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≫マリオパーティ
■発売元 任天堂
■開発元 ハドソン
■ジャンル ボード
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 6090円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 1つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 振動パック対応
■総説明書ページ数 28ページ(ボードゲーム編)、30ページ(ミニゲーム編)
■推定クリア時間 50〜60時間(エンディング目的)、80〜150時間(完全攻略目的)
ある日、マリオ達は集まって、自分達の夢の話をしていた。全員が思い描いているのは、『世界中の誰からも頼りになるスーパースターになること』。
だが、誰が一番のスターになるかと誰かが話した後、全員が言い争いを始めてしまった。

そこで仲裁役に入ったキノピオは「色んな冒険を乗り越えられる人こそ、スーパースターではないでしょうか」と提案。
幸運にも今、マリオ達がいるキノコ村には、何処にでも自由に行ける『ワープ土管』があった。その向こうには沢山の冒険が待ち構えているはず…。それを聞いた全員は、一斉に土管の中に飛び込んでいった。

果てさて、…マリオ達にはどんな冒険が待っているのだろうか。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆マリオらしい取っ付き易さと奥深さが際立った、完成されたゲームシステム
◆「キノピオからスターを集める」事に徹した、明確且つ分かり易いゲームルール
◆ジャングルに南の島、更にはケーキまでロケーションに富んだ個性的なマップ群
◆ゲーム本編での逆転性を大いに煽る、個性豊かなマップのイベント群
◆本編を霞めてしまうほどの面白さと完成度の高さを誇る、全50種類ものミニゲーム
◆50種類ものミニゲームごとに与えられた課題を攻略していく快感が新鮮な、一人専用モード『ミニゲームアイランド』
◆チュートリアルに難易度設定機能など、幅広く盛り込まれたサポートシステム
◆意外なイベントと盛り沢山のミニゲームによって演出される、白熱必至の対戦プレイ
◆スター集めからミニゲームのタイムアタックまで、充実したやり込み要素
◆隠しマップに隠しミニゲームと、過剰な程に充実したおまけ要素(ボリューム満点!)
◆ロクヨン独特のコントローラをフルに活かした、シンプル且つ快適な操作性
◆遊び方によっては易しく、時に厳しくもなる幅広さを兼ね備えたゲームバランス
◆ファンタジックな世界観を色鮮やかに描いた、美麗なグラフィック
◆その美麗なグラフィックで展開される、ボードマップ終了後のド派手なデモシーン
◆マップの雰囲気に程よくマッチした、透明感溢れる美しい音楽
◆遊び終えたボードマップ如何によって変化するタイトル画面など、ワリと凝った演出

--- Bad Point ---
◆やり過ぎると怪我をする前代未聞の危険性を秘めた、スティック操作限定のミニゲーム
◆カメラワークが劣悪なミニゲーム『トロッコレース』(おまけに失敗し易い)
◆操作に癖があり、かなりの慣れが要されるミニゲーム『おたからフィッシング』
◆1人プレイでは、集めるのがあまりに苦痛な『スター集め』(なかなか集まらない…)
◆冗長な上に音楽もつまらな過ぎる、素っ気無いエンディング&スタッフロール(散々苦労させながら、あの内容は…)
◆人によっては賛否の分かれる、ミニゲーム購入システム(直に遊べないという所が…)
▼Review ≪Last Update : 12/15/2007≫
WARRNING!手の平でスティックを回すな!

