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  4. ポケットモンスター ハートゴールド
≫ポケットモンスター ハートゴールド
■発売元 ポケモン(販売元:任天堂)
■開発元 ゲームフリーク
■ジャンル ロールプレイング
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜5人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ対応、ポケウォーカー対応(ソフトと同梱)、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応
■総説明書ページ数 56ページ
■推定クリア時間 16〜20時間(エンディング目的)、100時間以上(完全攻略目的)
ポケットモンスター(通称:ポケモン)と呼ばれる不思議な生物が住む世界。昔から人間とポケモンは仲良く遊んだり、共に力を合わせたりしながら暮らしてきた。だがその生態には謎が多く、ワカバタウンのウツギ博士を始め、多くの学者がポケモンの研究を続けてきた。

ワカバタウンに住む主人公はある日、隣のウツギ博士に呼び出される。博士曰く、ポケモンを連れて歩く事で生まれる絆や感情について調べてほしいというのだ。かくして主人公は博士から一匹のポケモンをもらい、冒険に旅立つことになった。その行く先にはどんな出会いと冒険が待っているのか。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆集める楽しさ、探す楽しさに秀でたシリーズ伝統のポケモン収集(ポケモンの総数も250匹以上と、集め甲斐抜群)
◆独立したゲームとして楽しめるだけでなく、ポケモン育成の救済処置としても活躍する意欲的で玩具屋としての任天堂らしさに富んだ新要素兼周辺機器『ポケウォーカー』
◆タッチペン操作の利便性を反映させた、使い易くてレスポンスの良いインターフェース
◆シリーズ伝統の相性如何で状況が大きく一変する、分かり易くて奥深い戦闘バランス
◆雄と雌の概念、特殊なウィルスによる変化と言った新要素が加わり、より奥深さと中毒性が向上したポケモン育成
◆クリアまでは短め、極めるとほぼ一生モノになる膨大極まりない総計ボリューム
◆もう一つのRPGが収録されてるに等しいボリュームのクリア後のスペシャルシナリオ
◆ドット絵と3DCGを違和感なく絡め合わせた、独自の作風が光るグラフィック
◆オリジナルのゲームボーイ版の曲もおまけで収録するなど、ファンサービスの効いた音楽(曲自体の出来とアレンジ具合も大変良好。名曲揃い)
◆技のエフェクトからイベントシーンまで、より派手で見栄えが良くなった演出群
◆自動ダッシュ機能に自転車への即時切替えボタンなど、親切設計の快適な操作性
◆新キャラクター『幼馴染』の追加で、より丁寧な内容に進化を遂げたチュートリアル
◆後発の『クリスタル』のイベントも入れるなど、お得なサービスも盛り込まれたシナリオ
◆二対二の『タッグバトル』追加で、バリエーションと戦略の幅が広がった戦闘システム
◆舞台となる世界の現実感を引き立てる、時計システムによる特殊イベントの数々
◆Wi-Fiコネクションの恩恵で、手軽に楽しめるようになったポケモン交換と対戦

--- Bad Point ---
◆高く設定し過ぎな感が否めないエンカウント率(低下させるアイテムはある)
◆一部、無理矢理タッチペン操作に対応させたゲームも存在する『ポケスロン』
◆完全にタッチペン操作前提で作られた『ポケモン預かりボックス』のインターフェース
◆タッチペンでの操作は良好だが、ボタン操作の場合は煩わしさの募るメニューインターフェース(カーソルを出す為に一度、ボタンを押さねばならぬなど、やや不便)
◆ゲーム進行を強制的に止める仕様が嫌らしい『ポケギア』の電話
◆要望の自由度が高過ぎて、理不尽なトレード条件が簡単に作れる交換システム『グローバルトレードステーション』
◆やや遅めの戦闘テンポ(特に体力の多い相手ポケモンにダメージを与えた際のゲージの減りの遅さが酷い)
▼Review ≪Last Update : 12/26/2010≫
ポケットピカチュウ、満を持して復活!

