞って進めていたら、別の目的が達成間近になったり、時々、思いもしない展開に転んだりもするので、先が読めない面白さがあるのも秀逸だ。そんな先の読めない要素が多い為、つい時間を忘れて夢中になってしまう。
また、この条件で更に面白いのが、例え一つの勝利条件で優勢に立ってたとしても、他の条件で他国に逆転される可能性がある事だ。制覇による勝利を目指して、他国の首都の占領に精を尽くし、あと一つの首都を占領すれば勝利!…と思ったら、その首都が『文化による勝利』で優勢に立っていて、占領する前に国際連合を建設して勝ってしまった…など。一つの条件に絞って戦略を立てても絶対的な勝利は保障できない、実に緻密なバランスによる調整が図られているのだ。なので、仮に一つの条件達成に絞っていたとしても一切の油断は許されない。他の条件との折り合いも上手く考えなければならない、臨機応変且つバランスの取れた戦略が求められてくる。まさに壮大な歴史をテーマとしたシミュレーションたるバランス調整。大変奥深い内容に仕上げられているのである。ある意味、プレイヤー自身の性格が露骨なまでに反映されるシミュレーションゲームであるとも言えるだろう。

そんな今作の最大の売りは、これら様々な要素がもたらす脅威の中毒性である。単刀直入に言おう。今作は、時間泥棒ゲーだ。プレイし始めれば、あっという間に3〜4時間という膨大な時間が疾風の如く過ぎ去ってしまう。寝る前にプレイする時なんて特に危険。数十分プレイするはずが、先の通りの時間を費やして、睡眠時間が削られてしまう事すら平気で起こり得る。酷い場合は夜更かししてしまう事も。余程の自制心無くして付き合わないと、大変な目に遭うのは必至。それほどまでに恐ろしい中毒性が、このゲームには秘められているのである。
何が中毒性の要因なのかと言うと、読めない展開の数々だ。ある勝利条件にこだわって進めていたら、他の条件が優勢になってそっちの達成に目的変更したり、また圧倒的優勢だったはずが他国に別の条件で優勢に立たされ、逆転されているのを防ぐのに戦略変更を余儀なくされたり。常に目まぐるしい展開が繰り広げられていくので、それに一喜一憂するだけで、膨大な時間が削り取られてしまう。「あと1ターンだけやろう」と思っても、逆転されたりするのを見て、「もう一回!」と考えを改め、ドつぼにはまっていく…。先が読めないからこそ、なかなか止め時が作れなくなるのだ。
それもこれも、全ては勝利条件が複数あるからこその賜物と言ったところだろう。プレイの選択肢が複数あるからこそ、先の読めない展開が生み出され、それに伴う中毒性が発生する。単に占領するだけの勝利条件では、特定のパターンにさえ追い込めば、ある程度、その先の結果が見えるので、「あと1ターンだけやろう」という思いで止めるのが容易である。だが、今作は特定のパターンに追い込んだとしても、その先の結果が思い通りになるとは限らない。別の条件があるから、追い抜かれる可能性が生じる。そんなパターン化が起こり難いから、止めようにも止められない。そして、夢中になって、寝ることも忘れてやり込んでしまう。多彩な戦略が許されたゲーム性故、プレイヤーはその虜にされてしまうのである。
全く持って、プレイヤーを引き付けて離さぬゲームデザインとはこの事だ。戦略シミュレーション特有の優勢からのパターン化を防ぐ工夫、そんな盲点を突いたこのシステムは、さすがとしか他に言い様が無いだろう。プレイヤーを引き付けて離さない為、こんな作りにしてしまったのには、一種の恐怖すら覚える。本当、恐ろしいゲームなのである。
ただ、そんな恐ろしさに反し、至らぬところもある。主にマップ上でのユニット移動の操作レスポンスだが、ボタン・タッチペン共に反応が鈍過ぎる。メニュー周りは快適であるのに、こちらが鈍いのはいささか納得ができない。また、全体のゲームテンポもレスポンスの悪さに乗じて地味に鈍い上、マップ上に大量のユニットが生産されると、処理落ちが発生するのが辛い。酷い場合にはフリーズする事すらあり、致命傷となってしまっている。ハードスペックの都合か何かあるのかもしれないが、この辺はもう少し処理を軽くするなどの工夫が凝らされなかったものか、悔やまれる限りだ。
しかし、ゲームにのめり込んでいくにつれ、気にならなくなるので、さほど致命的というほどじゃないのが救いか。むしろ、ゲーム性の奥深さと中毒性を持ってして、それらを気にさせないものにしてしまっているのだから、驚きである。
そういう意味でも、今作のゲームデザインが如何に秀逸であるかを再確認させられる次第。本当にもう、システムの作りと良い、プレイの幅の広さと言い、「してやったり」。時間泥棒ゲーの名に恥じない、完成度の高さだ。

