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≫ヨッシーのパネポン
■発売元 任天堂
■ジャンル アクションパズル
■CERO A(全年齢対象)
■定価 3000円(税別) / バーチャルコンソール版(3DS):411円(税込)
■公式サイト ≫ゲームボーイ版 / ≫VC版(3DS)
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンティニュー形式)
■その他 ゲームボーイ専用通信ケーブル対応、スーパーゲームボーイ対応
■総説明書ページ数 24ページ
■推定クリア時間 1〜2時間(エンディング目的)、25〜40時間(完全攻略目的)
動物達の島、『ヨッシーアイランド』。
自然が豊かで、様々な動物達がヨッシーやその仲間達と仲良く暮らしている。
この島には昔から伝わる言い伝えがあった。

「この島に災いが起こるとき、神の力を得たドラゴンが島を救うだろう。」

今ではほとんど話される事もなくなったが、このドラゴンとは、実はヨッシーの事だった。ヨッシーは島の平和の使者として、昔から活躍してきたのである。
そして、平和になったこの島で、仲間達と暮らしていたのだが、ある日、島に大魔王クッパが襲来。島を荒らし始めた。更に仲良しの動物たちに悪い魔法をかけ、互いが喧嘩するようにしてしまったのだ。このままでは、ヨッシーアイランドが大魔王クッパに乗っ取られてしまう。その時、島の守り神が現れ、仲間のヨッシー達の中で唯一、クッパの魔法から逃れたヨッシーに不思議な力を授けた。こうしてヨッシーは、仲間を助ける為、大魔王クッパに立ち向かっていくのだった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆15パズルの要素と下からせり上がるパネルという斬新な試みが満載のゲームシステム
◆性能面で劣るゲームボーイで、きちんとパネルでポンを作り上げた圧倒的な再現度
◆持久戦から詰め将棋、ストーリーに沿って進むCPU対戦など、スーパーファミコン版と変わらず充実したゲームモード
◆相手CPUの体力ゲージを空にする事で勝利、連鎖攻撃のパターン化など、スーパーファミコン版とは全くの別物に様変わりした『VSコンピュータ』の基本システム&ルール
◆問題が全て新作となり、スーパーファミコン版とは異なる試行錯誤が試される『パズル』
◆膨大な総計ボリューム(全モード制覇を目指すと凄まじい時間を費やす事に)
◆隠し難易度、裏面、秘密のエンディングなど、無駄に充実した隠し要素
◆妖精の少女キャラクターを中心とした女児向けから、ヨッシーアイランド(&マリオ)のキャラクター主体の万人向けな路線へと大幅に改められた世界観
◆起用範囲が拡大したパスワードコンティニューシステム(VSコンピュータにも採用された)
◆十字キーとAボタンだけで遊べる、突出したシンプルさが光る優れた操作性
◆CPUの連鎖攻撃のパターン化によって、若干和らいだゲームバランス
◆スーパーファミコン版のアレンジ主体だが、地味に新曲も盛り込まれた音楽

--- Bad Point ---
◆操作レスポンスの悪さ(ゲームボーイの性能上の都合でやや重くなっている)
◆パネル挿入に遅延が生じ易くなったアクティブ連鎖
◆処理の都合上、一瞬で消えるようになったパネル(この為、大連鎖が組み難い)
◆性能上止むを得ないが、恐ろしく地味になってしまった演出全般
◆あまりに臭くて寒い台詞回し(特に『VS.コンピュータ』の隠し難易度のエンディングでヨッシーが喋る台詞)
▼Review ≪Last Update : ≫
ザ・無茶振り。

ハンデがあろうと、完全再現を目指した努力の成果がここに。


『15パズル』の要素を取り入れた独特のシステムで、コアなファンを獲得したスーパーファミコンのアクションパズルゲーム『パネルでポン』をゲームボーイ向けに作り直した新作。海外版『Tettris Attack!』に倣い、メインキャラクターをヨッシーへと改めた逆輸入版的なタイトルでもある。開発はスーパーファミコン版と同様にインテリジェントシステムズが担当。