けど、メインは金銀の方。


1999年にゲームボーイ(カラー対応タイトル)で発売された『ポケットモンスター赤・緑』待望の続編、『ポケットモンスター金・銀』をニンテンドーDS向けに手直ししたリメイク作。開発は過去のポケモンシリーズと同じく、ゲームフリークが担当。

現実世界との絡みを取り入れたユニークな新要素が光る、意欲的なリメイク作だ。

ゲーム内容は過去のシリーズに準拠。イベントクリア型のロールプレイングゲーム(RPG)で、プレイヤーは自らの分身であるポケモントレーナーの主人公となり、ポケットモンスター(ポケモン)をフィールド上の草むらなどでゲット。チームを編成して様々なイベント、戦闘を乗り越えながら、トレーナーの頂点であるチャンピオンを目指していくというものだ。
ゲームシステム全般もポケモンだけが参加し、主人公は後方支援に徹する特徴的な戦闘システム、モンスターボールによるポケモンの捕獲、そして通信によるポケモンの交換、対戦、2つの異なるパッケージと登場ポケモンの違いと言った『ポケットモンスター赤・緑(青、ピカチュウ含む)』で完成されたものを踏襲。
また、今作はその続編として発売された『ポケットモンスター金・銀』のリメイク。そちらで新たに加わったシステム、要素も当然ながらそのままだ。代表的なものを挙げるとポケモンの性別とそれによる専用技の追加、「あく」と「はがね」の新しい属性の追加、ポケモンに『道具』を持たせられる仕様など。更に時間と曜日、昼夜の概念、大事なアイテムをボタン一発で取り出す『べんりボタン』機能などもそのまま引き継がれている。
ただ、時計絡みの要素はゲームボーイ版が内臓の時計電池を用いたものだったのに対し、今作はDS本体の内蔵時計と連動した方式に仕様が大きく変更された。これにより、オリジナルの懸念事項だった、電池切れによるデータリセットの恐怖は取り除かれている。更にセーブに用いる媒体もリチウム電池からフラッシュメモリへと変更され、ポケモン関連のデータが消失する可能性がほとんど取り除かれたのも地味ながら大きな進化だ。まさに技術の進歩さまさま。オリジナル版でその現実に涙を呑んだプレイヤーにとっては、嬉しい事この上ない改良だと言えるだろう。後者、『べんりボタン』に関しても、ボタンとタッチスクリーンの計二箇所に登録可能に仕様が変更。地味ではあるが、これも嬉しい変更点である。
無論、ただゲームボーイ版をDS向けに作り直しただけでなく、新要素も幾つか加えられている。まず第一に戦闘だが、GBAの『ルビー、サファイア』で初登場した2対2方式で行われる『タッグバトル』が追加(逆輸入)。シングル(1対1)限定だった旧作からバリエーションが拡張され、戦略性が増した。また、戦闘のコマンド選択インターフェースはDSの前作に当たる『ダイアモンド、パール』を踏襲。タッチペンとボタンの両操作に対応したものとなり、使い勝手が大きく変わっている。
第二にポケモンの連れ歩き。メンバーの中で先頭にいる手持ちのポケモンをモンスターボールから出し、一緒に連れ歩けるようになった。システムとしては『ポケットモンスター ピカチュウ』のピカチュウシステムの進化系と言ったところだ。ただ、場所によっては連れ歩けないなど、制約を受ける部分もある。更に連れ歩く特典も拾ってきたアイテムがもらえるぐらいと、少々地味だ。しかし、ピカチュウバージョンのように一体のポケモンだけでなく、色んな種類のポケモンと一緒に歩けるようになったのは結構な進化。特にピカチュウバージョンで「他のポケモンとも歩いてみたい」と思ってた方にとっては、嬉しい新要素と言えるだろう。
そして最後が『ポケウォーカー』だ。実は今作には歩数計にミニゲーム機能をつけた周辺機器『ポケウォーカー』が同梱されている。この周辺機器はDSカードと赤外線通信で接続でき、そちらに手持ち以外のポケモンを一匹持って来ることができる。そして預かったポケモンと現実でお出かけする事で、ポケモンがレベルアップすると言った特典が得られるのである。また、専用のミニゲーム、歩行コースも用意されており、『W(ワット)』と呼ばれる歩数を重ねるにつれて溜まるポイントを稼ぐ事で、その幅が拡張。更にウォーカー同士の相互通信機能も搭載。通信する事で特殊なアイテムを入手できると言った要素まで盛り込まれている。昔、任天堂が出していた歩数計『ポケットピカチュウカラー』の進化系と言ったところで、より強化された現実とリンクした様々な遊びが大きな特徴。単体でも十分遊べるほど内容もしっかりしており、ただのおまけで終わらせてない辺りも見逃せないところである。『ポケットピカチュウ』の新型というだけでも、ファンならば懐かしさを覚えるのではないだろうか。現実で歩く事でポケモンが強化できるなど、遊びとしても極めて斬新で、今作の追加要素の中では一番の見所と言っても良いだろう。
他にも『ポケスロン』と呼ばれる、タッチペンで遊ぶアクションゲームが楽しめる施設が登場するなど、追加された新要素は盛り沢山。名目上はゲームボーイ版のリメイクという事で、全体的には元の良さを尊重した作り。しかし、それと同時に良さを殺さぬ範囲で革新的な要素を追加しており、ただのリメイクと言うのも難しい。如何にもポケモンらしいバランスの良さとチャレンジ精神と言ったところだろうか。こんな具合に金銀の名を語った新作と言っても何ら不思議で無いほど、新しい手応えに満ちた内容に仕上げられている。