豆が出来て、約1ヶ月はまともにペンが握れなくなるぞ…。


『桃太郎電鉄』シリーズ、『ボンバーマン』シリーズでお馴染みのハドソンと任天堂のコラボレーションによって制作された、マリオシリーズ初のボードゲーム。

ムキになるな、……マジで怪我するぞ!
取っ付き易いゲームシステムと多彩なミニゲームで送る、傑作ボードゲームだ。

ゲーム内容は、オーソドックスなターン制で展開する双六風味のボードゲーム。プレイヤーはゲーム開始前に予め決められた順番通りにサイコロを振って数字を出し、その数字に沿ってマップ上のマス目を移動してコインを集め、マスやターン終了後等に起こる様々なイベントを乗り越えながら、マップ上にいるキノピオにコインを払って『スター』をゲットしていく。最終的に、予め決められたターンが終了するまでに沢山のスターを持っていた人が勝ち…というのが、大まかなゲームルールだ。具体的なターン数や遊びたいマップなどは、ゲーム開始前の設定画面において選べ、ターン数は20〜50ターンまで、マップは全部で6つの中から自由に選択する事が可能。
また、一人でプレイする場合は相手となるコンピュータの強さも三段階から設定でき、プレイヤーの腕に応じた幅広いプレイも楽しめるようになっている。コンピュータの強さによってオープンとなるような、陰湿な隠し要素も一切なし。
全体的に、マリオらしい懐の広さと取っ付き易さが際立った作りとなっている。
ボードゲーム本編もまた然り。基本ルール自体が『コインを稼いで、スターをキノピオから購入する事』にだけ集中すれば良い、シンプルなものになっているので、説明書を読まなくてもサラッと楽しめてしまう、圧倒的な敷居の低さを実現している。しかし、それでいてゲーム本編の展開そのものは、相手の作戦によって持っていたスターが奪われてしまったり、コインを失ってしまったり、突然マップの地形が変化したりと言った躍動感あるイベント・仕掛けなどが豊富に用意されており、全く油断ならない。シンプルで取っ付き易い作りではあるが、実際は思いのほかやり応え満点且つスリル満点。ボードゲームの醍醐味がたっぷり詰まった内容に出来上がっているのだ。この辺はまさに、『桃太郎電鉄』シリーズを手掛けてきたハドソンの貫禄の表れと言っても良いだろう。
そんなイベントや仕掛けが豊富に張り巡らされた、全部で6つのボードマップも一つ一つが全体的にきめ細やかに作られており、しっかりとマップごとの個性を引き出していて面白い。ある条件を達成する事でプレイできるようになる…数こそ伏せるが、隠しマップの完成度もまた然りで、プレイヤーを大いに楽しませようとするサービス精神が溢れている。こう言った隠し要素を用意し、ちゃんと1人プレイでも遊び耐えるようにしている辺りも流石。先程にも話したマリオシリーズらしい、懐の広さがしっかりと表現できていて素晴らしい。
そして、完全なゲーム初心者でも気軽に楽しめるように導入された丁寧なチュートリアル、オートセーブ機能と言った親切な要素を搭載している辺りもお見事の一言に尽きる。
ボードゲームと言うと、基本的に多人数でのプレイを前提に作られがちだが、今作ではこのように一人から多人数まで、ありとあらゆる人数が心から楽しめる為の要素を豊富に導入。尚且つ、ゲーム初心者でもちゃんと楽しめ、忙しい社会人の方でもサクッと楽しめる、万人仕様の豪華極まりないボードゲームとなっているのだ。
まさにこれぞ、誰もが楽しめるを基本コンセプトとしたマリオシリーズと、ボードゲーム制作には抜群のノウハウを持つハドソンとの奇跡の融合と言ってもおかしくはないだろう。

