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≫ジグソーワールド 大激闘!ジグバトルヒーローズ
■発売元 日本一ソフトウェア
■開発元 エヌケーシステム、ベイシスケイプ(音楽)
■ジャンル アクションジグソーパズル
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5040円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ&ダウンロードプレイ対応
■総説明書ページ数 32ページ
■推定クリア時間 6〜8時間(エンディング目的)、45〜55時間(完全攻略目的)
様々なアニメの主人公達と激戦を繰り広げた魔王。
彼は豊富な悪の知識と有り余る卑怯さでヒーロー達を苦しめた。
しかし、魔王は今まで一度も勝った事が無かった。彼が「悪の魔王」であり、相手がその「アニメの主人公」である限り、彼に勝利の二文字は存在しなかったのである。
そこで魔王はひらめいた。

自分の世界『ジグソーワールド』でなら全員を返り討ちに出来る!、と。

そして魔王は積年の恨みを晴らすべく、アニメの主人公達を召還する。
中には、誤って召還されてしまう者も…。
かくして、魔王の手によってジグソーワールドへと連れて来られてしまった主人公達。
彼らの運命や如何に!?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ジグソーパズルとアクションゲームを絶妙に融合させた、独特のゲームシステム
◆単調な作業になりがちなパズルに程好い刺激を加える、キャラ別の必殺技システム
◆一定時間の間の解答表示、ピースめくりなど総じてハチャメチャな必殺技群
◆完成したパズル(絵)から、雑学を取得できる仕組みがユニークな図鑑モード
◆7人のキャラ別に異なる展開が味わえる、無駄に入り組んだシナリオ&ゲーム構成
◆ユルい台詞回しと特撮風味の展開が印象的なメインシナリオ
◆特撮のヒーローに暗殺者、更にはみかん箱まで無駄にぶっ飛んだ登場キャラクター達
◆エンディングまで短め、完全攻略は長めの露骨な棲み分けが成された総計ボリューム
◆キャラ別シナリオ完全制覇から図鑑コンプリートまで、無駄に充実したやり込み要素
◆これと言って複雑なボタン入力は要されない、単純明快さが売りの操作性
◆優し過ぎず、難し過ぎずでまとめられた、6人目のキャラまでのゲームバランス
◆アニメ風の世界観に程好くマッチした、落ち着いたグラフィック
◆昔懐かしいゲームミュージックの香り漂う、メロディアスな音楽(名曲も多い)
◆某スーパーロボットのゲームを髣髴とさせる、仰々しい必殺技専用デモの演出

--- Bad Point ---
◆全体的に広過ぎる戦闘フィールド(一回のバトルに要す時間が総じて長い)
◆広過ぎる戦闘フィールドの悪さを助長する、劣悪な連戦主体の本編の展開
◆そんな作りに対する配慮の欠片すら感じられない、中断セーブ機能の非搭載(こんな作りなら、入れて然るべき)
◆一部、威力の調整不足が目立つ必殺技(主に解答が分かる必殺技)
◆初っ端から鬼畜な戦闘を要されるなど、あまりに極端過ぎる調整が目に付く7人目のゲームバランス(&ゲーム展開)
◆データ消去以外の項目が無い設定オプション(これだけなら用意する必要ない…)
◆蛇足に過ぎないタッチペン操作
◆作業になりがちな図鑑モードの雑学探し
▼Review ≪Last Update : 10/25/2009≫
ホームグラウンドで仕留めてやる!

