≫マリオストーリー
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■発売元 |
任天堂 |
■開発元 |
インテリジェントシステムズ |
■ジャンル |
アクションRPG |
■CERO |
A(全年齢対象) |
■定価 |
NINTENDO64版:7140円(税込)
バーチャルコンソール版(Wii):1000Wiiポイント |
■公式サイト |
≫NINTENDO64版 / ≫VC版(Wii) |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1人 |
■セーブデータ数 |
4つ(※フラッシュメモリバックアップ) |
■その他 |
振動パック対応 |
■総説明書ページ数 |
32ページ |
■推定クリア時間 |
10〜18時間(エンディング目的)、28〜40時間(完全攻略目的) |
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星達のきらめく夜空…その遥か彼方に星の国があった。
そこには星達の力の源、みんなの願いを叶える力を持った『スターの杖』という宝物があった。それは星の宮殿に収められ、7人の星の精達によって大切に守られていた。
だがある日、大魔王クッパが出現!
クッパは『スターの杖』を奪い取り、更にその力を使って星の精達までも捕まえてしまったのだ…。
そんな事があったなど全く知らず家でくつろぐマリオのもとに一通の手紙が届いた。
それはピーチ姫からのパーティへの招待状であった。
マリオはルイージと一緒にピーチ姫の待つキノコ城へ向かった。
スターの杖の力を手に入れたクッパが罠を仕掛けているとも知らずに…。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆『ステージ』という形で区切りが成され、シナリオの流れがより分かり易くなった、マリオらしさに富んだゲーム展開
◆横スクロールのマリオを彷彿とさせる、3Dフィールドを真横から見た、独特の2D視点
◆背景は3DCG、キャラクターは2Dドットという、他に類を見ない奇抜なペラペラグラフィック
◆単なる移動手段でなく、謎解きにも絡める工夫が施されたフィールドのアクション要素
◆戦闘のみならず、仕掛けの突破や謎解きにも関与するようになった仲間キャラクター達(彼らが戦闘ではやられない、という仕組みも面白い)
◆視点が2Dとなった事で着地点が見易くなり、動かす楽しさが向上したマリオのアクション
◆攻撃から防御全てにアクション操作が要されるようになった、進化したバトルシステム
◆空中・地上の敵に合わせて攻撃を使い分ける必要が生じ、劇的に深化した戦略性
◆3Dスティックをはじくと言った操作も加わり、より多彩になったアクションコマンド
◆グラフィックの特性を活かした演出が印象的な、各フィールドの謎解きと仕掛け
◆マリオ自身の性能を自由に変えられる、カスタマイズの面白さに富んだバッジシステム
◆適度に優しく、適度に手強くという丁度良いさじ加減が見事な優れたゲームバランス
◆星のかけら集め、レシピ集めなど地味ではあるが歯応えのあるやり込み要素群
◆アクションゲームらしい、動かす楽しさに富んだ抜群の操作性
◆見た目のほのぼのとした世界観とはかけ離れた、種類豊富な音楽(名曲も盛り沢山)
◆ルイージファン必見のおまけ要素『ルイージの日記』
--- Bad Point ---
◆結末見え見えなつまらないストーリー(王道故に安心して見れる魅力があるが…)
◆全ての行動にアクション操作が求められる為、所要時間が延びた感のあるバトル
◆存在意義不明な技の多い『星の精コマンド』(1〜2個程度しか、使えるものがない)
◆タイミング判定がややシビアな仲間キャラ・ピンキーの『ピンキーアタック』
◆防御力無視の通常攻撃が強過ぎる、仲間キャラ・アカリン(突出し過ぎな感が…)
◆スティックをはじく操作を主に戦う為、途中で手が疲弊し易いボス・オズモーン戦
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▼Review ≪Last Update : 9/13/2008≫
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宿命の対決、ここに極まる!
最強の力を手に入れたクッパをぶちのめせ!
