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≫超操縦メカMG
■発売元 任天堂
■開発元 サンドロット、グラスホッパー・マニファクチャ(音楽)
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 4つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ対応
■総説明書ページ数 36ページ
■推定クリア時間 12〜15時間(エンディング目的)、80〜100時間(完全攻略目的)
糸操り人形『マリオネット』。近年、人形師達のたゆまぬ努力と科学技術の発展により、それは巨大な機械仕掛けの人形『MG(マリオネーションギア)』と姿を変えた。

大陸発端の街『クロノタウン』にある、ガロイと呼ばれる男の営む小さな工房では、13歳の少年が、そんなMGを操る者、『人形使い』の見習いとして働いていた。

この物語は、彼がMGに乗る事を許された日から始まる。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆課せられるミッションを遂行する、シンプルで取っ付き易いメインゲームシステム
◆十字キーで移動、タッチペンでコックピットを操作するというDSらしさが存分に活かされた、独自の快感に富んだ操作性
◆剣や銃と言った武器を操る人型から、打撃攻撃専門の昆虫型まで、盛り沢山の登場MG達
◆MGごとに個別のデザインが成された、尋常なきこだわりが光るタッチスクリーンの『コックピット』
◆隠しボタンから変形ボタンまで、ロボ好きの好奇心を刺激するユニークな『コックピット』に凝らされた仕掛け
◆敵ロボットの撃破から救出、レースまでバリエーション豊かな各ステージのミッション
◆総計100以上と尋常なき物量のステージ(やり応え抜群!)
◆1つ1つがほんの数分で決着するよう、コンパクトにまとめられた絶妙なステージ構成
◆簡単なものからマニアも唸る最高難易度まで、多彩に用意された全4種類の難易度
◆MG次第で最高難易度まで簡単になる、「ユルさ」が見事な懐の広いゲームバランス
◆DSの3D描写機能を最大限に活かした巧みのモデリングが光る、味わい深いグラフィック
◆ロボットのゲームらしい、熱い旋律が印象的な良質の音楽
◆「敵を倒す」という手応えをこだわり抜いた、質感満点の仰々しい効果音
◆王道ながらも昔のロボットアニメを髣髴させる熱さが魅力的なシナリオ
◆80年代のロボットアニメが好きな世代にはたまらない、古臭いロボデザイン

--- Bad Point ---
◆敵との性能差を極端に切り開いてしまっている、謎の足かせ要素『オーバーヒート』(正直、足かせは一定期間MGが使えなくなる『糸』だけで十分だった)
◆広過ぎる上、次の目的地を見失い易い欠点まで兼ね備えた全体マップ
◆完全マニュアル仕様のセーブ(オートの方が良かった)
◆激し過ぎる処理落ち(特に大量のロボットと戦うステージの激しさは相当なもの)
◆周回判定のシビアさが煩わしい、レースミッション
◆やたら回さないと曲がりきれない調整が煩わしい、車形態のハンドリング操作
◆古臭くて癖が強過ぎるキャラクターデザイン(暫くすると慣れるが…)
◆現代の世代には馴染み難い、古臭いロボデザイン
▼Review ≪Last Update : 3/1/2009≫
敵倒せーッ!

しかし、いきなりはそうならない。


『ギガンティック・ドライブ(PS2)』や『THE地球防衛軍』シリーズ(PS2、Xbox)、『鉄人28号(PS2)』など、数多くの3Dアクションゲームを手掛けてきたサンドロットと任天堂のコラボによって誕生した、新作3Dロボットアクションゲーム。