しかし、世間には鬼に金棒ということわざがございまして…。


1995年にプレイステーションにてリリースされたパズルゲーム『ジグソーワールド』の流れを組む新作。開発はエヌケーシステム、音楽をベイシスケイプが担当。

細かな粗が多いが、ゲームらしいジグソーパズルを表現する工夫が光る意欲作だ。

ゲーム内容は、2D見下ろし視点で展開する対戦型アクションジグソーパズルゲーム。個性豊かなキャラクター達を操りながら、フィールド上に散らばるジグソーピースを回収してジグソーパズルを完成させ、一番多くのピースをはめ込んだ方が勝ち…というルールのゲームである。
「対戦型アクション」の名の通り、本編は対戦方式で展開。対戦方式は1対1のタイマン勝負のほか、1対2、1対3などの多彩なパターンを楽しめる。ゲーム性の面でも、現実のジグソーパズル、また過去にスーパーファミコン等でリリースされたジグソーパズルを題材としたゲームと異なり、キャラを動かす要素がある為、アクション要素が濃い目。アクションも相手のジグソーピースを奪ったり、また各キャラがそれぞれ3つ持つ『必殺技』で相手がはめ込んだピースを外すものまで色々。ジグソーパズルが本来持つ「地道に解く」のイメージをぶっ壊す、大胆なゲームデザインとなっている。
ゲームモードは計3種類。メインの『ストーリー』、対戦プレイが楽しめる『フリー対戦』、そして完成したジグソーパズルの一枚絵を閲覧できる『大百科』が用意されている。
たった3種類と数で見ればかなり少ないが、その分、一つ一つのモードの密度が濃い目。特に『ストーリー』がその代表格で、基本は一本道のステージクリアスタイルで進む内容なのだが、主人公が全部で7人もおり、尚且つその主人公ごとにシナリオ、戦闘内容までもが違って来るという、とんでもない味付けが成されている。しかも、最初の時点で選べるキャラクターも限られていて、一人クリアする度に新たなキャラクターが選べるようになっていく、偉く手の込んだ仕様。
一応、パズルゲームという事で、サクッとクリアできるものかと想像しがちだが、今作は別格。如何にも『魔界戦記ディスガイア』シリーズを手掛けている日本一ソフトウェアらしい、ボリュームが飛び抜けたやり応え抜群の内容となっている。
ボリュームだけでなく、例によってやり込み要素も無駄に充実。先の『ストーリー』におけるキャラクター完全攻略の他、各対戦で完成させるジグソーパズル全種の大百貨への登録、そして登録されたパズルの一枚絵に隠された雑学知識の調査、フリー対戦での戦闘音楽全種コンプリート等と、色々なものが用意されている。流石にディスガイアシリーズと比較すれば、大人しい方だが、それでもこのようなパズルゲームで、ここまで要素をぶち込む姿勢には、つくづく感心させられる。何処までプレイヤーを捕ら続ける気だ、と突っ込みたくなる。
また、各種やり込みの一部に、捻りのあるアイディアが加えられているのも見逃せない。完成したジグソーパズルが『大百科』へと登録される過程と雑学知識の調査が、それ。完成させたジグソーパズルを解いたら終わりとせず、解いた後なりの遊びを用意する、そのアイディアが大変面白い。パズルゲームの問題集と資料集が一度に混じったかのような、贅沢感がある。何よりも秀逸なのは、ゲームならではの利点が活かされてること。
種類は問わないが、現実のパズルゲームの問題集は基本、問題を解いた後のページというのは見る価値が無くなるもの。直接、ペンなどで書いてしまうデメリットがある為に、どうしてもその後のページは、ただの紙になってしまう。ジグソーパズルにしたって、解いてしまえば、後はただの絵画だ。しかし、今作は解いたとしても使い道がある。解いたとしても、その絵の価値が下がる事はない。何故なら、デジタルのゲームだから。
そんな利点を活かす設計。それまでもが『大百科』には詰め込まれているのである。完成したジグソーパズルを他の遊びに転化させるのも、かなり面白いが、それ以上にゲームだからこその利点を出そうとする、その徹底振りには頭が下がるばかり。イタズラに各種やり込みを入れただけで終わらせず、ゲームだからという意まで込められている所に、ジグソーパズルのゲームとしてのらしさがよく出ている。ある意味、ここまでゲームで表現したジグソーパズルの「らしさ」が現れているゲームも、珍しいかもしれない。

