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≫マリオカート64
■発売元 任天堂
■ジャンル アクションレース
■CERO A(全年齢対象)
■定価 コントローラ同梱版:9800円(税別)
ソフト単体版:4800円(税別)
バーチャルコンソール版:1028円(税込)
■公式サイト ≫NINTENDO64版 / ≫VC版(Wii / WiiU
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 1つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)、ゴーストデータ2つ(※コントローラパック必須:128ページ使用)
■その他 コントローラパック対応
■総説明書ページ数 36ページ
■推定クリア時間 6〜10時間(エンディング目的)、14〜16時間(完全攻略目的)
スーパーファミコン史上最大のヒット作『スーパーマリオカート』に待望の続編が登場。3Dとなって起伏が加わり、臨場感が増したコース、そして最大4人までのプレイが可能な白熱の対戦モード等、全てが劇的にパワーアップ。

一人で楽しむのもよし、みんなでワイワイ楽しむのもよし。
多種多様な遊びが楽しめる、ハチャメチャアクションレース、ここに参上。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆マリオの代名詞・アクションの要素を上手く絡ませた、斬新なゲームシステム
◆NINTENDO64になり、起伏が追加されてリアリティが増したコース構成
◆分岐、長距離、場違いなど中身の濃さを徹底的に追求した特殊コース群
◆対戦モードのハチャメチャさを大いに盛り上げる、凶悪な新アイテム
◆初心者向けの軽量級キャラが最も速いという、レースゲームの掟を逆転させる斬新な試み
◆4人までの対戦が可能となり、更に盛り上がれるようになった対戦モード
◆新しい難易度の追加とコースの密度の増加に寄り、やり応えがアップした『マリオGP』
◆ダッシュ機能の追加で、より戦略性とやり込み度が増した『タイムトライアル』
◆ハンドリングの反応の良さが光る、柔らかで気持ちの良い操作性
◆操作性の向上により、誰でも練習すれば容易に行えるようになったドリフトアクション
◆特別な難易度とエンディングなど、充実した隠し要素と総計ボリューム
◆サーキットの雰囲気がヒシヒシと伝わってくる、雰囲気満点のグラフィック
◆レースの興奮を煽る、マリオのゲームらしからぬカッコイイ音楽
◆一種の感動すら覚える、素晴らしいエンディング

--- Bad Point ---
◆全体的に破綻気味のゲームバランス(アイテムでクラッシュさせたとしてもコンピュータが直に立ち直って追いかけてくる、難易度を上げても全く変わらないなど、詰めが非常に甘い)
◆致命的なコース上のバグ(特に『マリオサーキット』の壁抜けは最悪の極み)
◆ボリュームを増強した都合により、手軽さが無くなってしまったコース
◆ほとんどスーパーファミコン版と変わらないなど、真新しさに欠ける内容
◆演出面の地味さとコース設計の複雑さもあって、面白さがイマヒトツなバトルモード
◆音楽も流れずに展開する4人対戦
◆オプションでの登場の『ON/OFF』ができない、対戦モードの『爆弾ミニカー』
◆ポジション的な都合もあり、イマイチ目立たない新キャラ2人
▼Review ≪Last Update : 6/23/2007≫
どーして付いてくるんだよ、お前らっ!

クラッシュさせたのに!ダッシュして突き放したのにぃぃっ!


