Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. Nintendo64>
  4. ドンキーコング64
≫ドンキーコング64
■発売元 任天堂
■開発元 レア
■ジャンル 3Dアクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)<メモリー拡張パック同梱>
■定価 7800円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 メモリー拡張パック専用(※メモリー拡張パック、ハイレゾパックが無いと遊べません)、振動パック対応
■総説明書ページ数 32ページ
■推定クリア時間 25〜40時間(エンディング目的)、90〜120時間(エンディング目的)
ドンキーコング達が住む島、『DKアイランド』を一発で吹っ飛ばす凶悪な新兵器『ブラストマティック』を完成させた、クレムリン軍団のボス『キングクルール』は、兵器を搭載した船と共に島へと向かっていたのだが、手下達の乱雑な航行によって船が島に衝突。その影響でブラストマティックは故障してしまった。

突然の事態に、ショックで泣き出してしまうクルール。
しかし、手下の一人がクルールにドンキーの仲間を捕らえ、彼らが大事にしている『ゴールデンバナナ』を盗み、それを探している間にブラストマティックを修理しようと作戦を提案。それを聞いたクルールは、直ちに部下に作戦決行を命ずる。
かくして始まった、クルールの陰謀…。
遂にクレムリン軍団は、悲願の勝利を達成してしまうのか!?
それとも、ドンキー達が逆転するのか?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆3Dアクションという事でフィールドを思うがままに動き回れる自由度こそあれど、シリーズらしい『ボスを倒す』事が各ワールドのクリア条件として徹された、ドンキーらしい進行システム
◆メインからサブまで、嫌になるほど膨大な収集アイテム群(良い面でもあり…)
◆そのアイテムの膨大さもあり、強烈な手応えを醸し出しているやり込み要素
◆謎解きからミニゲーム、アスレチックまで膨大なネタが仕込まれたワールドマップ
◆広大なマップ探索をより快適にした、『ワープパッド』(おかげで迷い難い)
◆レースにトロッコ、アーケード版『ドンキーコング』まで、やたら充実したミニゲーム
◆ドンキーらしい、アクションに徹したネタが満載の謎解き
◆後方視点固定ボタンの存在もあり、優れた安定性を誇っているカメラワーク(&操作)
◆適度な歯応えと取っ付き易さを表現している、秀逸且つ絶妙なゲームバランス
◆個性豊かなロケーションの生っぽさを煽る、質感溢れる精微なグラフィック
◆メモリー拡張パック専用の恩恵による、ド派手としか言い様の無いエフェクト描写
◆同じくメモリー拡張パック専用の恩恵による、高度な光源処理による光の演出
◆その場の臨場感と空気感を大いに煽る、質感満点・且つ大迫力の効果音
◆見た目の明るさに反して、何処となく暗い雰囲気が漂う、独特の音楽
◆ミニゲームに最大4人までの対戦プレイ、ムービー観賞など充実したゲームモード
◆コメディタッチのカットが光る、迫力満点のリアルタイムムービー
◆ド派手なカメラワークと光の演出全開で展開する、大迫力のワールドボス戦

--- Bad Point ---
◆やり込み甲斐はあるが、あまりに対象物が多過ぎるアイテム収集要素(辛い…)
◆陰湿としか言い様が無い、ラスボスとの対決条件(必要となるアイテムが多過ぎ!大抵の人はここで詰まってしまう…)
◆ボタン配置、並びにキャラの動作感共にイマイチ、練り込みが足りない操作性
◆性能面で被る者が多く、5人にした意義が感じられないプレイヤーキャラクター
◆面倒臭過ぎるチェンジシステム(その場でチェンジできたら良かったのに)
◆イチイチ冗長なボス戦でのダメージムービー(中にはそうでないものもあるが)
◆戦ってる雰囲気も面白さも全てが欠けているラスボス戦(最悪…)
◆バランス的にシビア過ぎる、スライダー系ミニゲーム
◆ボタンカットが一切行えない、冗長なオープニングデモ
◆劣悪なメッセージスキップ(ボタンを押すと一気に早送りしてしまう…)
▼Review ≪Last Update : 12/15/2007≫
身長差どころか、体格差までかけ離れた弟。

まさにこれぞ、ゲーム七不思議…。


当時としては高度なレンダリング技術によるCGによる映像美を実現し、シリーズ累計700万本以上ものセールスを記録した、『スーパードンキーコング』シリーズの最新作。制作はお馴染み、イギリスのソフトハウス『レア』が担当。

