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≫ボンバーマンヒーロー ミリアン王女を救え!
■発売元 ハドソン
■ジャンル 3Dアクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 7140円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 4つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 振動パック対応
■総説明書ページ数 31ページ
■推定クリア時間 10〜11時間(エンディング目的)、30〜35時間(完全攻略目的)
宇宙の平和を守る為、日夜ボンバーベースで特訓に励んでいたボンバーマン。ある日、ピース山脈に墜落した宇宙船の調査命令がボンバーベースより下され、早速、ボンバーマンは現場へと向かった。
そこで彼を待ち受けていたのは一体のロボット。ロボットは自らをピポットと名乗り、故郷である『プライム星』が『ワルドス帝国』に襲撃されたこと、そして脱出の際に王女ミリアンが帝国に連れ去られた事をボンバーマンへ伝えた。

それを聞いたボンバーマンは、すぐさまワルドス帝国に連れ去られたミリアン王女の救出へと向かう。果たして、ミリアン王女は何処に囚われているのか。
そして、ワルドス帝国がプライム星を襲撃した真の目的とは?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆シリーズ伝統のステージクリア方式による、単純明快で取っ付き易いゲームシステム
◆ジャンプを始めとする、ボンバーマンシリーズの常識を覆すアクションの数々
◆置くのではなく投げるという大胆なスタイルへと転じた爆弾攻撃のアクション(置く操作もあるが使用頻度は低い)
◆1つのワールドに約3エリア、20ステージ強が一同に敷き詰められた、無駄に入り組んだ構成(更に分岐要素も…)
◆アクションからシューティングまで、外伝ならでは多彩なバリエーションが用意された全100以上ものステージ
◆潜水艦、戦闘機、スノーボードなど、個性豊かな『パワードギア』による変身アクション
◆固定方式の為、過度に回る事無く3D酔いも起こり難い、安定感抜群のカメラワーク
◆スコアアタックにランクチャレンジなど、充実しまくりのやり込み要素
◆隠しワールドにミニゲームまで、やり込みと並行して充実した隠し要素
◆直感的にキャラを動かせる取っ付き易さが光る、優れた操作性
◆難し過ぎず、優し過ぎずの入念な調整が図られた、適切なゲームバランス
◆”見た目こそ”丁寧に描き込まれた、キャラクター&背景のグラフィック

--- Bad Point ---
◆曲があまりに単調で、全然盛り上がらない質の低い音楽
◆一部、手抜きも同然な、アクションゲームを舐め切った楽曲の存在(特にボス戦)
◆ビックリするほど迫力が無く、爽快感も何も感じられない手抜きも同然なエフェクト演出全般(特にボスの撃破演出が非常に酷い。達成感・爽快感共にゼロ)
◆アイテム入手と爆弾の爆発程度しかない、ゲーム本編での効果音(雑魚敵を倒した際に音も鳴らない)
◆楽曲の所為で盛り上がらない上、戦闘内容も地味で面白味に欠けるボス戦
◆演出のしょぼさの所為で、全然盛り上がらないポリゴンデモ(カット割りも劣悪)
◆無駄に冗長な上、腑抜けたボイスの所為でストレスも溜まる、落下ミス時の演出
◆名曲など一曲も無いのに、何故か実装されたサウンドテスト(誰得も同然な特典)
◆内容の異様な地味さもあって極める気も起き難い、各種やり込み要素群
◆隠しステージの適当過ぎる敵配置(バランス的にもやや理不尽で作りが雑)
◆外伝とは言え、シリーズファンには賛否が大きく分かれるプレイヤーアクション
◆同じくシリーズファンには賛否が大きく分かれるゲームシステム(ライフ制など)
◆ネタバレしまくりの説明書(ラスボスまで詳細に載せるなど、やり過ぎ)
▼Review ≪Last Update : 5/2/2010≫
ボンバーマンが…ジャンプしたわ!

