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≫スターツインズ
■発売元 任天堂
■開発元 レア
■ジャンル シューティングアドベンチャー
■CERO(推定) C(15歳以上対象) ※暴力、殺傷、身体の欠損描写あり
■定価 7140円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 6つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 振動パック対応
■総説明書ページ数 28ページ
■推定クリア時間 30〜40時間(エンディング目的)、60〜70時間(完全攻略目的)
果てしなく広がる宇宙。その宇宙に存在する1つの銀河は今、恐るべき侵略者『マイザー』とその配下『ドローン軍団』により、絶体絶命の危機に瀕していた。唯一、対抗していた銀河パトロール隊『ジェットフォース』も大半がマイザーによって壊滅。残されたのはジュノとベラ、ロボット犬のループスの二人と一匹だけだった。
ジェットフォース壊滅に気を良くしたマイザーとドローン軍団は、周辺惑星の侵略を加速。遂には、平和的な部族が住む惑星『ゴールドウッド』にまでその魔の手が及んできてしまった。

この一大事にとうとう黙っていられなくなったジュノ達は、たった二人と一匹でマイザーに立ち向かう事を決意する。
だが、それと同時に彼らの宇宙船にドローン軍団が攻撃を仕掛けてきた!

かくして、いきなり窮地に陥ってしまった二人と一匹。
果たして、彼らの運命や如何に?そして、反撃は成功するのか?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆三人の異なるキャラを操作し、異なるステージを攻略していく、個別行動スタイルで展開する本編構成
◆三人それぞれの個性を色濃く抽出している、特殊な固有アクション
◆三人の個性を活かした仕掛けとロケーションに富んだ、全20もの多彩なステージ
◆単独行動の色彩に徹底的にこだわった、独特のマップ探索要素
◆シンプルなスイッチ解除など、遊び易さに徹底的にこだわった手軽な謎解き
◆ミサイルランチャーに火炎放射器など、見た目の派手さにこだわった過激な武器群
◆アリを模していながらも、非常に人間臭い動きを披露する、敵キャラクター達
◆過激な武器と賢い敵の相乗効果によって演出された、手応え満点・迫力満点の銃撃戦
◆敵のアリらしさをリアルに描いた、グロテスク且つ生々しい死亡演出
◆一本のゲームとして売っても、問題ない完成度の高さを誇るミニゲーム(レースゲーム)
◆本編然り、隠し要素然り、レア社らしさが全開の圧倒的な総計ボリューム
◆『ターゲットモード』なる的撃ちバトルがユニークな、最大4人まで遊べる対戦プレイ
◆片方がメインを動かし、もう片方がサブを動かす構図が斬新な二人同時プレイ
◆光源処理による光の演出と質感のある造形描写が光る、リアルなグラフィック
◆そのグラフィック全開で展開していく、ド迫力且つ美しいリアルタイムムービー
◆宇宙を舞台にしたゲームらしい、スペースオペラ風の壮大な音楽
◆同じく宇宙を舞台にしたゲームらしい、サイバーチックな効果音
◆程好く優しく・難しくの丁度良いバランスで成り立った、マイルドな難易度

--- Bad Point ---
◆虫嫌いであれば相当な生理的嫌悪感を抱かせる、過激なグロテスク描写(特に敵撃破時のエフェクト演出)
◆虫嫌いな人には確実にコタえる、超気持ち悪いボスキャラクター(鳴き声も過激…)
◆単独行動にこだわった姿勢は面白いとは言え、やはり面倒臭くもある探索要素
◆攻略本が無ければまず100%、クリアは難しい終盤の『宇宙船のパーツ集め』
◆劣悪なカメラワーク(とにかく、激しく視点が切り替わるので酔い易い)
◆不足しているサポート機能(特に、ボス戦での操作変更の警告が無いのは致命的)
◆イマイチ、ぎこちない操作性(オプションで設定変更ができるけど…)
◆素っ気無さ過ぎるエンディング(あれは無い…)
◆音楽が流れない為、全く盛り上がらない対戦プレイ(『ターゲットモード』ではしっかりと、音楽が流れるのだけど…)
▼Review ≪Last Update : 12/15/2007≫
グロい!エグい!気色悪い!

これの何処が子供向けだと言うのだ!?


