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≫メトロイドプライム ピンボール
■発売元 任天堂
■開発元 フューズゲームズ
■ジャンル SFピンボールアクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4571円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人(通信プレイ時:2〜8人)
■セーブデータ数 1つ(※スコア情報のみ保存、フラッシュメモリバックアップ)
■総説明書ページ数 28ページ
■その他 DS振動カートリッジ対応(※ソフト同梱)、DSダウンロードプレイ対応
■推定クリア時間 30分〜4時間30分
このピンボールは……攻めてくる。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ボムを撒き散らしたり、時には従来の形態に戻ってブラスターやミサイルを放つなど、単なるボール役に留まらぬ多彩なアクションをお披露目する主人公のサムス
◆DSの二画面構成を活用した、テーブル移動時の画面切り替えが無い事によるスムーズなゲーム進行
◆テーブルごとに隠された「アーティファクト」を探しだし、最終テーブルへの到達を目指すアクション要素の濃さとメトロイドらしさに富んだメインモード「マルチミッション」
◆ジャンプアクションあり、シューティングありの常識外れなミニゲーム
◆複数のテーブルでアイテムを見つけ出す探索要素にサムスのアップグレードなど、ピンボールという番外編作品ながらしっかり織り込まれたメトロイドの要素
◆豊富なギミックとメトロイドプライムの世界観を忠実に描いた5種類以上ものテーブル
◆ピンボール本来の得点稼ぎの面白さを突き詰めた「ソロミッション」
◆ソフト一本でも楽しめる手軽さ、最大八人までプレイ可能なハチャメチャさが楽しい対戦用モード「マルチプレイ」
◆アクションゲームさながらのスリルとメトロイドらしい仕掛けを施したボス戦
◆短めながらも、良くも悪くも骨太な難易度で高いやり応えを演出している本編のボリューム
◆メトロイド本来の世界観を崩さず、且つプライムシリーズ特有の派手さも描いたグラフィック
◆基本的にプライムシリーズの使い回しながら、オリジナルに忠実なアレンジが成された音楽
◆独特の手触りと臨場感を演出した専用カートリッジによる振動機能
◆ピンボールらしさとDSのハード性能の限界を突き詰める試みが炸裂した、ド派手な演出

--- Bad Point ---
◆基本ルールがシンプルですぐに理解できるとは言え、やや突き放し感の否めないチュートリアルの非搭載(特にマルチミッションには用意しておくべきだった)
◆ゲームオーバーになった時点で即ゲーム終了の為、ノーミスによる通しプレイが要求されるシビアさがタマにキズな「マルチミッション」(構成的にリトライがあって良かった)
◆同じく「マルチミッション」を気軽に楽しめなくしている中断セーブ機能の未実装
◆良くも悪くもピンボールらしい運要素が絡んでくる難易度(台揺らしで多少の制御は可能)
◆あまりにも理に適っていないタッチ操作限定の「台揺らし(ハッジング)」
◆ノーミスでクリアするのならあっという間なボリューム(そして、やり込み要素にも乏しい)
◆やや理不尽さも否めないボスの攻撃(ピンボール特有の運要素などが絡む故に回避不能に繋がる事が…)
▼Review ≪Last Update : 8/20/2017≫
攻めてくるだけに留まらず……「しびれちゃう!」

ただし、旧ニンテンドーDS本体とニンテンドーDS Lite限定。


FPA(ファーストパーソンアドベンチャー)という一人称視点のシューティングゲームの新境地を確立し、主に海外で人気を博したメトロイドシリーズ最新作『メトロイドプライム』の世界観をベースにした番外編的な作品。開発はゲームボーイアドバンスの『スーパーマリオボール』などで知られるイギリスのデベロッパー、フューズゲームズが担当。

これぞ唯一無二の戦闘系ピンボールゲームである。

