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≫ゲームセンターCX 有野の挑戦状2
■発売元 バンダイナムコゲームズ
■開発元 インディーズゼロ
■ジャンル ゲームinゲーム
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5040円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■総説明書ページ数 36ページ
■推定クリア時間 5時間〜7時間(エンディング目的)、2年以上(完全攻略目的)
有野課長の挑戦失敗による無念の思いが実体化した『ゲーム魔王アリーノー』。日本中のゲーマーの力により、一度は消え去ったはずのその思いは、番組での挑戦失敗の度に再び有野の心に暗い影を落とし始めていた。

「もっとゲームが上手かったら…」

そんな弱った有野の心の隙を見逃さず、アリーノーは再びニンテンドーDSに降臨してしまう。
そして彼は、日本中のゲーマーに新たな挑戦状を叩き付けた。
それは、復活を遂げたアリーノーの逆襲の始まりでもあったのだ!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆前作譲りの「テレビゲームを遊ぶ」という遊びをゲーム化させた、革新的なゲームデザイン
◆パズル、アドベンチャーと言った新ジャンルと白黒携帯ゲーム機、16bitゲーム機の追加により、ボリューム、ラインナップ共に劇的な充実化が図られた全8種類以上のゲーム
◆単品で勝負可能なほどのインパクト、知っているのに新しい不思議なゲーム性、時間を忘れてハマってしまう中毒性でプレイヤーを魅了させる収録ゲームの一つ『トリオトス』
◆往年の名作をオマージュしつつも、ちゃんと独自の要素を盛り込むなど、新作のレトロゲームとしての妥協なき作り込みが徹底された各種ゲームのシステム周り
◆前作同様に当時のゲーム少年らしい性格付けと台詞で魅せるサポートキャラクター『ありの少年』(更に今回は、彼とゲームを一緒に遊べる要素まで追加された)
◆収録ゲーム総数、モード総数の状況でやり応え、密度共に大きく進化した全体のボリューム
◆電話相談、挑戦のギブアップなど、地味ながらも機能面の拡充が図られたありの少年の部屋
◆ありの少年未所持のゲームが遊べる売りと環境特有の細かな設定が光る、新施設『ゲーム店』
◆16bitゲーム機追加に伴い、より露骨で派手なものになったゲーム進化の過程
◆文面からデザインに至るまで、ゲーム黄金時代の素晴らしさを引き立てる作り込みが成された攻略サポート要素『ゲーム雑誌』(今回は銀はがしのお遊びも追加)
◆ゲーム名人の登場、社会現象と化すゲームの大ヒットなど、前作同様に当時を知る人ならばニヤリとしてしまうこと請け合いのストーリー上のイベントの数々
◆ゲーム機の増強に伴い、バリエーションが多彩になったドット絵グラフィック
◆同じくゲーム機増強に伴い、質の違いが現れたラインナップで構成された、懐かしさ溢れる音楽
◆前作同様に優し過ぎず、難し過ぎずの程好いレベルでまとめられた珠玉のゲームバランス
◆直感的に遊べる触り心地の良さと取っ付き易いボタン配置が光る、前作譲りの良好な操作性
◆ジャンルの増強で、バリエーションが多彩になった、各種ゲームの挑戦状ラインナップ
◆本家『ゲームセンターCX』のナレーターによるタイトルコールなど、大幅な強化が図られた演出

--- Bad Point ---
◆誤作動防止の意図でか、タッチ操作限定になってしまったゲームのリセット操作
◆設定上止む無い所もあるが、説明書が存在しないお店専用ゲーム(もう少しフォローが欲しい)
◆台詞パターン増強で、余計にうるさくなってしまった『ありの少年』のボイス(幸いにして、今作ではオプションで少年のボイスを消せるようになっている)
◆『課長は名探偵』における『ありの少年』のウザい突っ込みの数々(台詞を読み終えた後に怒られるなど、全体的に余計且つ、プレイヤーをイラッとさせるものが多い。)
◆一部、簡単にも限度がある挑戦の存在(特に『課長は名探偵』)
◆序盤の高難易度、高いエンカウント率など、バランス面で問題が多い『ガディアクエストサーガ』
◆16bitゲーム機のゲームにしては、進化のインパクトがイマイチな『スーパーデーモンリターンズ』
◆特典の解禁条件が伏せられた作りが厄介な本日の挑戦(しかも、全ての特典を解禁する場合、年単位での時間が必要とされる始末。地獄としか言い様がない…)
▼Review ≪Last Update : 1/26/2014≫
時間じゃなく、年とか初めて使いました。

