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  4. ブラストドーザー
≫ブラストドーザー
■発売元 任天堂
■開発元 レア
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 7140円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 1つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)、4つ(※コントローラパック使用時:14〜56ページ使用)
■その他 コントローラパック対応
■総説明書ページ数 24ページ
■推定クリア時間 6〜8時間(エンディング目的)、60〜90時間(完全攻略目的)
西暦20XX年。政府が新エネルギー開発の目的で研究している化学物質『FK540』を大量に積み込んだ無人トレーラーが突如として制御不能となり、暴走を始めた。FK540は例えどんなに小さな衝撃であったとしても、街を跡形もなく壊滅させるほどの大爆発を起こしてしまうという極めて危険な性質を持っている。

政府はこの緊急事態に対し、建造物の大規模破壊作業を請け負うプロ集団『ブラストドーザー』を召集。衝突事故を防ぐ為、進路を塞ぐもの全てを破壊し、FK540を安全に処理する為に必要な6人の科学者達を探す指令を与えた…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆マップ上の建物を次々と破壊していく、あまりに大胆で過激なゲームシステム
◆トレーラーの進路確保だけに留まらず、町のクリーン化から汚染された建物の全破壊、更には民間人の救出など、一筋縄では行かないゲーム展開
◆異常なほどの作り込み具合とゲーム的なトラップ配置が秀逸なメインステージ
◆レース風のタイムアタックなど、様々な遊びが楽しめるミニステージ
◆メインとミニ合わせて50以上と、圧倒的且つボリューム満点のステージ総数
◆ゲーム本編に集中する事を念頭に置いた、特徴的なカメラワーク
◆ブルドーザーからミサイル砲搭載の三輪車、更には二足歩行の巨大ロボットと、ユニークなものが満載のビーグル
◆ラジコン感覚で癖があるが、慣れれば結構気持ちが良い独特の操作性
◆悲鳴を挙げたくなるほど充実したやり込み要素と隠し要素
◆細部まできちんと練り込まれた、歯応え満点且つあまりに緻密なゲームバランス
◆操作になかなか慣れない人の為に豊富に用意された救済策(練習ステージ)
◆「如何にも化学物質」な”らしさ”がとても秀逸な爆発グラフィック
◆ゲームプレイを大いに盛り上げる、軽快且つ印象的な音楽
◆あからさまにナ○コの『パ○クマン』を模した、とあるミニステージ(やり過ぎ…)

--- Bad Point ---
◆陰湿なセーブシステム(コントローラパックがないとまともな保存ができない)
◆人によっては形容し難い操作性(やはり、癖がある…)
◆絶望的な完全攻略(はっきり言って、できた人は神…)
◆緻密とは言え、やはり初心者には機微過ぎると言わざるを得ないゲームバランス
◆一番操作し難いビーグルに限定される、後半のゲーム展開(これまた陰湿…)
◆スタートボタンで立ち上がるメニューの表示が遅い(というか、重い)
▼Review ≪Last Update : 6/23/2007≫
メッチャメチャにして…