やり込み要素にいきなり目が言ってしまったが、肝心のゲームシステムもそんな「らしさ」全開の仕上がりだ。何より、アクション感覚でキャラクターを操り、ジグソーパズルを完成していく過程からして、新鮮な味わいがある。
特に自分でピースの場所まで走り、自分で指定の位置へとピースを持っていかねばならない所は、選択カーソルで、直にピースが持てるのとはかけ離れた、忙しさに富んでいるのが面白い。まるで、運動会の借り物競争をしているかのような雰囲気がある。それに、ジグソーパズルは基本、ピースのはめ込みを絵が完成するまで続けていかねばならないので、どうも地味な作業になりがち。そんな作業感を無くす為の存在として、先の要素群が効果的に機能し、「遊び」としてのジグソーパズルを演出しているのも面白いところだ。
また、ゲームらしさに更なる拍車をかける、各プレイヤーキャラクター達が持つ必殺技の数々も面白い。一度はめ込んだピースを外すお邪魔技のほか、一定時間ピースをセットする場所を教えてくれる技まで、いずれもその効果はハチャメチャ。それ故に対戦時の盛り上がり、展開の乱れもかなりのもの。基本的なアクション部分と同様、単純作業になりがちな展開に程好い刺激を与えている。必殺技の演出もなかなかで、大技を発動した際にはカットインデモが挿入されるなど、某スーパーロボットのゲームを彷彿とさせるお約束も徹底。たかがジグソーパズルのゲームなのに、カットインとか懲り過ぎだろうと、人によってはツッコミを入れたくなってしまうかもしれない。更に各対戦の舞台となる、ジグソーパズルが用意されたフィールドも、そんな展開を考慮して、広大に作られており、形勢逆転の可能性を含んだ設計が成されている。
しかし、このフィールド設計は致命的な過ちであったとしか言い様がない。何故なら、そんな設計を行った影響で、一回の対戦にかかる時間が長くなってしてしまった。早くて10分、長くて最高30分と、明らかにゲーム的に「無駄」も同然な重さを演出してしまったのである。しかも、これはまだ序の口。必殺技を持つキャラクターが多数、入り混じる対戦では、カットインが頻繁に挿入される都合で、それ以上の時間が要されてしまうこともあったりする。流石に1時間超えは無いけど、酷い時だと40分。クリア後の疲労も通常の三倍である。
更に何を血迷ったか今作、こんな一回の戦闘に時間がかかる欠点を無視して、中断セーブ機能が搭載されていない。それだけでなく、ストーリーでは連戦も頻繁にあり、プレイヤーを悪戯に拘束する場面も多いと言う有様。これは幾ら何でも、携帯ゲーム機のゲームとしての作り方を無視し過ぎである。折角、ゲームシステムが薄めた、ジグソーパズル特有の作業感も、こんな冗長な設計では意味を成してない。長い上に中断もできず、プレイヤーへのモチベーションを下げる要因にもなってしまっているし、メチャクチャだ。
幾ら魅力的なシステムでも、冗長な配慮がされてはそれは軽減してしまうもの。そんなある意味、当たり前の事を全く考えず、こんな設計を成したのは、愚か過ぎるとしか言い様がない。中断セーブを導入しない上、連戦ばかりの展開にしているところも、携帯ゲーム機のゲームとしての立場をわきまえてなくて腹立たしい。1時間も無駄にかからないだけ、幸いとも言えるが、本当、この点に関しては残念としか言い様がない。
折角、システムでは面白いことをしているというのに、この不備でその売りが殺されていると言っても良いほど。フィールドを長くし、不利な状況でも立ち直れ易くしている所は、評価に値する所だが、せめて長くするなら、時間的に忙しい人の事も考えて欲しかったところ。そこへの気配りが全くない事は本当、残念な限りである。
だが、地味な作業になりがちなジグソーパズルを楽しく遊べるものにする為、適度な忙しさを取り入れたゲームデザインは見事だ。まるで借り物競争をしているかのようなゲーム展開、必殺技によるド派手な演出とハチャメチャさ。いずれも「ゲームだからこそのジグソーパズル」としての味わいが出ており、他にない独自性を表現できている。ゲームという媒体だから出来たジグソーパズルを表現したその手腕自体は、冗談抜きに特筆に値する。

ゲームバランスも必殺技の強さの面では少し調整不足が光る(答えを教えてくれる必殺技が強すぎるなど)が、全体としては適度な温さ。優しいけど、優し過ぎない、好バランスとなっている。ただ、最後の7人目のキャラだけ、難易度が飛び抜けて高いのは気になるところである。(初っ端から不利な戦闘を強いられるなど)
操作性もタッチペン操作は流石に蛇足な感が否めず、これは別に用意する必要が無かったと思う。DSのゲームとしてのらしさを意識して入れたのかもしれないが、これは正直、無駄。普通にボタン操作の方が快適であるので、こっちに特化して欲しかったところだ。
逆にグラフィックや音楽はいずれも頑張ってる。特に音楽は昔懐かしいゲームミュージックの香り漂う、メロディアスな曲が豊富で、往年のユーザーを刺激させる。登場キャラの一人、ジャスティガーのテーマ曲など、名曲も多いので、そこもまた見逃せない。地味ながら、サウンドテストがあるのも嬉しいところだ。
また、シナリオも全編ギャグテイストで、ユルいノリで作られているのが印象的。イベントの要所にて、フルボイスになるなど、妙なこだわりが炸裂しているのも面白い。

ゲームシステムは文句無しの面白さなのだが、フィールドの広さに携帯機のゲームとしての配慮の薄さなど、色々と至らない部分が多いのは本当に勿体無いの一言に尽きる。
しかし、ジグソーパズルをよりゲームっぽくアレンジし、アクションゲームの新たな可能性を示した事自体は、大きな意味があったと言える。見た目に反し、携帯ゲーム機のゲームとは思えぬ重い作りになっているが、システムも含めて光る所が満載の今作。他のパズルやアクションゲームとは一線を画す面白さが秘められた、意欲作である。1プレイの時間が長い為、どちらかと言うとある程度、まとまった時間が取れるユーザーや子供のユーザー向けの一本。恐竜とか宇宙の勉強にもなるので、その辺に興味がある方もどうぞ。
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