※筆者:談


「テレビゲームを遊ぶ」という遊びを題材にしたゲームデザインと雰囲気作りの上手さで、遊んだプレイヤーから軒並み高い評価を獲得した、フジテレビ721(現:フジテレビTWO)で放送中のゲームバラエティ番組『ゲームセンターCX』を題材としたゲーム『ゲームセンターCX 有野の挑戦状』の続編。開発は前作に引き続き、インディーズゼロが担当。

前作が80年代なら、今回は90年代狙い撃ち!
ボリューム、ゲームラインナップ共に大きな進化を遂げた続編だ。

ゲーム内容は前作と同様、オムニバス形式のバラエティゲーム。アクション、シューティング、レースと言った全5種類以上ものゲームをプレイし、復活を遂げた『魔王アリーノー』からの『挑戦』を攻略していくというものだ。
本編構成も前作を踏襲。基本的にサポートキャラクターである『ありの少年』の部屋を舞台に、『挑戦』で指定されたゲームの攻略に取り組んでいく。ストーリーの進行にしても前作同様、年代が移り変わる形式で展開。また、年代の移行に伴い、ゲームがシューティングからアクションと言った感じに変化していく様もそのまま。全体的には前作で完成されていたゲームデザインを継承させた、如何にもな続編っぽさが滲み出た作りになっている。
だが、例によって続編ならではの新要素追加、変更点も幾つか。まず収録ゲームだが、前作は80年代、ファミコンチックなゲームが中心となっていたが、今回は80年代に加えて新たに90年代、16ビットのゲームを新たに追加。続編タイトルにおける見た目の進化が一層、派手なものになった。前作が80年代をベースにした進化中心で、それより先のスーパーファミコンやメガドライブのような進化も見てみたかったと不満を覚えてた方にとっては、まさに待望の新要素と言っても良いだろう。更にゲームハードにしても従来の据え置き機に加えて、携帯ゲーム機が追加。白と黒の二色で彩られた、懐かしい雰囲気満点のゲームまでもが楽しめるようになっている。時代的にも80年代、90年代を加えただけにある理に適った新要素だ。それでも、据え置き機よりかゲーム総数が少なめだったりするのだが、存在感は十分。これに伴い、ストーリーの展開と挑戦の内容にも一捻りが加わっている。
そして、更なる一捻りを加えるものとして、ジャンルの拡充が行われている。前作ではアクション、シューティング、レース、RPGとまさにゲームの王道を地で行くラインナップになっていたが、今作ではそれらに加えてパズル、そしてコマンド選択型アドベンチャーを追加。よりバラエティ豊かなゲームが楽しめるようになった。また、アクションゲームにおいてドットイート型、格闘型と言った新タイプのものが追加されるなど、前作にあったジャンルにおいても更なる拡充と発展が図られている。そんな同じジャンルのゲームなのに、手応えはまるで違うという魅力が強化されたのも大きな見所。まさに時代を大きく広げたが故のゲームの発展を如実に表した作り込みとサービス精神が炸裂したものに完成されている。無論、収録されているゲームは全て今作独自の完全新作。エンディングが用意されていたり、裏ワザがあるなど、単品でも十分に遊び応えのある作りになっている辺りも健在だ。
そんな今作において、新たに追加されたゲームは以下の通り。(一部のみ紹介)

■ウィズマン
半人前の魔法使い『ウィズン』を操作し、迷路に散らばるクリスタルを集めていくドットイート型アクションゲーム。今作の発売元、バンダイナムコゲームス…ナムコの看板タイトル『パックマン』のオマージュ作品で、ゲームシステム、画面構成は完全にそちらを踏襲したものになっている。ただ、クリスタルを集めるには同じ色の杖を持っていなければ取得できないなど、任天堂の『デビルワールド』を踏襲したかのような部分も。また、敵は所持している杖から使用できる魔法で倒す事ができるが、それぞれに対応した色の魔法をぶつける必要があるなど、戦術的なプレイが求められてくる場面も多数ある。

■無敵拳カンフー
横スクロール型格闘アクションゲーム。1984年、Broderbundより発売された伝説的な怪作格闘アクションゲーム『カラテカ』のオマージュ作品で、日本に関心を持った海外のメーカーが作った、初の洋ゲータイトル。例によって、80年代に発売されたゲームというだけに、世界観は「KANCHIGAI JAPAN」を露骨なまでに現したものになっている。システムは『カラテカ』というより、アイレムの『スパルタンX』に近く、左から次々と迫ってくる敵達をパンチ、キックで倒しながら進めていく。また、ステージの最後にはボス戦があるのだが、ここに限っては何故か『イー・アル・カンフー』な格闘ゲーム風に。まさに当時の格闘ゲームを混在させたかのような作り。それでありながら、キャラクターの動き『カラテカ』、『プリンス・オブ・ペルシャ』的なものだったりとカオス。ある意味、今作収録タイトルの中では最も異質な存在感を醸し出している一本。
ちなみに『2P VERSUS』のモードではありの少年と対戦できる。