と言われたからって、ヤミクモに壊せば良いってワケじゃないんです。


スーパーファミコンの『スーパードンキーコング』シリーズの開発元でお馴染み、イギリスのソフトハウス『レア社』が送る、完全新作の3Dアクションゲーム。

あまりに過激なゲームシステムと凶悪なまでに充実したボリューム。加えて緻密なゲームバランスと秀逸な音楽で送る、ロクヨン屈指の大暴走アクションゲーム決定版だ。

ゲーム内容は、見下ろし型のステージクリアタイプの3Dアクションゲーム。プレイヤーは様々な乗り物に搭乗し、ステージマップ内に点在するビルや家などの建造物を次々と破壊、暴走する無人トレーラーの進路を確保していく。
ゲームは基本的に、トレーラーの進路確保ステージとミニステージの交互をクリアしながら進めて行く。うち、トレーラーの進路確保ステージは本編となるステージで、先述の通り、暴走するトレーラーの進路上にある建造物等を破壊して進路を確保する事が主な目的となる。進路を一通り確保するとステージクリアとなる。
だがそれでそのステージの全てが終了という訳ではなく、今度はトレーラーから漏れ出した有毒物質に汚染された建造物の破壊とマップに点在する有毒物質を除去する中和装置『RDU』の発動、町民の救出、そして科学者の探索(一部のステージに存在)という新たなミッションをこなす事となる。見事に複雑そうだが、いずれもステージを駆け巡っていれば達成できるものがほとんどで、装置の発動もプレイヤーが近くを通過すれば発動するという仕組みなので、全く難しくは無い。ただ、普通は気付かないような所に建造物や装置があったりするので、難易度的にはそこそこ手強め。その辺に関しては抜かりは無い。…で、これらの目的を全て達成すると、そのステージは完全に終了した事となる。
このように、本作のステージ攻略の手順はまず最初にトレーラーの進路を確保し、次にそのステージの残された建造物を破壊、中和装置を発動させて土地をクリーンな状態にさせるという風になっているのである。そして、ステージマップ上で選択できるステージを全てクリーンにするとゲームが次のレベルへと進み、新しいステージが遊べるようになる。
簡単な言葉で言い表せば、二部構成。一度クリアすればそのステージは終わりという、単純な構成にはなってないのである(ちなみに、第二のミッションは任意で行う事ができ、一度進路を確保した後に次のステージへと進む事もできる)。はっきり言って、やり応え満点且つ、これまで様々な箱庭遊びを提供してきた任天堂ゲームらしい作りだ。
ただ、これまでのロクヨンタイトルと違うのは、極めてゲーム的だという事。実際、本作では視点が見下ろしタイプという事もあり、破壊するものに焦点を当てられた恰好で、あまり世界を楽しむという面が強調されていないのである。勿論、中にはそれっぽい風景を楽しめるステージもありはするが、数に関してはごく僅か。
全体的に「この自由な空間でゲームをしようぜ」なカラーの強い構成となってるのだ。
それを現すのが、先ほどでは語らなかった本編以外のミニステージ。こちらは「制限時間内に建物を破壊せよ」のミッションやタイムアタックなど、かなりゲーム的なものが盛り沢山なのだ。この事からも本作がどっちに主眼を置いてるかが一目瞭然。本当にこれこそ「正統派」と言わんばかりのゲームなのである。

その現れは他にもある。本作で操縦する乗り物ことビーグルがそうだ。いずれもユニークなものが満載で、ブルドーザーやダンプカー、更にはブースト搭載の自動車、ミサイル砲装備の三輪車など「あり得ない」ものが盛り沢山用意されている。車両系ばかりではない。何とロボットも用意されており、強力なアッパーカットを繰り出すものから空中を滑空し、急降下アタックを繰り出すもの、極め付けは新体操選手のようなアクロバットアクションで建造物を破壊するものなど、「あり得なさ過ぎる」メンツが盛り沢山なのだ。この事からも、如何に本作がゲーム的な味を強調していることがお分かりになろう。とにかく、もうあらゆる面において良い意味で、大暴走してしまってるのだ。
ただ、操作面における癖の強さはやや悪い方向に暴走してると言える。特に車両系の操作のラジコンチックな感覚は、かなり好き嫌いが分かれる。3Dスティックでなく、十字キーでも操作ができる事、練習ステージが豊富に用意されてるのが辛うじて救いとなってるが、それでも癖が強い事に変わりは無い。ゲーム的な面もあって仕方がなくもあるが、できれば人に受ける操作系統を考えて欲しかった。ロボット関係の操作系統は良いと言うのに。
あと、後半において使用する乗り物が最も操作面で癖のあるダンプカーに限定される展開もどうにかして頂きたかった。しかも後半になってからはステージも難しくなるのだから、まさに二重の苦しみである。下手に難しさを強調せず、もう少し遊び易くする為の配慮を盛り込んで頂きたかったものだ。この辺に関してはただ、残念としかコメントできない。
でも、この操作性自体は決して動かし難いとか、そういう訳ではないのでご安心して頂きたい。全体的にキーレスポンス共に悪くは無く、更に反応等も快適でアクションゲームの肝とも言える「動かすだけでも楽しい」という面はしっかりしている。特にいずれの乗り物でも建造物を破壊した際に味わえる破壊の快感はかなりのものだ。破壊に主眼を置いているゲームだけに、その辺のこだわりは完璧である。更に癖のある操作という事もあり、「思うように自分で操作が行えるようになった快感」が実現されている点も見逃せない。まさに、ケガの功名とはこの事か?

