≫ディディーコングレーシング
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■発売元 |
任天堂 |
■開発元 |
レア |
■ジャンル |
レーシングアドベンチャー |
■CERO(推定) |
A(全年齢対象) |
■定価 |
7140円(税込) |
■公式サイト |
≫こちら |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1〜4人 |
■セーブデータ数 |
3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)、3つ以上&ゴースト6つ(※コントローラパック使用時:1〜123ページ使用) |
■その他 |
コントローラパック対応、振動パック対応 |
■総説明書ページ数 |
32ページ |
■推定クリア時間 |
15〜20時間(エンディング目的)、60〜120時間(完全攻略目的) |
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動物達の住む島『ティンバーアイランド』。
この島に宇宙の彼方から、最強の無法者『ウィズピッグ』が来襲!
島は一瞬の内にして荒らされ、誇りでもあるレースコースまでもがウィズピッグの魔法で封印されてしまった。
この一大事に、トラのティンバーはコングカントリーにいる親友に救援を求める。
ジャングルの王者『ドンキーコング』の相棒、…ディディーコングに。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆レースをしながら冒険をしていくという、奇抜極まりない『アドベンチャー』モード
◆レースゲームとしては異質な、アイテム並びにマップの収集・探索要素の存在
◆レースゲームとしてはこれまた異質な、ボス戦の存在
◆特定キャラとのバトルや新ステージ出現等、盛り沢山のイベント群
◆陸のみならず、海から空中でも展開される、ぶっ飛びまくりのレースバトル
◆対戦プレイとタイムトライアル、更には練習モードまで同時に収まった構成が驚きの『レーストラック』モード
◆地上VS空中と言った、異種格闘技が軽々と楽しめてしまう、幅の広い対戦プレイ
◆ゴーストキャラとの対戦モード等、一人でも楽しめる工夫が凝らされたタイムトライアル
◆同じものを取り続ける事でレベルアップする特性がユニークな、登場アイテム群
◆巨大ループやおばけの村など、ロケーションに富んだ全16+αのレースコース
◆乗り物を動かす気持ち良さを大事にした、快適な操作性
◆プレイヤーの腕によって結果が左右される、手応え満点且つ絶妙なゲームバランス
◆凶悪極まりないおまけ要素の数々(レア社製ゲームの伝統はここでも健在)
◆細部まで綺麗に描かれた、ポップで明るいグラフィック
◆上に同じく、明るく元気いっぱいの音楽(名曲満載)
◆絵に描いたような暴れん坊ぶりが見る者の度肝を抜く、大ボスのウィズピッグ
--- Bad Point ---
◆レースでのバルーンの入手条件がシビア過ぎる(必ず一位にならないというのは…)
◆難し過ぎる上に、アイテムを集めるのが意外にも苦痛な『シルバーコインチャレンジ』(特に後半になると、何十回もリトライしなければ攻略不可なほど厳しいチャレンジが登場する)
◆少しのミスも許されない、シビアさがタマにキズなボス戦(特にラスボス戦はしんどい)
◆癖のある、飛行機の操作法(慣れれば何とかなるが)
◆車で水に入った後の脱出法が厄介(マリオカートようなサポートがあれば…)
◆スティック以外の操作を受け付けない為、若干重いカーソルの操作感
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▼Review ≪Last Update : 11/10/2007≫
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これぞ正真正銘、”似て非なるもの”
今までにない新しさを秘めたレースゲーム、ここに登場。
『スーパードンキーコング』で初登場したドンキーの相棒、ディディーコングが主役のレースゲーム。制作はドンキーシリーズと同様にイギリスのソフトハウス、レアが担当。
マリオカートの亜流と呼ぶなど、失礼千万!驚異的な斬新さに満ち溢れたゲームシステムと元気いっぱいの音楽が光る、ロクヨン屈指のレースゲーム異色作だ。
ゲーム内容は、基本はマリオカートを髣髴とさせる、アクション要素を取り入れたレースゲーム。全部で8人(?)ものドライバーの中から一人を選択し、個性豊かなレースコース上でライバル達と順位を競い合っていく、レースゲームとしてはワリとお馴染みのものである。だが、あくまでもそれは基本的な部分に限っての話。中身に関しては、それまでのレースゲームになかった、実に斬新極まりないものとなっている。
