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  4. ゆけゆけ!!トラブルメーカーズ
≫ゆけゆけ!!トラブルメーカーズ
■発売元 エニックス(現:スクウェア・エニックス)
■開発元 トレジャー
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 8400円(税込)
■公式サイト ≫スクウェア・エニックス:紹介ページ / ≫トレジャー公式
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 2つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 38ページ
■推定クリア時間 8〜9時間(エンディング目的)、30〜45時間(完全攻略目的)
愛深き冒険ヤロウ、ガンベル博士ことガンベル・H・ジョーブとそのメイドロボ、マリナ・ナゲットは、SOS信号が発信されている惑星『ねんどろ星』に到着した。
しかし、SOSが発信されている惑星ゆえ、どんな危険があるか分かったものではない。それを考えたマリナは博士には宇宙船に待機してもらい、先に自身が惑星へと降り立ち、どんな所なのか偵察する事にした。
だが、敵はマリナが離れた隙を付いて宇宙船に侵入。
船内で待機していたガンベル博士を誘拐してしまった。

一方、ねんどろ星を偵察していたマリナは聞き覚えのある声を耳にする。
急いで駆け付けると、博士が敵にさらわれていく真っ只中だった…。

かくして、謎の敵から博士を救出する為、マリナの冒険が始まったのだった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆掴んで振り、投げ飛ばすという単純なアクションを徹底追及した、こだわり全開のゲームデザイン
◆アクションからパズル、ミニゲーム風のイベントまで、多種多様なラインナップで構成された全60以上ものステージ
◆掴むアクションの醍醐味を徹底追及した、秀逸なステージ内のギミック(仕掛け)群
◆掴むアクションをフル活用する独自の戦術が求められてくる、火傷必至のボス戦
◆多間接でなまめかしい動きを披露する、迫力満点且つ個性的なボスキャラクター達
◆タイムアタック、ランクチャレンジなど中毒性の高いものが盛り沢山のやり込み要素
◆極める面白さと収集特典の所為で、自然とコンプリートを狙いたくなるやり込み要素『イエロークリスタル集め』
◆少し冗長だが、丁寧且つ自分のペースでプレイできる設計が親切なチュートリアル
◆優し過ぎず、難し過ぎずの程好さでまとめられた絶妙なゲームバランス(難易度)
◆十字キー主体の『ファミコンポジション』による、懐かしさ溢れる操作性
◆ロクヨンならではの3D表現、2D描写が絶妙に絡み合った、美しいグラフィック
◆時に楽しく、時に激しく変異する、バリエーション豊かな良質の音楽
◆トレジャーらしさ全開の仰々しくて爽快感満点のエフェクト演出(特にボス撃破の演出)
◆主にボス戦などのシーンを無駄に盛り上げる、豪華声優陣によるボイス演出
◆個性的なキャラクター達による掛け合いが面白い、緩くて笑えるストーリー
◆「ムンク」のような不気味な顔をしているが、愛嬌のある動きが微笑ましい味方&敵キャラクターの『ねんどろ』達
◆イエロークリスタルの特典以外にも驚愕の仕掛けが仕込まれたエンディング

--- Bad Point ---
◆序盤のボスながら、攻撃全般が激し過ぎるボス・ロードストライカー(イエロークリスタルの獲得を目指してノーダメージ勝利を狙うとなると、文字通りの死闘になる)
◆挙動がフワッとしている為、少し癖があるジャンプアクション
◆ボタン連打による方式の為、手が疲れ易いダッシュアクション
◆全ステージがチュートリアルで構成された、やや冗長さも際立つワールド1(第一章)
◆Zボタンという煩わしい配置のイベントスキップボタン(スタートボタンにすべきだった…)
▼Review ≪Last Update : 5/2/2010≫
「燃え上がる魂は正義の証!」

「傷無き鎧は勇者の証!」

「誰が呼んだか、人呼んで…」


(続きは本編をお楽しみください)


『ガンスターヒーローズ』に『ダイナマイトヘッディー』、『エイリアンソルジャー』など、メガドライブで多くの名作アクションを生み出してきた職人集団『トレジャー』による、完全新作のアクションゲーム。販売はトレジャーとは初めてタッグを組む、エニックス(現スクウェア・エニックス)が担当した。