しかし、本作の魅力はボードゲーム本編の懐の広さだけに留まらない。更に今作が一つのボードゲームとして優れている部分として、『ミニゲーム』がある。今作では各ボードマップのターン終了後、決まってこのミニゲームによる対戦が行われる。ミニゲームは4人対戦から1対3、2対2の対戦、一人プレイ専用(※マップ上の特殊なマスに止まった時のみプレイ可能)まで豊富なスタイルのものが用意されており、その数、実に50種類以上。これをプレイしながら相手と競争し、沢山のコインをボーナスで取得できる総合1位を目指すのだが…これがまた、本編のボードを食ってしまう位に面白い。50種類や対戦方式などの豊富さもさる事ながら、1つ1つのミニゲームがどれもこれも、非常に良く出来ているのだ。
その完成度は、これらのゲームを一まとめ(ミニゲーム集)にして売っても、普通にイケるんじゃないの?…と素で思ってしまうほど。単純なコインの争奪戦でさえも、色々な戦術を試す事ができるなど、やたらと奥が深いのである。争奪戦の他にも、ボウリングやボート漕ぎ、ボブスレーレースにアスレチックチャレンジなど、普通に一本のゲームとして作り込んでも勝負できるんじゃないのか、と思わせるゲームは山ほど存在。しかも、いずれのミニゲームもマリオシリーズらしい幅の広さと簡単な操作、そして丁寧なチュートリアル等のサポートも万全であるという徹底振り。
正直、このミニゲームを軽く遊ぶだけでも、値段の元は取れてしまうほど。それ位、どれもこれも…密度が濃い上に、面白い…のである。幾ら何でも、ここまで面白くしちゃ、メインの面目がないじゃないか…とツッコミたくなってしまうほどだ。
挙句、ミニゲームだけを集中的に楽しみたい人の為に、ミニゲームだけを楽しむ『ミニゲーム屋さん』、ミニゲームのイベントだけに特化したボードマップ、そして各ステージごとに課せられたノルマを攻略していく一人プレイ専用の『ミニゲームアイランド』なるものまで用意されているという始末。ここまで来ると、こだわり過ぎにも程がある。特に『ミニゲームアイランド』は内容的にもかなりやり応え満点且つ出来も素晴らしく、普通にこれを1つのゲームとして出してもアリだったんじゃないの?…と疑問に思ってしまうぐらいだ。
しかし、ミニゲームは最初から全てが遊べるようになってる訳では無く、基本的にはボード本編か或いは『ミニゲームアイランド』の方で始めて触れたミニゲームが『ミニゲーム屋さん』に商品として表れ、それをプレイヤーがボード本編の方で集めたコインで購入する事で、初めて自由に遊べるようになる…という仕組みとなっている。メインを食ってしまう程とは言え、ちゃんとボードがメイン、ミニゲームはサブと、扱いはちゃんととしているのだ。あくまでも、今作のメインはボードの方にこそにある…そんなこだわりを感じさせられるバランスと言えよう。それでも、ミニゲーム自体の存在感はかなりのものなのだが。しかし、ボードだけでは飽き足らないという方にとって、これらのミニゲームは実に魅力的に写ること、間違いない。また、『ミニゲームアイランド』なる一人専用モードを導入し、よりゲームとしての奥行きを出している辺りも、万人仕様な印象がして好感触。メインだけで無く、サブも大いに魅せる。万人仕様だけに飽き足らず、二つの遊びを一度にいっぺんに味わえるボリュームの深さまでをも実現。ボードゲームとしては史上稀に見ぬ、驚異的なやり応えとボリューム感を演出しているのだ。そのやり応えは、かのレア社製のロクヨンソフトを上回るほど。どんだけ、充実させたら気が済むのか!まさに、ほぼ永久モノとはこの事だ…。

ミニゲーム総数のみならず、やり込み要素も盛り沢山。特に本編で集めた『スター』を『キノコバンク』に蓄積させていく遊びは、歯応え満点。これだけでも、1人なら余裕で100時間オーバーはしてしまうぐらいだ。
ゲームバランス、操作性も申し分が無いし、グラフィックに音楽も最高の完成度。
特に音楽は、マリオシリーズとは思えぬ美しい曲が満載で、ただ聴いているだけでも楽しい。オプションでサウンドテストができ(但し、特定の条件を達成する必要あり)、自由にそれらの楽曲に聴き浸れる事が出来るのも最高だ。
そんな今作の音楽を手掛けたのは、何とかつてスクウェア(現:スクウェア・エニックス)で『クロノトリガー』、『ゼノギアス』の音楽を手掛け、現在はフリーへと転身した光田 康典氏。これまた、驚きの人選である。まさか、スクウェアでクロノの曲を手掛けた人をマリオに連れて来てしまうとは、……ハドソンもどういう神経をしているのか!(良い意味で)
豪華な作りとは言え、ここまでやってしまうと流石に溜息が出る…。NINTENDO64の性能を無理に引き出したと言っても過言はない美しいデモシーンもまた、そんな感じだ。

取っ付き易くシンプルなゲームシステムに多彩なミニゲーム、そしてありとあらゆる豪華絢爛な要素と、見所満載の本作。唯一、ミニゲームで『スティックを回す動作』を要求されるゲームがあり、それを手の平で操作してしまった場合、摩擦で手の平の皮が剥けてしまったり、或いは豆ができてしまったりなど、プレイヤーにリアルなダメージを受けかねない恐れがあるのが、あまりに致命的な欠点であり、同時にゲームとしての魅力を損ねてしまってるのが非常に辛い所ではあるが、出来自体は素直に傑作に値する。
ボードゲームとは思えぬ幅の広さとボリューム感、そして熱中性を含んだこの『マリオパーティ』。接待ゲームとしても、1人用のゲームとしても大いに楽しませてくれる、傑作ボードゲームだ。年末年始のお供に、お一つどうぞ。

但し…くどいが、スティックを回すゲームでは手の平をつかって回さないよう、ご注意あれ。
あとでペンがまともに握れなくなっても…知りませんぞ…。
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