それを象徴するのが、収録されてるゲームモード。本作には『アドベンチャー』と『レーストラック』と呼ばれる、2つのゲームモードが収録されている。この時点で、数あるレースゲームをプレイしてきたユーザーは目を疑うだろう。そう、本作にはレースゲームにおいては、決して外す事の出来ないゲームモードでもあり、あのマリオカートでさえも収録していた、ライバルとの総合順位を競い合う『グランプリ』モードが、何と収録されていないのである。その代わりとして用意されているのが、『アドベンチャー』なるゲームモード。文字通り、レースをしながらアドベンチャー(冒険)をしていくと言う、それまでのレースゲームには無かった、衝撃的且つ奇抜なものが収録されているのだ。
無理矢理まとめてしまうと、『スーパーマリオ64』をレースゲームに翻訳したかのようなゲームモードであり、プレイヤーは8人のドライバーキャラのうち、一人を選択し、多種多様なイベントや全部で4つのゾーンごとに用意されたコースでのレースバトルに挑みながら、『ゴールドバルーン』なるアイテムを集めていくのが主な目的となる。
『ゴールドバルーン』とは、マリオ64で言う所の『パワースター』であり、これを規定数集める事によって、次のゾーンやレースコースへの扉を開いていく事ができる。
バルーンの入手法は至って単純。各ゾーンごとに用意されたレースコースでのバトルで1位となるか、各ゾーンへの入口となる全体マップ(ティンバーアイランド)上を隅々まで探索して発見し、それに触れるか、或いはマップ上にいる『タージ』なるキャラのチャレンジに挑む事でバルーンをゲットできる。ただ、あくまでも後者2つはおまけに過ぎず、基本は前者のレースバトルでの入手が主となる。しかも、そのレースでのゴールドバルーンの入手法は実は1つではなくて2つあり、1つは普通にライバルとレースをして1位になる事、もう一つは『シルバーコインチャレンジ』という特殊なチャレンジを達成して、1位でゴールするのがある。後者は、各ゾーンにある4つのコース全てでバルーンを入手し、その後に行われる『ボス戦(こんなのまである)』でボスに勝利すると発動するもので、それまでの4つのコースでのレースバトルに再度挑み、今度はコース上に配置された『シルバーコイン』というアイテムを8枚集めて1位を取るという、極めて奇抜な内容となっている。しかも、これを4つのコースで1位を獲得し、その後にまた行われる二度目のボス戦に勝利しなければ、そのゾーンはクリアとならない。つまり二部構成。このゲームでは通常のレースと特殊なレースの交互をこなしていかなければならないのである。ゾーンが4つで、各ゾーンに用意されてるコースが4つと少なめだなと感じた方にとっては、さぞ耳を疑うかだろう。短そうに見えて実はかなりボリューム満点と言う、化けの皮を被っているのだ。
しかも、このモードで用意されてるのはゴールドバルーンを集めるためのものだけではない。レースゲームで馴染みの総合順位を競い合う『トロフィーレース』、卵集めや攻撃戦と言った対戦が遊べる『ボーナスゲーム』と言った、メインから外れたものも用意されているのである。まさに至れり尽くせり。
ここまでの解説で、あらかたお分かりになっただろう。本作は決してあの『マリオカート64』の亜流ではない。冒険というレースゲームとはかけ離れた要素を取り入れた、かつてない手応えと「一人でも楽しい」という新たな感触が満載のレースゲームになっているのだ。亜流などと呼ぶのが、如何に失礼千万であるかは想像に難くない。
この『アドベンチャー』の内容だけでも、本作が如何に奇抜なレースゲームである事は自明だが、アドベンチャー以外にも、本作には他のレースゲーム、並びに任天堂のマリオカートとの一線を大きく欠く要素・特徴は複数存在する。
◆3種類の乗り物と、陸海空で展開されるレースバトル
レースゲームと言うと、広く一般では四輪車に乗って、地上を競争するものと認識されているが、何と本作では四輪車の他に『ホバークラフト』、『飛行機』という種の異なる乗り物が登場。地上のみならず、水上や空中と言った『陸海空』を舞台にした、レースバトルが展開されるのである。更に、対戦プレイ(後述)では四輪車VS飛行機などと言った、異種格闘技までもできてしまう。実に色々な遊び方が試せるのだ。
◆対戦とタイムアタックを一度に織り込んだ『レーストラック』モード
『アドベンチャー』とは別に『レーストラック』モードと言うのがあるが、これがまたユニークな作りで、対戦プレイとタイムアタック(タイムトライアル)を織り交ぜた構成となっている。また、このモードは一人でもプレイでき、『アドベンチャー』においてゴールドバルーンで解放したコースで、レースバトルの練習をする事もできる。練習の方法も多種多様で、先述の通りにCPUは車で、自分は飛行機と言ったズルいプレイもOK。色々なパターンによるレースを一気に試せるのだ。