振って投げ飛ばす面白さを突き詰めた、痛快・傑作アクションだ。

ゲーム内容は、横スクロールのステージクリア型アクションゲーム。メイド型ロボット「マリナ」を操り、全60以上ものステージを攻略し、帝国軍にさらわれたガンベル博士の救出を目指すというものだ。NINTENDO64のゲームの中では珍しい2Dアクションゲームで、操作も3Dスティックを一切使わない、十字キーとボタンによる「ファミコンポジション」を起用。スーパーファミコンやメガドライブなど、古き良き時代のアクションゲームと同様の感覚で楽しめる作りとなっている。
また、システム周りも単純明快で、基本的に各ステージ最深部のゴールを目指すという、2Dアクションゲームの王道を突き詰めたもの。誰もが取っ付き易い、敷居の低いシステムに仕上げられている。ただ、単にゴールを目指すだけでなく、ステージによっては特殊なイベントに挑戦したり、ボスとの戦闘があったりと、多彩なシチュエーションを用意。単純な横スクロールのステージクリア型アクションでは終わらせない、細かな工夫も徹底されている。この辺は如何にも、メガドライブにて『ガンスターヒーローズ』などの傑作アクションを多く手掛けてきた、トレジャーらしいこだわり。ステージごとに違った遊び、展開が繰り広げられていくので終始、ダレることなく、本編に浸ることができる。アクションゲームとしては、まさに理想的なレベルデザインと言っても良いだろう。とにかく、細かく作り込まれている。
更に多彩なゲーム展開ばかりでなく、プレイヤーキャラクター、マリナのアクション部分にも独自のアイディアがキラリと光る。具体的に言うと、攻撃手段が実に独特だ。どう独特なのかというと、どんなものであろうと、「掴んでぶん投げる」。たったそれだけの技で、彼女は敵の帝国と戦っていくのである。
何とシンプル。何と豪快。しかも、その掴める対象というのが実に盛り沢山。ステージ上を徘徊する敵や転がってる岩やブロックなどのオブジェクトは勿論のこと、敵の放ってくるミサイルだろうが、飛び蹴りやパンチなどの物理攻撃だろうがBボタンを一回押すだけで掴めてしまう。地形以外のものなら、今作では、全部「ガッシリ」と掴めてしまうのだ。そして例によって、その掴んだものは全て相手に投げ返せる。こちらを狙って来た攻撃を相手にお見舞いするその爽快感は、まさに「スッキリ」。ネタ自体は単純明快で、正直…アクションゲームでは珍しいとは言い難いアクションである。なのに、他であまり味わえない気持ち良さに秀でた、新鮮味溢れるものに仕上げられているのである。単純で珍しくないアクションも、少し裾野を広げるだけで、強烈なものに進化する。まさに、盲点を付いたアイディアだ。
また、単に掴んで投げるだけでなく、掴んでCボタンの下を二回以上押す事で掴んだものを「振る(フリフリ)」こともできる。これもまた、攻撃手段の一つとして機能していて、例えばミサイルを振るとホーミング性能が付いたりなど、様々な特殊効果を付け加えることができてしまうのである。地味ながら、突っ込みどころ満載だが、実にユニークなシステム。先ほどの掴むアクションに対し、更なる奥行きを与えるものとして活きている。更に本編においても、このアクションを使わねば倒せぬボス、仕掛けも豊富にあり、一切の無駄を作らぬ気配りが徹底されている。ボスによっては振る行為が連続攻撃になったりなど、性質を変化させる効果を及ぼすだけのものになってないのも面白いところだ。たった一つの性能を持つだけのアクションで終わらせないとする辺りに、強烈なこだわりを感じさせられる。
システムも単純で、アクションも単純。しかし、単純だからこそ突き詰めると凄いものになるんだと、そんな熱いこだわりが各所にて全開。アクションゲームとしてはシンプルに楽しめる作りなんで、それだけでもかなり秀逸なのだが、更にそこを一歩突き詰めているのが今作。タイトルのポップさに反し、その内容は恐ろしく奥が深いのである。

