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≫バンジョーとカズーイの大冒険2
■発売元 任天堂
■開発元 レア
■ジャンル 3Dアクション
■CERO B(12歳以上対象) ※暴力描写あり
■定価 NINTENDO64版:7140円(税込)、Xbox LIVEアーケード版:1200MSポイント
■公式サイト ≫NINTENDO64版 / ≫Xbox LIVEアーケード版
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 3つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 振動パック対応
■総説明書ページ数 32ページ
■推定クリア時間 25〜30時間(エンディング目的)、55〜70時間(完全攻略目的)
悪の魔女『グランチルダ』が、クルクル山のふもとの地中深くに閉じ込められてから2年後。
何と、そのグランチルダが妹二人の手によって復活してしまった!
そして彼女は復活するなり、バンジョーの家を魔法で攻撃。たまたま中に残されていたモグラのボトルズを殺害した後、何処かへと逃亡してしまった。
このまま彼女を放っておくと大変な事になると思ったバンジョーとカズーイ、そしてまじない師マンボ・ジャンボは、すぐさま、グランチルダの後を追う。

こうしてまたまた、二匹の新たな冒険が始まったのだった…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆前作譲りの謎解き中心の、アクションアドベンチャー色濃い目のゲーム展開
◆地形構成も含めてスケールが大幅にアップし、よりやり甲斐の増した各ワールド
◆二匹同時行動のみならず単独行動も追加され、より深みが増したコンビプレイ
◆主役二匹には真似できないアクションと個性豊かなギミックで楽しませてくれる、新要素のマンボパート
◆3Dアクションで本格的なFPSが楽しめる、驚きの『主観視点移動モード』
◆主観視点モードと新アイテムの登場で、より彩り豊かになったバンジョーとカズーイのコンビアクション
◆前作以上に増強されたボス戦(戦闘も熱いものばかりでとても面白い)
◆2つのワールドを介した謎解きなど、驚きの進化が成された各ワールドのイベント
◆ガンアクションからレース、サッカーまで、より派手なものに進化したミニゲーム(しかも最大4人までの対戦が可能)
◆前作以上にレア社らしいサービス精神が炸裂した豊富なやり込み要素と圧倒的なボリューム
◆雑な箇所がほぼ取っ払われ、適切な手強さに改善されたゲームバランス
◆前作よりも反応が機敏になり、動かす面白さが向上した操作性
◆メモリー拡張パック未使用とは思えぬほど、鮮明な画質で構築されたグラフィック
◆曲数が増強され、より魅力溢れるものに進化した音楽(名曲も多い)
◆前作に増して毒々しさ、そして不気味さまでもが増したストーリー
◆相変わらずのイギリス流のブラックジョークが炸裂した、独特の台詞回し
◆6分強のデモムービーなど、異常なこだわりが炸裂した演出周り

--- Bad Point ---
◆多少改善されたが、相変わらずじゃじゃ馬な感じは抜けてないカメラワーク
◆悪い意味で広くなり過ぎたワールド構成(攻略の際、無駄に時間がかかる)
◆無駄に複雑になったジグソーピースの入手過程(特に2ワールドを介さなければ入手できないジグソーは…)
◆一部、展開が戦闘が冗長になり易いボス戦の存在(ウーハッハ大王など)
◆前作アクションの解説が雑であるなど、やや欠落したチュートリアル
◆人によっては3D酔いを引き起こし易い、主観視点移動モード
◆グロテスクな演出の増強(正直、やり過ぎな感が否めない…)
◆相変わらず、セーブ終了で必ず挿入されるゲームオーバーデモ(短くなったが)
◆無駄に長いオープニングムービー(カットも早送りもできないから苦痛)
▼Review ≪Last Update : 5/3/2009≫
NOOOOOOOO!!!

この無駄なスケール感もNOOOOOOOO!


荒い作りながらも、『スーパーマリオ64』の進化系とも言える作り、内容の奥深さと独特の世界観で、一定のヒットを記録した『バンジョーとカズーイの大冒険』の続編。開発は前作と同様にレア社が担当。

必要以上に進化し過ぎた、悩ましき続編である。

基本的なゲーム内容は前作と同じ。『スーパーマリオ64』チックの3Dアクションゲームでクマのバンジョーとキジのカズーイの二匹を操作し、3Dのマップ内に仕掛けられた様々な謎やイベントを攻略して『ジグソーピース』と呼ばれるアイテムを回収、そのアイテムで次のマップ(ワールド)への扉を開いていくというものだ。
バンジョーとカズーイのコンビによるアクション、謎解き中心のゲーム展開、そして謎解きづくしのスケール感溢れるマップ構成など、前作で既に完成されていたシステム、魅力もそのまま継承。そこに新たな要素と改良点を加えた、如何にも続編らしい進化が執り行われた作りとなっている。だが、その今作が行っている「進化」と言うのがまた、半端でない。ザッと代表的なものにだけ絞って箇条書きしてみると、以下の通り。