重厚長大路線の最も悪い一例、ここにあり。
過去の面影皆無、シリーズ屈指の異色作にして最大の問題作だ。

ゲーム内容はかの『スーパーマリオ64』を髣髴とさせる、3D視点で展開していくアクションゲーム。プレイヤーはドンキーコングを始めとするキャラクター達を交互に使い分けながら様々な謎を解いたりして、『ゴールデンバナナ』なるアイテムを集めていく、全体的にアクションアドベンチャー色の強いものとなっている。
最初に『スーパードンキーコング』シリーズの新作と聞いて、その流れを汲む内容のゲームと想像した方は多いと思うが、これまた大違い。シンプルでスピーディなアクションの面影すら全く無い、ほとんど別物のゲームとなっているのだ。
無理矢理まとめてしまうならば、『スーパーマリオ64』のキャラクターをドンキーコングに置き換え、その中身をより複雑にしただけのもの。まさに、そんな感じなのだ。
だが、ワールドのクリア条件が『ボスを倒す』事で統一されており、彼らを一体ずつ倒していく事によって、次のステージの扉が開いていく(但し、規定数のゴールデンバナナを集めないと、その扉の鍵は外せない)ようになっているなど、旧ドンキーシリーズを髣髴とさせるようなものもあり、ただ単に『スーパーマリオ64』を模しただけ(キャラを置き換えただけ)の3Dアクションゲームにはなっていない。集めるアイテムもまた然りで、今作では『ゴールデンバナナ』なるアイテムを集めていくのがメインとなるのだが、これ以外にもワールドボスの部屋の扉を開く鍵となる『普通のバナナ』、あるステージで重大な効果を発揮する『ブラストマティックの設計図』、次のワールドへの道を切り開く『クランジーの檻の鍵』など、色んなものをいっぺんに集めていかねばならないのである。しかも、アイテムの中にはラストワールドの複数の扉を開けるのに必要な特殊なものもあり、それもまたメダルからコインにクラウンと…盛り沢山。
他にも、オプションの隠し機能をオープンする為の『バナナフェアリー』なる妖精を収集(?)する要素まであったりと…本編に絡まないものまである始末。もう、この時点で多くの方々は思ったはずだろう。「集めるもの多過ぎ!」…と。まさしく…だ。本作、やたらと集めるものがあるのである。しかも、当然のようにそれらは簡単に入手できるような類のものではなく、イベントをこなしたり、ワールド内のマップを探索したり、ものによっては特殊なミニゲームをクリアしないと手に入らなかったりもするほど。もう、辛過ぎも良い所である。
作り手としては、こう言ったアイテムを大量に用意することで、内容面の充実とボリュームアップを図ったのかもしれないが、はっきり言って…これはやり過ぎ。ものの見事に悪い重厚長大路線をやってしまったとしか、言い様が無い。
『スーパーマリオ64』宜しく、全てのバナナを集めなくても、ある程度バナナが集まっていれば、ゲーム本編が進めて行けるようなバランス調整が施されているのは流石だが、それでも結果、どうしても最終的にそれとは別のアイテムを集める必要が出てきて、詰まるような構成になってしまっているのは最悪だ。
普通にゴールデンバナナと、ボス撃破後の鍵だけでも十分にゲームが成立するのに(そもそもバナナだけでも200本以上ある)、何故、余分なものまで足すか。初心者から上級者まで、頑張れば誰もがクリアできる…。今作には、そんなシリーズの伝統は皆無。悪い意味で、シリーズの伝統を壊してしまっているのだ…。