破壊の快感を強調したステージも総勢50以上とボリューム満点。破壊だけでなく、ステージによってはパズル的な進路確保を要求されたりなど、単調な展開にさせない工夫もふんだんに盛り込まれており、プレイヤーを飽きさせない。
更に、隠しステージも豊富に用意されているなどやり込み要素も満点…というか、満点過ぎ。実際に遊び込んでみると分かるが、本作には尋常でない物量のやり込み要素が用意されているのだ。台詞にして表現すると、「1年間、休み無く仕事をしてもらうぞ!」…と言うほど。もう、この事から本作が如何に凄いボリュームかは察せるかと思う。とにかく、生半可な腕では本作の完全攻略などできない。例え、それはゲームに慣れきった上級者の方であっても…である。これこそまさに大暴走の成れの果てとも言うべきか。繰り返すが…尋常じゃないのである。神の領域なのだ。…冗談抜きに。
そしてゲームバランスも緻密。海外制作ゲーム特有の難しさが前面に押し出されてはいるが、総じて自分の上達を感じ取れる優れたバランスを維持していて、理不尽さはほとんど無い。一見、攻略が無理そうなステージにも必ず解法が用意されていて、細部まで徹底的に作り込まれてる事が伺える。一体、どれほどのテストプレイを重ねたんだと疑念を抱いてしまうほど、レベルが高いのである。この辺りは流石、任天堂のゲームが好きなレア社らしいバランスと言うべきか。
ゲーム以外のグラフィック、サウンドの出来も見事。グラフィックはレア社製の『スーパードンキーコング』ほどのインパクトは無いが、全体的にはかなり描き込まれている。特に「これぞ化学物質の爆発」といわんばかりの派手な爆発グラフィックは必見だ。音楽も素晴らしく、これぞまさにゲームミュージックなプレイを盛り立てる曲が満載。特にゲーム最初に訪れるステージで聴ける、カントリー調の音楽の気持ちよさは絶品だ。
その他、チュートリアルなども練習ステージという形で用意されていたり、更にセーブはフルオートで行われるなど、サポート機能に関しても申し分の無い素晴らしさ。

だが、セーブに関しては1つ大きな欠点がある。コントローラパックを用いないと、マトモな状態が記録されないのだ。ロムの方でもセーブは行えるのだが、こちらでは1つしかファイルを残す事ができない上にクリア時の詳細なタイムをアバウトに記録してるなど、問題点が沢山ある。反面、コントローラパックを用いれば、複数のファイルを作成でき、尚且つ正確なクリアタイムを記録してくれるのだ。…幾ら何でもこの差別は行き過ぎである。こういう事はロムでもできるようにした方が無駄に金もかからなくて遥かに良いのに、何でこんな面倒な棲み分けをするか。また、実際のファイル作成に使用するコントローラパックのページが1つ作るのに14ページかかるのもなんか腑に落ちない(ちなみに、最大4つまで作成可能)。どうして14ページで4つできないのか、この仕組みにはつくづく納得できない。
本当、この事だけで本作…評価を落としてしまってるのは残念としか言い様がない。
他にも操作性の癖の強さとか、難易度バランスの厳しさなどの気になる点もある事はあるが、全体的な総評としては普通に名作である。建造物を次々と破壊していく過激極まりないゲームシステム、破壊の快感と頭を使う快感を程よくミックスしたステージ、そして殺人的なやり込み要素の数々は本作でしか体験できない面白さがある。難易度が高めなのでゲーム初心者にはおススメできないが、上級者やアクションゲームが好きな方等には文句無しにおススメの逸品だ。NINTENDO64の性能をフルに活かした大暴走人類救済作戦をとくと体感せよ!そして、『神の領域』に挑め!
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