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≫パックピクス
■発売元 ナムコ(現:バンダイナムコゲームズ)
■ジャンル お絵かきアクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5040円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリーバックアップ)
■総説明書ページ数 21ページ
■推定クリア時間 8〜9時間(エンディング目的)、20〜35時間(完全攻略目的)
何処かのイタズラ好きの魔法使いが作った『ゴーストインク』から生み出されたモンスター達によって、世界中は大混乱。
そこで立ち上がったパックマンは、『まほうのペン』を使って全てのゴーストを一冊の本に閉じ込めた。しかし、最後の最後でゴースト達が大反撃し、油断していたパックマンは、恐ろしい呪いによって、紙切れの中に閉じ込められてしまう…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆自分の描いた絵でゲームを進めていくという、秀逸なゲームシステム
◆パックマンらしいシンプルさとパズル要素を徹底したステージ(ページ)構成
◆タッチペンによる快適で直感的な操作性
◆全12ページ60ページ+隠し難易度と充実している(し過ぎている)総計ボリューム
◆プレイヤーに綿密にパックマンの描き方などを指導してくれる、レクチャーモード(解説内容も分かり易く、丁寧)
◆絵を描いてゲームを進めていくというシステムの特性を生かした、秀逸なボス戦
◆可愛くていかにも絵本のキャラクターというグラフィックが印象的な敵キャラ
◆かなりシビアではあるが、ファミコン臭さのあるハイレベルでやり甲斐のある難易度
◆ハイスコア稼ぎ、特殊カード集めなどとやり込み派プレイヤーも思わず唸ってしまうほど充実したやり込み要素の数々
◆絵本の雰囲気を尊重した、手書き風の印象的なグラフィック
◆秀逸な出来の音楽(名曲満載。特にラストステージの曲は必聴の価値あり)
◆それまでの鬱憤を晴らすかの内容に仕上がっているラスボス戦

--- Bad Point ---
◆やはり人によってはきつい、シビアな難易度(それなりに何とかなるレベルには調整されているのだが…)
◆『矢』のジェスチャーの判定が悪過ぎる(もう少し認識し易いものにして頂きたかった)
◆敵の種類がちょっと少ない
◆最初のチャプターの方は自由度が高いが、後半のチャプターは自由度が低い
◆ポーズメニューの『リトライ』の配置位置が悪い(できれば、一番下の部分に配置して欲しかった…。)
▼Review ≪Last Update : 12/31/2006≫
貴方の描いた絵が、奴らの脅威となる。

……と言っても、描けるものは限定されちゃってますけどね…。


ニンテンドーDSのタッチパネルと手書き操作を活かしたゲームシステムを取り入れた、ナムコの看板アクションゲーム、パックマンシリーズの最新作。

新しくて、古臭い。
そんな見た目とは大きく逸脱した、火傷必須のバランスが魅力のゲームだ。

ゲームシステムを手短に解説すると、基本はステージクリア型の誘導アクションゲーム。全12チャプター60ページに渡るステージを、ページ内に徘徊するゴースト達を、自動的にそのページ内で動き回るパックマンをタッチペンで誘導しながら食べさせ、ゴーストを全滅させていくのが大まかな内容だ。
他の誘導アクションゲームと異なるのは、何と言っても、プレイヤーが誘導するキャラをペンで描いて実体化させる必要がある事。本作でプレイヤーが操る事になるパックマンは、ゲーム開始時には何処にもその姿はあらず、タッチスクリーンに直接パックマンを描く事によって、初めてその姿を現し、同人に実体化してページ内をパクパク口を動かしながら、自動的に歩き回るようになっている。この実体化し、自動的に歩き回るパックマンを、タッチペンで進行方向を指定した壁(線)を描いて指定、そしてページ内で徘徊するゴーストを食べさせ、ゲームを進めていくのである。まさにこれぞ、ニンテンドーDSだからこそできたゲームシステム。故に、本作はシステム面のオリジナリティの高さでは群を抜いている。

ちなみに、描けるのはパックマンだけでは無く、ゲームを進むにつれて、矢や爆弾なども描けるようになる。これらのジェスチャー(本作ではそう言われている)を使った仕掛けやテクニックも沢山用意されており、全体的にゲーム自体が単調な展開になり難い作りになっているのはさすがの一言に尽きる。
プレイヤーの前に立ちはばかるステージ(ページ)も、ただ敵を全滅させるだけのものに留まらず、ニンテンドーDSの2画面を活かしたものから、描くという操作性を逆手に取ったものまで盛り沢山。制作スタッフの新しいアクションゲームを作ろうという熱意とこだわりをひしひしと感じる、そのアイディア満載のステージの深さにはひたすら脱帽する限りだ。

……と、これまで色々と本作の特徴を語ってきたが、そのほとんどは斬新なシステムの事で、古臭さについては一切言及しなかった。では、最初に述べた古臭さとは一体、何のこ事を意味するのか。それは、最初の方で少し述べてる通りだが、火傷必須のゲームバランス。
本作は見た目の新しさ、そして可愛さに反して、実はかなり難易度が高い。各ページごとにパックマンを描ける数と制限時間が設定されていたり、途中のページでミスをしてしまったら最初のページからやり直しになってしまったり、更に途中セーブも一切行われない(チャプタークリア後にセーブはされるが)など、結構、制約が定められているのである。
それ故に、実は本作の自由度というのはかなり低い。折角の新しいアイディアも、これでは殺されてしまっていると言っても良い。というか実際、本作に搭載されている新しいアイディアの数々は、この辛めのバランス設定のせいで、ものの見事に玉砕されてしまっているのだが。まぁ、何という事!勿体無いのにもほどがあり過ぎますってば!
でも、その辺りのバランス設定が、これまた何とも古臭い雰囲気を醸し出していて、独特の味を引き出しているのである。その独特の味は、ファミコンやスーパーファミコンのゲームを彷彿とさせられる。オールドゲーマーにとって、この古臭い味はまさに、長年追い求めていた味、例える所の「」のような美味さがある。
逆に新規ユーザーにとっては、やらしいバランスとしか思えないものだが…。
とにもかくにも、こういう味が秘められている事からして、実は本作は、最新鋭のファミリーコンピュータソフトとして作り出されたものではないのか、という制作者の意図が見え隠れしているような印象を受ける訳である。そんなの絶対あり得ねぇ!、と言われるのも至極ごもっともだが、私はこのバランスは意図的に組まれたものだと考えている。
そうでなければ、本作のあの最終ボス戦の爽快感は実現する事自体できなかっただろう。
あの爽快感は、この制約とバランスの辛さ無しでは引き立たない。それ位の説得力と意気込みが、バランス全体から感じ取れるのである。新しさを殺してでも、古臭さを取るか!何とも凄い試みだと言える。よくこんな挑戦をしたよなと、個人的には感心せざるを得ない。しかし、新システムが殺されている点が残念な所である事は認める。正直、もうちょっと制約は緩めに設定すべきだったのでは、と思う。特に、パックマンの描ける数の制約は本当に必要か?

その他にも、絵本らしさ溢れるグラフィック、秀逸な音楽、万全に取られた初心者救済措置など、魅力はまだまだある。
古臭いバランスと制約の多さが賛否を分けるが、総評して良く出来たゲームだ。手強いゲームが好きな方やアクションゲームが好きな方、そして斬新なゲームを求めている方にお薦め。是非とも本作の、不思議な手応え、そしてファミコンらしさに満ち溢れた手強い難易度というものを思う存分、体験してみて欲しい。
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