性能面で劣るゲームボーイで、見事に『パネルでポン』を再現した力作だ。

ゲーム内容はスーパーファミコン版の『パネルでポン』に準拠。15パズルの要素を取り入れたアクション性の強いパズルゲームで、プレイヤーはフィールド内に敷き詰められたパネルをカーソルを使って動かし、同じ絵柄を3つ以上揃えながら消していくというものだ。画面下部からせり上がってくるパネル、上部に到達するとゲームオーバーとなる仕組み、そしてせり上がりをプレイヤーで任意に制御できるなど、システム、ルールもスーパーファミコン版に準拠。パネルの『同時消し』、落下するパネルの間に強引に同じ柄のパネルを混ぜて連鎖にさせる『アクティブ連鎖』、『おじゃまパネル』と言った要素もそのまま継承されており、完全再現の仕上がりとなっている。なので、スーパーファミコン版を体験済みの方ならばすんなりと入っていける作り。勿論、今作がパネポン初体験である方に対しての解説モードも完備。そんな間口の広い配慮も、スーパーファミコン版を踏襲している。
収録されてるゲームモードも、基本的にスーパーファミコン版と大差は無し。自らの限界に挑戦する『エンドレス』、2分間の中でどれだけの得点を稼げるかを競う『タイムアタック』、面クリア型の『ステージクリア』、詰め将棋モードこと『パズル』、ストーリーに沿いながらコンピュータと対戦していく『VS コンピュータ』の全5種類となっている。但し、対人戦モードはゲームボーイという事で、通信ケーブルと二つのカートリッジが必要な方式に改められ、敷居が高くなった。この辺はハード設計の都合もあるので、止む無い変更と言ったところだ。
また、同じくハード設計の都合により、画面構成も変更。スーパーファミコン版はテレビでプレイするというのもあり、対戦プレイでは二つのパネルフィールドが表示される方式となっていた。しかし、今作では小さな液晶でプレイするという事で、パネルフィールドは対戦プレイであっても一つだけしか表示されない方式に改められている。
更にこれに伴い、『VS コンピュータ』のモードに限り、基本システムの変更が行われている。スーパーファミコン版は、二つのパネルフィールドを表示する方式だった為、勝利条件は相手側フィールドのパネルを画面上部に到達させて詰まらせるという、対人戦モードと同様のシステムとなっていた。対し、今作は画面にフィールドが一つだけしか表示されない為、相手側の状況が全く見えない方式になり、スーパーファミコン版のシステムを流用できぬ環境になってしまった。これを考慮し、今作では相手CPUの『体力ゲージ』なるものを導入。同時消し、連鎖などを行って相手にダメージを与え、最終的にゲージを空にすれば勝利という、かなり特殊なタイプのものに改められた。なお、プレイヤー側の敗北条件はフィールドのパネルが画面上部に到達した場合と、他のモードと変わらぬものを起用。ハード性能とシステムの都合で相手側の細かな動きまで再現しきれない為か、凄い差別化が図られたものに仕上げられている。
また地味な所だが、今作ではコンピュータの攻撃パターンもほぼ固定されており、何度かプレイするにつれ、その法則が見えてくるようになっているのも大きな変更点。CPUからの連鎖攻撃が来るタイミングも、『パワーゲージ』という専用のゲージが溜まった時に来るなど、一目でそれが分かる仕組みとなっている。攻撃がほぼパターン化し、更に攻撃のタイミングもバレバレなCPUと戦うというだけに、スーパーファミコン版をやり込んだプレイヤーから見ると、この内容は正直、物足りなさを覚えるかもしれない。予想外の攻撃はほとんど無いし、ほぼゲージに則ったタイミングで攻撃が来たりと、お約束で固められているのでどうにも味気なさがある。しかし、別の視点で見ればランダム要素が廃されたので、パズルゲームが苦手な方にはかなり遊び易い内容になったと言える。パターン化されてる為、対処法が発見し易いし、タイミングもゲージで把握できるので、それを意識したプレイを心掛ければ、自然と戦いを進めていける。CPUの意外な動きに一喜一憂する楽しさこそ無くなってしまったものの、初心者でも対戦の醍醐味が味わえるようになり、尚且つ特定の法則に対処する楽しさと言う、アクションゲームにも似た手応えが味わえるようになったので、これはこれで面白い内容だ。また、手応えを求める方に向け、高難易度も特別に用意されているので、対処はバッチリだ。賛否はあるだろうが、スーパーファミコン版とはまるで違うテクニックが求められてくるその内容はなかなか新鮮。ゲームボーイの特性を考慮した、ナイスなアレンジと言えるだろう。この他、VSコンピュータにはパスワードも実装され、ぶっ続けでプレイする必要が無くなったのも、地味ではあるが大きな変更点だ。
全体的にはスーパーファミコン版『パネルでポン』のゲームボーイ版とも言えるほど、完全再現が成された作り。しかし、コンピュータ対戦に独自のアレンジが加えられているなど、リメイクで終わらない工夫も施すなど、実質、新作と言っても不思議でない内容となっている。先程は紹介しなかったが、『パズル』の問題も今作向けの新しいものになってるので、尚更。初心者だけでなく、スーパーファミコン版をやり込んだ方も、新鮮な気持ちで楽しめる作りだ。リメイクと思わせて、実際は新作も同然な内容。そのギャップには、スーパーファミコン版をプレイした方ほど、驚きを覚えるだろう。

