≫爆ボンバーマン
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■発売元 |
ハドソン |
■ジャンル |
3Dアクション |
■CERO(推定) |
A(全年齢対象) |
■定価 |
7329円(税込) |
■公式サイト |
≫こちら |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1〜4人 |
■セーブデータ数 |
3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
3つ(※コントローラパック:1ページ使用) |
■その他 |
コントローラパック対応 |
■総説明書ページ数 |
31ページ |
■推定クリア時間 |
20〜30時間(エンディング目的)、100〜150時間(完全攻略目的) |
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宇宙中のあらゆるエネルギーを吸収し、その所有者に吸収したエネルギーを与える不思議な宇宙石『コズミックキューブ』。その『コズミックキューブ』を、「アルタイル」という名の男が手にした時、彼の狂気にも似た野望が始まった…。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆壁を常時貫通する緊張感が新鮮な、三次元の爆風
◆3Dならではの仕掛けと密度の濃さが異彩を放つ、やり応え満点のステージ(総数も全5ワールド20ステージ+αと丁度良い感じ)
◆ステージとボス戦を交互にこなしていく、起伏の激しい独特のゲーム展開
◆ダイナミックなカメラワークと3Dならではの攻撃が光る、大迫力のボス戦
◆常時見下ろし視点という事もあり、3D酔いの心配が全く無い、優れたカメラワーク
◆ボムキック、ボム投げがデフォルトになり、躍動感が増したボンバーマンのアクション
◆3Dアクションゲームだからこそ実現した新アクション『ボムジャンプ』と『ためボム』
◆原点回帰とも言えるシンプルですっきりとした作りが秀逸な、白熱必至の『バトルゲーム』
◆行動範囲が広くなった事で、より多彩な邪魔が出来るようになった、かつての『みそボン』をより、大胆なものに進化させた新要素『ゴーストボンバー』
◆個性豊かなパーツでボンバーマンのメイクアップが楽しめる『カスタムボンバー』
◆シンプルにキャラクターを動かす面白さを追求した、快適な操作性
◆従来とは毛色の異なる手応えと達成感を限りなく追求した、絶妙なゲームバランス
◆アクションゲーム初心者の為の対策として、豊富に導入されたチュートリアルの数々
◆レア社のゲームを髣髴とさせる、凶悪なやり込み要素(ボリューム満点)
◆ボンバーマンらしからぬシリアスさとクリアな音質が光る、完成度の高い音楽
◆ロクヨンならではのカメラ表現を豊富に取り入れた、大迫力の演出群
◆シリアスで意外な展開満載のストーリー(特にラストのどんでん返しは必見)
--- Bad Point ---
◆相当な練習を重ねないと使いこなすのは難しい、ボムジャンプ
◆このボムジャンプが無いと絶対にクリアできない、凶悪なステージの存在(これは幾ら何でもやり過ぎとしか言い様が無い)
◆カメラワークの激しさもあり、攻撃が当て難い欠点をも露出してしまってるボス戦
◆余程の腕が無いと、コンプリートは困難なやり込み要素群
◆質素過ぎるエンディング(特にスタッフロール)
◆パーツの着せ替えだけというシンプルさが、逆に物足りない『カスタムボンバー』(パーツごとに能力が付加されたりすると面白かったかも)
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▼Review ≪Last Update : 11/17/2007≫
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狂気の光 VS 正義の爆風
焼け焦がされし、破滅への運命を変えろ。
ステージから爆風まで全てがフル3Dで描かれた、ハドソンの看板アクションゲーム『ボンバーマン』のNINTENDO64初進出作にして、シリーズ最新作。
3D空間をフルに活かした密度の濃いステージと大迫力の演出、そして驚愕のストーリー。
あらゆる面で異色さ大爆発の、シリーズ屈指の意欲作だ。
ゲーム内容は、歴代シリーズとはやや異なるステージクリア方式を採用した3Dアクションゲーム。プレイヤーは爆弾を操る主人公のボンバーマンを操作し、謎を解いたり、ボスと戦ったりしながら様々なステージを攻略していく。
