≫ゼルダの伝説 ムジュラの仮面
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■発売元 |
任天堂 |
■ジャンル |
アクションアドベンチャー |
■CERO |
A(全年齢対象) |
■定価 |
ソフト単体版:6090円(税込)
メモリー拡張パック同梱版:8190円(税込)
バーチャルコンソール版(Wii):1200Wiiポイント |
■公式サイト |
≫NINTENDO64版 / ≫VC版(Wii) |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1人 |
■セーブデータ数 |
3つ(※フラッシュメモリバックアップ) |
■その他 |
メモリー拡張パック専用(※メモリー拡張パック、ハイレゾパックが無いと遊べません)、振動パック対応 |
■総説明書ページ数 |
40ページ |
■推定クリア時間 |
40〜60時間(エンディング目的)、80〜120時間(完全攻略目的) |
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ハイラルに伝わる王家の伝説、そこに一人の少年が登場する。
彼は巨悪と戦い、ハイラルを救った後、人知れず旅へと出た。
その戦いの終わりで分かれた、「かけがえのない友」を探す旅へと…。
しかし…その旅が、新たな冒険の幕開けとなる事を彼は知らなかった…。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆三日間を何度も過ごす、摩訶不思議なアイディアが斬新な『三日間システム』
◆「記録」でなく、「時間を戻す」という変わった概念を起用したセーブシステム
◆装着する事で個性豊かなアクションが楽しめる、インパクトのある『お面システム』
◆ダンジョン総数が減ってコンパクトになり、より遊び易さが向上した本筋のゲーム展開
◆数は減ったが、中身の濃さは前作以上に強化された、魅力溢れる4つのメインダンジョン
◆天地が逆転する仕掛けに段差が変化する支柱などやたらと濃い&インパクトのある、各ダンジョンの謎解き・仕掛け群(特に天地逆転の仕掛けは必見)
◆お面の影に隠れがちだが、弓矢にフックショットなど、相変わらず個性豊かなアイテム群(今回はおまけに過ぎなかったアイテムも、あらゆる局面で活用される)
◆三日間システムの恩恵により、何度も遊べるようになった各ダンジョンのボス戦
◆街の住民を観察する、ストーキング的な面白さに富んだ『団員手帳』のサブイベント
◆「友情」と「少年としてのリンク」を主として描いた、魅力溢れるストーリー
◆オートジャンプにZ注目など、前作譲りの動かし易さにこだわった抜群の操作性
◆厳しくなったが「冷静に観察すれば必ず解ける」はそのままの絶妙なゲームバランス
◆お面集め、ハートのかけら集め、サブイベント制覇など、充実しまくりのやり込み要素
◆光と影の表現が前作にも増して鮮明に、且つ美しくなったグラフィック
◆東南アジア風の神秘さと曲調の勢いの良さが素晴らしい、進化した音楽
--- Bad Point ---
◆セーブ不可能で始まる、硬派な初っ端の展開(中断セーブとか、あっても…)
◆前作同様、3D故にダンジョンの部屋の全体構造把握が難しく、面倒臭さが強調されてしまっている謎解き
◆謎解きと仕掛け、そしてボス共に極悪な難易度でまとめられた『グレートベイの神殿』
◆初期化の対称な為、時間を戻す度に何度も見るハメになるデモイベント(特に神殿が出現するムービーデモは、一度見た後、スタートボタンでカットできるようにしておいて欲しかった)
◆癖のあるゴロン&ゾーラリンクの特殊アクション(練習が必至)
◆相変わらずケバい大妖精(笑)
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▼Review ≪Last Update : 9/13/2008≫
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自分の力を信じなさい…信じなさい…
さすれば、この危機もきっと脱せる…はず。
NINTENDO64史上最大の大作として、多くのユーザーから大好評を博した『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のゲームエンジンを継承する形で製作された、シリーズ最新作。
