≫ゼルダの伝説 時のオカリナ
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■発売元 |
任天堂 |
■ジャンル |
アクションアドベンチャー |
■CERO(推定) |
A(全年齢対象) ※但し初回出荷版に限り、出血描写あり |
■定価 |
NINTENDO64版:7140円(税込)
バーチャルコンソール版(Wii):1200Wiiポイント |
■公式サイト |
≫NINTENDO64版 / ≫VC版(Wii) |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1人 |
■セーブデータ数 |
3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式) |
■その他 |
振動パック対応 |
■総説明書ページ数 |
40ページ |
■推定クリア時間 |
60〜80時間(エンディング目的)、100〜120時間(完全攻略目的) |
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神々の子孫が住むと言われる地、ハイラル。
そのハイラル王国に広がる深き森。
その森を守り続けてきた大木を、人は『デグの樹』と呼んでいた。森にはコキリ族という子供達が住んでおり、彼らはそれぞれ、自分だけの妖精を持っていた。
だが、たった一人だけ、妖精を持っていない少年がいた。
その少年の名は、リンクと言う…。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆3Dになってもダンジョン攻略と謎解きに主眼を置いた、ゼルダらしいゲームシステム
◆敵を見失い易いという、3Dゲーム最大の欠点を克服した、斬新な『注目システム』(このシステムがもたらした、チャンバラ風味の緊張感満点の戦闘も面白い)
◆誰もが触り易い3D空間を演出する、親切な『オートジャンプ』&『オートカメラ』機能
◆ジャンプ斬りにバック宙、盾を構えるなど、より多彩になったリンクのアクション(更に乗馬アクションまでできる)
◆ほぼ全てのボタンを使いながらも、驚くほど自然にキャラを操れる、抜群の操作性
◆お馴染みのブーメランから、ネズミ型爆弾まで、個性豊かなものが満載の登場アイテム
◆それらのアイテムを駆使しながら仕掛けを突破していく、ゼルダらしさ満点の謎解き
◆本当にその場にいるかのような臨場感と空気感に満ち溢れた、リアルなフィールド
◆3Dらしい立体的なトラップと歯応えのある謎が張り巡らされた、全11ものダンジョン
◆迫力あるカメラワークとド派手なエフェクトで展開する、熱いボス戦
◆密度が濃過ぎるとしか表現のしようが無い、圧倒的な総計ボリューム
◆『ハートの欠片』集めに『黄金のスタルチュラ』の撃退など、充実したやり込み要素
◆『釣り堀』に『流鏑馬』等と強烈な中毒性を秘めた、完成度の高いミニゲーム
◆優しさと厳しさを高度なレベルで融合させた、絶妙なゲームバランス
◆各フィールドの存在感を限りなく演出した、質感溢れる美麗なグラフィック
◆敵に接近すると曲が変わったりなど、ユニークな演出が随所に凝らされた音楽
◆生き生きとしたキャラの動作と絶妙なカメラワークが光る、迫力満点のデモムービー
◆作品タイトルに文字った、オカリナ演奏による謎解き(フリー演奏も楽しめる)
--- Bad Point ---
◆部屋の状況把握がし難くなり、何時に無く面倒臭さが増してしまった謎解き(特に『水の神殿』のブーツ装備による謎解き全般は最高に面白くない)
◆謎解きの面倒臭さもあり、相当なパワーが必要となってしまった各ダンジョンの攻略
◆パワーが続かねば確実に途中で挫折しかねない、悪い意味で圧倒的な総計ボリューム
◆単調なボス戦(ラスボスを含む全員が相手を痺れさせてから攻撃というパターンで統一されてしまってる)
◆少な過ぎるルピーの最大上限(最大で500ルピーって…)
◆ケバ過ぎる大妖精(笑)(子供にはコタえる…)
◆広過ぎる為に位置関係の把握もし難くなってしまった感のあるフィールドマップ
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▼Review ≪Last Update : 12/15/2007≫
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ゲームでしか味わえない、感動がある。
……私はむしろ、絶望を味わいました。