収録されているゲームモードは『ストーリーモード』、『バトルモード』、『カスタムボンバー』、そして『オプション』を含めた全4種類。うち、メインは最初に紹介した『ストーリーモード』で、歴代ボンバーマンシリーズで言う所の『ノーマルゲーム』に位置するゲームモードである。しかし、その内容は過去の『ノーマルゲーム』とは大きく異なる。
特にその象徴とも言えるのが、ステージ構成。これまでのシリーズのステージの作りは見下ろし型の2Dで、ブロックを爆弾で破壊しながら狭い通路を移動していくものとなっていたが、本作ではフル3Dで構築されたフィールドを自由に移動できるタイプにフルモデルチェンジ。従来シリーズとは打って変わり、縦横無尽にボンバーマンを動かせるようになったのである。更にステージのクリア条件も、特定建造物の破壊やパズルと言った謎を解き、その後に出現するゴールに入ればクリアとなる形式に変更。従来のシンプルさからかけ離れた、極めて密度の濃い内容に様変わりしているのだ。
それに伴い、各ステージのボリュームも大幅にアップし、1プレイにかかる時間も増加。もうこの時点で、このゲームモードがノーマルゲームとは大きくかけ離れており、ボンバーマンとしては異色の内容である事は目に見えてるも同然だろう。
しかし密度が濃いとは言え、基本は一本道である為、テンポ良く展開して行くので、遊んでいて疲れる事は全く無い。また、謎解きについても、いわゆるゼルダのような込み入ったものはあまり用意されてなく、基本はアクション中心となってるので、これと言って身構える必要は無し。更にそう言った謎解きなどが用意されたステージが全部で10個(+α)と、比較的に少なめに抑えられているのも、遊び易さへの配慮と言える。この辺りのさじ加減の良さは、ボンバーマンがあくまでもアクションゲームであるという事へのこだわりの賜物と言えよう。ここまでゲーム自体の見た目を変えながらも、基本をしっかりと守っているのは流石の一言に尽きる。
また、ゲーム展開も独特。本作では全部で5つのワールドと20ものステージが用意されているのだが、このワールドごとの流れがユニークで、「メインステージ⇒中ボス戦⇒メインステージ⇒ワールドボス戦」と、ステージとボス戦を交互に繰り返しながら進んでいく、実に起伏の激しいものになっている。世にも珍しい、ステージとボスが交互に行われる奇抜な構成になってるのだ。ただでさえ、メインとなるステージがボリューム満点だけに、この構成は上手い。先程の遊び疲れへの対策として効果的に機能してるし、何よりも展開の起伏が激しいだけに終始、飽きが来ない。もし、これが「メインステージ⇒メインステージ⇒中ボス戦⇒ワールドボス戦」という流れだったら、確実にゲームとして疲れ易く、尚且つ飽きの来易いものになってただろう。そういう意味では、この構成を採用したのは英断。加えてゲームとしての独自性をも強め、アクションゲームとしては稀有な激しさを表現したのは流石だ。如何にスタッフが、3Dアクションゲームを研究し尽くし、その欠点を潰す対策を考える事にまい進したかを窺い知る事ができる。その起伏のあるゲーム展開に更なる刺激を与える、迫力のカメラワークで展開する中ボス・ワールドボス戦も圧巻で、プレイヤーのボルテージを否が応にも湧き立てる。
確かに、3Dのフィールドを縦横無尽に動き回るという基本システムだけでも、既に別物の雰囲気が漂うが、爆弾を使って敵を倒していく快感とテンポの良いゲーム展開、そしてジャンプができないボンバーマンの操作感は従来そのまま。新しさと変わらぬ面白さが交互に織り交ざった、非常にバランスの取れた作りになっているのだ。2Dから3Dへと進展したシリーズモノで、ここまで新しさと変わらぬ面白さを維持してるのも珍しい。
更に今作では、ボンバーマンのアクションも素晴らしく、それまではアイテムが無いとできなかった、ボムキックやボム投げと言ったアクションがデフォルトで出せるようになり、より爽快で幅の広いゲームプレイを楽しめるようになっている。
また、新アクションとして加わった、段差に爆弾を配置し、その上に飛び乗って反対の足場に移動する『ボムジャンプ』、爆弾を持ち上げてAボタン連打で巨大化させる事で完成する、強大な火力を秘めた『ためボム』も、3Dでなければ実現できなかった、比類なきオリジナリティが満ち溢れており、本作が3Dアクションゲームだという事を再認識させる、実に強烈なものに仕上がっており、実に感慨深い。ただ、いずれもあまりに癖が強く、特に前者の『ボムジャンプ』はゲームクリアに必須なアクションとなっており、必ずマスターしなければならないのは、ちょっと敷居が高い。せめて、できると便利程度に留めていれば、後述のバランスの面でも安定感が出てたと思うのだが、この点に関しては少々残念だ。しかし、使いこなせるようになった際の快感は格別で、困難なアクションを自由に扱えるようになったなりの対価が、しっかりと用意されてるのは、流石と言ったところか。このように、ゲーム展開の面白さのみならず、アクションの妙をも実現しており、従来のシリーズを上回る動かす楽しさが、本作には満ち溢れているのだ。