熱きロボット魂が込められた、DSらしさ満点の漢(おとこ)の名作だ。

ゲーム内容はミッションクリア型の3Dアクションゲーム。MG(マリオネーションギア)と呼ばれる巨大ロボットを操縦し、3Dのフィールドを舞台に敵の撃破や物資の運搬と言ったミッションをこなしていくというものだ。
MGは基本的に十字キーとタッチペンの二つで操作。十字キーでMG本体の移動を行い、タッチペンでタッチスクリーン上にセットされたMGのコックピットを動かすという、DSらしい独自の体系を起用している。 このタッチスクリーン上、丸ごとセットされたMGのコックピットこそが、今作の特徴。レバーを引いたり、ギアを回したり、時には銃の引き金を引いたりと、まるで本当にロボットを動かしているかのような、リアルな手応えを堪能することができる。しかも、コックピットの形状は全MG共通ではなく、MG一体一体が固有の形状をしたコックピットを所持。使うMGによって、まるで違った操作感を味わえるのである。 更にその登場するMGの物量も半端ではない。何と総計100体以上。オーソドックスなロボット型から昆虫型、動物型など多種多様なMGが呆れるぐらいに用意されている。各MGの個性付けも完璧と言っても良いほどの域で、剣を武器として使うものや槍を武器として使うもの、武器でなく突進攻撃主体で戦うものなど盛り沢山。扱うMGによってミッションの展開・難易度も大きく変化し、様々な観点による攻略が楽しめるというのも、ゲームそのものに奥深さを与えている。やり込み派プレイヤーにとってはまさに「たまらない」要素と言っても過言じゃないだろう。
そんなMGを操縦して挑むことになるミッションの物量も、これまたMGの総数と同じ100以上と圧倒的。ミッション内容も敵の撃破と言ったオーソドックスなものから、物資の運搬に味方の救出、更にはレースなどバラエティー豊かで、プレイヤーを飽きさせない。ミッションのスケールもその物量とニンテンドーDSの携帯ゲーム機としての特性を考慮し、長くて大体10分程度とコンパクトにまとめられているのも秀逸。パッと遊べてパッと止められるので、忙しい社会人プレイヤーにはこの上ないほど有り難い配慮だと言えるだろう。 勿論、単にコンパクトな訳でなく、先の100体以上ものMG収集、MGに装着するパーツ集め、難易度別チャレンジなどと、コアユーザー向けのやり込み要素も充実。特に難易度は各ミッションを始める際に自由に選択する事が可能で、プレイヤーの腕に合った難易度で進めて行けるようになっているのが凄く親切だ。普通にエンディングを目指したければイージーで進め、ある程度歯応えを感じ取りながら進めて行きたいのであれば、ノーマル以上の難易度でチャレンジするなど、好きなやり方で本編を楽しめるのが嬉しい。特定の難易度で無ければ遊べないステージ、イベントがあると言った意地悪な要素も無く、いわゆる「圧迫感」みたいなものが皆無であるというのも有り難い。気軽に楽しめるというコンセプトが一貫されてる。
また、この4種類の難易度はいわゆる「難しさの指標」として設定されていないのも大きな特徴。単刀直入に言ってしまうと、MGで難易度そのものを「壊す」事ができるのである。だから、一番難しい『スーパーハード』も、適切なMG(強力なMG)でプレイすればイージー並の難易度に変化するなど、腕に自信が無いプレイヤーにも攻略の突破口が用意されている。難しいからと言って、熟練者でなければ攻略不可とか、そんな訳じゃないのである。勿論、そんな手を使わずに真面目に最高難易度をクリアしたければ、そうするのもアリだ。先も言ったように、プレイを縛るような意地悪な要素は一切無いので、どのように遊ぶ(攻略する)のかはプレイヤーの勝手なのだから。こんな風に「どのように遊ぶかは全てプレイヤー任せ」という、良い意味での適当さも先のコックピットを模した操作性と並行して、今作ならではの特徴である。この辺の作風は、如何にもかの『THE地球防衛軍』シリーズを手掛けてきたサンドロットらしい。プレイヤーを縛るのではなく、好きに遊ばせるその絶妙なゲームデザインには改めて、彼らの「ゲームって遊びだ」という信念がヒシヒシと伝わってくる。