キャラクター操作周りに関しても、かなり嫌な重厚長大なノリが不可されてしまっている。と言うのも、操作対象となるキャラが多い。何と、5人もいるのだ。
これまでのシリーズでは最大で2人だけで、少ないが故の特徴の分かり易さが魅力だったのだが、今作は過剰に増えた事もあってその分かり易さが壊滅。ゲームが進むにつれて、人数が増えていくという、初プレイの人が自然に彼らの操作に溶け込めるような配慮も配られてはいるのだが、彼らは全員が揃ったあとも本編が進むにつれ、特殊なアクションを覚えて行くので、結局…それでも把握し切れない。面倒なのだ。
同じ事は、キャラクターチェンジの方法にも言え、いちいちワールド上のチェンジ用のタルまで行ってその中に入り、キャラを選択しなければならないなど、強烈に面倒臭い。過去のシリーズのように、普通にその場でチェンジできた方が明らかにゲームテンポも良くなるのに、わざわざこのような方式にする意図がわからない。しかも、タルの配置位置もどのワールドも変に距離が取られていて、無意味にプレイ時間稼ぎしているかのような感じがあるのも嫌な感じだ。
キャラクターごとの性能もイマイチ、個性の細分化がはっきりとしておらず、ドンキーと新キャラ・チャンキーはパワータイプという事で一緒、ディディーと同じく新キャラのタイニーは速度が速いという面で一緒、ほとんど5人にする意義が出せていない。特に、チャンキーのドンキーとの被りっぷりは、端から見てもネタギレな印象が強く、それなら無理して出すまでの必要はなかったのではないのか、と考えてしまうほどだ。操作性もまた然り。とにかく、どのキャラもイマイチ、移動スピードが遅いのでどうにも動かしていて気持ち良さがない。更に、今作では各キャラごとに『銃』の武器が用意されているのだが、これを装備するコマンドがCボタンとスティックの組み合わせであったりするのが、どうにも面倒臭い。普通に、ボタン一発で出せた方が快適だっただろうに、わざわざここまで複雑にする意義とは何なんだろうか。どうにもよく分からない。銃以外の武器である、楽器による全体攻撃もやたら強力で、通常のパンチやタックルと言った攻撃の存在意義をなくしてしまってるのもバランス的に問題あり過ぎだ。
辛うじて、常に後方視点をキープできるカメラワーク、並びに常に固定の見下ろし視点で展開するボス戦などは上手くまとまってはいるが、それでも全体的には、厄介な作りになってしまっている感は否めない。ゲームの構成を厄介にするどころか、操作性並びにアクションまでも厄介にする。このような作りのゲームが、果たして万人に受けるものとして値するだろうか。まず、あり得ないだろう。それほどまでに、今作はゲーム本編の構成然り、操作性・アクション然り…全てが厄介の一言で収まる、凶悪な内容となってしまっているのだ。「これまでの3Dアクションゲームを遥かに凌ぐボリューム」…と、キャッチコピーがあったが、確かに総計ボリュームは凄いが、やり方が稚拙。バランス感覚がなってなさ過ぎだ。

しかしながら、ゲームバランス自体は概ね、過去のドンキーシリーズらしい、適度な歯応えと優しさを残しており、辛うじて伝統を守っている。多くのシリーズファンを熱中させたやり込み要素も健在。集めるアイテムの数が増えた為、酷くやり難くなってしまってるのがタマにキズだが、秘密のボーナスステージを見つけたりして、達成率を高めていく感触は従来のままで、確かな手応えを味わえる。
そんなボーナスステージ等の様々なネタが仕込まれた、各ワールドマップも斬新なアイディアが満載で、プレイヤーを熱くさせる。お馴染みのジャングルに砂漠、更にはおもちゃ工場、オバケのお城など、過去のシリーズでは見た事のない地形も盛り沢山で、ただ見ているだけでも楽しい。それぞれのワールドを彩る、生っぽいグラフィックも必見だ。
また、今作では『メモリー拡張パック専用』ソフトという事もあり、他のロクヨンソフトとは比較にもならないド派手なエフェクトを実現。中でも、光源処理を巧みに盛り込んだ光の演出は非常に美しく、各ワールドの生っぽいグラフィックを更に際立たせている。このあまりに美麗な演出を見るだけでも、今作を遊んでみる価値はありありだ。
質感満点の効果音と、何処となく暗い雰囲気漂う音楽も同じく必聴の価値ありだ。

本編以外のゲームモードも充実。最大4人までの対戦が楽しめる『コングバトル』に、色々なミニゲームが自由に楽しめる『ミステリーモード』など、接待ゲーム、そして暇つぶしのお供としても大いに機能する。その中でも、オールドファン驚愕、アーケード版の元祖『ドンキーコング』しまうおまけは、サービスし過ぎも良い所だ。
リアルタイムで展開する凝ったデモムービー(特にOPのDKラップは秀逸)、広いワールドマップの移動し易さを助長するワープシステムなど、まだまだ素晴らしい部分は数知れずだ。
だが、3Dアクションゲームとしての敷居は正直、半端じゃないほどに高く、まさに悪い意味での重厚長大路線の体現とも言うべき仕上がりになってしまっているのには残念としか言い様がない。アイテムと言いキャラクターと言い、もっと要素を削ってシェイプアップさせ、操作性もできるだけシンプルなものにしていれば、まず間違いなく名作というに値するゲームとなっていただけに悔やまれる。
それでも実際、そんなに遊べないゲームと言う訳でもないので、3Dアクションゲーム好きやアクションゲーム好きにはお薦めできる一本だ。ロクヨンユーザーも、初のメモリー拡張パック専用ソフトという意味で、遊んでみる価値はある。但し、何度も繰り返している通り、密度の濃さは半端じゃないので、その辺の事は念頭に置いておくように。
≫トップに戻る≪