スーパーファミコンの『スーパーマリオRPG』の続編として企画され、4年以上もの歳月を経てリリースされた新たなマリオのRPG作品。開発はファイアーエムブレムシリーズで知られるインテリジェントシステムズが担当。
『スーパーマリオRPG』とは異なるアクション性を打ち出した、意欲的な試みが光る名作だ。
元々、スーパーマリオRPGの続編として作られていたゲーム故、内容はそれに順序したものになっている。ただ、中身はほとんど別物。例えば進行の仕組みだが、今作では『ステージ』という単位でシナリオが区切られていて、それを順番にクリアしていく、いわゆるシナリオクリアタイプのRPGとも言うべきものとなっている。更にマリオRPGにあった、全体マップの移動画面も無い。フィールドマップ…キノコタウンと呼ばれる街を軸に展開していく、如何にもRPGらしいスタイルを起用したものとなっている。そして、基本的な視点構成も変更。3Dフィールドを真横から見た、奥行きのある2D視点へと改められ、何処となく横スクロールアクションのマリオを彷彿とさせるものとなった。
しかし、それ以上の大きな変更は、マリオを始めとするキャラクターのグラフィック。何と3Dではなく2Dのドット絵…まるで『紙』であるかのような、薄くてペラペラなものへと変更された。フィールドのグラフィックは3Dポリゴン、キャラクターはドット絵という、他に類を見ない、奇抜なスタイルに改められたのである。それに伴い、フィールド上の仕掛けも真横として見られる特徴を考慮した、2Dライクなもの(穴の飛び越え、軸移動など)を増強。従来の2D見下ろし視点のRPGとは毛色の異なる、新鮮な手応えを演出している。
また、フィールドのアクション要素も強化。移動手段に徹し過ぎていた『スーパーマリオRPG』とは異なり、本格的な謎解きの要素として絡める(ヒップドロップを使って段差を調整するエリアなど)工夫が成され、よりゲーム攻略のカギとしての存在感が増した。更にマリオをサポートする仲間キャラ達も今回は戦闘のみならず、フィールドの仕掛け突破にも絡むように。遠くにあるスイッチを押したい時はそのアクションができるキャラに切り替えると言った、戦略的な要素も増強されたのである。これにより、今回は謎解き要素も色濃くなり、ダンジョン攻略はより、やり応えのあるものに進化。
他にも今回は、視点構成が横スクロールアクション風味の2D視点となった事により、『スーパーマリオRPG』のようにジャンプの着地点が分かり難い事による事故が起き難くなったのも大きな進化の一つと言える。
何処と無く、マリオというよりはゼルダに近くなったかのような感も否めないが、総合的にアクション要素を含んだRPGとしての完成度は大幅に向上。アクションが単なる移動手段…おまけではない、真の意味でのアクションRPGとして成立したとも言うべき、大変バランスの良い仕上がりとなっているのである。無理矢理、アクションとRPGをくっ付けた印象の強かった前作とは異なり、今回はアクションらしさが整っている。やっと、異端のジャンルが華を咲かせたと言った感じだ。
フィールドのみならず、バトルシステムも今回、劇的な進化を遂げた。基本的には『スーパーマリオRPG』と同じ、コマンド選択方式なのだが、今回はマリオの攻撃手段がジャンプ、ハンマーの二種類に分別。
そして敵にも地上タイプ、空中タイプに種類が分けられ、地上タイプはジャンプとハンマーの両方が有効、空中タイプはハンマー以外の攻撃が有効と言ったように、敵の種類に応じて攻撃を使い分ける、戦略的な要素が加えられた。普通に攻撃コマンドを選んでダメージを与えていけば良いという、単純なものでなくなったのである。それに伴い、今回は状況に応じて攻撃を使い分ける、考える面白さもプラス。画面から目を逸らして戦う事が許されなくなった。また今回は戦闘に参加するのは、マリオと仲間一人と固定。最大二人に減らされた。更に仲間はマリオのように体力の概念が無い。ダメージを受ける事はあっても、一定のターン行動不能になるだけで、ロスト扱いにはならないのである。挙句、仲間は戦いを通してもマリオのようにレベルアップはせず、フィールドにある『スーパーブロック』と呼ばれるブロックを叩かねば、強化はできないようになっている。その為、今回は残り体力に敏感にならねばならないのはマリオたった一人。最大、五人の体力を気にしなければならなかった『スーパーマリオRPG』とは異なり、パーティ管理も大分、やり易くなっている。
そして満を持して語るマリオのRPGの売り、アクションコマンドも劇的に進化。ハンマーで攻撃をするにせよ、ジャンプで攻撃をするにせよ、決まって特定のコマンドを入力しなければならなくなり、敵に正当なダメージを与える為に必要なものとして改められたのである。
『スーパーマリオRPG』と同じ、「伝家の宝刀・クリティカル攻撃を放つ」なんて安易なものじゃない。それをやらなくして、戦闘が成立しないと言っても過言じゃほど、重要なものになった。だから今回は全ての戦闘において、コントローラから手を離している暇は皆無。アクションゲームと同じように終始、コントローラを握っていないといけなくなったのだ。
