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  4. ポケモン不思議のダンジョン 闇の探検隊
≫ポケモン不思議のダンジョン 闇の探検隊
■発売元 ポケモン(※販売元:任天堂)
■開発元 チュンソフト、ノイジークローク(音楽)
■ジャンル ダンジョンRPG
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ対応、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応
■総説明書ページ数 56ページ
■推定クリア時間 10〜14時間(エンディング目的)、60〜75時間(完全攻略目的)
気が付くとそこは『ポケモンの世界』だった。
人間だった貴方は、ポケモンになってしまった答えを求め、自分を助けてくれたポケモンと一緒に探検隊を結成する。

何故、貴方はポケモンになってしまったのか?
そして、貴方は一体何者なのか?
冒険を進めて、謎を解き明かせ!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆様々な『不思議のダンジョン』を攻略していく、本家シリーズ以上に起伏に富んだゲーム展開(章単位で進行する方式になり、区切りも付け易くなった)
◆不思議のダンジョン初心者に優しい、前作から継承された『レベル継続制』
◆ダンジョン攻略失敗時の救済処置として上手く機能している、通信による『ともだちきゅうじょシステム』(今作ではWi-Fiによる快適な通信も可能に)
◆本家と同じながらも、ポケモンの醍醐味である属性の相性が活かされた、戦略性満点の戦闘システム
◆異なるわざ同士を組み合わせて、プレイヤーオリジナルのコンボを作る面白味に富んだ『わざの連結システム』
◆シリーズの伝統、遊ぶ度に違うダンジョンが楽しめる故に生じる強烈な中毒性
◆階層の浅いものからギミックに富んだものまで、盛り沢山の全20以上ものダンジョン
◆一箇所での切り替え方式に改められ、煩わしさが消滅したメンバー変更システム
◆天候の変化など、相変わらず攻略性と奥行きを高める要素に富んだダンジョン構成
◆ポケモン収集、クリア後ダンジョンなど、相変わらず無駄に充実したやり込み要素
◆ボタン配置が適切で取っ付き易い、シリーズ伝統の快適な操作性
◆前作よりインパクトは劣るが、相変わらず涙腺を刺激させられる練られたストーリー
◆ストーリーを盛り上げる、絶妙なカット割りが秀逸なデモ演出
◆同じくストーリーを盛り上げる、前作譲りの切ない旋律が秀逸な、珠玉の音楽
◆前作譲りの美しくて、手作り感溢れる、こだわりのドット絵グラフィック

--- Bad Point ---
◆あり得ないほど安定を狙い過ぎた作り(新鮮味が皆無に等しい)
◆異常なほど命中率の低い『わざ』(10発中9発が外れることもザラ…)
◆特定の属性のポケモンだと難易度が極端に跳ね上がったり、一部、強力極まりないわざがあるなど、総じて壊れ気味なゲームバランス(練りが甘過ぎる)
◆強弱の差が激し過ぎるボス(特にラスボスの強さは問題あり過ぎ)
◆即死確実なのに突っ込んだりと、壊滅的に「おバカ」になったパートナーのAI
◆ポケモン専用装備アイテムが圧迫するせいでスペース確保が厳しい倉庫管理
◆たった1つしか作れないセーブファイル(しかも、今回はセーブ時間も長過ぎる…)
◆前作と同様にダメージを受ける度に進行を止められるのがもどかしい、『あられ』と『砂嵐』等の天候ダメージ演出
◆街の鑑定所でないと開けないのが面倒臭い『たからばこ』(風来のシレンみたいに識別の巻物みたいなアイテムで行える方が良かった気が…)
◆パートナーが落ちてしまったら即ゲームオーバーの『落とし穴』の罠
◆本家ポケモンシリーズ未経験者には敷居が高過ぎる、『足跡当てクイズ』
◆瞬時に移動する癖を掴まないと操れないのが辛い、高速移動
◆仲間になる条件がランダムなので、面倒臭い感も否めないポケモン集め
◆本家シリーズ経験者には賛否両論な『レベル継続制』(レベル1ダンジョンはあります)
▼Review ≪Last Update : 4/19/2009≫
前作のパートナーと主役が逆転してしまいました。

以上、個人的な体験談。


レベル継続制を始めとする不思議なダンジョンシリーズ初心者に優しいゲームシステム、感動的なストーリーと演出で高い評価を得た、ポケモンシリーズ派生作『ポケモン不思議のダンジョン』の続編。開発は前作に引き続き、本家『不思議なダンジョン』シリーズを手掛けるチュンソフトが担当。

安定を狙い過ぎて進化を怠った、物足りなさ満点の続編だ。

基本的なゲーム内容は前作と共通。一度でもやられてしまうと所持品(アイテム)を失った状態でスタート地点に戻される、『不思議のダンジョン』の階層を攻略し、ストーリーを進めていく、ダンジョン攻略に特化したロールプレイングゲームだ。ゲームシステムも前作と共通。本家『不思議のダンジョン』シリーズとは異なる、ダンジョンでやられてもレベルがリセットされない『レベル継続制』、ダンジョン内の気候変化、単独でなくパートナーと組んでダンジョンを攻略していく仕組み、そして使用制限が設けられた『わざ』等、前作で既に完成されていたものをそのまま継承した作りとなっている。

そんな訳で以上、『ポケモン不思議のダンジョン 闇の探検隊』のレビューはお終い。
ポケモンファンならやっておきましょう。

………って、ちょっと待て!
それだけかよ!

