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≫ゴールデンアイ 007
■発売元 任天堂
■開発元 レア
■ジャンル 3Dガンアクション
■CERO(推定) C(15歳以上対象) ※出血、暴力、恋愛描写あり
■定価 7140円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 4つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 振動パック対応
■総説明書ページ数 20ページ
■推定クリア時間 7〜11時間(エンディング目的)、60〜90時間(完全攻略目的)
■補足情報 ≫備考録(※原作紹介など)
9年前。
ダムに隠されたソビエトの化学兵器工場に潜入した007(ジェームズ・ボンド)と006(アレック・トレヴェリアン)は、任務遂行中に決定的なミスを犯し、アーカディー・ウルモフ将軍率いる精鋭部隊に見つかってしまった。
二人は任務を遂行する為、決死の抵抗を図るが、その最中、アレックはウルモフに捕まり、ボンドの目の前で銃殺されてしまう。その後、ボンドは彼らの一瞬の隙を付き、工場から辛くも脱出。
そして、事前に仕掛けておいた時限爆弾で、工場を破壊した。

それから数年…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆スパイらしく、静かに敵を倒す事と任務の遂行に重きを置いたゲーム内容
◆潜入ミッションから派手な銃撃戦など、バラエティー豊かな007らしいゲーム展開
◆装置の破壊からデータ収集、ターゲットの暗殺など個性豊か且つ007らしさ満点の任務
◆映画『ゴールデンアイ』の世界観を忠実に再現したロケーションが光る、全18ステージ(ゲームオリジナルのステージも幾つか用意)
◆監視カメラ、警報装置など、スパイをテーマにしたゲームならではの各ステージの仕掛け
◆音に反応して近づいてきたり等、リアルで人間臭さ満点の、敵の行動パターン
◆映画版を原作としながらも、ゲームオリジナルの展開も満載の、新鮮なストーリー
◆ピストルにライフル、更にはレーザー時計にリモコン爆弾など、ユニークな登場武器群
◆白熱必至・爆笑必至の対戦プレイ(本作の面白さの9割はここに集約される)
◆充実し過ぎのおまけ要素群(コンプリートするとなると大変)
◆本当に銃を握っているかのような感触が素晴らしい、抜群の操作性
◆スナイパーになったかのような手に汗握る緊張感が見事な、『狙い撃ち』のアクション
◆映画の世界観と人物造詣を見事に再現した、高レベルなグラフィック
◆007のテーマを巧みにアレンジした楽曲が満載の、秀逸な音楽
◆初心者から上級者まで、納得の手応えを味わえる幅広さが見事なゲームバランス
◆歴代007ファンには感涙モノのおまけキャラクター達

--- Bad Point ---
◆3D主観視点という都合上、3D酔いが生じ易い(慣れれば問題ないが)
◆幅広いとは言え、極端なゲームバランス(特にハードの難しさは行き過ぎ…)
◆指示やヒントがない為に、何をすべきかがイマイチ分からない任務(一応、ガイドとなる任務紹介のテキストが別途に用意されてはいるのだが…)
◆あまりに多過ぎる、対戦モードのキャラクター達(隠れキャラが含まれると大変な数に…)
◆操作性と解除法に難ありの『しゃがみ』モード
◆ステージ開始前の文字フォントがあまりに小さくて見難い
▼Review ≪Last Update : 11/10/2007≫
My name is Bond. James Bond...

世界最高のエージェント、NINTENDO64に参上。


世界的に有名なスパイ映画シリーズ『007(ダブルオーセブン)』シリーズの第17作目にして、5代目ジェームズ・ボンド、ピアース・ブロスナンのデビュー作『ゴールデンアイ』を題材にした3Dガンアクションゲーム。制作は『スーパードンキーコング』シリーズや『ブラストドーザー』でお馴染みのイギリスの実力派ソフトハウス、レアが担当。