そんな今作一番の売りは、もう既に紹介してしまっているが、タッチスクリーン上のコックピットによる本当にロボットを動かしているかのような操作感、これに尽きるだろう。MGごとに異なるコックピットが用意されている、その尋常なきこだわりも圧巻であるが、肝心の操作感も「本当にロボットを動かしている」手応えに富んでいるのが素晴らしい。それも全ては「ロボットの操縦独特の難しさと楽しさ」がきちんしている事に集約される。
ロボットアニメが好きな方ならばよくお分かりかと思うが、巨大ロボットというのは基本、操縦が難しいもの。どんなロボットアニメでも大抵、序盤の主人公の操縦を見れば明らかだが、ロボットの操縦になかなか慣れず、失敗を犯す場面がお約束のように用意されている。しかし、中盤辺りの話になると主人公もロボットの操縦に慣れていき、終盤に至っては初めの頃を全く思わせないような動きで敵を翻弄するようになっていく。初心者だった主人公が熟練者までに成長するのが「お約束」。それと全く同じ手応えが、今作の操作でもきちんと活かされているのである。
具体的には基本、本編で登場するMGに「動かすのが簡単」みたいなものはほとんど無い。登場するMGの大半が「ある程度、動かしていないと上手くならない」という、ロボット独特の「難しさ」を反映したものばかりであり、扱うにしてもそれなりの練習と慣れが要求されるのである。だから、始めにプレイした際はそのロボットアニメの主人公みたいに、プレイヤーもヘマをしがち。パンチ攻撃がどうするか繰り出せるか分からないので、とりあえずサブウェポンのミサイルで攻めてみたが、弾切れを起こして対抗できなくなってしまったりなど、プレイヤーは通過儀礼みたいな感じで初めは体感してしまう。避けられないのだ。しかし、先の通りに経験を積めば動かすのは上手くなる。確実に上手くなる。ちゃんと練習をこなしたが故の恩恵が気持ちよくもたらされるよう、絶妙に計算されているのである。
その計算の絶妙さを物語ってるのが、今作ではそのMG(ロボット)で癖を出してるのは「攻撃周り」に限っていること。移動とかは十字キーで直感的に行える(しかも簡単)ので、その辺に神経を配る必要無し…一つの事だけに集中すれば良いようにされているのだ。だから上達も適切な頃合に訪れ、同時にロボットアニメの主人公のような進化を手軽に感じ取れる。癖を出してる対象が少ないからこその快感、そう言った配慮を今作では行っているのである。これが仮に攻撃のみならず、移動にまで癖をつけていたら、操作自体がストレスの塊と化してたのは間違いない。ロボットアニメの主人公でさえ捨てたくなるようなものになっていたかもしれない。それをあえて避け、動かし易いところは動かし易くし、ロボットアニメの主人公と同様の成長が感じられる「醍醐味」だけに留めた、スタッフの絶妙なバランス調整にはただひたすら感服する限りである。何でもかんでもリアルにすれば良いってものじゃない、限られたところだけリアルにすればそれで十分なんだと、この操作からは誰もがそんな熱き思いを痛感させられることだろう。
また、操作ではロボットらしい「重量感」が滲み出ているのも秀逸。如何にも重そうなロボットが動いている雰囲気タップリの、その「ズシン、ズシン…」という緩やかな動きには、ロボット系ゲームが好きな方ならばたまらない快感を堪能できるだろう。単に重みが出てるのみならず、高速移動や変形によるスピードアップなど、きちんとゲームテンポの劣化を防ぐ配慮が成されている辺りも見逃せない。この辺からもまた、先の動かすもどかしさと似たスタッフのこだわりを痛感させられる。そして、何と言っても面白いのが、ロボ好きにはたまらない演出と遊びの数々が凝らされていること。レバーをいじることで車から人型ロボットに変形したり、必殺技を出すのにレバーを高速回転させたり、挙句の果てにはコックピットの特定箇所を直接「叩き割って」秘密のボタンを出すなど、そのあまりにも「分かり過ぎた」ネタの数々には、昔からロボットに憧れていた世代の方ならば爆笑してしまうこと間違いなし。その昔、一度やってみたかった操作の数々がそのまま体験できるというだけでも、今作が如何に完璧なまでにロボットゲームしているか、そして「熱き漢(おとこ)の魂」が込められているのかを、感じ取れる…だろう。多分。
それらの操作と快感が、DSだからこそできた事に関してもまた然り。単に雰囲気としてのみならず、ハード特性をもきちんと活かそうとしたそのこだわりの数々にも、「熱き漢(おとこ)の魂」とやらを思い知らされることだろう。

その他、全体的なゲームバランスや演出周りも職人的な作り込みと「熱き漢(おとこ)の魂」が炸裂。特に演出周りは大変素晴らしく、先に紹介したロボット好きにはたまらない変形と言ったネタは勿論のこと、ストーリーのデモシーンから敵撃破時の爆発など、基本となるところもきちんと抑えられている。中でも爆発の迫力(仰々しさ)は相当なもので、質感溢れる効果音の恩恵もあり、最高の爽快感と手応えを提供してくれる。そのあまりに分かり過ぎた気持ち良さには、誰もが「やっぱり敵はこんな風にやられてもらえなくちゃね!」と納得してしまうこと、間違いなしだ。
グラフィックもニンテンドーDSの3D描写機能をフルに活かした仕上がりで、限界に挑戦したとも言えるその恐るべきモデリングには溜息が出る。音楽も売りである操作感と世界観にマッチした曲がたっぷりで、各種ミッションなどのシチュエーションを大いに盛り上げてくれる。奇妙なネタもチラホラあり、その中でも某特撮系MGと戦うミッションでの曲は往年の世代の方ならば必聴の価値アリ。狙い過ぎたその旋律には、思わずクスッと行ってしまうだろう。
そして、それらの演出を含めて展開していくシナリオも、ロボット系の王道ながらもかなり熱い仕上がり。序盤が緩やか過ぎるのがちとタマにキズではあるが、その分にジワジワと盛り上がっていくので次第に引き込まれていく。ロボット系の「お約束」みたいな展開もたっぷりなので、ここもまた往年の世代ならば要チェックである。

MGの足かせにしてはちとシビア過ぎる『オーバーヒート』や広過ぎて逆に次の目的地が見つけ難い全体マップ、処理落ちの激しさと言った欠点、そしてキャラクターデザインの癖の強さなど、や好みの分かれるところもチラホラとありはするが、ゲーム自体は非常に良質。ニンテンドーDSだからこそ実現した独特の操作感、ロボット好きにはたまらないネタの数々、そして「熱き漢(おとこ)の魂」が込められたシステムを始めとする作り込みの深さと、まさに至高の逸品とも言うべき高い完成度を誇るこの『超操縦メカMG』。
ニンテンドーDSユーザーなら勿論の事、昔ロボットに憧れた往年の世代やロボット好きなら、何が何でもプレイすべき価値のある、漢(おとこ)の名作だ。熱き漢のロボット魂を迫り来る敵に目掛けてブチかます快感を是非。敵、倒せッ!
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