内容は「テーブル」と呼ばれるフィールドの下部に配置された「バンパー」を使い、ボールを弾き飛ばしながら得点(スコア)を稼いでいくピンボールゲーム。メトロイドシリーズの主人公サムス・アランがボールの役を務め、彼女をバンパーで飛ばしながらテーブル上で発生する多種多様なイベントを攻略し、「アーティファクト」なるアイテムを集めていくというものだ。念の為だが、サムスはシリーズの代名詞たる丸まりこと「モーフボール」の状態でその役をこなす。断じて立ち姿勢の彼女を吹っ飛ばし、壁に衝突させながら痛めつけていく拷問的展開が繰り広げられる内容ではない。そこは誤解なさらぬよう。そんな作りだったら制作スタッフ、鬼畜極みである。
話を戻すとして。収録されているゲームモードは「マルチミッション」、「シングルミッション」、「ワイヤレスミッション」の計三種類。本編に当たるのは「マルチミッション」で、件のアーティファクト集めに挑んでいく。基本的にはサムスを弾き飛ばしながらスコアを稼ぎ、テーブル上に隠されたアーティファクトを回収していくのが主な流れとなる。アーティファクトは攻略途上で発生する「ミニゲーム」をクリアした際などに出現し、全てを集めると最終テーブルへの扉が開放。その先で待ち構えるボスを撃破するとゲームクリア、エンディングとなる。この最終テーブルへの到達がプレイヤーに課せられる目標で、その為にミニゲームを攻略したり、時には別のテーブルに移動したり、ボスと戦ったりしながらアーティファクトの回収にまい進していく形となる。ご覧の通りだが、ピンボールゲームでありながら、その構成は非常にアクションゲームチック。更に別のテーブルに移動して隠されたアーティファクトを見つけ出す探索要素も盛り込まれていたりと、メトロイドならではの要素も仕込んだ独自性の高いゲームモードになっている。ある意味、ゲームならではの仕掛けと遊びを突き詰める事に徹した内容で、かつて任天堂から販売された『大玉』、『カービィのピンボール』と言った作品の血脈を感じさせる作りだ。
ただ、本作はそれらの二作よりもアクション要素が一際濃いのが決定的に異なる特徴である。特にアーティファクト入手に当たって攻略する事になる「ミニゲーム」はその象徴で、まさに「ピンボールどこ行った」なラインナップ。壁蹴りジャンプで崖の頂上を目指したり、敵の大群をブラスターで迎撃したりなど、バリバリにアクションゲーム、そしてシューティングゲーム全開なものになっている。中にはピンボールらしく、バンパーでボールを弾き飛ばしながらテーブル上に配置されたアイテムを集めていくものもある。だが、それも二つに増えたボールをアイテムの色と合わせるように当てていく、謎解きチックな内容。スコア稼ぎがキモとも言えるピンボールとしては、あまりにも「らしさ」が無い…むしろ、それ自体を一切追求せず、純粋にゲームとして面白いものを突き詰めるスタンスが滲み出たゲームばかりなのである。
ミニゲームだけでなく、テーブルに関してもアクションゲーム、そしてメトロイドシリーズの作品としての印象を強く実感させる作り込みが成されている。そもそも、テーブルでスコア稼ぎをしている最中に敵が出現する、ボスとの戦闘がある時点で、それらの事柄を嫌と言うほど思い知らされる。中でも敵に関してはミニゲームだけに留まらず、普通にテーブル上でスコア稼ぎをしている最中にも現れ、それにサムス自身をぶつける形で倒す必要が生じるのだから尚更だ。また、メトロイド本編同様にサムスには体力が設定されていて、当然のように敵の攻撃に触れてしまえばダメージ。体力が空になってしまえば、そのままミスとなってしまう。さすがに速攻でゲームオーバー行きは無く、残機制を採用しているのでそれが一つ減るだけではあるが、ボールをバンパーで弾き損ねて穴に落としてしまう以外にミスとなるルールが課せられている時点で普通じゃないのは察せるだろう。そして、そんなミスを犯さないように敵の攻撃もしっかり回避するようにボールを飛ばしていく必要も生じる。一部のテーブルにおいて発生するボスとの戦闘なんて言うまでもない話だ。そう言った立ち回り…というより、弾く際の心掛けがどのテーブル上においても求められてくるだけでも、ピンボールと言うよりはアクションゲームっぽさ全開。回避行動が求められてくる展開にしても、メトロイドシリーズらしい緊迫感があり、主にシリーズ経験者には嫌でも本作がメトロイドのゲームである事を実感させられる設計になっている。