■課長は名探偵:前編&後編
『ファミコン探偵倶楽部』を強く意識した推理アドベンチャー。タイトル自体は『さんまの名探偵』のパロディだが、登場人物の一人である有野課長(有野晋哉)に関係のある実在の人物が登場するなど、そちらを意識した要素も盛り込まれている。さすがに桂文珍氏が殺されるというショッキングな殺人事件をテーマにした内容では無く、ストーリー自体は主人公が務める『ゲームセンターCX興業』で起きている七不思議の謎を上司のありの課長と解明していくというもの。だが、次第に話はシリアスなものになっていく。
システムは先の二作をベースにしているが、「ツッコむ」、「ボケてみる」、「名刺」と言った特徴的なコマンドを選んでありの課長をサポートしていくというものになっている。また、途中にはミニゲームもあり、それをクリアしてストーリーを進める場面もある。なお、タイトル通りに本編は二部構成。後編は前編のクリアデータが無いとプレイできない仕様になっている。

■トリオトス
今作唯一の携帯機向け落ちモノパズルゲーム。『トリオミノ』なるブロックを操作して積み上げ、同じマークのブロックを縦と横に重ねて消していく。システム的には『ぷよぷよ』や『コラムス』を強く意識したものになっているが、横一列にブロックを並べて消すと『ラインスパーク』なるものが発動し、同じマークのブロックを全て消す事ができるという『テトリス』を彷彿とさせる要素も盛り込まれている。これも『無敵拳カンフー』と同様、ありの少年と対戦できるモードがある。

■デーモンリターンズ
横スクロール型アクションゲーム。悪魔の姿に変えられた青年が冥界の女王にさらわれた姫を救出する為、冒険に出るという『スーパーマリオブラザーズ』チックな作品。だが、時限式ライフ制が採用されているなど、実質的にはマリオというよりは『高橋名人の冒険島』に近い内容になっている。発売元がデゴイチである点からも明らかだ。
内容自体はオーソドックスな横スクロール型アクションだが、『スピンクロー』で回転させた敵に乗る『デビルライド』という特徴的なアクションがある。なお、90年代になると16ビット仕様の『スーパーデーモンリターンズ』なる続編が登場する。

これら以外にも数種類のゲームが登場。シューティング、ロールプレイングと言った前作のラインナップも健在で、一部は思いもよらぬ進化を遂げて登場していたりもする。
また、先のゲーム紹介で少し触れたが、一部のゲームではありの少年との対戦ができたり、物によっては協力、交換(!?)まで楽しめてしまう。前作まではサポートに徹してた彼だが、今回は一緒にゲームを遊ぶ事もできるので、より親近感の湧き易い存在になっている。また、ありの少年の部屋には『電話』が追加され、ありの少年の友達からゲーム攻略に関するヒントも得られるようになっている。更にここで魔王アリーノーへ電話すれば『挑戦』をギブアップする事も可能。そんな救済処置の充実が図られているのも、今作の見所の一つである。他にも部屋以外に『お店』が登場し、ありの少年が持っていない5作品のゲームが遊べたり、『ゲートレツール』、『本日の挑戦』と言ったやり込み向けのモードが追加されるなど、まさに豪華版としか言い様のない進化っぷりだ。
独自のスタイルを保ちつつ、ジャンルの幅を大幅に拡張させたその内容は、まさに完全網羅と言うに相応しい仕上がり。もっと色んなゲームを遊びたいと感じた前作経験者の声に答える強化が図られている。それでいて、前作で完成されていたゲームデザインをしっかり残し、より『ゲームセンターCX』らしい遊びと懐かしき日々を追体験させる試みも強化させるという徹底ぶり。まさにこれぞ正統進化の一言。その言葉が良く似合う続編に仕上げられている。