今作最大の魅力はその新作同然のゲーム内容だ。メインストーリーこそ、オリジナルとほとんど共通してはいるものの、戦闘から細かいシステムに至るまで、全てが刷新されているので、未経験者だけでなく、経験者でも新鮮な気持ちで遊び込める作りとなっている。かと言って地形を変えるなどの大胆な変更は最小限に留めており、経験者がノスタルジーに浸れる楽しさはちゃんと残している。そのバランスの塩梅もニクい限りだ。
特に今作の中で魅力的なのは、現実との絡みを取り入れた『ポケウォーカー』。毎日、歩く事でポケモンを強化したり、収録されたゲームを発展させたりと言った特典、やり込み要素が満載なので、日々の健康の糧として活用できるのが何とも笑える(笑)。そして、そんな”ただのおまけ”で済ませるのも難しい、徹底した作り込みの深さにも感服させられる。アイテム探しにポケモンとの戦闘と、意外に本格的な作りの全2種類の内臓ミニゲーム、ゲームでエンディングを迎えると全部で20種類にまで拡張するポケウォーカー専用コースなど、周辺機器であれど、きちんとゲームとして楽しめるものに作り込む、妥協の無い制作姿勢は圧巻の一言だ。これが今作一番の目玉だという熱い思いが伝わってくる。
また、『ポケットピカチュウ』のような任天堂の玩具屋らしい匂いが漂っているのも、マニアにとってはたまらない。液晶が白黒である為、『ポケットピカチュウカラー』ほどの豪華さは無いが、ゲームとの密接なリンクや小さいけど楽しいミニゲームなど、古い技術を用いて新たな遊びを提案する、故・横井軍平氏が提唱した『枯れた技術の水平思考』の考えが炸裂しているのには何処と無く、懐かしい手応えと感動がある。今もなお、あの考えが任天堂に根付いているという点でも、いちファンとしては嬉しくなる。そんな懐かしい香り漂う玩具を使いながら楽しめる、それだけでも今作が任天堂好きならばプレイしておく価値のある一本であるというのはもはや言うまでも無いだろう。
ポケウォーカーだけでなく、ポケモンとしての良さを大事にしたシステムやゲームバランス(戦闘バランス)の完成度も非常に高い。主にシリーズ伝統の育成、収集のやり込み甲斐の高さに関しては、初代の時点で既に完成されてるのもあり鉄板の域。登場ポケモンの数も250匹以上ともの凄い数なので、ただ図鑑を完成させる為に集める、そして個々を育てるだけでも膨大な時間を費やすことになる。更に今回はメインの戦闘だけでなく、『ポケスロン』という別ゲームでも専用数値に関連した独自の育成が問われるので、奥深さは桁違いなレベルにまでパワーアップ。クリア後にも、エンディングまでのシナリオ丸一本分の、おまけと言うにも程があるシナリオが用意されていたりと、遊び込める要素は無駄なほど充実している。全てをやり尽くすそうとするだけでも、ほぼ一生モノとなるだろう。
属性との相性が求められる戦闘バランスも相変わらず絶妙。メインストーリーの難易度も多少、敵側のレベルが上昇した所為で高くなったが、徹底した育成と属性を考慮した戦略を取れば難なく突破できるいつものバランス。育成の楽しさと相性を考える楽しさという、シリーズの本質を残したその均衡の取れた調整は、もはや職人技の域だ。
ただ、野生ポケモンとの遭遇率(エンカウント率)が高めに設定されてしまってる点に関しては褒められない。幸い、エンカウント率を下げるアイテムがあるので回避手段はあるが、願わくばもう少し低めに設定して頂きたかったところだ。正直、あまりに高く設定した所為でゲームテンポを大幅に悪くしてしまっている。その他、これはオリジナルにも存在するシステムだが『ポケギア』で悪いタイミングで電話が入り、ゲーム進行が止められるのも地味に不快だ。
しかし、そんな欠点も含めてオリジナルの良さと匂いを残し、新作としての楽しさを尊重した作り込みはさすがの一言である。懐かしさにも浸れて、新しさも味わえる。エンカウント率など、調整を失敗している所もあるが、このバランスの良さは特筆すべきものがある。この出来栄えは正直、フルリメイクの教科書にしても良いと言ってもおかしくはないだろう。