スパイの醍醐味を全面に打ち出したゲームバランスと白熱・爆笑必至の対戦プレイ。
ロクヨンユーザーならばプレイ必須の、3Dガンアクション(FPS)の歴史的名作だ。

ゲーム内容は、3D主観視点で展開する、『DOOM』タイプのガンアクションゲーム。プレイヤーは主人公のボンドとなり、全18ものステージを舞台に『装置の破壊』、『人質の救助』と言った多種多様なミッションをこなしていく。
ゲーム展開、並びにストーリー展開は、原作の『ゴールデンアイ』に順序。ダムからのバンジージャンプ、セスナ機による工場からの脱出、そして戦車で市街地を爆走するなどの映画でお馴染みの名シーン・名台詞、更には舞台もバッチリと再現されており、原作の世界観を忠実に描いている。しかし、映画にはなかったオリジナルのキャラクターやストーリー展開があったりなど、ゲームならではの味付けも施されており、原作の映画を観た事のあるファンも、新鮮な気持ちで楽しめる内容になっている。勿論、原作を観た事のない方も、基本となるストーリー自体は単純明瞭で分かり易く、且つ原作を知ってないと不利になるような意地悪な展開も用意されてないので、全然大丈夫。原作を知らない人でも、すんなりとゲーム本編と世界観に溶け込めてしまうこの敷居の低さは、まさに007という作品としての分かり易さと任天堂らしい遊び手を意識した配慮による賜物。双方の良い部分が効果的に反映された、敷居の低い原作付きゲームに仕上がっているのだ。
肝心のゲーム本編の完成度も高い。先述の通り、基本は『DOOM』タイプの3D主観視点で展開するガンアクションゲームであり、シューティングの要素が濃い作りとなっているのだが、やみくもに銃を撃ちながら敵を倒していく単純なものではなく、”静かに”敵を倒す事と任務を遂行する事に重きを置いた、如何にもスパイらしい緊張感に満ち溢れたものになっているのだ。特に、敵を静かに倒す事は本作の醍醐味であり、できるだけ大きな音を立てず、消音機(サイレンサー)を付けた銃などで倒していく事が、任務遂行の鍵となる。故にその逆、大きな音を立てる事は自殺行為を意味し、無闇にマシンガン等を乱射したりすると、その音に気付いた敵達が一斉にプレイヤーの元に駆け寄ってきて、集中砲火を浴びせられてしまうのだ。こうなってしまうと、もう任務遂行どころではない。しかも、これはプレイヤー側の行為だけで生じるものではなく、敵が発砲した際にも生じるので、敵に銃撃のチャンスを与えてはならない事も重要となってくる。
まさにこれぞ、死と隣り合わせ。敵の行動然り、武器然り、主人公がスパイである事に重きを置いた、緊張感と厳しさに満ち溢れたバランス調整が成された内容に仕上がっているのだ。他人に見つかる事、すなわち死が定説であるスパイの世界を生々しく描いた、実にリアル且つ秀逸なバランスと言える。登場する敵に高度なAIプログラムを搭載している所からも、スパイの世界をリアルに描こうとする制作側の姿勢がヒシヒシと伝わってくる。
しかし、主人公である007は普通のスパイではなく、『殺しのライセンス』を持つ特殊なスパイ。その特徴を活かした、派手なドンパチを行う任務も幾つか用意されており、この手のゲームならではの爽快感もしっかりと表現している。
このような戦いが味わえるのも、007ならでは。隠密行動のみならず、派手な銃撃戦まで実にバラエティー豊かな展開が満載のゲームとなっているのだ。改めて、007という作品が、如何にゲーム向きかをしみじみと感じさせられる。

