≫罪と罰 地球(ほし)の継承者
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■発売元 |
任天堂 |
■開発元 |
トレジャー |
■ジャンル |
アクションシューティング |
■CERO |
B(12歳以上対象)
※出血、暴力描写あり |
■定価 |
NINTENDO64版:6090円(税込)
バーチャルコンソール版(Wii):1000Wiiポイント |
■公式サイト |
≫NINTENDO64版 / ≫VC版(Wii) |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1〜2人 |
■セーブデータ数 |
1つ+中断1つ(※フラッシュメモリバックアップ) |
■その他 |
振動パック対応 |
■総説明書ページ数 |
32ページ |
■推定クリア時間 |
2〜3時間(エンディング目的)、12〜20時間(完全攻略目的) |
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新世紀を迎えて間もない時代、世界では爆発的に人口が増加。
食糧生産が追いつかず、各地で食糧不足が深刻になりつつあった。
これに対して人類は、新たな食料源を求め、異常環境下でも繁殖を可能とする『新種』の生命体の創造に着手する。
そして後に新種の生命体の創造は成功。
その巨大牧場として日本の北海道が選ばれ、新種の繁殖が始まった。
新たな食料源を得る事に成功し、再び平和を手にしたと悟った人類。
しかし、それは人類全てに対する『罰』の始まりだった…。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆迫る敵を倒しながらステージを進む、SHTの醍醐味を尊重したシンプルな基本システム
◆照準と自機の双方を同時に操る、ロクヨンコントローラの特性を活かした独特な操作性
◆銃を撃つのみならず剣による斬撃もあったりと、激しくて多彩なプレイヤーアクション
◆使い回し皆無、全てが独立したネタで構築された多彩な全10以上ものステージ(特にステージ2-2)
◆まるでジェットコースターかの如く、仰々しく動き回る大迫力のカメラワーク(これもまたステージ2-2が凄い)
◆独自の操作に慣れてもらう為の練習モード、難易度選択機能など充実した救済処置
◆単に操作の練習ができるだけでなく、やり込みまで出来てしまう贅沢な『練習モード』
◆単に簡単・難しいでなく、個々の遊び方の違いを明確に提示した三種類の難易度
◆初心者から上級者まで幅広く対応した、簡単過ぎず難し過ぎずの絶妙なゲームバランス
◆得点を稼ぐという古き良き面白さに優れた、やり込み甲斐満点のスコアアタック
◆謎だらけで何度も追体験したくなるスルメな魅力に富んだ、練り込まれたストーリー
◆ゲーム性の向上、世界観との融合を目的とする意義が込められた荒削りなグラフィック
◆映画のアクションシーンを髣髴とさせる旋律が印象深い、クールな音楽
--- Bad Point ---
◆独特過ぎて、好みが分かれ易い操作性(合わない人にはとことん合わない)
◆弾を少しでも外したらゲームオーバーになる、シビア過ぎる2-3の爆弾破壊イベント(一番簡単なイージーでも難しい)
◆あまりに唐突で、どうすれば良いのか混乱し易い終盤の2Dアクション風味のステージ(この前に1つ、簡単なステージを用意しておくべきだった気が)
◆弾の威力が下がるデメリットもあり、若干使い勝手に劣る『ロックオン攻撃』
◆1つのステージで一貫して行われる構成の為、止め時が作り難い『練習モード』
◆ミスキャストなアイランのボイス(女性なのに野太過ぎ…)
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▼Review ≪Last Update : 12/13/2008≫
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モニターの下にブラックジョークあり。
でも、これはオリジナル版だけの特典。(※VC版は無い)
『ガンスターヒーローズ』や『エイリアンソルジャー』など、高い技術力と熱いゲーム愛で、世に多くの名作を送り出してきた技術者集団のソフトハウス『トレジャー』と任天堂のタッグによって製作された、完全新作のアクションシューティング。
任天堂とトレジャーの本気、ここにあり。
ロクヨンだからこそ実現した操作性と驚異の演出で送る、大作シューティングだ。