摩訶不思議なシステムと世界観が異彩を放つ、ゼルダシリーズ屈指の異色作だ。
ゲーム内容は、前作『時のオカリナ』に順序。3D視点で展開するアクションアドベンチャーゲームで、主人公のリンクを操作して多彩な謎解きが擁されたダンジョンやイベントを攻略していくというものだ。
ゲームシステム周りにおいても、指定の敵をロックオンする『Z注目システム』、段差や穴を自動的にジャンプする『オートジャンプ』など、前作を踏襲している。しかし本編進行の仕組みに関しては、大掛かりな変更が行われた。
それが今作最大の売りの一つ『三日間システム』。
今作には三日間という限られた時間が設定され、この期間以内に月の落下が迫る世界を救う為、冒険していかねばならなくなった。だがこのシステム、いわゆる制限時間システムではない。そもそも、月の落下にまでかかる三日間とは、現実の時間に換算すると約3時間。そして、ゲームクリアにかかる大よその時間は大体35〜40時間ぐらい。どう考えても落下阻止に間に合わないどころか、ゲームの半分すら遊べない。じゃあ、どうやって落下を阻止するのか、そしてゲームの半分以上を遊ぶのかというと、この三日間という時間を一日目に戻し、また一日目から過ごしていけば良いだけ。つまりこの『三日間システム』とは、限られた時間以内にクリアを目指すものではなく、三日間の制限時間そのものを繰り返し過ごすというもの。あまりに奇抜極まりない、斬新なシステムなのである。
だから今作では、三日が経って時間切れが迫ったら一日目に戻り、また三日が経って時間切れが迫って来たら一日目に戻る…を繰り返していくのが基本となる。それは何処から見ても、過去のゼルダシリーズにはまるで無かった光景。長年、シリーズを経験してきた者ですら、戸惑うのは避けられないほどなのだ。
しかも今作は『セーブ』の概念までも違う。一般的にセーブと言えば、それまでの進行をファイルに記録して保存する事であるが、今作の場合は『重要アイテムは残されたまま、一日目に戻る』という違った意味となっている。つまり重要アイテムは手元に残るが、ダンジョンやイベントの進行具合と言ったものは全てリセットされるという事。まだクリアに達していないダンジョンは、再び最初からやり直さなければならなくなってしまうのだ。
更に、1日目に戻れば所持金(ルピー)に爆弾などのストックアイテムの残量も0に戻される(爆弾のアイテム自体は重要扱いだから、残される)。こちらもまた、最初からチマチマと集め直す必要が生じる訳だ。そして極め付け、何とセーブはゲームを始めた直前から行えない。ある人物に奪われた『時のオカリナ』を取り返し、セーブするのに必要な『時の歌』を習得するまでノーセーブで本編を進めていかねばならない。だから取り返し損ねてゲームオーバーになれば、また最初からやり直し。初っ端から苦しい展開がプレイヤーに降りかかってくるのである。しかもどういう手順でオカリナを取り戻すかは、自力で考えるしか他に無い。
もう、ここまでの時点で如何に今作がゼルダとしては異様な内容、そして異様なシステムを積んでいるかは明確だろう。見た目は本当、前作のままだから、変わったところはない。だが、これまでの通り、その深奥には経験者でも苦戦必至な罠が盛り沢山。初心者であろうが上級者であろうが、奇抜という名の洗礼を浴びせられる、強烈なまでのオリジナリティが満ち溢れたゼルダとなっているのだ。しかし三日間を行き来するとは言え、プレイヤーの主な目的はダンジョンの攻略。本質的な面では、いつものゼルダらしさを堅持している。
また根本的なシステムの変更もさる事ながら、新たな要素も加えられた。その中で異彩を放つのが『お面システム』。前作でもアクセサリー的な存在としてお面はあったが、今作ではそれがダンジョン及びイベント攻略のキーアイテムとして昇格。装着することで、何と特殊な能力を持ったキャラクターに変身できるようになった。
変身できるのはデグナッツ、ゴロン、ゾーラの計三種類ともう一つ。いずれも特徴が明確で、デグナッツは水面ジャンプに空中浮遊ができ、ゴロンは高速ダッシュに体重を生かしたパワー攻撃、ゾーラは水中の高速移動など、異なるアクションを堪能できるのが面白い。ダンジョン内においても、今回は彼らの能力を余す事無く活かした仕掛けが盛り沢山で、状況に応じて異なる性質のキャラを使い分けて行く、前作には無かった新たな謎解きの醍醐味が味わえるのが実に新鮮。前作のブーツとは毛色の異なる、戦略性に富んだゲームプレイが楽しめるようになったのだ。