極め付けとして、本作にもメトロイドシリーズ伝統のアップグレード要素がある。特定のテーブルに配置された固有アイテムを入手するとサムスがパワーアップし、周囲にいる敵全てにダメージを与える「パワーボム」が使えるようになったり、大群で現れる敵を迎撃する際に「ミサイル」を撃てるようになるのだ。更にボール状態のサムスも、ただ転がるだけじゃない。メトロイドお馴染みの「ボム」のアクションも使え、これで「パラサイト」のようなにじり寄ってくるタイプの敵にダメージを与えたり、時にはサムス自身を捕食する毎度お馴染みの浮遊生命体「メトロイド」を振り払うと言った戦術による立ち回りもできるのである。こう言った要素の存在もまた、シリーズ経験者に嫌と言うほど本作がメトロイドのゲームである印象を植え付ける。ボール役を務めるサムスはれっきとした人間だからこそ、そのキャラクター性を活かす試みを仕込んでいる点にしても、「サムスはボールになるからピンボールにした」という安直さを何ら感じさせない。そう言った意義のある作りをしている所からも、ゲームならではの仕掛けと遊びを突き詰めたピンボールと言うものが滲み出ている。
この他にも、本作はニンテンドーDSの二画面構成も活かしていて、テーブルを二画面ぶち抜きで表現した事によって、ピンボールゲーム特有のボールが上部に移動した際の画面切り替えが発生しないのは地味ながらも革新的。二画面同時に表示できるDSだからこそできたスムーズで、違和感のない環境には、ファミコンの『ピンボール』などを遊んだ世代なら感動すら覚えるだろう。また、DS絡みではGBAスロットも活用。ソフトに同梱された「振動カートリッジ」を差し込むことによって、ブルブルと本体が震えながらの本物のピンボールさながらの臨場感あるプレイも楽しめるのだ。残念ながら、GBAスロットの無いDSiでは楽しめないが、二画面だけに留まらず、こう言ったサブ的な機能までギミックとして昇華させた作りには他のハードでは決して味わえない独自性が滲み出ている。同時にそう言った仕掛けまで活かしている所には、本作のDSと言うハードをフル活用するという本気を感じさせられるだろう。
こんな具合にピンボールゲームらしからぬ要素が満載の内容。アクション有り、シューティング有り、攻略要素も有りと実際のピンボールでは絶対に味わえない、ゲームならではのアレンジとメトロイドシリーズらしいアクション要素が違和感なく融合を果たした、ハチャメチャなピンボールに仕上げられている。このピンボールは攻めてくる、というキャッチコピーに嘘偽り無し。本当に様々なイベントを攻略していく事に臨む、いわば戦闘系ピンボールゲームになっているのだ。

例によって、本作の魅力はピンボールとしては異色のアクション性の高さだ。特に秀逸なのがミニゲーム。バンパーでボールを弾いて敵を倒す正統派なものから、敵の大群を迎撃するシューティングゲーム、複数のボールを弾きながらのアイテム回収、そしてメトロイドの感覚で壁蹴りジャンプで頂上を目指すアクションなど、ピンボールという枠組みを意識しつつ、プレイヤーに驚きと興奮を与える作り込みと独特のやり応えが光るものに仕上げられている。そもそも、シューティングやアクションもこなさなければならないピンボールなんて、本当に本作以外にないと言っても過言ではない。
どちらかというと、ピンボールは己との戦いに終始するだけあって、それなりの集中力が要求されるだけでなく、ひたすらボールを落とさぬよう、バンパーではじき返していく地味なプレイになりがちだ。単にボールを弾いているだけでは終わらせず、スロットを設けたり、スコアを稼ぐ為の仕掛けなどもあるが、基本、繰り広げられるのはボールの動きに特化した遊び。正直、地味に見えてしまうところがあるし、それをビデオゲームにしてもスコアアタックゲームに落ち着くのがザラである。それじゃ面白味がない。現実のピンボール台では表現できないようなギミックを仕込めるメディアで作るのだから、差別化を図ってこそビデオゲームのピンボールとしての意味がある。