ゲーム内容は、自機と照準の両方を同時に操作する3Dアクションシューティングゲーム。自機に迫り来る敵の猛攻を左右の移動、ジャンプ、ローリングと言ったアクションで回避し、もう一つの照準を動かして敵を撃破していく、あまり類を見ないタイプのゲームである。基本的な進行方式こそ、ステージクリアタイプという、シューティングゲームの基本に忠実な作りとなってはいるが、肝心のゲーム性はまるで別物。一般のシューティングゲームが戦闘機で戦う『ドッグファイト』であるならば、今作は人が戦う『銃撃戦』だと言うほど、非常に激しくて火傷必至な内容となっている。
そもそも仕組みからして一目瞭然だが、今作では自機だけでなく、照準にも気を配らなければならない。一般のシューティングゲームのように自機だけに気を取られていれば、一瞬で「コロリ」とされるほど、忙しい作りとなっているのである。しかも、追い討ちをかけるように、今作は操作回りもかなり特殊。照準の操作は3Dスティック、自機の操作は十字キーかCボタンの左右のどちらかと、どう見ても一度触ればすぐ馴染めるとは言い難い体系のものを起用している。
更に今作はロクヨンソフトとしては非常に珍しく、コントローラの持ち方が二種類存在。左手が十字キー(自機)、右手でスティック(照準)の『レフトポジション』、右手でスティック、左手がCボタンの左右の『ライトポジション』のどちらでもプレイできる仕様となっていて、プレイヤー好みのスタイルを追求できる仕上がりとなっているのである。
だが、どちらの持ち方でも、肝心の操作そのものの癖の強さは変わらず。やはりそれなりの練習は必要で、結局はプレイヤーの根気次第となる。正直、基本的なゲーム性も含め、合わない人はとことん合わない…拒否反応が出易いものとなってしまっているのは、否定のしようがないと言ったところだ。
しかし、かと言って今作、単に癖の強いだけの作りで終始していないのが凄いところ。何せ、今作の発売元は万人が楽しめるゲームを作るのには手馴れた任天堂。それだけに、独特の癖の強さを緩和、そして今作が元から持つ面白さを徹底的に引き出す為の工夫がこれでもか、と言わんばかりに詰め込まれている。
その工夫も操作の練習だけに集中できる『トレーニングモード』を始め、プレイヤーの腕に応じた難易度などと、いずれも痒い所に手の届くものばかり。特に素晴らしいのが後者の難易度。イージー・ノーマル・ハードの計三種類が用意されているのだが、単なる「簡単⇒難しい」と言った分け方ではなく、イージーはカッコイイプレイが自然に楽しめるバランス、ノーマルは普通のシューティングが楽しめるバランス、ハードはシビアさと厳しさを徹底追及したバランスと、それぞれ違った遊び方を提示した分け方にされているのが見事過ぎる。
中でもイージーのバランスは秀逸で、「カッコイイプレイが楽しめる」のコンセプト通り、敵の弾が意図的に外れる仕様となっているなど、それらしさを煽る調整が図られているのが素晴らしい。何よりも「わざとらしさ」が無い、プレイヤーをしっかりと狙ってくるかのように見せる弾道にされているのには驚かされる。決してやらせに見せない、「今遊んでるプレイヤーは凄いんだ!」と錯覚させるその絶妙極まりない調整は、まさに職人技と言っても過言ではないだろう。
また作中のステージ構成においても職人技が炸裂している。特に序盤は操作に慣れてもらう為に徹底して緩く、中盤以降はゲームの独特の魅力を伝える為に演出の強化を、終盤はこれまでの総集編と言った感じに理に適った作りとされているのには素直に驚かされる。しかも、その構成とバランス調整のおかげもあり、操作自体も自然と身についていくようになっているのだから凄い。スタッフが如何に、可能性を追求した上でこの構成を行ったかが窺い知れる。
そんな肝心の操作も癖はあれど、このNINTENDO64コントローラの形状なくして実現はあり得なかった気持ち良さが滲み出ているのがお見事。慣れるまでは分からないのがタマにキズだが、自機と照準の移動然り、攻撃然り、いずれのボタン配置もロクヨンだからこそ実現した自然な感触を本当、大事にした作りとなっている。
特に攻撃にZボタンを割り当てたその判断は拍手喝采モノだ。照準を動かすスティックに近いので、ビックリするほど違和感なく「狙って撃っている」手応えを感じ取れる。また照準は照準、移動周りは移動周りと言った感じに持った瞬間に手がきちんと区別されるのも、このコントローラの形状なくしてあり得なかったもの。その他のハードのコントローラだと十字キーとボタンが直結した作りだから、手が区別されても一直線上にある事に代わりはないから、多少混乱してしまうのも必至だ。ここまで綺麗に持ち手が区別され、個々の操作に集中できる環境が出来上がるのは、まさにこのコントローラだからこそ。本当、これに関しては今作の開発をNINTENDO64で決意したトレジャースタッフ、凄過ぎるの一言に尽きる。