しかし、実は『スーパーボンバーマン2』の時点でジャンプしていたという罠。


1997年の『爆ボンバーマン』に次ぐ、NINTENDO64向けボンバーマン第二弾にして、従来シリーズとは異なるゲーム性を取り入れた外伝作品。開発は『爆ボンバーマン』同じハドソン北海道本社でなく、東京本社のスタッフが手掛けた。

これは…そんなスタッフの習作?
ゲーム性、映像、演出共に技量の無さが際立つ、ボンバーマンの黒歴史である。

ゲーム内容は外伝という事で、正伝ボンバーマンシリーズとは完全な別物。ステージクリア型という体裁こそ共通しているが、2D見下ろしでなく、3D視点の『スーパーマリオ64』チックな3Dアクションゲームとなっている。但し、3Dアクションとは言え、視点は固定。なので、プレイ感覚は2Dアクションゲームに近いものとされている。今作の前に発売された『爆ボンバーマン』も3Dアクションだったが、あちらが見下ろし型というシリーズの伝統に則った作りだったのに対し、こちらは横スクロール型の伝統完全無視の作り。ゲーム性の面からして別物だというのは、これだけでも明白だろう。
収録されてるゲームモードもストーリーの一つだけで、ボンバーマン伝統のバトルモード(対戦モード)は未収録。接待ゲームとしてのもう一つの顔を持たない。シリーズとしては初代を髣髴させる、異色の作りである。しかし、今作が最も異色である事をたらしめるのは、ボンバーマンの基本アクションだ。何が異色なのかというと、「ジャンプ」があること。ボンバーマンと言えば、ジャンプできないキャラクターとして昔から通ってきており、それは『爆ボンバーマン』でもそのようにされていた。歴代シリーズの中では、スーパーファミコンの『スーパーボンバーマン2』のように、特定のステージだけジャンプが可能なんてのもあったが、基本的にはおまけ扱い。どうあってもボンバーマンはジャンプできないキャラクターだと、伝統として守られてきたのである。しかし、今作の発売1年前にはゲームボーイで『ポケットボンバーマン』というジャンプアクションを取り入れたボンバーマンの外伝が発売されている。今作はその『ポケットボンバーマン』と同様、伝統を「外伝」の名の下に放棄。自由にピョンピョン、マリオの如く飛び回るという、ボンバーマンとしては異色のアクションを可能としてしまっているのである。仮に敵がボンバーマンの近くに接近してきても、ジャンプすればあっという間に回避可能。敵の攻撃だって然り。もはや、それはボンバーマンというよりは良くあるアクションゲームと言った感じである。
更に本編で登場するステージにしても、ジャンプアクションの意義を出す為の工夫が成されてる徹底振り。狭い足場をテンポ良く飛び越えて行く、マリオっぽい場面もそこかしこに用意されている。狭い足場を飛び越えていくなど、ボンバーマンでは無縁に等しいものだったのに、それを今作にはそこかしこに配置。敵との戦いだけではない。ステージの進行においても、ボンバーマンとは到底言い難い光景が、次々と繰り広げられるのである。
おまけ扱いだったアクションが、メイン扱いにされているという驚愕のゲームデザイン。何が異色の仕上がりなのかは、語るまでも無いだろう。あり得ないアクションを、今作のボンバーマンは見せてしまうのだ。しかもジャンプだけじゃない。ボンバーマンの十八番たる爆弾による攻撃も、地面に「置く」のではなく、「投げる」のが基本とこれまた、妙な事になっている。一応、Rボタンで置くこともできるが、本編でそのアクションが問われる場面は僅かで、基本は投げがメイン。地面に置く事が基本だったボンバーマンにしてみれば、これもまたかなり異色の仕上がりである。そして極め付けは、『パワードギア』なるアイテムによるボンバーマンの変身アクションとそのステージ。潜水艦や戦闘機などに変身して3Dシューティングするステージまでもが用意されているのである。例によって、潜水艦や戦闘機となったボンバーマンがお披露目するアクションの数々もらしさ皆無。攻撃に爆弾を用いる点こそ、ボンバーマンらしさはあるが、迫り来る敵を撃墜していくそれは完全に別ゲーム。もう、ボンバーマンをやっているのか、別のゲームをやっているのか分からなくなるほど。そんな明らかにやり過ぎなものまで、導入されてしまっているのだ。
他にも、システム周りにダメージ制が導入されていたり、各ステージが複数のコースで構成された3つのエリアで分れられているなど、異色さを醸し出す要素は沢山存在。アクションゲームとしての基本も違えば、プレイヤーアクションまで別物。更にあらゆる面において、伝統を破壊する試みが満載。もう、異色という以外に他に出て来る言葉なんて無いも同然だろう。それほどまでにボンバーマンらしさ皆無。むしろ、ボンバーマンの名を拝借しただけに過ぎぬ、3D固定視点のアクションゲームと評すべき内容に仕上げられているのだ。外伝としては正しい姿とも言えるが、それでも古きボンバーマン経験者から見れば、かなり衝撃的な内容と言えるだろう。