例によって、今作の魅力は前作以上に深まったゲーム黄金時代の素晴らしき日々を忠実に再現した演出…ではなく、より派手に、より密度の増した収録ゲームのラインナップにある。時代を再現した演出と作り込みもまた、前作に負けず劣らずの素晴らしさで、今作の魅力と断言でき得るインパクトがあるのだが、それ以上に今作はゲームラインナップの充実ぶりが圧巻。アクション、シューティング、ロールプレイング、パズル、アドベンチャー、そしてレースと、ほぼ全てのジャンルを網羅したその内容は、まさに80年代から90年代にかけてのゲーム集大成と言わんばかりのものになっている。
そんな収録ゲームの中でとりわけ秀逸なのが『トリオトス』と『課長は名探偵』の二本、いずれも今作初登場のジャンルのゲームだ。特に前者、『トリオトス』は、ゲームシステム周りの「知っているのだけど、何か違う」という新しいようで、新しくないプレイ感覚が秀逸。先の紹介の通り、内容的には『ぷよぷよ』や『コラムス』をベースにした作りなのだが、『テトリス』っぽい『ラインスパーク』なるブロック大量消しのチャンスがある為、並べて消すけど、チャンスを狙うのならワザと並べて積む必要もあったりなど、個性的過ぎるテクニックが求められてくるのが面白い。その個性的な作り故、パズルゲームのアイデンティティーとも言える中毒性も申し分無く、コツを掴めば延々と遊び続けてしまう恐ろしさがあるのも見事だ。並べて消す事と積む事という落ちモノ系パズルゲームの基本要素をシンプル且つ、分かり易く構築したゲームデザインは単品でも十分に勝負し得るパワーがある。ゲームモードもひたすら消していくエンドレス型以外にコンピュータとの対戦モードもあるなど、意外と充実しているのも侮り難い所だ。しかも、このゲームは16bit版も用意されており、そちらではトリオミノをホールドする機能が追加されるなど、更なる深化が図られているのも見逃せない。ある意味、人によっては今作の本編を忘れてしまうほどハマる恐れを持った一本。パズルゲーム好きなら、これを遊ぶ為に今作を買っても決して後悔はしないと言い切れるほど、よく出来たゲームになっているので必見も必見だ。それほど、このゲームは今作全体の存在を食い潰してしまうほどのインパクトを持ったものに完成されている。後者、『課長は名探偵』もまた然り。これはネタバレになるので詳細は割愛するが、噂調査から大事件へと発展していくユニークなストーリー構成は必見。8ビット仕様のドット絵でしっかり描かれた登場人物もまた、『ゲームセンターCX』視聴者なら必見も必見だ。
収録ゲームの出来のみならず、本編の構成もより魅力的なものになっている。何と言っても今作、90年代が追加されたのに伴い、ゲームが進化していく様がより露骨なものになったのは、80年代メインの前作に物足りなさを覚えていた方なら「これだよ、これ!」と嬉しくなってしまうインパクトがある。純粋にレベルデザインの面で見ても、変化が多様になった事で、プレイヤーの好奇心を強く刺激するものへと発展を遂げているのが見事。ジャンルの変化で攻める点も残し、見た目でも攻める部分を足したのは続編として理に適った発展法であり、何よりもそれによってネタを楽しめるユーザー層の幅が大きく拡大したのは、今作にとっても大きな意義のあるものだったと言えるかもしれない。無論、時代ごとのネタを知らない若い世代でも、ありの少年による台詞や発売延期沙汰と言った如何にもな展開など、ニヤリとできる描写は多数。過剰にターゲットを狙い撃ちし過ぎず、知らない世代にも面白おかしく伝える手法は前作譲りで、改めて制作スタッフの当時の時代に対する知識の深さと視野の広さ、センスの良さを思い知らされるばかりだ。ただ、それ以上に面白いのは90年代追加で対象年代が若返るという事であったりするのだが。この辺はまさにゲーム黄金時代の素晴らしき日々を描くのを持ち味とした今作ならではの強みと言える。
収録ゲームの出来の良さを全面に出してしまったが、そんな素晴らしき日々の再現部分も申し分無い出来だ。ありの少年は前作同様の懐かしさ溢れるゲーム少年として描かれているのみならず、今回は対戦に協力と、一緒に遊べるようになって、単なるサポートキャラクターで終わらぬ存在になったのが秀逸。電話のみであるが、友達が登場して協力を求めたり、インターネットが無かった当時のゲームを遊んでいた方なら、「あの頃はそれだけでも面白かったよな〜…」とノスタルジーに浸ってしまうこと請け合いだ。人によっては、逆に悲しくなって憂鬱な気分に陥る恐れもあるが。また、今回も挑戦攻略の際に大きな手助けとなってくるゲーム雑誌も、前作以上にネタ満載。名人が登場したり、銀はがしをしないと読めない部分があったりなど、これもまた、当時を知る人ならばニヤリとしてしまうこと間違いなし。先も少し上げたが、ストーリーも延期沙汰とか、「KANCHIGAI JAPAN」に対するありの少年の突っ込みなど、如何にもな展開盛り沢山。前作同様、今作もそんな日々の模様を眺めるだけでも、十分な充実感が味わえる作りになっている。ゲームを遊ぶという遊びは何が面白いのか、どんな時に最も感情が高ぶるのか。今回も相変わらず、その辺のツボを突いた描写は上手く、80〜90年代体感ゲームとしての面白さは盤石だ。それでいて、収録ゲームのラインナップを拡充し、本編を食い潰しかねないゲームを入れるなど、続編としての進化もきっちり行う仕事ぶり。その丁寧且つ、職人的な姿勢には本当に脱帽する。
何故か90年代後半に出たゲームが登場する突っ込み所もあるにはあるが、そんなの野暮だと言わんばかりに一本のゲーム、そして続編としては隙の無い出来。前作経験者は勿論、未経験者も一度遊べば、嫌でも今作が80年代から90年代にかけてのゲーム集大成である事を思い知らされるだろう。『ゲームセンターCX』のゲームであるという事に関しても然り。それほど、今作の続編としての出来は申し分のないものになっている。