そして極め付け、そのトレジャースタッフらしい技術力の高さが炸裂したド迫力の演出の数々も見逃せない。NINTENDO64のハード性能をしゃぶり尽くしたと言っても過言でない、ステージ中に現れる画面を覆いつくすほどの大量の敵、そしてまるでジェットコースターに乗っているかのような錯覚に捕らわれる仰々し過ぎるカメラワークは、見る者をテレビに釘付けにさせる。特に後者、ジェットコースターのように仰々しく動き回るカメラワークは絶品。あらゆる角度にグルグル回し、舞台となるステージの広さ、敵の多さをプレイヤーに見せ付けようとするその激しさは、否が応にゲーム展開を盛り上げてくれるだろう。更にこのカメラワークだからこそできたステージも多々あり、その中でも今作最大の売りであるステージ2-2の『空中戦』はとにかく衝撃的。ありとあらゆるカメラワークの技術をつぎ込んだその怒涛の演出には、遊んだ誰もが思わず呆気に取られてしまうだろう…。「なんちゅう物を作ってくれたんだ、トレジャー…。」
他にも一切使い回しの無い、個性が尊重された各ステージの作り、敵に近づいた際に自動的に発動し、敵を切るのみならず弾まで跳ね返せる爽快なソード攻撃のアクションなど、見るべき箇所は数知れず。
それでも元のシステムがシステムだけに、人を選ぶ作りであるのは否定のしようが無いが、このように細部の作りは任天堂が手掛けてるのもあって、とても親切。この手のシューティングが初めてな方でも、チャレンジ精神を刺激させる、とても理に適った作り込みが成された内容となっているのだ。だから、癖が強くて自分は無理そう…と思った方も、その挑戦をフォローしてくれる土壌があるから心配ない。勿論、単に親切なだけでなくトレジャーらしい技術力の高い演出も、遊ぶものに対し先が見たいという気力を鼓舞させてくれる。
まさに、任天堂の万人向け姿勢とトレジャーの職人技、夢のコラボレーションとはこの事。癖は強いけどビックリするほど遊び易い、驚くべきゲームに仕上がっているのだ。こんなにも万人向けな姿勢とコアな路線が絶妙に織り交ざったゲームも、早々あるもんじゃないだろう…。それほどまでに今作は、遊び易さのクオリティが半端じゃないのである。
単に遊び易い、魅了されるだけじゃない。ゲーム面をフォローするグラフィック、音楽、そしてストーリーもかなり気合いの入った作りとなっている。中でもグラフィックは凄く独特で、若干ポリゴンがむき出しになっているという、何処と無く荒っぽくて古めかしい作風で仕上げられている。
2000年、もう既にロクヨンも成熟しきった頃のゲームだけに、その荒々しさにはデザイナーが手抜きでもしたのか?…と感じてしまうかもしれないが、これがまたゲーム本編の退廃的な世界観に見事にマッチしており、「このグラフィック以外のものでは、この雰囲気は出ない」と力説できるほどのものになっている。更にゲーム性の面でも、あえてグラフィックを犠牲にして、大量の敵を出すようにしたなど、その恩恵が活かされているのだから凄い。単に美しく作れば良いって物じゃない、ゲーム性と世界観にマッチさせてこそグラフィックは生きる。この作りの姿勢には改めて、トレジャースタッフの志の強さを思い知らされる限りだ。
そしてストーリーも謎だらけで、一回プレイするだけでは全容を把握できないほど複雑なのだが、その謎が再プレイ性を高めていて、ストーリーをもっと理解する為にやり込むという面白さを演出しているのだから驚かされる。ストーリーの内容そのものも知れば知るほど面白くなる、スルメみたいな味わいに富んでいて、きちんとゲーム性の魅力を押した作りとなっているからまた、凄い。本当、この辺のセンスの高さに関してはただひたすら脱帽するばかりだ…。
これ以外にやり込み要素もスコアアタックのほか、各難易度をクリアすることによって得られるおまけなど充実。サポート周りも救済処置に留まらず、デモカット機能に初心者の為の照準のオートロック機能など、まだまだ沢山ある。
システムと操作の癖が強過ぎる為、好みが分かれ易いのは本当に惜しいとしか言い様が無いが、ゲーム自体の完成度は数あるロクヨンソフトの中でも飛び抜けており、5本どころか3本の指に入る名作と言っても過言ではない。ロクヨンだからこその面白さと迫力、そしてトレジャーと任天堂双方のゲームに対する尋常でないこだわりが炸裂している今作。
シューティング好きは勿論のこと、ロクヨンユーザーならば一度はプレイしてみる価値のある逸品だ。この爽快感と面白さ、味わっておかなきゃロクヨンは語れない。
ハードとコントローラの『罪』と面白さの『罰』。是非、下されてみましょう!(変な表現…)
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