◆ワールドマップの更なるスケールアップ
前作以上に広大に。各ワールド内部構造も更に複雑なものとなり、ロケーション面において大幅な増強が図られている。

◆ジグソーピース入手過程の長大化
何と既にクリアした、他のワールドを経由して入手する(ワールドによっては意外な通路で前のワールドと繋がっている所も)という壮大なネタが登場。
前作以上に入手するまでに時間がかかるようになった。

◆単独行動システムの導入
一部において、バンジョーとカズーイが単独で行動できるようになった。
単独行動専用のアクションも多々あり。

◆マンボパート追加
前作でバンジョーの魔術変身を担当していたキャラ、マンボ・ジャンボがプレイヤーキャラクターに。彼でなければ解けない謎が新たに導入された。

◆主観視点移動モード(FPSモード)の追加
カズーイを銃に見立て、主観視点で移動するパートが追加。
さながら『ゴールデンアイ007(パーフェクトダーク)』。

◆ボス戦の増強
前作ではほんの僅かしかなかったボス戦が大幅増強。各ワールドに必ず1戦があるようにセットされた。ボス戦自体の内容もかなり仰々しいものに。
また一度クリアしたボス戦は、オプションの『レコード』で何度も楽しめる。

◆マルチプレイモード(対戦プレイモード)の追加とミニゲームの増強
最大四人までの対戦が可能に。対戦モードも主観視点移動モードによる銃撃戦、サッカーゲームなど盛り沢山。
本編でもミニゲームが大幅に増強されている。

◆オンプリセット消滅
前作ではワールドを出てしまうと0にリセットされ、また1から集めなおさなければならなかったオンプがリセットされないようになった。更にオンプ1つの獲得単位が5に変更された。

◆ジグソーパズルゲームの追加
ジグソーピースの欠けた絵にピースをはめ込めば簡単に次のワールドへの道が開いた前作とは異なり、今回はミニゲームをクリアすることで次のワールドへの道が開く仕組みに。若干、敷居が高くなった。

……などなど。
幾ら何でもやり過ぎだろ!…と言わんばかりの新要素、改良が行われているのである。しかも、上記で紹介した今作から新たに導入された要素と改良点というのは、全体のほんの一部に過ぎず。これ以外にもグラフィックの強化から音楽バリエーションの増強、演出全般の改善など、まだまだ進化したところは盛りだくさんなのである。
基本、世間一般の続編系ゲームと言ったら追加要素は適量に留め、後は前作の欠点を潰す事に集中するのがザラなだけに、明らかに今作が続編としては常軌を逸した作りをしているのかは、日を見るより明らか。「入れるものはどんどん入れ込め!」な後先考えずな無謀と言ってもおかしくない発想で新要素、追加要素が導入された、ハチャメチャな続編に仕上げられているのである。なので、ゲーム自体の手応えも基本は前作と同じでありながらも、別物色強め。