アクションアドベンチャーの金字塔『ゼルダの伝説』シリーズの最新作。かつては64DD用ソフトとして開発され、その後、ロムカセットへと移行し、度重なる延期を経て発売された、ある意味で曰く付きのゲームでもある。
2年以上もの歳月を経て制作されただけにある、鬼気迫る作り込み。大作である事に間違いはないが、重厚長大の悪い所も露骨に出てしまっている、敷居の高い作品だ。
ゲーム内容は過去のシリーズと同じ、アクション要素を色濃く含んだRPGこと、アクションアドベンチャーゲーム。プレイヤーは主人公のリンクを操作し、様々なイベント・個性豊かな仕掛けと謎解きが張り巡らされたダンジョンを交互に攻略しながら、ゲームを進めていく。
今作ではNINTENDO64に舞台を移行したのを受け、それまでのサイドビュー(2D)の見下ろし視点から、3D視点へとモデルチェンジ。今作の前に発売された、『スーパーマリオ64』を髣髴とさせる画面構成へと変貌を遂げている。
しかしながら、今作は『スーパーマリオ64』のような、いわゆる本格的な3Dアクションを楽しませる事を基本としておらず、それとは逆に「誰もが安心して触れる3D空間」というものを基本コンセプトとした作り込みが成されている。
その代表的な一例が、今作特有の『注目システム』である。3D空間を舞台にしたゲームにおける最大の弱点として、「戦っている敵を見失い易い」、「こちらの攻撃が当て難い」というものが挙げられるが、今作ではこれらの弱点を克服し、誰もが3D空間で繰り広げられる戦いの面白さを引き出す為、いわゆるロックオンシステムを導入。常に目標とする敵に集中でき、尚且つしっかりと外さずに攻撃を与えられると言う、3D空間を舞台にしたゲームとしては前例の無い動かし易さ、遊び易さを実現しているのである。飛び道具系の武器を使って敵を攻撃する際も、この『注目』を使えば100発100中。慎重に狙いを定めたりする必要もなく、あっさりと当てる事ができてしまうのだ。流石にプレイヤーのいる場所より、遠くにいる敵を攻撃する際は、慎重に狙いを定めて撃つ必要が生じるが。
しかも、誰もが安心して触れる3D空間を実現しているのは、戦いの面だけに留まらない。移動の面においても、段差を自動的に富んでくれる『オートジャンプ』、常にベストなアングルを検出してくれる『オートカメラ』など、そのし易さを何よりも重点に置いた配慮が施されているのである。話し掛けられる人物、看板などの対象物を示してくれる妖精『ナビィ』の存在やその場の状況によって切り替わる、ワンボタン(Aボタン)アクションと言ったものも、そんな移動のし易さとキャラクターの動かし易さを大いに煽ってくれ、誰もが安心して触れる3D空間というものの説得力の高さをより明確なものにしている。
また、キャラクターを動かす基本が全て身に付く、チュートリアル的な構成と成っている『コキリの村』、Cボタンの左右下にセットし、対応したボタンを一発押すだけで簡単に扱えるアイテムアクションと言った優れた操作性も見事。3D空間という広大で現実味のある空間の魅力を存分に体感して欲しいという、こだわりをひしひしと痛感させられる。
これらだけでも如何に今作が、触り易く遊び易い3Dのゲームかは想像に難くないだろう。それほどまでに、今作では「誰もが安心して触れる3D空間」と言うものを大胆にも実現してしまっている。3D特有の、距離感の掴み難さなど微塵もなし。本当に、スティック操作ながらも、2Dとほとんど同じ感覚でプレイできてしまうのだ。まさにこれぞ、驚異の作り込み…。
そんな脅威の作り込みは、ゲーム本編の構成もまた然り。今作では子供時代と大人時代の二つの世界を舞台とした、実に壮大なストーリーが展開されていくのだ。その為、今作では年齢の異なるリンクが登場し、プレイヤーはこの二人を交互に操作していく事となる。しかし、二人の違いというのは扱えるアイテムの変化とアクションぐらいで、メインの操作がガラリと変わるほどではない。先ほどの誰もが触れる3D空間の実現の通りに、その辺はちゃんと遊び易くする為の調整が施されているのだ。しかしながら、操作は同じながらも性能が僅かに異なるキャラクターを使いながら、ゲーム本編を進めていく感覚は何処無く新鮮。同じ二つの世界を介する『神々のトライフォース』とは一味違う、二つの世界を駆け巡る面白さを演出していて、とてもユニークだ。