しかし、今作最大の魅力はその内容のギャップであらず。最大の魅力は無茶振り。スーパーファミコン向けに作られた『パネルでポン』をゲームボーイで完全再現してしまった、気合いの入れっぷりだ。そもそも、画面内に敷き詰められたパネルをカーソルで全部動かせるという仕様をゲームボーイで実現させた事からして、かなりの無茶振りだ。
元々のスーパーファミコン版でもその仕様自体、無茶振りと言えるものだったが、逆にハードの処理能力が許容範囲に達してたが故、実現し得た仕様でもあった。そんな処理能力の恩恵を受けて実現し得た仕様を、性能面でスーパーファミコンよりも圧倒的に劣るゲームボーイで再現しようと今作は目論んだ。はっきり言って、無謀に等しい所業だ。スーパーファミコン版と同様、大量のパネルを全て移動可能にして尚且つ、一定の処理速度を保つ。素人の頭で考えるだけでも、まず無理だとしか思えない。ところが、今作はその仕様を完全に再現させてしまったのだ。処理の劣る白黒ゲームボーイで、スーパーファミコン版そのままの仕様を。とんでもない話だ。無論、スーパーファミコン版とほぼ同様という訳でなく、一部の演出が簡略化されてたり、操作のレスポンスが落ちたなど、処理能力で劣るハードなりの弊害は散見される。やはり、やるにしても無理があったんだと、それを感じさせられる。だが、それでもスーパーファミコン版とほぼ変わらぬ感覚で、パネルでポンが遊べてしまうのは実に衝撃的。そして、この仕様をゲームボーイでも難なく動くように仕立て上げたプログラマーの技量には感服する。正直、端から無理と思われるものをやってのけてしまうとか、余程の愛と根気が無ければ難しい。そんな困難な課題をやり遂げた今作のプログラマーの方々には、お疲れ様でしたと、声をかけたくなるばかりだ。パッと見では分かり難い部分でもあるが、この完全再現は偉業と言っても良いほどのものがある。大袈裟なのは百も承知だが、それほど今作にはもの凄い気合いが秘められているのである。再現を目指しただけでなく、システムをゲームボーイ向けに違和感なく変更させたゲームデザインも秀逸。特に先も語った『VSコンピュータ』の基本システムは、ハードで表現できない事を逆手に取った、如何にも任天堂らしいこだわりが炸裂しているのが印象深い。攻撃がほぼパターン化してる、攻撃が来るタイミングが一目で分かるなど、パズルゲーム初心者でも遊び易いものにする為の配慮が徹底されているのも見事だ。経験者に向けても、高い難易度を用意したり、『パズル』の問題を全て新しくするなど、新鮮さを感じさせる為の工夫がしっかりしているのも見逃せない。ただのゲームボーイでパネポンを再現しただけのリメイクだけで終わらせようとしない、スタッフの熱い意気込みを痛感させられるばかりだ。
ただ、やはり再現が無茶振り過ぎたという所が散見されるのも事実。中でも先ほど上げた、操作のレスポンスが落ちている点に関しては、スーパーファミコン版をやり込んだプレイヤーには不快に感じるかもしれない。アクティブ連鎖の感覚とかも、若干鈍くなってるので、その点もまた然りである。だが、慣れればスーパーファミコン版とほぼ同じ感覚で楽しめる作り。全く遊べない訳でなく、ちゃんと遊べる仕上がりになってる。そこが今作の凄いところでもある。例え性能が低いからと言って「無理」と言い訳せず、何が何であろうと再現させようとした心意気。ある意味、ゲームボーイでここまで再現に対する本気に満ち溢れたゲームも他に無いのではなかろうか。手馴れたプレイヤーなら、細かい所に目が行ってしまうのは否めない。だが、この再現に対する志の高さと遊べる内容は素直に評価に値するものだと言えるだろう。