ただ、何故か前作から劣化を遂げた部分もある。その代表的な所がメニューインターフェースで、前作ではボタンでもできたゲームのリセット操作がタッチ操作限定に改めらてしまった。恐らく、狙いとしては誤作動を防ぐ目的からだと思われ、実際にこの変更によってその恐れはなくなったのだが、逆に煩わしさが増してしまった感も否めない。ここはせめて、かつてのゲームボーイソフトみたく、数個のボタン同時押しで作動と言った形でも入れて欲しかったところだ。また、忠実に再現しているという意味では良いのだが、『お店』でプレイできるゲームに説明書が無いのも少し不親切。お店の人に聞く形で聞くなり、この辺はもう少し親切にして頂きたかったところである。それ以外の操作周りに関しては概ね申し分無し。難易度に関しても、優し過ぎず難し過ぎずの丁度いいバランスをキープしており、幅広い層が楽しめる為の工夫が凝らされた作り込みが成されている。
新規に追加されたギブアップも程好くシビアなのが秀逸。一度諦めてしまったら、課題は攻略した事にならぬ証が残り続けてしまったりなど、ちゃんと使った事、やり切ったなりの結果が画面内に現れる辺り、よく分かった作りになっている。
また、グラフィック全般も大きく進化している。特に3DCG周りは前作よりも綺麗になったほか、アニメーションも滑らかなものへと発展を遂げている。更に90年代へと幅を広げた事により、グラフィック自体のバリエーションが増えたのも大きな見所。特に16ビットゲームのドット絵は、如何にもな仕上がりで必見だ。また、音楽にしても、バリエーション増強に伴って曲数が増強。より賑やか且つ、色んな曲が聴けるようになったのも、グラフィックと並行して見逃せないところだ。

演出周りも本家『ゲームセンターCX』でナレーション及びプロデューサーを務める菅剛史氏によるタイトルコールが追加されるなど、ボイス関連が大幅に強化されている。ありの少年のボイスも増え、より一緒にゲームを遊んでいるという手応えを感じ取れるようになっている…のだが、さすがに増やし過ぎな感も否めず、時々ウザったい。一応、オプションで消せはするが、ここは本当、気になる方はとことん気になってしまうだろう。ここは正直、残念な進化と言えなくもない。
また、全体のボリュームも底上げされているのだが、前作のゲームも一部収録されている都合で、前作が要らない子となる点も賛否が分かれる所である。その他、対戦プレイができるとは言え、CPU以外では不可能であるなど、持て余している点もあるが、全体的なゲームの完成度は紛れも無く傑作、良作と言い張れる出来。前作譲りのゲーム黄金時代の素晴らしき日々を味わえる本編、ゲームを遊ぶ事の面白さを突き詰めたゲームデザイン、そして更なる拡充と密度の強化が図られた収録ゲームなど、新規タイトルとしても続編としても見事な内容に仕上げられている。前作同様、『ゲームセンターCX』を見ている方も見ていない方も楽しめる今作。
ニンテンドーDSをお持ちの方なら是非、プレイして頂きたい逸品だ。前作未プレイでも問題無し。是非、このゲームを遊ぶという独自のゲーム性と懐かしい空気感を味わってみて欲しい。
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