また、対戦は最大で4人まで可能。CPUを同時に介させる事も可能で、実に賑やかなプレイを楽しむ事ができる。更に、タイムアタックでは全コースに開発スタッフが叩き出したタイムで走行する、ゴーストキャラが用意されており、これを打ち負かすと言うやり込み要素も用意。『アドベンチャー』のみならず、こんな所にも「一人でも楽しい」という感触に満ちた遊びが用意されており、この上ない充実感を味わう事ができるのだ。
一度に対戦やタイムアタックと言った複数の要素を盛り込み、独立したモードでもしっかりとした手応えを打ち出したこのモードは、アドベンチャーと同様にレースゲームとしてはあまりに奇抜且つ斬新なゲームモードと評するに値する。
◆ランダム要素の不在
マリオカート同様に本作にも『アイテム』が登場。しかし、本作ではバルーンの色(アイテムはバルーンの中に入っている)ごとにアイテムが決められており、何のアイテムが手に入るかと言ったランダム要素が無い。
その為、ゲームバランス的にも運の要素がほとんど無く、基本的に入手できたアイテムによるのではなく、プレイヤーのドライビングテクニックによって、レースが左右すると言う強い説得力を兼ね備えたバランスを実現している。
また、アイテムには『レベルアップ』の概念があり、アイテムを持った状態で、そのアイテムと同じ色のバルーンに触れると、アイテムが強化されると言うユニークな要素が盛り込まれている。但し、アイテムは全部で5種類と、ワリと少なめ。
だが、少なめという事もあって、それぞれの特徴が非常に覚え易い。
◆ストーリーの存在
冒頭の紹介で一目瞭然だが、しっかりとしたストーリーが本作には存在。但し、過度にうるさくなく、基本的にはゲーム本編に主眼を置いた姿勢を堅持してる。
それでも、レースゲームに一貫したストーリーがあるのは、非常に珍しいケースだ。
◆凶悪極まりない、やり込み要素・隠し要素の数々
本作の開発は『ブラストドーザー』、『ゴールデンアイ 007』、そして『スーパードンキーコング』シリーズでお馴染みのレア社が担当。レア社のゲーム(特にNINTENDO64向けの作品)と言えば、凶悪極まりないやり込み要素・隠し要素がファンの間では語り草となってるが、本作でもその伝統(?)は継承されており、隠しゾーン、隠しキャラ、『まじっくコード』によるチートプレイなど、過去の作品に負けず劣らずの隠し要素・やり込み要素が沢山盛り込まれている。各種要素のコンプリートの困難さも健在で、本作でも尋常でないやり応えと達成感を味わえる。
と、箇条書きで語ってきたが、このように本作には『アドベンチャー』以外にも、実に斬新且つユニークな試みが成されている。ここまで来ると、もう亜流どころか別物。同時に、一度遊んでみないとその深奥が理解できないゲームという事がお分かりになるだろう。とにかく、新しさが半端じゃないのだ。
その他、操作性も申し分無し。カーソルがスティック以外受け付けない為、少々重いのと飛行機のアクロバットアクションが独特過ぎるがタマにキズだが、レースゲームとしては十分及第点の快適さを実現。終始、ストレスを感じる事無く、乗り物の操作感に浸れる。
グラフィック、音楽も流石レア社と言わんばかりの完成度だ。特に音楽は、ディディーが出演してる『スーパードンキーコング』シリーズとは一線を欠く、明るく元気いっぱいの曲が満載で、プレイ中のボルテージを大いに湧き立たせてくれる。中でも『ふうしゃカントリー』、『グリーンウッド村』、『ゴーストウッズ』の三つのコースで流れる曲はあまりに強烈。この音楽を聴く為に本作を購入しても、決して損はしないだろう。
しかし、その一方でゲームバランスは極悪。運の要素が無いとは言え、あまりに手強い。特にボス戦において、1つのミスも許されないのは幾ら何でもシビアすぎるとしか言い様がない。ラスボス戦に限ってはそれが特に顕著。それでも、辛抱強く挑み続ければ必ず突破口が見えてくる辺りは、上手いとは思うが、もう少しマイルドにして頂きたかったところだ。
見た目が可愛いだけに、この刺々しさはあまりに痛過ぎる。
他にも、車で池などに入ってしまうと、脱出するのに異様な時間がかかると言ったのも地味に痛い。この点に関しては、せめてマリオカートのジュゲムみたいなサポートシステムを導入していただきたかった所だ。
そんな硬派さと地味な欠点も併せ持つ本作だが、総合的な完成度はかなりのもので、過去のレア社制作『ブラストドーザー』、『ゴールデンアイ 007』に負けず劣らずの名作と断言できる。レースゲームとしては斬新な遊びを取り入れた『アドベンチャー』モード、陸海空で展開する異種格闘技なレースバトル、そして元気いっぱいの音楽と見所満載のこの『ディディーコングレーシング』。かなり難しいので、初心者にはお薦めできないが、何時ものレースゲームに飽きた方こそ遊んでみて欲しい逸品だ。競争という従来の形から僅かに脱却した、新しいレースゲームの世界がここにある。
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