アクションゲームの要素を盛り込んだゲームシステムと白熱の対戦プレイ等で好評を博し、390万本以上の驚異的セールスを記録した『スーパーマリオカート』待望の続編。

待望の続編に相応しい、ダイナミックな進化の数々。
だが、その一方で致命的なバグと詰めの甘過ぎるゲームバランスで大損をしてしまってる問題作だ。

ゲーム内容は、アクション要素を盛り込んだレースゲーム。プレイヤーは8人の個性豊なドライバーキャラを選択して操縦し、それぞれの難易度ごとに共通して用意された計4つ全16ものコースでライバルを競い合いながら総合1位を目指す。
基本的なゲームシステム、ルール等は全て前作の『スーパーマリオカート』と同じで、前作で多くのユーザーを虜にした、コース上のハテナボックスを取る事で入手でき、ライバルへの妨害やこちらのパワーアップが行えるアイテムシステムはそのまま継承されている。
また、ゲームモードもメインモードである『マリオGP(グランプリ)』、各コースでベストタイムを競い合う『タイムアタック』、対戦モードの『VS』、アクション要素の強い風船割り対戦モード『バトル』とほとんど前作と一緒で、新しいゲームモード等は一切用意されていない。結局の所、前作と大きく変わったのは既存してる部分が大半を占めている。
まず第一にコース構成。『マリオGP』モードに限っての話だが、今作では1カップ5コースではなく、1カップ4コースと減少した。だが、これには大きな理由がある。というのも、1コースのボリュームが大幅に増したのだ。前作では、大体走り切るのに2分半か3分ほどがザラだったが、今作では何とコースによっては4分、酷い所では6分もかかるほどボリュームが劇的に増えているのである。この事を踏まえれば、カップのコース総数の減少は合点が行く。
ボリュームが増しただけではない。3Dという事で、地形に新たに上り坂や下り坂などの起伏が追加され、ダイナミックなレースバトルが楽しめるようになったほか、本編に関係ない寄り道でもある建造物や仕掛けが盛り込まれているなど、如何にもロクヨンらしいアレンジと箱庭空間を意識した遊びがふんだんに盛り込まれているのだ。前作が「質より量」だったとすれば(まぁ、量だけでなく質も良かったが)、今作は「量より質」を重視したと言った所だろうか。レースだけでなく、その場その場の雰囲気も楽しんで欲しいという、ロクヨンならではのコンセプトがヒシヒシと伝わってくる作りになっている。
しかしながら、ボリュームを増した結果、1つのカップが気軽に楽しめなくなってしまったのは流石にフォローしきれない。とりあえず、周回数を5周から3周にした、コンテニューを無限にしたなどの対策も図られてるが、それでもまだ足りてない。ボリュームを増強するのは良いが、もう少しゲームとして気持ちよく遊べる為の工夫を盛り込む事も意識して頂きたかった。特に、6分もかかるコースは流石にやり過ぎだ。

次に第二としてアイテム。この辺は続編モノのタイトルの常識に沿う如く、新しいものが色々と追加されている。しかもその新しいものが3つの甲羅を周囲に張り巡らせるバリアや1位のドライバーを狙う貫通性能の付いた誘導甲羅、ニセハテナボックスなどと、いずれもゲーム展開を逆転させるような凶悪なものばかり。もはや、ゲームバランスなどまるで考えてないラインナップとなっている。しかしながら、このようなアイテムを盛り込んだ事により、対戦時における白熱っぷりが劇的に増した点は見逃せない。元々、ハチャメチャなレースゲームというのがこのマリオカートの本質なのだから、こういうラインナップである方が如何にもな所がある。そういう意味では、順当な進化と言えよう。
更に第三にキャラクター。こちらもアイテムと同じく、新しいメンバーとしてワリオ、ドンキーコングが加わっている。しかし、いずれも重量級で、挙句に今作は一番スピードが出るのが軽量級なのもあって、どうにも影が薄い。下手に重量級に偏らず、もう少し軽量級や中量級の方にも新メンバーを導入して欲しかった。また、これは個人的な意見だが、ワリオはまだしもドンキーコングは新キャラとしては地味過ぎる。前作で親戚(?)に当たるドンキージュニアが出演してたのだから、もっと別のキャラをチョイスして頂きたかった。これじゃ、単なる焼き直しに過ぎない。
そしていよいよ満を持して語るのが第四の対戦モード。今作ではロクヨンというハードに移行した影響で、二人から最大4人までのプレイが楽しめるようになり、パーティゲームとしてのイメージが大幅に強化されている。基本的に4人対戦が行えるモードは『VS』と『バトル』の2つだけだが、いずれの盛り上がりっぷりはかなりのもの。凶悪な新アイテムが沢山追加された事も、その盛り上がりに拍車をかけている。コントローラが別売となっている為、環境を整える必要があるのがネックではあるが、それを無理に揃えてでもやってみる価値は大いにある。仲間が沢山揃った時における、最高のお供となること間違いなし。これを遊ぶ為に本作を買っても、十分に価値はある。
しかし、『VS』の面白さはさることながら、『バトル』はあまり面白味が無く、4人対戦でも盛り上がれないのは残念。原因として、演出が致命的に劣化したことや舞台となるコースの複雑さが災いしたとしか言えない。もう少し、快適に遊べるようにする為の配慮を心がけて頂きたかった次第だ。また、これは賛否が分かれるが4人対戦時に音楽が流れないのも気になる点である。これは容量の都合上、無理があったのかもしれないが…。
この他にも、前作では隠し扱いだったスペシャルカップが全難易度で自由に遊べるようになった事、タイムトライアルでキノコのアイテムを使ったダッシュが3回まで使えるようになった事、そしてユニークなおまけの難易度が追加されたなど、改善点は満載。全体的に、まさにこれぞマリオカートの続編を名乗るに相応しい、正統な進化を遂げている。続編モノのタイトルとしては、文句なしの合格と言っても過言ではない完成度だ。

