≫スターウォーズ 帝国の影
|
■発売元 |
任天堂 |
■開発元 |
ルーカスアーツ |
■ジャンル |
アクションシューティング |
■CERO(推定) |
A(全年齢対象) |
■定価 |
8190円(税込) |
■公式サイト |
≫こちら |
|
▼Information
|
■プレイ人数 |
1人 |
■セーブデータ数 |
4つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池方式) |
■総説明書ページ数 |
48ページ |
■推定クリア時間 |
5〜8時間(エンディング目的)、18〜22時間(完全攻略目的) |
|
デススターを破壊された帝国軍は、レイア・オーガナ姫率いる反乱軍に対する探索を銀河全域に広がせ、遂に辺境の氷の惑星『ホス』に反乱軍の前線基地を発見した。
今や、反乱軍のパイロットとなったルーク・スカイウォーカーをダークサイドへ転身させる為、ダース・ベイダーはこの若きジェダイ騎士の発見に執念を燃やしていた。
反乱軍との戦闘の為、ダース・ベイダーはホス星へ軍隊を派遣。
恐るべき帝国軍宇宙艦隊が接近中のこの最中、一隻の貨物船がホス星へ向かっていく。
船名は『アウトライダー』、パイロットの名は『ダッシュ・レンダー』…。
|
▼Points Check
|
--- Good Point ---
◆スターウォーズの世界観と魅力を100%引き出した、秀逸なゲーム進行システム
◆あらゆるジャンルが一度に凝縮された、スピーディ且つバリエーション豊かなゲーム展開
◆トラップの多さと敵との戦闘の面白さを重視した姿勢が印象的なアクションステージ
◆状況に合わせて使い分けていくのが面白い、戦略性に満ちた武器システム
◆舞台となる惑星や宇宙空間の雰囲気を煽る、広大なステージ構成
◆通常のものから見下ろし、主観、更には映画視点と種類豊富に用意されたカメラモード
◆宇宙空間のドッグファイトの興奮を大いに引き出しているシューティングステージ
◆スターウォーズシリーズファンにはたまらない、某ステージで可能なケーブル攻撃
◆凶悪極まりないスピード感が秀逸なレースステージ
◆チャレンジポイント集め、タイムアタックなど充実したやり込み要素
◆遊ぶ人の腕に合わせたプレイが可能な難易度選択システム
◆全体的に恐ろしく厳しいが、自分の上達振りが実感できる、優れたゲームバランス
◆動かしているだけでも、銃を撃ちまくるだけでも楽しい操作性
◆スターウォーズの世界観と雰囲気を見事なまでに表現した美しいグラフィック
◆上に同じく、スターウォーズの世界観を見事に表現した素晴らしい音楽と効果音
◆シリーズファンには見所満載の、バックグラウンド満載のストーリー
◆断崖絶壁から落下する際に人間兵士が発する叫び声(別の意味で必聴の価値あり)
--- Bad Point ---
◆ほとんどおまけなレースステージ(バランス的にまともに遊べる内容でない…)
◆基本的に初心者お断りのゲームバランス(一番簡単な難易度ですら厳しい)
◆ハード以上の難易度でなければ見れない、真のエンディング(これはズルい)
◆スノースピーダーを操るステージのカメラワークが劣悪(回りすぎ)
◆あまりに広すぎる(長過ぎる)ステージ(一回のプレイで一度にクリアしなければならない、ゲームーバーになったらまた最初からなど、細かな配慮にも欠ける)
◆シリーズファンでないと理解不能なストーリー
◆下水道ステージの水の色が判別し難い(地面と同じ色で判別が付け難い)
◆明らかに理不尽な行動を取る、最終ステージで登場する砲台(あの回復力は…)
◆何故か音楽に内容までループする、おかしなスタッフロール
|
▼Review ≪Last Update : 6/23/2007≫
|
パッケージでは『スター・ウォーズ 帝国の影』。
取扱説明書では『スター・ウォーズ シャドウ・ジ・オブ・エンパイア』…。
名作SF映画『スター・ウォーズ』シリーズの二作目『帝国の逆襲』と三作目『ジェダイの復讐』の狭間のトーリーを描いた公式の外伝『シャドウ・ジ・オブ・エンパイア』をゲーム化した作品。制作は映画と同様、ルーカスアーツが担当。