しかし、ここまでの進化を行いながら、果たしてゲーム全体は前作以上に進化を遂げたのかと言われると、実はそうでもあらず。正直、前作よりも更に遊び難い、と言うよりもプレイヤー自身の忍耐力と精神力が必要とされる内容になってしまっている。前作みたいに気軽な気持ちで楽しめる内容でなくなってしまったのだ。
その原因とも言えるのが、必要以上のスケールアップ。上記で紹介した、ワールドマップとジグソーピース入手過程の長大化が、前作以上の遊び難さを演出してしまっている。とにかく、ただひたすらに面倒臭い!そして、疲れる!
前者のマップに至っては、もうあり得ないほど広くて構造も複雑なだけに、たった1つのワールドを攻略する、そして歩き回るだけでお腹いっぱいになってしまう。次のワールドに進もう、と意気込んでも次もまた、それほどの物量…いや、それを遥かに上回る物量だから、モチベーションがガクッと落ちるのである。
凄く極端に言えば、大盛りの牛丼を1ワールドで5杯食べさせられ、次以降はその2倍単位の量を食べさせられていくというような感じだ。どう考えても、普通の人ならそれでは、最初の時点で白旗を揚げてしまうのがザラってものだろう。ギャル曾根みたいな大食いの人間でなければ、この先のモチベーションを保つだなんて行為、到底出来たものじゃない。
そしてそれは、後者のジグソーピース入手過程も然り。総じて前作よりも入手に時間のかかるものが増えており(序盤は前作と同様の長さでまとめられている)、酷い時にはたった1つの入手に4時間以上もかかるものとか平気である。しかもそれは、先ほどに紹介した二つのワールドを駆け巡る、特殊なタイプのものでなく。1ワールド内だけで入手できるピースであっても、それ以上の時間を費やされるものとか、普通にあるのだ。勿論、二つ単位だったらそれ以上かかるのは言うまでもなく。酷い時にはその日の内に入手するのは困難、になってしまうこともザラ。
また強烈に面倒臭く、パワーのいるものになってしまっているのである。
もう、これらの有様を見るだけで出てくる言葉は只一つ。
「モノには限度ってのがあるだろう!」
続編だから進化させたとは言え、これはやり過ぎである。しかも、1つの入手に3時間以上もかかるとかやり過ぎ。あまりゲームをプレイする時間が取れないユーザーにとって、これは拷問以外の何者では無いだろう。
それだけに留まらず、二つのワールドを行き来して手に入るジグソーとかもやり過ぎだ。これで入手までに要する時間が短めであれば、ネタとしてはかなり良い感じだったのだが、「二つのワールドを行き来するんだから、長いのが当たり前だろう」と一般の常識に習った構成が取られてしまってるのが浅はか過ぎる。
今回も訂正されてないカメラワークに対しても言えるが、何故、このバンジョーを手掛けたスタッフはプレイヤーの視点に立った物作りができないのか。普通に考えて、こんな複雑なネタとかって、余程、ゲームに費やせる時間がある人とかで無いと攻略することなど、敵わぬではないか。何故、そんな当たり前のことが分からない?マップ構成とジグソー入手過程のみならず、バンジョーとカズーイの単独行動やマンボパートにしたって、無駄にゲームを複雑化させようとする狙いみたいなのが見え見えで気持ち悪い。アイディアとしては非常に面白いものであるのは確かなのだが、それを入れるに当たって何故、マップのボリュームとの摺り合せ、バランスの検証を行わなかったのか。普通に考えて、このマップボリュームではゲームをより複雑化させるのが明らかではないか。それを考えてマップのボリューム調整を行わず、単にバッと導入するだなんて、先の繰り返しになるが、浅はかにも程があり過ぎだ。申し訳ないが、とてもプロの仕事だとは思えない。続編だからと言って、色々と進化を行いたくなる気持ちは決して分からなくは無いし、それをやってこそ当然なものだが、何でここまでやってしまったのだろうか。
折角浮かんだアイディアを没にする訳にはいなかった、プレイヤーに更なる衝撃を与えたかった…からなのか。憶測の域を過ぎないが、仮に後者だとしたらもっと自重する気持ちを持って取り組んで頂きたかったところである。確かに、多くの要素を導入する事で、プレイヤーに衝撃を与える事には成功してはいるが、それとは別の衝撃、ゲーム自体が複雑になって遊び難くなるという余計なものまで与えてしまっているのだから。その「余計なもの」について、もっと慎重になって欲しかった。折角、単独行動にFPSパートなど、新要素としては申し分の無いものがあるのに、勿体無い。ボリューム調整がしっかりしていれば、こうも面倒臭さもなくなってただろうに。

また、前作で散々問題視されたカメラワークがまるで改善されてないのも腹立たしい限り。回転速度は地味に遅くなって俯瞰度合いが増した微修正は行われているのだがそれでも…、と言ったところ。相変わらず、プレイヤー視点に立てないスタッフのセンスの無さには呆れる限りである。それでも改善はされているだけに、僅かな希望みたいなのを感じ取れるのも事実だが。一方で操作性は格段に向上。まだ若干、もっさりとしている所はあるが、前作よりもアクションの反応などは早くなり、快適にキャラを動かせるようになっている。
更にゲームバランスも面倒臭さこそ増したが、前作のラスボスのようなチート必須なシチュエーションが減り、そこそこ良くなった。特にボス周りは結構、良いバランスでまとめられていて、前作のラスボスの反省を生かそうとする姿勢が感じ取れて好印象。ボス戦自体もワリと白熱する内容に仕上げられているのが嬉しい。
サポート周りも今回は他のマップへのショートカットが増強された事により、格段に向上。ゲーム全体の面倒臭さを取っ払うまでには至ってないが、色々ともどかしい面のあった前作を考慮すれば、これはかなり大きな進化と言える。
ストーリーもパワーアップ。若干、グロテスクな展開も増え、前作にも増して黒くなってるが、台詞回しも含めて相変わらず楽しませてくれる。前作とは異なり、まともな喋り方で会話する大ボス・グランチルダ(※ただ、序盤は前作のあの奇妙な口癖で喋る)やその妹達など、魅力的なキャラも盛り沢山なので必見だ。

やり込み要素もバランスが改善された事で、熱中度が上昇。また、『チートコード』やサウンドテストと言ったおまけも今回、大分増強されており、レア社らしいサービス旺盛っぷりが発揮されているのも嬉しいところだ。特に今回は音楽の出来が良いので、サウンドテストの追加は有り難い。他にも、冗長ながらも気合いの入ったデモシーンに相変わらずネタの尽きない謎解きなど、前作から格段に良くなったところは多々ある。
それでもゲーム自体の遊び難さ、敷居の高さの存在感が強く押し出されてしまっているのが実に残念。もう少し、その辺のバランスが整っていれば、間違いなく前作を超える傑作になっていただけに惜しまれる。必要以上の進化を行い、無駄に敷居を高めてしまったこの『バンジョーとカズーイの大冒険2』。
前作が楽しめたプレイヤーにはお薦めできるが、相変わらず3Dアクション初心者には手放しにはお薦めできない凡作である。ただ、前作よりは楽しめる内容になっているんで、一度試してみる価値はアリ。地味〜にお薦めです。
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