『スーパードンキーコング』シリーズ、『ゴールデンアイ 007』などでお馴染みのイギリスのソフトハウス『レア』が送る、完全新作のシューティングアドベンチャーゲーム。『ディディーコングレーシング』と『ブラストドーザー』の開発チームがタッグを組む形で製作された作品でもある。

子供向けなタイトルに相反する、過激な描写の数々!
気持ち悪さ満点、やり応えも過剰に満点な、ロクヨン史上最強の問題作だ。

ゲーム内容は3D視点で展開する、シューティング要素を色濃く含んだアクションアドベンチャーゲーム。プレイヤーは三人の異なる主人公を操作し、全16もの惑星を攻略しながら、侵略者マイザーが潜む最終ステージを目指していく。
アクションアドベンチャーと名乗ってはいるが、いわゆるゼルダのような入り組んだ謎解きはそんなに用意されてなく(あっても、スイッチの解除ぐらい)、どちらかと言うと敵との戦闘(銃撃戦)に特化した作りとなっている為、実質的なゲームとしての手応えはアクションゲームにワリと近い。舞台となる各惑星のクリア条件が、ゴールに到達するという事に統一されているのも、そんなアクションゲームっぽさを演出している。
しかし、具体的なゲーム本編の流れそのものは結構特殊。最初に話した通り、今作では三人の主人公を操作しながら本編を進めていくのだが、この三人は一緒になって行動しているのでは無く、一人一人が単独で別行動を取る形となっている。いわゆる、『ザッピングシステム』が導入されており、三人のキャラクターごとに全く違ったゲーム展開、ストーリーが用意された、異色の構造になっているのだ。その為、今作ではクリアするのに、その三つのルートを交互に攻略していく必要がある。一石二鳥とも言わんばかりの、異なる手応えを一同に味わえる、お得感のある作りとなっているのだ。
ただ、最終的に三人の主人公は、三つのルートごとに共通して用意されたステージにて集結する。だが、それでも単独行動のスタンスに変化はなく、ステージ攻略中に別のキャラにチェンジしたりとかは終始、できないようになってる。折角、三人に遭遇したのに、それはあんまりじゃ…と思う方もいるかもしれないが、そこまでの過程にはちゃんと、そうなるのも仕方が無い展開が用意されてるので、さほど不満を感じる事はないはずだ。
これもあくまでも本作の魅力は、別行動にある…という事へのこだわりの表れと言えよう。
肝心の三人の主人公ごとの運動能力も、男性キャラのジュノならば、溶岩地帯を歩行でき、女性キャラのベラならば水中を泳ぐ事ができ、そしてロボット犬のループスは足に付いたジェット噴射機によるホバリング飛行が出来たりなど、それぞれの個性が際立っている。これらのキャラクターの能力を効果的に活かしたトラップ、そして隠し通路など、各惑星ごとのステージデザインも実に秀逸だ。能力の違ったキャラクターによる、アクションの面白さとそれによる探索の面白さを演出しようとする工夫が感じ取れる。
最後まで単独行動を貫いている為にその場でのキャラチェンジが行えない為、現在のキャラでは侵入な不可の通路を通るには、その侵入できるキャラクターにメニューで切り替え、そのキャラを通路のあるステージまで導かねばならないなど、ステージ探索の面において、かなり面倒な手数を踏まされるのがタマにキズだが、単独行動だからこそのキャラクターごとの違いと臨場感を押し出す工夫とこだわりは、特筆に価すると言ってもおかしくない。
基本はシンプルで遊び易く、ゲームとしての手応えは異色。古くからある遊びも、少し捻ればこうも新鮮になる、そんな事を綺麗に表現した作りになっているのである。