本作の製作スタッフは、その事へのこだわりと追求をこれでもかと言わんばかりに作中で実施しており、見事、他に無いピンボールゲームの世界というものを構築しているのだ。それがミニゲームや敵が襲い掛かってくるテーブル上の展開と仕掛けに顕著に表れており、唯一無二の魅力というものが現れている。これまで、任天堂はファミコン時代から様々なピンボールゲームを発売してきて、その中に先に挙げた『大玉』、『カービィのピンボール』と言った奇抜な作品があったが、今作はまさにそれらの作品の系譜に連なる新作にして、ビデオゲームならではの可能性というものを更に突き詰めた作品と言ってもいいだろう。ピンボールを遊ぶだけでは終わらせないミニゲームのラインナップと、アクションゲームを遊んでいるかのような手応え。そのピンボールのようでピンボールでない手応えには、先の二作を遊んだ経験のあるプレイヤーほど、進化の到達点というものを見るかもしれない。
その魅力が最も発揮された「マルチミッション」の凝った構成も見逃せない。ミニゲームをこなしたり、時にボスと戦いながらアーティファクトを集めていく展開は、アクションゲームだと錯覚する面白さと手応えに満ちている。特にボス戦はちゃんとアクションゲームのセオリーを踏襲し、且つ本作独自の要素も活かした作りになっているのが見事。相手の攻撃パターンを見切ってサムスの体当たりを浴びせ、時に敵の大群を迎え撃つ際に使う下画面限定の専用パッド「コンバットソーサー」を使ってブラスターとミサイルを撃ち込んだりする巧みな構成には、戦闘系ピンボールの真髄というものを実感させられること請け合いだ。更にサムスのアップグレードを行う事で、瞬殺が可能になったりなど、プレイヤー自身が強くなった事を感じ取れる調整が図られているのもメトロイドの魅力をよく理解しているだけでなく、この題材を用いているからこそそういう所もちゃんと出さなければならないという製作スタッフの配慮が現れている。安易な発想で作った感が現れている本作だが、これらを体験すれば、決してそんな簡単な考えで作ったゲームでないことを痛感させられるだろう。併せてメトロイドシリーズ経験者も、そのツボを抑えた作り込みには「確かにこれはメトロイドだ!」と納得できるのみならず、と製作スタッフのメトロイドシリーズに対する愛と理解の深さというものを実感させられるだろう。
ただ、全体的に凝った作り込みが成されていながら、突き放し気味な面が出てしまっているのが残念。何と本作、任天堂のゲームにしては珍しくチュートリアルが無い。本番を遊びながらルールとテクニックを知るんだ、と言わんばかりに割り切っているのだ。また、本編の「マルチミッション」もサムスの残機が尽きてゲームオーバー(ミッションオーバー)になれば問答無用で最初からやり直しで、リトライができない。一発勝負なのだ。無論、オプションで残機数を多く設定する、低難易度モードで遊ぶなども不可能。何もかもが己の力で解決しなければならないという、古き良き時代のアーケードゲーム全開の作りになってしまっている。この為、ピンボール初心者には非常にハードルの高い作りになってしまっている。加えて救済措置も無いので、しっかり遊ぶとなると忍耐力が問われる為、意外とプレイ時の疲労感も高い。裏を返せば、高い難易度を持ち味としているメトロイドらしくもあるし、シビアにしているだけ、エンディングまで到達できた時の達成感は格別なのだが、さすがにやり過ぎな感が否めない。よりにもよって、硬派な印象の強いメトロイドのイメージを軟化させた手軽に遊べる本作でこのような調整にする必要はあったのか?むしろ、こういうものほど従来のイメージを踏襲するのは逆効果でしかない。これも一発勝負なピンボールゲームである事にこだわり尽した製作スタッフによるものなのか否かは分からないが、できれば低難易度モードとクレジット制のリトライシステムぐらいは盛り込んで欲しあった。折角、細かな要素が充実しているだけでなく、ゲームとしても唯一無二の面白さを出せているというのに、そこだけはあえて甘くして欲しかったものだ。ピンボール好きにしか楽しめないこの突き放し振りは、さすがに宝の持ち腐れと言わざるを得ない。