しかも、そのブーツの切り替えとは異なり、今回はCアイテムにお面をセットするだけで即座に変身が行えるというのも見逃せない。要は切り替えの手間までも、今作では綺麗に改善されているのだ。だから、要所要所でお面を使い分けるのに、いちいちメニュー画面を出す必要も無し(流石に新たにお面をセットする時は出さなくてはならないが)。前作のブーツの切り替えで苦汁を飲んだ方にとって、この快適性の向上は感涙モノだと言えるだろう。
何よりも、お面というアクセサリーに過ぎなかったものを、こうもゲーム性に直結させるものへと進化させたのが凄い。お面をつける事で違うキャラになれるという構図も分かり易いし、何よりも付けるだけで特殊なキャラに変身ができるのは、先にも話したが、前作のブーツにはない快適さがある。こうも新しさを出しつつ、前作の欠点(ブーツ)を解消させた要素として仕立て上げた任天堂のスタッフには正直、脱帽する限りだ。単に拙い所を潰しただけで済ませないそのやり方には、職人技すら感じさせられる。更にお面には変身できるもの以外にも、移動速度を速めたり、会員制の店に入れるようになるものと言った特殊なものも存在。ダンジョン攻略には直接関係してはこないが、いずれのお面も個性的なものばかりで、収集意欲を刺激してくれる。その総数も20種類以上と、集め甲斐も満点。ハートのかけら集めに次ぐやり込み要素としての存在感を示しているのもまた、上手いところだ。
お面以外にも、町の住民たちを観察する『団員手帳』を埋めるサブイベント、三日間システムの恩恵により、何度でも楽しめるようになったボス戦と言った新要素も秀逸。繰り返しになるが、本当にただの新要素でなく、欠点の改善を盛り込んだ新要素として作り上げた、スタッフには驚かされる。三日間システムと言い、今回のスタッフは何処まで頭がイカれているのか?(褒め言葉)本当、そう言いたくなるほど、要素周りも素晴らしい完成度を誇っているのである。
シリーズの肝とも言えるダンジョンも、今回は数が4つと少なくなった分、密度が濃くなって大幅にやり応えがアップ。仕掛けも新ネタが満載で、その中でも、天地がひっくり返るダンジョンのインパクトは圧巻。3Dだからこそ実現したその秀逸なアイディアは是非とも要チェックである。また、前作では使用用途がおまけに過ぎなかったアイテム(氷の矢など)が今回、随所にて大活躍するのもファンには見逃せないところだ。
操作性、ゲームバランスも秀逸。バランスは前作よりも厳しくなったが、相変わらずの任天堂らしい丹念な調整が光るものになっている。操作も台詞の早送りが可能となったなど、より快適なものに進化している。
グラフィックと音楽も拡張パック専用の恩恵を受け、大幅に進化。特に音楽は前作にも増して、勢いのある曲が盛り沢山。更に前作には無かった、ゼルダシリーズお馴染みのあのフィールド曲も収録されているなど、ファンサービスもバッチリ。名曲もいっぱいで、三日目のカウントダウン時に流れる哀愁漂う曲は必聴の価値ありだ。
更に今回は、ストーリーも劇的に進化。コンパクトな作りながら、友情をテーマとした重みのある内容となっていて、かなり見応えがある。特に終盤の展開は意外性満点。ゼルダらしからぬどんでん返しに思わず魅了されてしまうだろう。
他にサブイベントもすばらsく、アンジュとカーフェイの巡り合いは非常に込み入ったものになっていて面白い。エンディングも集めたお面の数によって変化するなど、地味に熱くなる要素が仕込まれているのも必見。
相変わらず3Dというのもあり、ダンジョン内の状況把握が難しいこと、水中ダンジョンが前作と変わらず複雑、初っ端から硬派な展開など、シリーズ初心者には辛いところがあるのが残念ではあるが、ゲームとしての完成度は前作に負けず劣らず。というよりも、前作よりもシステム、世界観共に魅力溢れる内容に仕上がっている。
どっちかというと、ゼルダは壮大なものよりもコンパクトなのが良い。そういうこだわりがある方には、文句なしでお薦めの逸品だ。勿論、従来のシリーズファンにもお薦め。三日間システムによる奇抜なゲーム展開とお面システムによる新たな手応えは、これだけでしか味わえない。未体験の方は何が何でもやっておきましょう。ゲームでしか味わえない感動ではなく、ゲームでしか実現できない不思議さを実現した名作、ここにあり。
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