操作性も良好。オリジナルには無かった『ダッシュシューズ』による高速移動ができるなど、快適性が増している。しかもダッシュの際にボタンを押しっぱなしにする必要が無く、タッチパネルで専用アイコンをONにしたままであれば移動が勝手にダッシュになるというのは凄く親切。これは今後のシリーズにも採用されても良いシステムと言っても良いだろう。
また、インターフェースもタッチペンの強みを活かした、レスポンスの良い設計になってるのが秀逸。ただ、ボタン操作の際には十字キーを一度押してカーソルを出現させる必要があるなど、やや不便さが残ってるのは気になるところ。そして預けたポケモンを整理できる『ボックス』に至ってはボタンだとレスポンスが異常に悪く、かなりストレスの溜まる作りになってしまっているのが腹立たしい。せめてレスポンスが早ければ印象は違ったのだが。このボタン操作を入れながら、タッチペンをやたら推した調整には正直、疑問符が出る。もう少し、均衡な扱いにはできなかったのだろうか。
通信周りに関しても、『グローバルトレードステーション(GTS)』と言う希望があった人と交換できるシステムがあるが、要望の度合いに偏りが生じ易く(その辺で手に入るポケモンを預けて伝説のポケモンを要求するなど)、細かい配慮が足りて無いのが気になる。
その他のグラフィックや音楽のレベルは極めて高い。特に音楽はかなりこだわった出来で、何とオリジナルのゲームボーイ音源までおまけで容易しているという贅沢っぷりだ。ファンなら感涙必至だろう。
演出周りも大幅に強化。伝説のポケモンとの対決前に凝ったデモが展開されたり、専用の音楽が流れたりなど、仰々しいものに進化している。細かい所でもジムリーダー戦開始前には特殊なカットインエフェクトが入ったりなど、GBからDSへの進化が感じ取れるそれらには感慨深いものを覚えるだろう。

地味な所だが、チュートリアル全般も”幼馴染”というガイドキャラクターが追加された事で、より丁寧になった。見方を変えれば過剰になったとも言えるが、ポケモンの魅力から醍醐味までしつこくなり過ぎずに語るその内容は実に秀逸。時代を見据えた、ナイスなアレンジと言って良いだろう。シナリオも、基本はオリジナルと共通だが、クリスタルバージョンでしか語られなかった追加シナリオが入ってると言った、お得な変更点が設けられている。ここもオリジナル経験者には地味に嬉しいアレンジと言えるだろう。
ボタン操作に対する配慮の弱さ、エンカウントなどの粗も散見されるが、リメイクとしての完成度はかなりのもの。更に新要素も盛り沢山で、オリジナルをやり尽くしたプレイヤーでも新鮮な気持ちで楽しめる内容に仕上げられている。元の良さを残して新しい遊びを取り入れる、そんな職人的な手腕とバランス調整の上手さが炸裂した今作。
ポケモンファンは勿論の事、DSを持ってるプレイヤーならば要プレイの傑作だ。ボリュームも盛り沢山、更に単品でも遊べるミニゲームが収録された特殊な周辺機器もついてお値段税込み4800円。大変お得です。お薦めです。
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