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  4. ミッキーのレーシングチャレンジUSA
≫ミッキーのレーシングチャレンジUSA
■発売元 任天堂
■開発元 レア
■ジャンル アクションレース
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 7140円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 振動パック対応
■総説明書ページ数 20ページ
■推定クリア時間 15〜20時間(エンディング目的)、40〜50時間(完全攻略目的)
ある日の朝、ミッキーは機嫌良く口笛を吹きながらプルートの朝食を手に庭を歩いていた。
しかし、ミッキーが犬小屋を見てみると、そこにプルートはおらず、ピン止めされた一枚の紙切れがあった。よく見るとそれは一枚の写真であり、そこには不敵な笑いを浮かべる数人の『ウィズル』に囲まれたプルートが、トラックの後に閉じ込められている姿が映し出されていた。そして、写真には「プルートは預かった!」との文字が…。プルートはウィズルによって誘拐されてしまったのだ!ウィズルの狙いはプルートが首にはめたダイアモンドの首輪なのか、その目的は分からぬままだが、この非常事態にミッキーは急いで友達に電話。彼らと共にウィズルの追跡に乗り出した。

一体、ウィズルは何処へ逃げたのか?
そして、ミッキー達はプルートをウィズルから救い出せるのか?
アメリカ全土を舞台にした大追跡劇が始まる!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆『マリオカート』という既存のゲームシステムをほぼ流用しているが故の安心感
◆『ディディーコングレーシング』風味の車を運転する気持ちよさを大事にした操作性
◆アメリカ国内の観光名所をディズニー風にアレンジした背景描写、多彩なギミック群が印象的な全20以上ものコース
◆数は少ないが、性能把握のし易さが光る全6+αのプレイヤーキャラクター達
◆タイムアタック、全難易度制覇まで幅広く揃っているやり込み要素
◆隠しコース%キャラ、チートコードまで如何にもレア社らしい、充実したおまけ要素
◆本家ディズニーアニメに出演している声優を起用した、こだわりのボイス演出
◆キャラクターの質感まで細かく描き込まれた、高品質のグラフィック

--- Bad Point ---
◆独自性皆無、ほとんどマリオカートでしかないゲームシステム
◆全部、マリオカートに登場したもののデザイン違いに過ぎぬウェポンアイテム群(今作独自のアイテムが無い)
◆マリオカートそのまんまなウェポンアイテムの獲得システム
◆獲得してもその効果が一目で分かり難い上、デザインもゴチャゴチャし過ぎなウェポンアイテムの表示アイコン
◆一部、性能が似通ったウェポンの存在(トレースチェイサーとマグノフライヤー)
◆静か過ぎて相手に命中した手応えが感じ難い、ウェポンアイテムの命中効果音
◆レース中に飛び交う、各種ウェポンアイテムの視認性の悪さ(背景の美しさがアダとなって、時々同化することがある)
◆ほとんどマリオカートでしかない、新鮮味皆無の収録ゲームモード
◆本家の声優を使っているのは凄いが、逆にやかましくて耳障りなボイス演出(特にドナルドのボイス)
◆ボイスがやかましいせいで、ほとんど聴こえて来ない、空気同然の音楽
◆隠しコース出現条件の為だけに用意された、蛇足なアイテム探索要素
◆敵との戦闘を匂わせながらその手の展開が無い、期待外れも甚だしいストーリー
◆リトライ無制限のチートコードが無いとクリアはほぼ不可能な『ファイナルシリーズ』(初見殺しのコースが多過ぎる)
◆ファイナルシリーズの所為で、鬼畜も同然で破綻しているゲームバランス
◆反応が鈍く、地味にイライラするメニュー画面でのカーソルの反応速度
◆素っ気無すぎるエンディング(散々苦労した末に手抜きな結末とか酷過ぎる)
▼Review ≪Last Update : 5/2/2010≫
これが本家クオリティだ!

……それは良いとして、誰かあのうるさいアヒルを黙らせてくれ。


本家ウォルト・ディズニー・カンパニーに総合的なゲーム制作技術力の高さが評価され、ディズニーゲームの制作権利を獲得したイギリスのレア社がその第一弾として世に送り出した、ミッキーマウスとその仲間達が活躍するレースゲーム。