そして、ボンバーマンと言ったら、ファンなら真っ先に挙げるのが対戦プレイこと『バトルゲーム』だが、本作にも当然のように収録されている。しかし、登場アイテムは減少し、みそボンといった特異なシステムも無いなどと、全体的には初代ボンバーマンシリーズのシンプルな面白さを追求した、偉くスッキリとした作りになってしまっている。それ故に、歴代ファンには物足りなさを感じるかもしれないが、年々、シリーズの対戦は複雑化傾向にあっただけに、この簡略化自体は正しい判断と言える。元々、シリーズの対戦の魅力は手軽に遊べる事に大きな魅力があったのだから、そこに焦点を絞った事自体は良い意味で原点回帰だ。実際、対戦の面白さは過去のシリーズに負けず劣らずで、今作では爆風が障害物を容赦なく貫通する三次元(球体)タイプとなった事もあり、従来以上にスリルある対戦が楽しめるようになっている。また、ロクヨンだけに4人対戦において周辺機器を購入する必要がなくなった事、みそボンのシステムを自由移動の形式に大幅進化させた『ゴーストボンバー』等の要素も魅力的。また、一大的進化を遂げた、サドンデスの演出は必見だ。
いざ遊んでみれば、「ボンバーマンって、元々こういうものだったよな」と実感すること、間違いなし。このように今作の対戦では、シリーズの強みというものを心行くまで満喫できる、変わらない面白さを限りなく追求した作りになっているのだ。
変えない所は絶対に変えないだ!…というその姿勢は実に潔い。
操作性、ゲームバランスも秀逸。前者は複雑な動作は一切盛り込まず、シンプルにキャラクターを動かす気持ちよさを追求。説明書を読まなくても直感的に把握できる分かり易さを実現しており、シリーズの味をしっかりと維持している。後者のゲームバランスも一部ステージの難易度が尾を引くが、全体的には丁寧な調整が施されており、確かな達成感と手応えを実感できる。その手応えたるや、歴代ボンバーマンシリーズにおいては上位に値するほど。隠し要素も今作では豊富に用意されており、その量は『ブラストドーザー』等で知られるレア社制作のゲームに匹敵するほど。しゃぶり尽くしてもしゃぶり尽くせない、あのスルメ風の味わいが本作にも詰まっているのだ。流石にこれはやり過ぎだ。(いい意味で)
そしてグラフィック、音楽の完成度もなかなかだ。特に音楽は強烈で、ロクヨンならではのクオリティの高い音質とボンバーマンらしからぬシリアスさが光る、名曲が満載。特にブルーリゾート全般、ホワイトアイス全般、ボス戦全般で流れる曲が一聴の価値ありだ。この素晴らしい音楽の数々を担当したのが、『高機動幻想ガンパレード・マーチ』やアニメ等で幅広い曲を手掛けている多田彰文氏であるのにも驚かされる。
演出も素晴らしく、ボス戦で披露されるダイナミックなカメラワークは見る者を終始、圧倒させる。更に本作はストーリーもよく出来ており、ボンバーマンらしからぬ、シリアスな雰囲気が何処と無い味わいを醸し出している。意外な展開も盛り沢山で、特にゴールドカードを全て集めた後に起こる、超意外な展開には誰もが大声を挙げること、間違いなしだ。
この他にも、初心者を考慮した丁寧且つ豊富なチュートリアルと細部まで作り込まれた全10個(+α)のメインステージ、ボンバーマンにお好みの衣装(パーツ)を装飾できる、着せ替え人形的な面白さが詰まった『カスタムボンバー』など、まだまだ魅力は満載。ボムジャンプの癖の強さと一部ステージの鬼のような難易度、そして冗長なエンディングと試作品っぽさなど地味な欠点もあるが、荒削りながらも、全体的には新生代ボンバーマンがいかなるものなのかを思い知らされる、実に気合いの入った作りとなっている。
ボリューム満点・やり応え満点の『ストーリーモード』、シンプルな面白さが秀逸な『バトルゲーム』、圧倒的な隠し要素と優れた音楽と演出が光る今作。シリーズファンには賛否が分かれるかもしれないが、総じて非常に良く出来た3Dアクションゲームだ。アクションゲーム好きなら要プレイ。この手応えと迫力は伊達じゃない。是非、お試しあれ。
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