その他、今作は初心者救済策も万全で、丁寧なチュートリアルや難易度選択機能など、痒い所に手が届く配慮が成されてるのも秀逸。セーブも毎ターン可能の携帯ゲーム機にマッチした仕様で、好きな時に始められ、中断できる快適さを演出している。最も、今作の場合、好きな時に中断するのは極めて困難な話であるのだが。
また、全体のボリュームも膨大だ。マップ総数はランダム生成故に実質無限、特定条件の達成を目指すシナリオモードを搭載、更に難易度別のやり込みありと、ほぼ一生モノの量となっている。挙句、Wi-Fiコネクションによる配信マップもあるなど、単品だけでは終わらせない要素まで完備。廃人化しかねない凄さとなっている。恐らく、DS史上最高クラスのボリュームと言っても過言ではないだろう。本当、やり込んでもやり込んでも、底に到達できない。ある意味、このゲームさえあれば、他のDSのゲームは要らなくなるほどと言っても、何らおかしくはない。
一方でグラフィックや音楽は簡素だ。グラフィックはスーパーファミコン風の古めかしいスタイル、音楽に至ってはマップ曲は無いに等しい(さすがにタイトルとかはある)。見た目にこだわるユーザーには正直、かなり物足りないゲームと言えるだろう。しかし、その簡素な所を補うほど、ゲーム性は高いものに仕上げられているので、実際にプレイすればその辺はあまり気にはならなくなる。特に音楽は曲が流れないこその、静かに集中してプレイできる環境を作り上げているのが秀逸。黙々とプレイするに適した今作にして言えば、この上ない配慮であると言えるだろう。
でも、欲を言うなら音楽はもう一曲位、用意してくれても良かったが。

バランスも先の読めない展開を上手く演出する絶妙な調整で、独特の中毒性を見事に演出。シングルプレイ以外にも、最大4人まで可能な対戦、更にはWi-Fiコネクションを通じたネットワーク対戦もできるなど、とにかく至れり尽くせりな内容に仕上げられている。
テンポの悪さ、フリーズが起きる事があるとか、致命的な欠点もあるが、飛びぬけた中毒性と言い、今作がDS史上、最高クラスの時間泥棒ゲームである事実に揺らぎは無い。システム自体はワリと複雑なので、少し人を選ぶ。しかし、一度始めたら中毒になる魅力があり、ほぼ一生遊ぶ事ができるこの『シヴィライゼーションレボリューション』。
何か時間潰しに最適なゲームは無いか?そんなものをお求めのユーザーには、自信を持って薦められる脅威の逸品だ。
但し、繰り返しになるが、もの凄い時間泥棒ゲームなのでその点は注意。アメリカではそんな今作にはまり込んで、社会復帰できなくなったユーザーを支援する団体まで立ち上げられたほどなので、買う際は一定の覚悟を決めてからにしよう。魅力的なゲームであるのは事実だけど、やり過ぎはほどほどに。
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