完璧なまでに構築されたスター・ウォーズの世界観。その一方で、目まぐるしいゲーム展開と強烈な難易度が光る、あまりに硬派なアクションシューティングゲームだ。
ゲーム内容は、オーソドックスなステージクリア方式を採用した、3D視点で展開するアクションシューティングゲーム。プレイヤーは主人公『ダッシュ・レンダー』を操作し、全10個もの個性豊なステージに挑み、最後に待ち構えるボスを倒したり、目的の場所に到達したりしながら、ゲームを進めて行く。
ワリとアクションゲームとしては、古き懐かしさの漂うシンプルな構成である。しかし、ゲーム本編の展開に関しては他では見られないユニークな特徴がある。
それは、各ステージごとにゲームのジャンルが異なっている事。本作はアクションだけをこなしていくゲームではなく、シューティングにレースと言った、アクションとは別のジャンルのゲームもこなしていかなければならない、非常に目まぐるしいゲームとなっているのである。更にただ、ジャンルの異なるゲームをこなしていけば良いというだけのものにもなってない。ステージによっては、ただ最後に待ち受けるボスを倒すだけでなく、爆弾を仕掛けたりなどのサブミッションをこなさねばならなかったり、またシューティングステージに関しても最初とは違う機体を操縦して敵と戦わなければならなかったりなどと、同じジャンルのゲームでもステージごとに常に違った目的が用意されているのである。
とにかく、目まぐるしくて緊張感満点。シンプルという表面に対して、中身はあまりにも躍動感ある展開が楽しめるという『羊の皮をかぶった』とも言うべきゲームとなっているのだ。まさにこれぞ、要塞内部での一騎打ちと銃撃戦、そしてドッグファイトなどの目まぐるしい展開が満載の『スターウォーズ』の魅力を100%抽出したゲームシステムと言える。
この事もあり、全編を通じて飽きのこない、起伏に満ちたゲームプレイを心行くまで楽しめるのは、まさにこのシステムならではの賜物。流石の一言に尽きる。
確かに元となるアイディア自体にはあまり突出した所が無く、「ありきたり」な雰囲気すらあるのも事実。しかし、スターウォーズと言う作品の魅力を存分引き出すに当たって、このシステムを採用したのは最良の選択だったと言えよう。
勿論、肝心のジャンルごとの完成度もかなりのものだ。特にゲーム中、最も多くプレイする事となるアクションステージは、ジェットパックによる飛行を始めとした多彩なアクション、複数の武器を使い分けながら敵との銃撃戦を乗り越えていく、戦略性の高いシステムが光っている。舞台となるステージも敵の基地から宇宙船、更には下水道などロケーションに富んでおりプレイヤーを飽きさせない。3Dアクション独特のものでもあるカメラも基本的に固定となっている都合で、そこまでグルグルと回る事が無く、概ね良好なアングルを維持している。また、通常視点から主観視点、更にはムービー視点なる映画さながらのカメラモードが用意されているのも見逃せない点だ。
若干、ジャンプの軌道に癖があったり、ステージが異様に広く、中間セーブポイントが無い為にゲームオーバーになったら最初からやり直しとなってしまうなど(これはアクション以外のジャンルのステージにも共通)の目に余る欠点もあるが、全体的にはいずれのステージでもアクションゲームの本質を追求した優れた完成度を維持している。
その他、シューティングステージも次々と襲い掛かってくる敵戦闘機を撃ち落して行く快感、そして多数の仲間達を交えた大混戦など見所が満載で、ツボを抑えた作りとなっている。また、スターウォーズにおける伝説のシーンでもある、ケーブルを発射して巨大ロボットの足を絡ませ、行動不能にするアクションを実際に体験できる場面があるなど、ファンサービスも完璧だ。また、NINTENDO64の3D表現だからこそ実現した、『スターフォックス64』さながらの360度のオールレンジステージも必見だ。カメラ…というよりも、旋回時のカメラの動きがやたらと大げさな為、操作感にはかなり癖があるが、こちらもアクションと同様、ジャンルの本質を追求した高い完成度を誇っている。