……と、こんな締めをしたら突っ込みたくなるだろうが…冗談抜きに、本作の中身というのは上の通り。前作のシステムと特徴等をそのまま引き継ぎ、ストーリーと登場するポケモンの面々などを変えただけに過ぎない、酷く進化に乏しい内容なのである。だから、このレビューにて語れる今作だからこその魅力・特徴というのは皆無も同然。全てが前作『ポケモン不思議のダンジョン 赤の救助隊(青の救助隊)』と共通しているので、仮に語るとしたらそちらのレビューと内容がほとんど同じになってしまう。レビューをコピペして、ストーリーとか登場ポケモンの違いとかについて言及すれば、それで完了。また悲しいぐらいにネタに乏しい仕上がりとなってしまっているのだ。
あらゆる意味で傑作だった前作の続編と聞いて、あのゲームシステムが一体、どれほどの進化を遂げたのか、期待したユーザーもさぞかし、多かったと思う。ダンジョンではどんな新ネタ(ギミック)が用意されたのか、天候の変化を髣髴とさせる新鮮味溢れるシステムはあるのか、と。しかし、今作にそんなユーザーの期待に答えるかのような新システム、新ネタというのは全くと言って良いほど無い。ダンジョン内のネタと言い、ゲームシステムと言い、全てが前作のものをそのまま取ってきてしまっている(しかも、欠点まで含めて)ので、どのパートにおいても新鮮味を感じ取れないのである。前作の『救助隊』、未経験のプレイヤーは除いて。
唯一、共通して体験できるところと言ったら、単にその容姿を変えただけに過ぎないダンジョンとメインのストーリーぐらい。前作とは違った物語を楽しみたいという、ゲームでなくてストーリーを求めるプレイヤーの欲求ぐらいしか、今作が満たしてくれる要素は無いのである。遊びの欲求をもたらしてくれる要素は無いも同然。幾ら何でも、続編を謳ってるゲームで、これは無いだろうと言いたくなるのも仕方が無い。前作とは違う遊びを求めるプレイヤーを無視し、逆に前作とは違うストーリーを求めるプレイヤーにしか答えていない作り。素っ気無過ぎるとしか、他に言い様が無い。
世間一般の続編系のゲームでも、ここまで遊びの進歩を怠った作品というのも正直、珍しい。というか、イレギュラー過ぎだ。大抵、どんな続編にしても前とは違ったストーリーのみならず、遊びをもプレイヤーに提示し、その作品ならではの「味」というものを引き出しているもの。仕組みは同じであっても攻撃面で前とは異なるテクニックを要求されてくるとか、そう言った独自の「味」があってこそ、真の意味で続編と言える。それに対して、今作の場合はストーリー程度しか提示して無いから、今作独自の「味」が全く出てない。凄く極端に言ってしまえば、前とは違う店の料理の「味」になっただけで、テクニック面でも前と共通したものが要求されるだけだから、独自の手応えなんてのもゼロ。まさに、イレギュラーも同然な仕上がりなのである。
見方を変えれば、続編を謳うゲームで安定重視はワリと稀なケースな上、それを狙ったからこそ「安心して楽しめる」という魅力も出ている。しかし、それだけで終えてしまうのも正直どうか?やはり、続編なのだから、前作を遊んでくれたプレイヤーに対して、何かのサービス(新要素の追加など)を行って然るべきだろう。そこに答えたのが、ストーリーしか無いってのはどうなのか?申し訳無いが、これでは手抜きと見て取られてしまっても仕方が無い。