また、当のアクションコマンドの種類も増強。お馴染みのタイミングと連打のほか、3Dスティックを倒す・はじく、狙いを定めてボタンを押す、ボタンを押しっぱなしにして離す、コマンド入力などが加わり、よりアクション要素のあるバトルならではの手応えが味わえるようになっている。フィールド上で徘徊する敵に先制攻撃を仕掛ける事で、有利な戦闘運びができる要素も、そんなアクションらしさを上手い具合に引き立てている。更にマリオや仲間が使う技のバランスも極端に強いものは無く、いずれも適度な強さに留まっていて、ゲーム的な破綻を防いでいるのがお見事。
本当に総じて、凄く綺麗にまとめられているの一言に尽きる。特にアクション要素をゲームバランスに密接に関与する、意義のあるものにまで仕立て上げた手腕は流石。「クリティカル攻撃がいつでも出せる!」という致命的な要素を備え、バランスの崩壊とゲームの単調化を招いた『スーパーマリオRPG』の欠点を上手く克服した。
更に、コマンドのバリエーションを増強させ、面倒臭さを極力排除させるようにした配慮もお見事。アクションゲームと言えば「動かす面白さ」こそが肝で、色々な動作ができる事でよりその魅力が増すけど、できる事が少なければ面白味の無いものとなってしまう。ましてや、操作性が不便だとかでもすれば、なお酷いものになるのは必至だ。そのアクションゲームとしての魅力を尊重し、尚且つ操作性…コマンドの手順も極力、シンプルで触り心地の良いものへ仕立て上げた今作は、まさにアクション要素を含んだRPGのスタンダートとも言うべき雛型を確立させたと言っても過言ではないだろう。
それほどまでに、今回のバトルシステムの完成度は驚異的だ。真の意味でのアクションRPGとは何か、それを体現した完成度を誇っている。ここまで凄いと来れば、RPGが好きなユーザーが触らないのは、大損と言っても良いだろう。
その他、先も少しだけ触れたがゲームバランスも上質。見た目からして子供っぽく、またタイトルが悪名高き『ヨッシーストーリー』とダブってる事から、ヌルヌルなものをイメージするかもしれないが、断固としてそれはない。全体的にマリオらしい、適度に優しく、適度に手強い絶妙なバランスを堅持しているから、ゲームに手馴れたユーザーでも、しっかりとした手応えを味わえるものとなっている。繰り返すが、ヌルヌルなものじゃないぞ!
総計ボリュームもなかなかのもの。メインは大体10〜18時間程度でクリアできるが、星のかけら集めやレシピ集めなどの収集要素が豊富に用意されているので、なかなかの歯応えを堪能できる。特にかけら集めはシビアなところもあるので、やり込み派も思わず唸るほどの手強さを感じ取れるはずだ。更にプレイヤー好みの性能を持ったマリオを創造できる、カスタマイズの面白さに富んだ『バッジシステム』も要チェックだ。
音楽も素晴らしい出来。見た目からして、ほのぼのとした曲が多そうな感じがあるが、否!シリアスあり、カッコイイものありと、バリエーション豊かなラインナップとなっている。特にステージごとに違うものを用意したボス戦の曲は見事な出来栄え。いずれも熱い曲ばかりなので、要チェックだ。また今作の音楽は『ファイアーエムブレム』シリーズでお馴染みの辻横由佳氏が作曲。FEシリーズとは異なるテイストの曲が盛り沢山なので、氏のファンもまた要チェックである。
しかし、そう言ったバランスや音楽と言った完成度は高いが、残念ながらストーリーは『スーパーマリオRPG』以上に魅力が低下。クッパにさらわれたピーチ姫を助ける、オチが見え見え、子供っぽさ全開の話で、面白味が無い。意外な展開も僅かしかなく、せめて最後ぐらい捻ったものにすべきだったのでは、と言いたくなるほど。王道故に安心して見れるのは良いのだが、マリオのRPGはアクションとは違う路線を行く作品なのだから、できれば新たな敵との戦いを描いた物語にして欲しかったところだ。作中、新キャラが僅かしかいないという点もちょっと保守的過ぎて悲しい。
でも、目立つ欠点と言ったらそのストーリーの内容ぐらいで、他は本当にごく些細なもの。『星の精』コマンドの技のラインナップに無駄なものがあったり、一部のキャラの攻撃技のアクションコマンドがシビア過ぎたり、プレイヤーの手が疲弊してしまうボスがいるとか、その程度。遊んでいて気になるレベルのものではない。
そう断言してしまう位、システムやバランス共に極めて高い完成度を誇る今作。
NINTENDO64を持っているユーザーからマリオファンは勿論のこと、RPG好きのユーザーにも自信を持ってお薦めする、名作アクションRPGだ。不完全燃焼で終わった『スーパーマリオRPG』の発展形がここにある。アクションコマンドが送る新たなバトルのスリルを、その手と目で体験してみて欲しい。これは冗談抜きにお薦めです。
今なら、Wiiのバーチャルコンソールで入手可能。未体験の方は、こっちでGO!…です。
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