一方でレースゲームはほとんど『おまけ』な作りで、他の2つのゲームに比べると味気ないものとなってしまってるのが残念。また、スピードが異様に速く、まともに走行するよりも減速しながら走行した方が安全と、レースゲームとしてはあり得ない調整になってしまっているのも残念な所だ。これが遊べるステージも実際は1つしかなく、場面にも欠ける。しかしながら、当時としては圧倒的なスピード感は必見。これを体験するだけでも、本作を遊ぶ価値は十分にあると言える。
このように、やや目に余る欠点も多いが、全体的にいずれのジャンルも一切の妥協が感じられない仕上がりで、破綻のないゲーム展開を全編を通じて楽しむ事ができる。
また、各ジャンルごとに楽しめるステージはクリアするごとにプレイレコードが表示されるほか、アイテム収集要素などのやり込みも用意されており、長くじっくりと楽しめる為の工夫が盛り込まれているのも見逃せない点だ。
更に、本作では難易度選択システムが導入されており、自分に合わせた難易度でゲーム本編を楽しむ事もできる。難易度は『ノーマル』、『ハード』、『エキスパート』…そして、秘密の全4種類が用意されており、難易度を上げるごとに敵の攻撃や敵とプレイヤー側の耐久力が変化する仕組みとなっている。基本的にノーマルが最も低く、エキスパートが最も高いという構成なのだが…実際はどれも高く、一番優しいノーマルでも結構苦戦する。当然ながら、エキスパートはそれ以上に手強いので、ゲームに慣れた人でさえも手こずる事必至。総じてやり応え満点…ではあるが、どうにも海外ゲーム独特の辛さが残ってしまっている感じだ。さすがにこればかりは調整が甘いとしか言い様が無い。また、ハード以上でなければ真のエンディングが見れないきつい要素があるのも残念な所だ。初心者の門を限りなく狭めてしまっており、どうにも任天堂らしくない。それでも全体的なバランス自体は、テクニック次第で何とかなるレベルを維持しているのだが。
また、初心者対策絡みでサポートが不足しているのも残念だ。結局、操作解説等はポーズ画面のオプション、或いは説明書でしか確認する事ができず、面倒臭さが出てしまっている。折角、主人公にリーボという相棒がいるのだから、彼に丁寧なアドバイスメッセージを付ける等の工夫を盛り込んで頂きたかったのだが…。
それらに対し、ゲーム以外のグラフィック、サウンドの出来は突出している。いずれもスターウォーズの世界観を事細かに表現しており、流石ルーカスアーツと言わんばかりの仕上がりとなっている。特にデモシーンで展開する美麗なCGイラストと原作の映画と全く同じ効果音、壮大なオーケストラ調の音楽は必見だ。
ストーリーに関しては、主人公がルーク・スカイウォーカーではなく、ダッシュ・レンダーというキャラクターであるので、ファンには賛否が分かれる。ただ、話自体はそこそこ上手く作られている。でも、素人目で見て、ちょっと驚きの展開に欠けるのがやや気になる。また、スターウォーズを知らない人にはほとんど分からない内容だというのも気になる部分だ。この辺は、シリーズモノの作品故の仕方が無い所でもあるが。
この他、操作性に関しては、海外ゲーム特有の癖の強さが出てはいるが、全体的には任天堂らしい調整が加えられており、動かしているだけでも…そして、銃(レーザー銃)をバンバン撃っているだけでも楽しい操作感を実現している。
硬派過ぎるゲームバランスとおまけ程度のレースステージ、不足したサポート、そしてやや癖のあるアクション、ファンでないと理解し難いストーリーなど、とにかく海外ゲーム特有の癖の強さと欠点が目立ちはするが、一本のアクションゲームとして、そしてスターウォーズのゲームとしての完成度は群を抜いたものを誇っている。
新しくも懐かしい目まぐるしいゲームシステム、充実したボリュームとやり込み要素、スターウォーズの世界観を完璧にまで表現したグラフィックと音楽に演出と、総じて妥協の無い作り込みとスターウォーズのゲームとしてのこだわりが全編を通じて光る本作。強烈なまでに厳しい難易度もあって、初心者には全くおススメできないが、それ以外のアクションゲームが好きな方や上級者の方には文句なしにおススメの逸品だ。是非、本作ならではの強烈な手強さと目まぐるしいゲーム展開を心行くまで堪能して欲しい。勿論、スターウォーズファンにもおススメ。本家ルーカスアーツが放つ、完璧なまでに構築された世界観とストーリーを堪能してみて欲しい。……フォースと共にあらんことを。
|
≫トップに戻る≪
|