ただのマリオカートの亜種です。
本当にありがとうございました。

冗談抜きに今作は、その二言で締められるほど、稚拙な内容だ。マリオカートの登場キャラクターをミッキー達、ディズニーキャラクターの面々に入れ替えただけのレースゲーム。
ゲームシステムにしても、アイテムによるライバルカーへの攻撃・妨害要素など、完全にマリオカートのそれ。ゲームモードもグランプリやタイムアタックなど、マリオカートそのまんまである。もう、独自性もクソもあったもんじゃない。「パクリだ」と称しても反論の余地すら無いくらい、見所に欠けるレースゲームになっている。
開発を担当したレア社は過去、マリオカートの亜種と見せかけた革新的なレースゲーム『ディディーコングレーシング』を生み出した実績があり、今作でもその手腕が発揮されると思われたが、とんだ肩透かしも良い所だ。亜種っぽさを取り除く為か、コース上に落ちてる『トークン』獲得による速度アップシステムなども導入しているのだが、そもそもこれ自体、初代『スーパーマリオカート』の要素なので、全然亜種っぽさは取れてない。むしろ、余計にそれを高める逆効果を及ぼしてるという、あまりにお粗末な結果となってしまってる。正直、素人の発想かと思わざるを得ない有様だ。
細かい所でドリフト操作も、マリオカートのようなジャンプはしない仕様としているが、その操作自体は『ディディーコングレーシング』と同じ。典型的な使い回しなので、独自性強化へとは全く繋がってない。ライバルカーへの妨害を行うウェポンアイテムの獲得システムにしても、ランダム獲得制とマリオカートそのまんま。加えて、ディディーのようなアイテム連続獲得によるレベルアップシステムも無いので、余計、パクリ臭が高まってしまってるのだからもう、救いようが無い。
ここまで来ると、開発スタッフは本気でパクリにすると考えて作ったと疑っても不思議でない。むしろ、本気でそれを狙ってやったと思わざるを得ないほどだ。
それでも違いは出したいと思ったのか、グランプリモードにてストーリーを用意したり、アイテム探索の要素を盛り込んだりと、色々と手は入れられている。だが、どれも空気。前者、ストーリーは悪役が登場し、「もしかしたら最後にボス戦があるのでは?」とプレイヤー側の期待値を上昇させるのだが、結局、最後までゲームを進めてもボス戦など無い。ネタバレになってしまってるけど、レースするだけで終わる。何の為に仕込んだのか、意味不明である。悪役を登場させたんだから、せめて最後にそういうのを入れるべきだろうに。正直、これはプレイヤー側を馬鹿にしてるとしか言い様が無い。
後者、探索要素も結局、最終コースを出す為のカギとなるアイテムを見つける程度と、無理矢理取って付けた感バリバリなのが見苦しい。ディディーのように、アイテムを獲得するとボーナスコースが遊べるようになるとか、そういうものであれば映えてただろうに、ただ最終コースが出現するだけのカギでしかないのは蛇足も同然。それを集める為に特定のコースを探し回るにしても、負担が大き過ぎてやり難いったらありゃしない。何故、こんな面倒なのを導入せざるを得なかったのか、全く持って意味不明である。
亜種では終わらせないから、違いを出す。…その意気込みは大いに買う。だが、どの違いの数々も中途半端なものに終始してしまっているのには、本気で違いを出す気があったのかと突っ込みたくなる。仮にも世界的に有名なミッキーマウスを使ったゲームでありながら、こんな志の欠片すらないものに仕上げたスタッフの罪は重い。例え、システムが似通っていても、一つの違いを強調してこそ、そのゲームは映えるものでは無いんだろうか。こんな物真似に過ぎない今作は、二次創作も同然。ゲームデザインパートを担当したスタッフには心底呆れる次第である。

そして、こんな素人の仕事全開のゲームに売りや魅力など、ある訳が無い。あるのは欠点だけ。独自性皆無且つ、パクリ同然な内容なので、語るに値しない。
それでも…唯一あるとしたら、マリオカートの亜種であるが故の「安心感」だろうか。
元々、マリオカートというシステム、操作性共に完成されたレースゲームをベースとした作りだけに、無いよう自体は普通に遊べる出来だ。レースゲームとしてのスピード感もそれほど悪いものでは無いし、全体のボリュームもコース総数が20以上、隠し要素も収録と申し分ない。「ミッキーのキャラクターでマリオカートを遊びたい」という純粋な欲求には十分に答えてくれる内容にはちゃんと仕上げられている。しかし、くどいが本当にミッキー版マリオカートに過ぎぬ内容且つ、今作ならではの味わいとかも皆無なので、過度の期待は禁物である。
また、厄介な欠点として今作、ゲームバランス周りが全体的に陰湿。序盤から中盤にかけてのコース、難易度はマリオカートを踏襲してか、程好いバランスでまとめられているのだが、終盤以降から鬼畜同然に。コースアウトだらけ、カーブも急過ぎて初見殺しと、プレイヤーを殺しにかかってくるコースばかりとなるのである。しかも、今作は初代『スーパーマリオカート』のように、グランプリにてクレジット制を起用。仮に途中でクレジットを使い切ればゲームオーバーとなり、問答無用で最初のコースからやり直しとなってしまう。折角、鬼畜だらけのコースをくぐり抜けたのに、またそれをやるハメになるというのだから、精神が疲弊するのも必至。コントローラを床に叩きつける衝動に駆られる事すら起こり得る。終盤だからこそ、難易度を高くするのは理に適った事ではあるが、さすがに今作は限度を超え過ぎ。コースアウトを増やし、尚且つカーブを急にして曲がり難くさせるというその設計からして、嫌がらせ以外の何者でもない。極め付け、グランプリだとそう言ったコースにてコンピュータ側は、ほとんどコースアウトせず。なので、一回でもコースアウトで落下してしまえば、もう順位を挽回することすら絶望的になる。まるで、落ちるプレイヤーは走る資格無しと告げてるようなもの。幾ら何でも、この調整は残酷過ぎるとしか言い様が無い。元ネタのマリオカートでも、少しのミスが命取りになる残酷なコースはあったが、一回でもミスすれば失格確定な調整は図られてなかった。また、そういう難易度のコースがあったとしても、あくまでもそれは上級者への挑戦状だった。しかし、今作は上級者だけでなく、全てのプレイヤーに対して課すという設定。完全に嫌がらせである。フォローの余地も無い。
そもそも、マリオと同様にミッキーは万人受けするキャラクター。故にゲームもそれに応じた細心の調整を図って叱るべきだと思うのだが、それすら図ろうとしなかった今作のスタッフは何を考えているのか?初心者だろうが、上級者だろうがコントローラをぶん投げさせ、憤慨させる意図でもあったのか。さすがにそれは無いと信じたいが、どちらにせよ、これは最低である。そもそも、ゲーム自体がマリオカートの亜種(パクリ)という時点で、既にそうだが、ミッキーマウスに対する侮辱に等しい。誰からも愛されるキャラクターだからこそ、それに則ったバランス調整を行って然るべきなのに、それすら意識せず、スタッフの視点で行うのは愚策も良い所だ。過去のディディーにしても、過激な難易度だったので、この辺はレア社の悪癖(お家芸?)とも言えるが、だとしてもこの進歩の無さには呆れるばかりだ。むしろ、今作の場合はゲームデザインの面でも退化しているので、更に酷くなっている訳だが。マリオカートの亜種に過ぎない内容、硬派過ぎる難易度と、レア社はミッキーを貶める狙いでもあったのだろうか。正直、この有様を見てるとそう疑いたくなるばかりである。