また、操作性も劇的に向上。『ウェーブレース64』と同様にハンドリング等の反応が極めてダイレクトになり、柔らかで気持ちの良い操作感を演出している。更に前作ではコントローラの都合上、難しかったドリフトアクションのコントロールも今作ではシンプルになり、誰でも練習すれば容易に出せるようになったのも注目だ。
そして、総計ボリュームも申し分が無く、先ほども述べたがおまけの難易度などの隠し要素も満載で、やり応え満点。
グラフィック、サウンドなどのゲーム以外の部分もNITENDO64に舞台を移したという事もあり、劇的に進化。特に音楽の完成度は相当なもので、マリオらしからぬカッコイイ曲が満載な点は要チェックだ。反面、グラフィックは確かに綺麗になってはいるのだが、ドライバーキャラのグラフィックが何故か2Dグラフィック(厳密には擬似3Dの2Dグラフィック)となっている点はやや気になる。技術的な問題があって、フル3Dは厳しかったのだろうか。
だが、それ以上に問題なのはゲームバランスだ。単刀直入に言わせて頂くが、本作のゲームバランスは数ある任天堂のゲームの中でもワースト3に入る酷さ。中でも、『マリオGP』におけるコンピューターの行動が最悪だ。例え、アイテムでクラッシュさせても、そしてどんなにダッシュで突き放しても、必ずプレイヤーの後に引っ付いてくるのである。つまり、いっくらクラッシュさせてもダッシュで抜いても距離を空けられない…、コンピュータとは常に一緒、まさに「コンピュータさんといっしょ」な意味不明の配慮がなされてるのだ。これは幾ら何でも雑の一言では済まされない。一気に敵を突き放し、周回遅れにする快感こそが前作の1つの魅力でもあったのに何故、こんな妙なバランスにするか。
しかも、この現象は全てのグランプリの難易度に共通していて、例え最高難易度でもこの様なのである。何のジョークだろうか。はっきり言って、練り込み不足どころか手抜きも良いところ。遊んでいて、ライバルに打ち勝った手応えというのが、全く感じられない。これはレースゲームとしては非常に宜しくない。

宜しくないのはバランスだけではない。コースも無駄に広くした事が災いし、細かい面で致命的なバグが沢山ある。特に、任天堂公式のタイムアタック用コースとも言える『マリオサーキット』における、壁飛び越えのバグは致命的。これでは公平なタイムで争う意義が無い。他にも、何故か壁に当たったら異次元空間の池に落ちてしまったりなど、バグは山ほどある。まさに3Dになった故の代償なのだろうか。とにかく、あらゆる面で詰めさが炸裂してしまってる。上記のバランスの事も含めて、これでは折角の正統進化も意味が無い。まだ、バトルモード等の欠点は目をつぶれる余地があるが…。
白熱の4人対戦や凶悪なアイテム群、そして抜群の操作性とやり込み要素、優れた音楽とグラフィックと確かに表向きは素晴らしい完成度を誇っているのだが、もはや適当も良い所なゲームバランスと致命的なバグのせいで、超が付く程の大損してしまっている本作。パーティゲームとしては申し分の無く、操作等もそこまで難しくはないので、面白い対戦ゲームを求めている方、ゲーム初心者などにはおススメできるゲームだ。しかし、レースゲームが好きな方や前作のマリオカートにはまった方にはあまりおススメできないゲームだ。
ちゃんと遊べはするので、そこまでダメという訳ではないのだが、ゲームバランスが本当に成ってないので、一人プレイを求める方は止めるのが無難。帰ってストレスを貯めるだけなので、別のレースゲームに手を出した方がマシだ。
本当にもう、全体的な作りは丁寧なのに、…勿体無い。
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