操作性にも難がある。基本的にLRボタン(RボタンはAボタンで代用可能)の二つだけで遊べるお手軽設計だが、ピンボールの常套テクニックである「台揺らし(ハッジング)」がタッチ操作以外に対応していないのがあまりにも不便。この為、プレイ中はボタンとタッチ操作を交互に使う事になる為、非常に不安定なプレイを強いられることになる。恐らくは、ピンボール台を揺らすリアリティを求めた結果なのかもしれないが、LRボタンに指を置いている状態でタッチ操作まで強要するとか、明らかに常軌を逸している。さすがにここは普通にボタン操作でも行えるようにして欲しかった。結果として、非常に理にかなってない作りにまとまってしまっているのが惜しまれるばかりだ。
ゲームバランス面も操作性の問題と先のリトライ周りのシビアさもあって、荒れ気味。様々な要素が関連する事による理不尽な事態に見舞われ易くなっている所もあり(ボス戦で回避のしようがない攻撃に晒されたりなど)、そう言った事柄を嫌うプレイヤーに本作は精神的に宜しくない影響を与えるだろう。
ボリュームもマルチミッションのアーティファクト集めで構成こそ複雑にしているが、慣れれば1時間以内でエンディングまで到達できてしまうなど素っ気ない。テーブル総数もたったの6つ、隠し要素も高難易度モードの解禁程度しかなく、一区切り付けば、残りはスコアアタックをやり込むぐらいしかなくなってしまうのも寂しい限りだ。ピンボールだから、スコアアタック以外のおまけなんて場違いという制作側のこだわりによるものなのかもしれないが、それにしたってクリア後の隠しテーブルを複数用意しても良かったのではないだろうか?こう言った所にもピンボールとしてのらしさを突き詰めたかの如き、突き放し感と折角のマルチミッションのユニークな構成が活かし切れてない感じでもどかしさを覚える。
ただ、数を絞り込んだなりにテーブルごとの完成度は高く、豊富なギミックによる差別化が丁寧に成されている。テーブルごとに異なるバンパー操作、サムス自身の立ち回りが要求される作りにまとめられている所には、アクション要素を取り入れたなりの起伏を作る事へのこだわり、プレイヤーを飽きさせまいとするサービス精神を実感させられるだろう。

音楽も基本的にメトロイドプライム1、2の曲の使い回しだが、一曲一曲の完成度は高く、アレンジもオリジナル版に忠実なものになっていたりとサウンドスタッフの努力が感じられる仕上がり。ピンボール向けに新しくアレンジされた曲もあり、特に『フリゲートオルフェオン』のテーブルの楽曲のノリノリっぷりは要チェックだ。
この他、グラフィックもメトロイドプライムシリーズのグラフィックをそのままDSに変換したとも言える、その違和感の無いモデリングとテクスチャが圧巻。演出周りもピンボールらしく派手派手。デモシーンも幾つか用意されていて、中でも最終ボスを撃破した時の二画面ぶち抜きのショートデモは圧巻の一言。どんな技術を使ってこれを表現したのかと、その驚きの描写には驚かされるだろう。紹介が随分後になってしまったが、最大8人まで楽しめる「ワイヤレスミッション」もメトロイドらしからぬパーティ感が楽しめるのが新鮮なほか、純粋なスコアアタック用モードで用意された「シングルミッション」も適度な中毒性に満ち溢れており、時間を忘れて限界まで突き詰めてしまう面白さに満ち溢れている。
やや突き放し気味なところもあるが、総合的にはまさにビデオゲームならではの要素を仕込んだピンボールに完成されている。メトロイドらしさもバッチリで、「マルチミッション」のアーティファクトを集める為に様々なテーブルを行き来する展開には、その名を冠しているだけにある手応えを感じ取れるはず。突き放しているなりに人を選ぶところもあるが、ピンボールゲームとしては間違いなく唯一無二だと言い張れる本作。メトロイドシリーズ経験者のみならず、ニンテンドーDSを持っているプレイヤーなら一度でも体験してみて欲しい良作だ。史上空前の攻めてくる戦闘系ピンボールと、メトロイドならではのギミックの数々に括目せよ。ついでに振動カートリッジでしびれちゃおう。侮り難き一品です。
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