しかし、幾らボンバーマンらしからぬゲームでも、面白さがちゃんとしていれば越した事は無い…のだが。如何せん、今作は外伝ならではの革新的な事をやってるに関わらず、全体的な完成度は極めて低い。一言で言って「しょぼい」。ゲームデザインこそしっかりしているのだが、その魅力を全然引き出せていないのである。
具体的に何処がしょぼいのかと言うと、グラフィック、音楽、演出を始めとするゲーム性に絡まない箇所全般。それらのクオリティが低くとも、肝心のゲーム性が大丈夫のなら問題ないだろう…と言いたくなるだろうが、今作の場合は幾ら何でも、そこのクオリティが低過ぎる。低過ぎて、ゲーム性にダメージを与えてしまっているのである。
特に演出のクオリティの低さ、センスの無さは「スタッフはNINTENDO64でゲームを作るのが初めてなのか?」と疑ってしまうほど。先の敵を倒した際のエフェクトはムチャクチャ地味で迫力を感じられないし、ボスとの戦いもそれらの弱さも相まって、全然盛り上がらない。言うまでも無いが、ボスを倒した際のエフェクトもムチャクチャ地味。達成感だって、全く感じられない。さすがにゲームバランスこそ、難し過ぎず優し過ぎずの入念な調整が図られており、変に温過ぎるとか、理不尽過ぎるって事は無い。そこに関してはきちんと仕事している。だが、それをより映えさせる為の要素が死んでるも同然の有様なので、全く楽しさが伝わって来ないのは、アクションゲームとしては致命的過ぎだ。幾ら、グラフィックとかはゲームと関係ないんだとか言われても、盛り上げる為の工夫をしなくては楽しさも何も無いだろう。基本中の基本を守れてないとか、これは幾ら何でもあり得ない。
演出だけでない。音楽もずば抜けて酷い。はっきり言って、手抜きも同然。どの曲が単調、そして盛り上がらないものばかり。曲自体は中には良いのもあるのだが、各場面に全く似合ってない為、空気に過ぎない。ただひたすらに面白くないだけ。盛り上がりが大事なアクションゲームの曲としては、不合格以前に地獄行きが相応しいと言っても良い位の完成度なのである。中でもボス戦曲の酷さは相当なもので、延々と同じメロディが繰り返されるだけ。本編最大の盛り上がり所でそんなつまらない曲を流すとか、ふざけてるのかと怒りが湧くほどである。
メインステージの曲にしても、曲数が少ない故に使い回しが多く、全くと言って良い曲無し。返って、ゲームプレイを萎えさせる逆効果を及ぼしてしまっているのだから、センスの無さ丸出しである。何で、こんなアクションゲームらしからぬ曲をメインBGMに起用したのか、もう、スタッフの神経を疑わざるを得ない。ここにしても、音楽はゲームと関係ないんだとか言われても、盛り上げる為の工夫をしなくては楽しさも何も無いだろう。
本当、信じられない技術力の低さである。正直、スーパーファミコンやファミコンのゲームの方が勝ってると言ってもおかしくないほど。『爆ボンバーマン』とは違うスタッフの制作だとは言え、この質の低さとつまらなさは擁護できない。しかも仮にも、開発に2年強を要した1998年発売のゲームでありながら、1997年度の『爆ボンバーマン』よりも技術面、演出面で壊滅的に劣っているのだから、救いようが無い。ゲームコンセプト自体は悪いものではない。実際、ステージ構成からゲームバランスなども含め、総じて綺麗に作られており、ゲームとしては申し分なく遊べる仕上がりとなっている。ボンバーマンの外伝らしい、はっちゃけっぷりは大変魅力的である。だが、結果として綺麗に作っただけで、それを映えさせる気配りの乏しさで折角の作り込みが映えてないのは、宝の持ち腐れも甚だしい。もし、技術力のあるスタッフとアクションゲームの基本を熟知したスタッフが今作の開発に携わっていたら、どうなっていたのか。それを思うと今作は、1年以上発売を延期してから出すべきだったのかもしれない。
革新的な要素を入れ、バランスなども作り込んだ。稀有な魅力も作った。でも、それだけ作り込んでも、盛り上げる要素が欠けていてはゲームは絶対に面白くならない。ある意味今作は、そんなゲームにおけるグラフィック、音楽、演出を真面目に作り込まないとどんな悲劇が起きるのか、それを体験できる貴重な一本と言えるだろう。