プレイヤーが全18ものステージで挑む事になる任務もバラエティ豊か。装置の破壊から人質の救助、データ収集、更にはターゲットの暗殺などスパイらしく、それでいて007らしい任務が沢山用意されている。
また、任務はステージ開始前に選択する難易度ごとにその数が異なり、基本的に一番簡単な『イージー』が最も少なく、逆に一番難しい『ハード』が最も多め(且つ敵の攻撃が厳しくなる)という仕組みとなっている。基本的にどの難易度でプレイしても、エンディングは迎えられるようになってるので、まず手始めにヌルめのイージー(本当にヌルい)でプレイし、その後に中間のノーマルやハードなどに挑戦していくのがお薦め。いきなりハードから始めるのもありだが、文字通り『死と隣り合わせ』な難しさなので、腕の自信のある人以外は挑まないのが無難。ワリと両極端なバランスではあるが、プレイヤーの腕ごとに応じた適材適所な難易度を用意する辺りは、如何にも任天堂らしい配慮と言える。全体的なゲームバランス自体もかなり難しめに設定されてるが(イージーは除く)、回を重ねるごとに解法が見えてくる絶妙な設定なので、プレイヤーのやる気を大いに促してくれる。この辺りの調整の上手さも、任天堂らしいと言ったところだ。
その他、各ステージごとに、メイン武器が異なるのも面白い。元々、007が多種多様な武器の扱いに長けた人間である事を忠実に表現した工夫と言える。肝心の武器自体もお馴染みのワルサーPP7(PPK)と言ったピストルを始め、ライフルやマシンガン、更にはロケットランチャーなど個性的なものが多数登場。007の代名詞、特殊武器も健在で、映画でも登場したレーザー時計やリモコン爆弾など、ファンにはたまらないものが登場する。そして極め付けとして、伝説の黄金銃やレーザー銃と言った、過去の007シリーズの武器までも。流石にここまで来ると、やり過ぎの域だ…。(良い意味で)
そして、これらの武器を用いて戦う『対戦プレイ』が猛烈に熱い!実は本作には最大4人まで対戦できる『対戦プレイ』も用意されており、想像通りに友達同士との撃ち合いが楽しめるのだが、これが最高に熱い。ある意味、本作の面白さの9割はここに集約されると言ってもおかしくない位で、燃えまくり、且つ笑いまくりの銃撃戦が展開されるのだ。また、オプションも豊富で、旗を死守するフラッグ戦や一撃死ルールなど色々な遊び方ができる。各ルールの名前が『007は二度死ぬ』や『消されたライセンス』など、過去の007映画のタイトルを文字ってるのも面白い。お薦めは、相手が接近した時に自動的に爆発する性質を持つ『モーションセンサー爆弾』による対戦で、そのあまりの無茶苦茶ぶりには誰もが腹を抱えて爆笑してしまう事、間違いなし。また、『重兵器』という重めの武器がメインに登場する対戦もなかなかだ。
正直、この対戦は言葉で説明するよりもまず、遊んで欲しい。友達が集まったら是非、『マリオカート64』等は横に投げ捨てて(問題発言)、試してみて欲しい。きっと、極上のひと時と新しい友情を育めること、間違いなしだ。この対戦は、別に007でなくても…という印象が否めないのも事実ではあるが、多種多様な武器の扱いに長けた彼だからこそ、この遊びが発展したというのを考えると何だか感慨深いものがある。世界最高のエージェントは爆笑をも生んでしまったのか。いや、爆笑はちょっと筋違いかもしれないけど。
ともあれ、このように本作は任務から武器などの他の面においてプレイヤーを楽しませるサービスが満ち溢れているのだ。ここまで、原作付きのゲームで、オリジナルの魅力とゲームの魅力が並行した作品も珍しい。

操作性も最高だ。特に、銃の引き金としてZトリガーボタンを割り当てたその配慮はお見事。ゲームでありながらも、本当に銃を撃っているかのような感触を心行くまで堪能する事ができる。また、この操作性を活かした本作ならではのアクション『狙い撃ち』の感触の良さも秀逸で、まるで自分が007ではなく、『ゴルゴ13』になったかのような手に汗握る緊張感を味わえるのも何とも感慨深い。他のボタン配置なども申し分なく、NINTENDO64というハードが如何にFPSに向いているかを思い知らされること、間違いなしだ。
ゲームを彩るグラフィックも良好で、登場キャラクターから舞台となる背景まで、原作となる映画の世界観を忠実に再現している。そして音楽も、お馴染みのテーマ曲をアレンジした曲が満載で、世界観に程よくマッチしている。特に、ゲーム中盤に訪れる『軍用列車』ステージのノリの良い音楽は必聴の価値ありだ。また、音楽のみならず効果音も秀逸で、銃の音から命中音まで原作に順序した非常にクオリティの高いものが多数、用意されている。一部、ファンサービスとしてか、『ブラストドーザー』でも使用されていた音を流用しているのも地味に面白い。

そんな『ブラストドーザー』でも多くのプレイヤーが絶叫した、豊富な隠し要素は今作でも健在。ゲームバランスの崩壊をきたす『おまけモード』や隠しステージ、更には隠し難易度など『ブラストドーザー』に負けず劣らずのものが嫌というほど用意されている。そして例によって、それらをコンプリートするのは困難極まりないというおまけ(?)付き。今作も、骨の髄までしゃぶり尽くしても尽くしくれないほどのボリューム感を維持してしまっているのだ。はっきり言って、やり過ぎ…。開発を行ったレア社の伝統と言っても、流石にこれは限度がある…。ただ、それで長く楽しめるという副作用が見事に生じているのは、まさにしてやったり…と言ったところだろうか。開発側も多分、それを狙ったんだと思うけど。
ともあれ、視点の都合もあっていわゆる『3D酔い』を引き起こし易い事やハードにおける厳し過ぎるゲームバランス、完全攻略の困難さ等の欠点もチラホラとあるが、スパイの醍醐味を前面に押し出したゲームシステムと映画の世界観を見事に再現したグラフィック、そして白熱・爆笑必至の対戦が強烈な異彩を放つ、この『ゴールデンアイ 007』。
もはや語るまでもない…、NINTENDO64最強の名作だ。007ファンも、そうでない方もお験しあれ。対戦だけでもお試しあれ。白熱必至・爆笑必至のパラダイスがここにある。
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