しかも、もっと問題なのは、進化したところが少ない以上に、プレイアビリティやバランス周りには(何故か)手が入れられていること。そして、それが前作以上に劣化してしまっていることだ。代表的なものを上げると、ポケモンのわざの命中率、わざのバランス、パートナーポケモンのAI、そしてアイテムのラインナップの計4つ。
中でも壊滅的なのがわざの命中率で、これがまたあり得ないほど低めに設定されてしまっている。確率にして10発中9発を外すのがザラ。それに対して敵達の命中率はほぼ五分五分の確率。整合性メチャクチャなのである。だから、ただの雑魚敵であっても、場合によっては瀕死に陥ったりすることがしょっちゅうある。別に特殊な攻撃を放ってくる訳でもない、ただの雑魚敵に対して!正直、理不尽にも限度がある。どんな狙いがあってこんなにも命中率を下げる真似だなんてしたのか、理解に苦しむばかりだ。普通に前作の命中率を継承すれば、ここまでストレスを感じることも無かっただろうに。肝心のシステム周りとかは前作と変えてなくて、こういうところは変にいじるとか、スタッフの頭の中身が知りたい。
また、命中率に匹敵する欠点として、わざの全体バランスが乱れてしまっている所も頂けない。具体的には連続攻撃、全体攻撃系のわざで、そのどれもが強力過ぎで、一発で即死になるのがザラだとか、理不尽にも限度がある。逆にその理不尽さこそが不思議のダンジョンシリーズの醍醐味を演出していて面白い、と考えられるのも事実だが、だとしてもこれは行き過ぎ。確かに不思議なダンジョンシリーズでも、理不尽な罠など、それっぽいものは多々あるが、いきなり即死になる類のものなど無かった。基本的に、プレイヤー側の戦略をかき乱すものが中心を占めていたはずである。そこに戦略そのものを全否定する要素を取り入れるだなんて、正直言って、不思議なダンジョンにとっては最もあってはならぬ暴挙だ。それをシリーズ初心者も安心して楽しめるのが売りの今シリーズで行ったというのだから腹立たしい。初心者に対して作るのなら、そう言った無茶苦茶なのは最低限、避けて然るべきだろう?それに、上級者にとっても自分の行いを全否定させるだなんて、その人の考えを馬鹿にでもしているのか?
本当、仮にも本家不思議なダンジョンのスタッフが関与しながら、このバランスの悪さは壊滅的だ。開発のチュンソフト最大の持ち味とも言える、あの芸術的な理不尽ギリギリで絶妙なバランス調整力は衰えてしまったとでも言うのだろうか。それとも、今の中心スタッフが、不思議なダンジョンは理不尽で遭ってこそとでも認識してしまっているのだろうか。だとしたら、勘違いも甚だしいとしか他に言い様が無い。
この他にも即死になるのが分かって強敵に向かってしまう、酷いAIを実装したパートナーや倉庫管理のし難さを演出するなど、プレイアビリティを損ねる欠点は多々存在。しかし、それらに対して語ると長くなるので、ここでは省略とする。
肝心のシステム周りで安定さを狙いながら、プレイアビリティやゲームバランスの面には無駄に手を入れる。普通にこの辺も前作基準を保っていれば、こうも酷くなる事は無かっただろうに、何故、あえて手を入れたのだろうか。先に語った、続編としてのプレイヤー側に対するサービスの為としてか?もし、そうだとしたらプレイヤーにケンカを売っているとしか思えない。こんなの、サービスとかそれ以前に嫌がれせでないか。そんなのをしてプレイヤーが喜ぶとでも、本気で思ったのだろうか。冗談抜きに整合性の無さも、ここまで来るともはや、ある種の芸術と言っても良いかもしれない。

前作最大の魅力とも言えるストーリーも、中身は違えど基本的には前作と同等のノリで作られた内容なので、正直言って前作をプレイした人には新鮮味に乏しい。更に今回は、最後のオチも含めて所々に「どうしてそうなる?」みたいな腑に落ちない展開もチラホラあり、微妙に消化不良な作りになってるのも頂けないところである。だが出来自体は決して悪くなく、今回もそれなりに感動できる内容。特に今回は終盤以降の展開が必見。あるキャラの果敢なる行動の数々には、思わず心を打たれてしまうだろう。
その他、クリア後のやり込み要素や救助機能などのおまけ要素、サポート関連も充実。特に救助機能は、Wi-Fiコネクションによる全国規模の通信が可能となった事で、使い勝手が向上。より、救済処置としての魅力を高めている。また、道具の交換やふしぎなメールなど、様々な機能が実装されている辺りも見逃せない。
グラフィック、音楽周りも今回はDS中心に作られただけに総じてレベルアップ。その中でも音楽は前作以上に名曲揃いで、ゲームを大いに盛り上げてくれる。
特にストーリー後半のダンジョンの曲、ラスボス戦の曲はかなりインパクトのある仕上がりとなっているので要チェック。ラスボス戦に至っては、人によってはポケモンでなくて『ワ●ルドアームズ』シリーズを髣髴とさせるかもしれない…。

その他にも、ダンジョン探索のメンバー(仲間)の編成は一箇所で行えるようになったり、メインのストーリーは章単位で進行するようになり、区切りが分かり易くなったなど、色々と改善されたところはある。
しかし、総合的に見て、一つの続編として、またポケモン不思議のダンジョンの続編としてはかなり物足りない作りとなってしまっている感は否めない。ゲームバランスも、命中率やラスボスの強さなど総じて悪く、見方によっては本家シリーズ以上に酷い。最近のポケモンシリーズをやってない人には何が何やらの『足跡当てクイズ』など、微妙に敷居が高いところがあるのも褒められない。あらゆる意味で傑作だった前作の更なる上を目指そうとせず、保守的なスタンスを貫いて味気の無い続編となってしまっている、この『ポケモン不思議のダンジョン 闇の探検隊』。
決して、遊べ無いゲームという訳でないのだが、前作経験者にはあまりお薦めできない一本である。どちらかというと、未経験者やポケモンファン向け。もっと進化した不思議のダンジョンが遊びたい、というのでしたら、そう言った続編の登場を祈りましょう…。或いは、本家シリーズをどうぞ。
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