各惑星で繰り広げられる、敵との戦闘も面白い。今作はゲーム本編の流れそのものはアクションゲームっぽいが、戦闘では逆にシューティング色が強い。と言うのも、三人の主人公が扱う武器はピストルやマシンガンと言った銃火器。これをバリバリと乱射しながら、目前に現れる敵達を粉砕していくのだ。それこそまさに、虫けらの如く。雰囲気としては、同じレア社制作の『ゴールデンアイ 007』に近い。ただ、こちらではひたすら銃を撃ちまくって敵を倒す事に重きを置いており、爽快感については一歩上。武器も三発のミサイルを同時に発射する『トライランチャー』や火炎放射器こと『フレイムバーナー』など、見た目の派手さにこだわった、過激な武器が多数登場する。それらの武器を用いて、大量の敵の群れを一気に吹き飛ばす快感は格別。素直に銃撃戦の興奮を楽しみたい方にとって、今作はこの上ない一本と言えるだろう。
だが、そんな武器を用いてプレイヤーが戦う事になる敵達は、意外に手強い。敵は全員、アリを模した兵士達なのだが、彼らがまた非常に人間臭く、自分がピンチになったら一目散にその場から逃げ出したり、こちらが攻撃を仕掛けてきたら直に回避行動を取ったり、破れかぶれで銃を乱射しながら突撃してきたり、更にこちらが隠れたのを狙って手榴弾を投げてきたりなどと、こちらを倒す気満々の凝った動きを披露してくるのだ。しかも、中には盾を装備して前方からの攻撃を防ぐ兵士がいたり、両腕にロケットランチャーを装備した大柄の兵士にスナイパー、大群を率いて空から襲撃をしてくる飛行メカがいたりなどと、敵のバリエーションも結構豊富。アリでありながらも、実に侮れない。そんな人間臭い敵とするのだから、銃撃戦が楽な筈もなく。似たタイプのゲームを『ゴールデンアイ』で経験済みのレア社らしい、歯応えのあるバランス調整が成されているのだ。弱い者を相手にする銃撃戦なんて面白くない、やっぱ互いに本気でぶつかり合うのが面白いだろ、と…このバランス調整からはそんなレア社のこだわりを感じられる。
アリを模した敵ならではの死亡時の演出もその表れ。銃で攻撃すると「ブチャッ」という生々しい音がし、緑色の体液が飛び散るのだ。爆発系の武器で倒した時なんて惨劇も同然。体がバラバラになり、大量の体液が「バシャバシャバシャ!」と周囲に飛び散る。更に場合によっては、死体に大量のハエが寄り付いてくる事もあり、幾らアリを模した敵だからと言って、ここまでやる事たぁないだろ…とツッコミたくなるほど。体液が飛び散る音もやたらとリアルで、嫌になるくらいに銃撃戦の臨場感と興奮を煽ってくれるのだ。
ただ、あまりにグロい故、人によっては生理的嫌悪感を抱かせたりも。敵自体のデザインもアリだけにやや気持ち悪く、ボスなんてその極み。あらゆる意味でリアルさ満点…グロさ満点…。銃を乱射する爽快感とリアルさを徹底的に重視した、シューティングアドベンチャーと言う公式のジャンル名に恥じない仕上がりになっているのだ…。システムで異色さを出し、戦闘で過激さを出す…。この組み合わせは大胆過ぎるにも程がある。

本編の舞台となる惑星も、宇宙船から廃墟の惑星、水の惑星、生物の体内などバリエーション豊か。あるステージではミニゲームとして、本格的なレースゲームが用意されていたりもして、プレイヤーを飽きさせない。
ゴールデンアイほどの臨場感はないが、『ターゲットモード』と言う的撃ちが楽しい最大4人までの対戦モード、ゲームを進めると仲間になるパートナーキャラ『フロイド』による二人同時プレイ(タッグプレイ)もなかなか楽しい。
操作性もそこそこ。ただ、ジャンプがCボタンの上であったりなどと、若干、変な配置が成されてるのにはいささか疑問だ。オプションで変更できるのが救いだが…。
ゲームバランスもレア社のゲームとしては比較的マイルド。しかし、三人が遭遇した後に起こる『宇宙船のパーツ集め』絡みのバランスは理不尽で、ほとんど攻略本がなければ対処しきれない作りとなってしまってるのは痛過ぎ。しかも、このパーツ集めをこなさねばラスボスと戦えないと言うのも酷過ぎだ。何を考えてるのか。
カメラワークも劣悪としか言い様がない有様だ。特に敵との戦闘になると自動的に主観寄りの視点になるなど、常にアングルが変化する為に酔い易い。ほとんど自動視点、しかもそのアングルが全くベストじゃないのももどかしいところだ。流石にこの辺は調整不足と言わざるを得ない。
一方でグラフィックと音楽、効果音と言った箇所の出来に関しては申し分なく、レア社らしいこだわりと高い技術力を痛感させられる仕上がり。中でもスペースオペラ調の荘厳な音楽は必聴の価値ありだ。

他にも、ほぼ常時行えるセーブシステムやド派手なリアルタイムムービー、過剰過ぎるぐらいに充実したやりこみ要素とボリュームと見所はある。操作性やカメラワーク、そして虫嫌いにはかなり応える撃破時のエフェクト演出、単独行動に徹しし過ぎてやり難い感のある探索は正直、褒められたものじゃないが、全体的な作りは丁寧で、シンプルなゲームシステム、臨場感満点の銃撃戦と美しい映像は圧倒的だ。
子供っぽいタイトルからは想像もつかない中身の濃さと、身の毛も凍る過激さを一同にはらんだ、この『スターツインズ』。正直、子供や虫が苦手な方とかにはとてもお薦めできた類のものじゃないが、アクションゲーム並びにシューティングゲーム好きならば、是非とも遊んでみる価値ありの(良い意味で)ロクヨン史上最強の問題作だ。生理的嫌悪感満点のリアル過ぎる宇宙空間を飛び回れ!但し、飯時のプレイはお薦めしません。
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