各世代層ごとに用意された、個性豊かなダンジョンもお見事。ゼルダと言えば、やはり誰もが挙げるのが謎解きが豊富に用意されたダンジョンだが、今作もそれは健在で、プレイヤーの頭を大いに刺激する、個性的なものが続々と登場する。ただ、今作では視点が3Dにモデルチェンジしたのもあり、ダンジョンの作り自体もフル3Dになり、過去に比べて、全体的な密度が異様な位、濃いものへと激変してしまっている。プレイヤーの前に立ちはばかる謎解きもまた然り。シンプルな仕掛けの解除や鍵探しだけに留まらず、今作では絵合わせパズルや特殊なアイテムを使った道の確保など、難解なものがやたらと増えているのだ。そして3D空間を活かした謎解きも当然のように用意されており、水位の上げ下げや釣り天井、高所から落下する事で開く穴などと言ったものが初登場し、プレイヤーの頭のみならず手をも大いに悩ませる。しかし謎解きのバランス然り、解いた際の強烈なまでのスッキリ感、そして一つ一つの個性を色濃く現した、ボリューム感のある丁寧なマップデザインは、いつものゼルダとも言わんばかりのバランスの良さを誇っており、シリーズファンも納得の手応えと達成感を味わえる作りになってるのは流石だ。まさに、シリーズの貫禄…と言える。
だが、従来に比べて謎解きのスケールが過剰に大きくなり、攻略の敷居が高くなってしまった点は、流石にやり過ぎと言わざるを得ない。3Dになった影響もあり、部屋の状況把握が何時になくし難く、各部屋の特徴を掴み難くなってしまったのは正直、致命的。ゼルダらしからぬ、辛さを滲み出してしまっている。とにかく、一つ一つの謎を解く過程が複雑で、遊んでいて辛さしか伝わってこない、酷い作りになってしまっているのだ。
ダンジョンの数が全部で10個以上、しかもボリュームが相当なものだというのも、そんなゲームとしての遊び辛さを大いに演出してしまっていて痛い。旧作のシンプルさを前面に押し出した作りであれば、最後までモチベーションの続くゲームとして成り立っていただろうに、本当にその辺りは残念としか言葉が出てこない。
遊び易く、敷居の低い配慮がシステムや操作面では施されてるものの、こう言ったゲーム本編と関わる所では、残念ながら本作、全くと言って良いほど行き届いてなく、結果として…進める事の敷居の高さを出してしまっているのだ。まさに、遊びを入れ過ぎた事のアダ。折角、遊び易い作りなのに、こう言った所で大損をしてしまっているのだ…。
これでは、折角の3Dを触り易くする為の配慮も意味を成さない。
その反面、寄り道要素として盛り込まれた『釣り堀』、『的当て』と言ったミニゲーム、お馴染みの『ハートのかけら』集めと言ったやり込み要素はいずれも良く出来ている。特にミニゲームの完成度は凄く、それらを楽しむだけでも十分、お腹いっぱいになれるほどだ。メインフィールド(ハイラル平原)も圧巻。今作では、馬に乗っての移動もできるので、まさにバーチャルリアリティとも言わんばかりの臨場感を嫌と言うほど魅せてくれる。
遊び辛さが出てしまっている感のあるゲームバランスも、実質はそこそこ安定した仕上がり。謎解き然り、戦闘然り、任天堂らしい絶妙さを大いに演出している。
グラフィック、音楽の完成度も相当なもの。そのグラフィックと音楽によって展開される、リアルタイムによる迫力あるデモムービーも見応え満点だ。
ストーリーも基本は王道なのだが、登場人物一人一人の個性が綺麗に描けており、それらのキャラを生き様を一通り見るだけでも、結構な感動を味わえる。あくまでも、プレイヤーキャラがリンクと一緒になって体感する物語だという、三人称視点で描かれている辺りも、ゼルダらしくて好印象だ。
この他にも、迫力あるカメラワークで展開するボス戦(戦闘内容そのものがどれもこれもワンパターンという欠点があるが)、タイトルを文字った『オカリナ』のアイテムによる演奏イベント、並びに遊びなどまだまだ素晴らしい部分は沢山ある。
とにかく、その驚異的な作り込みと言い、遊びの多さ、誰でも触れる3D空間へのこだわりと言い…全てが大作と言うに値する完成度。まず、間違いなく…ゲーム史に名を残す、大作である事に揺らぎは無いだろう。だが、先述の通りに、ゲームとしての「手軽さ」はどうにも薄く、大作…いわゆる、重厚長大路線のゲームの悪い一面、遊び辛い所が出てしまっていて、どうにもゲーム慣れしていない人には薦められないのが何とももどかしい。
素直に、遊び易さだけでなくゲームとしての遊び易さも出ていれば、万人に薦められるものになっていたのだが…残念ながら、それには程遠い。ロクヨンユーザーならまず、間違いなく要プレイの一本ではある。しかし、どちらかと言うとコアユーザー向け。相当なやり応えがあって、長く楽しめる…そんなゲームを心から求めている方には、この上ないほどに楽しめる、至高の逸品だ。NINTENDO64という名のハードが及ぼした、奇跡の3D空間をその目に焼き付けろ。
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