グラフィック、音楽、演出のクオリティが突出して低い故、作り込まれてるのに映えないのは操作性もまた然り。直感的且つシンプルに動かせる素晴らしい仕上がりなのだが、演出周りの酷さの所為で、動かす気持ちよさは皆無に等しい。
ボリューム、やり込み要素も然り。ステージ総数はボンバーマンシリーズでも史上最高の量なのだが、これも演出周りの弱さの為、各所を巡る楽しさや先が見たい楽しさに欠ける。やり込み要素も、スコアアタックやアイテム収集など、充実しているのだが、やはり演出の弱さもあってやる気が起き難い。また、音楽の出来が悪いにも関わらず、サウンドテストがおまけで用意されているのは、まさに「誰得」の一言である。これほど嬉しくないと言い切れる特典も珍しい。
先に話さなかったが、ストーリーも地味。一応、ポリゴンのリアルタイムムービーにて展開される凝った作りになってるのだが、ポリゴンキャラクターの動きが少なくて地味!そして、音楽とカット割りの悪さもあって全然盛り上がらず!
もう、話にならない完成度の低さで話にならない。まだ爆ボンバーマンの方が良く出来てた。それ以前に今作のデモシーンの出来は、数あるNINTENDO64のゲームの中でも屈指の酷さと言っても不思議じゃない。もう、ムチャクチャである。

外伝故、バトルモードは未収録なので接待ゲームとしての価値は無いし、1人用のゲームとしても、やる気を萎えさせる要素の多さもあってか、遊び込む気にもなれない。
繰り返しになるが、コンセプト自体は悪いものではない。ボンバーマン初の3D版ジャンプアクションを実現させようとした意気込み、作り込まれたステージに変身アクションなどのシステム、ゲームバランスの良さは大きな評価に値する。
しかし、それら優れたファクターを映えさせる要素の作り込みがあまりに甘く、コンセプトの面白さを引き立てる以前に冷やしてしまっているのが致命的。それがしっかりしていれば、間違いなく傑作になっていただけに惜しいにも程がある。
映像や音楽、演出以上にゲーム部分だけがしっかりしていれば面白いものになる!その考えが如何に愚かであるかを教えてくれる、今作。中途半端過ぎる佳作にして、惜しゲーである。これをやるぐらいなら『爆ボンバーマン』か続編の『爆ボンバーマン2』がオススメ。これはシリーズの黒歴史なので無理にプレイする必要は無い。物好き向けです。
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