そんな単純なアクションを突き詰めたゲームデザインが今作の売りだ。そもそも、物を掴むアクション自体、先も語ったがアクションゲームとしては良くあるもの。ネタとしての新鮮味は正直、皆無に等しい。かのマリオでも、掴むアクションはあるし、ストリートファイターなどの格闘アクションにおいても、相手を掴んで投げるだなんて常套手段である。
でも、「掴む」だけの攻撃にこだわったアクションゲームというのは希少である。マリオでも、掴む行為は数あるアクションの一つに過ぎず、メインは踏み付けなどのジャンプアクション。ストリートファイターでも、掴み投げは数ある攻撃の一つで、メインはパンチやキック、必殺技である。対し、今作には掴む以外に攻撃アクションが無い。敵からミサイルランチャーを奪い、それをぶっ放す攻撃があったりするが、それすら掴んで奪うのが前提とされている。
何が何でも掴む、そしてそれ以外の攻撃手段は存在しない。
こんな思い切ったゲームデザイン、アクションゲームとしては初の試みだと言ってもおかしくないだろう。踏みつけ許されず、パンチ許されず。何が何でも掴んで、ぶん投げろ!或いは掴んで振りまくれ!痛快過ぎる。そして、単刀直入過ぎる。こんなにも一つのアクションにこだわり尽くした事自体、まさに漢(おとこ)の所業だ。他のものに緩みを許さず、ひたすら一つにこだわり尽す。これほど完璧と言えるゲームデザインも他に無いだろう。
そして、その「掴む」にこだわったゲームデザインを更に引き立てるステージ構成、仕掛けのアイディア、ボス戦の作り込みも素晴らしい。特に秀逸且つ、「掴む」の醍醐味を存分に味わえるのがボス戦。相手の苛烈な攻撃を逆利用する戦略性は、今作の掴むにこだわったゲームデザインの魅力が如何なく発揮されている。掴むアクションの醍醐味を最も楽しめるパートである故にか、本編ではボス戦ステージも気持ち多めに用意されており、スタッフ側の「分かってる」感じが露骨に表れてるのもニクい限りだ。このおかげで、プレイするユーザーの誰もが掴むアクションの魅力に浸れる。
単純にアクションの醍醐味が味わえるだけでなく、ボス戦自体の内容もかなり凝った出来栄え。主に各章(ワールド)ごとのボス戦だが、動物に乗った状態でミサイルを投げ返していく緊張感溢れるバトルあり、3Dの演出を取り入れた、奥行きのあるバトルありと、多彩なシチュエーションが用意されている。また、章ごとのボスは特撮のロボットのように数段階に変形し、姿を変えて襲い掛かってくるという、大変ユニークな演出も仕込まれている。一回、仕留めたと同時に違う形になって襲い掛かってくるその衝撃は、かなりのもの。如何にもアクションゲームには手馴れた、トレジャーならではのセンスと言ったところだ。勿論、そのボス達はガンスターヒーローズの如く多間接で、グリグリとなまめかしい動きを見せてくれる。その滑らか且つ、ゲームらしいアニメーションもまた、戦闘内容と並行して必見である。ボス戦以外、ステージ構成にしても掴むを大事にした仕掛けの配置、ロクヨンの3D表現を効果的に活かした演出など、徹底してアクションを活かす作り込みが成された、隙の無さが光る。
純粋に一つの事にこだわった姿勢、そのアクションの醍醐味をフルに活かす周囲への気配りと、その細かな作り込みの素晴らしさは、まさに職人技。掴むというありふれたアクションをここまで奥深く、魅力溢れるものへと昇華させた今作は、まさに2Dアクションに一石を投じた一作と言っても良いだろう。
本当、全てにおいて素晴らしいこだわりぶり。職人の成せる技とは、まさにこれである。

アクションゲームの肝である操作性も快適。ただ、ジャンプの挙動が少しフワッとしていて癖がある。キビキビと動かない故、人によっては好みが分かれるかもしれない。しかし、キーアサインなどには問題なし。慣れれば違和感なく動かせるようになるので、完成度は総じて高めだ。
また、ゲームバランスは万人向け。難し過ぎず、優し過ぎずの程好いバランスとなっている。ロードストライカー戦など、一部、極端に難しい場面もあるが、全体的には破綻無く綺麗にまとめられてる。アクションゲームが苦手な人でもどうにかなる適切さと、なかなかの良調整である。硬派さが売りのトレジャーのゲームにしては、珍しい仕上がりである。ちなみに、チュートリアルなどの細かな配慮も万全だ。
更にステージ総数も最初に語ったが60以上とやり応え満点。タイムアタック、イエロークリスタル集めなどのやり込み要素も充実しており、長く遊べる工夫も充実している。特にイエロークリスタル集めは、なかなか熱い。
その他、グラフィックや音楽、ストーリー&キャラクター(特にねんどろ達)、演出も秀逸な出来。特に演出は、さすがトレジャーと言わんばかりの爽快なエフェクトが満載。ボス戦の仰々しい大爆発にはスカッとすること請け合いだ。
また、今作ではキャラクターごとに声優によるボイスも付けられており、それもまた激しいゲーム本編を大いに盛り上げる。しかも、その声優陣が豪華。主人公マリナの声は『赤ずきんチャチャ』のチャチャ役で知られる鈴木真仁、ガンベル博士の声は映画『ダイ・ハード』のマクレーン刑事の吹き替えで知られる樋浦勉と重鎮揃いだ。更に敵の三人衆、『ビーステクター』の面々に大塚芳忠(機動武闘伝Gガンダムのチボデー、フルハウスのダニー・タナーほか)、大塚明夫(ブラックジャックのブラックジャック、メタルギアソリッドのスネークほか)、堀内賢雄(フルハウスのジェシー・コクラン、ブラット・ピットの吹き替えほか)。これで盛り上がらない事がまずありえないというレベルのキャスティングである。熱過ぎです。

とにかく、ロクヨンとしては希少な2Dアクションゲームながら、非常に高い完成度と熱さを誇るこの『ゆけゆけ!!トラブルメーカーズ』。一部ボス戦の難易度の高さや操作性の癖の強さなど、欠点も少しあるが、肝である掴むアクションの爽快感が半端なく、実際にプレイしていると全く気にならない。ゲームバランスもトレジャーのゲームにしては温めと、なかなか良心的な作りとなっているので、初心者から上級者まで幅広く楽しめるのも実に魅力的だ。
まさに、文句無しの傑作。これは冗談抜きにロクヨンを持ってるユーザーなら要プレイの逸品である。文句無しにオススメ。今作をプレイせずとして、ロクヨンと2Dアクションは語れない!
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