マリオカートの亜種に過ぎないのはシステムばかりでなく。登場するアイテムことウェポンも、全てマリオカートにあったアイテムの見た目違いばかりで、独自のものがゼロと味気ない。ディディーでは、マグネットなどの個性的なアイテムがあったのに、これは退化以外の何者でもない。また、アイコングラフィックがゴテゴテしており、初見でどういう性能のウェポンなのか、分かり難いのも地味に致命的である。一部、似通った性能のウェポン(トレースチェイサーとマグノフライヤー)があるのも、分かり難さに拍車をかけてしまっている。こういうのは極力、シンプルにするのが最適だと思うのだが、どうにも派手にしようとする欲が働いてしまってる。ここは亜種でありつつ、元より劣化したパートとも言える。
その他、ゲームモードにしてもグランプリ、タイムアタック、対戦プレイなど、レースゲームではテンプレート化したものばかりで全然独自性無し。また、それらのモードを選ぶ際のメニューのレスポンスも地味に悪く、不快な感触に満ちてるのも嫌らしい。ただ、登場キャラクターの少なさと性能の分かり易さは、地味ながら今作で光るポイントの一つといえる。
レア社のゲームらしく、グラフィックの質は非常に高い。ディディーと同様にレース中のキャラクター達も3Dモデルとなっており、2Dグラフィックの擬似的な3Dで表現されていたマリオカート64との圧倒的な差が現れている。アメリカの名所をディズニー風味にアレンジした背景グラフィックの美しさもまた、レア社らしいこだわりが全開となっている。
しかし、音楽は地味。というのも、本編ではミッキー達がガヤガヤと喋るので、全然聞こえない。音量設定を誤ったとしか思えないが、これはこれで、ハチャメチャレースとしての雰囲気が出ているので悪くはない。また、ミッキー達の声優は全て本家の人達を起用しているのも実に豪華。ディズニーファンにはたまらないサービスと言えるだろう。

その他、先も語ったがレア社らしくチートコード、隠しモードなどのおまけ要素は満載で、ボリュームは申し分ない。長く遊び込める配慮は万全である。最大4人までの対戦プレイも備わってるので、パーティゲームとしても大いに映える。だが、それでも肝心のゲーム自体は…マリオカートの亜種そのもの。正直、マリオカート64か、ディディーコングレーシングを所持しているのなら、無理して手を出す必要の無いゲームであるのは言うまでも無い。
独自のゲームシステムも無いので、魅力も売りも新しさもゼロ。更にゲームバランスも後半の鬼畜っぷりがある故に全体的に不安定。最大の売りと言ったら、マリオカートには無い新しいコースで遊べることと、普通に遊べるつくりであること。本当にその程度でしかないこの『ミッキーのレーシングチャレンジUSA』。
購入価値ゼロにして、開発側の志ゼロの佳作である。駄作ではないが、これを遊ぶぐらいならディディーかマリオカート64の方がマシ。マリオでもディディーでもなく、ミッキーでマリオカートが遊びたいというディズニーファンならどうぞ。
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