ゲームバランスもCPU対戦における対戦相手の攻撃が完全なパターンと化したのもあってか、大分マイルドなものに改められている。何よりもCPU対戦もパスワードに対応した事で、意地さえあれば初心者でも最高難易度がクリアできるようになったのは大きな改善と言えるだろう。
全体のボリュームもスーパーファミコン版同様、かなりの量でやり応え抜群。既に何度も話してるが『パズル』の問題は完全新作、更に『ステージクリア』もスーパーファミコン版には無かった新しいステージが追加されているなど、経験者でも確かな満足感を得られる工夫が盛り沢山。隠し要素も豊富に用意されているので、長く楽しむことができる。
一方でグラフィックはかなり地味になってしまった。フィールドの背景とか、処理の都合で削られてしまっており、見栄えはスーパーファミコン版よりも劣っている。この辺はさすがにハードの事もあるので、仕方が無いと言ったところである。音楽もスーパーファミコン版のアレンジが主体で、経験者には新鮮味に欠ける。しかし一部、新曲も仕込まれている。その新曲はなかなかカッコイイものに仕上げられているので要チェックだ。

演出周りも、グラフィックの退化と共に大分、地味になってしまっている。ただ、連鎖を行った際にはキャラクターの効果音が鳴るなど、基本は抑えられている。
また、今作はタイトルの通りだが、世界観がヨッシー主体のものに変更。スーパーファミコン版の露骨な女の子向けなカラーが弱まり、万人受けするものになっている。どうしても、あの妖精が…と、抵抗を覚えていた方にはかなり有り難い変更と言えるだろう。ただ、世界観が変更されたとは言え、CPU対戦のストーリーにおける台詞回しの異様な臭さは人によっては鼻に付くかもしれない。
元々、スーパーファミコン向けに作られたゲームをゲームボーイで再現する方針で作られた為、レスポンスや演出周りにおいて無茶の弊害が散見される。しかし、再現の度合いはなかなかで、ちゃんとパネルでポンになってるのは凄い。内容もただのリメイクでなく、アレンジが加えられたりと、経験者も楽しめる作りになっているのが見事だ。性能面で圧倒的に劣るゲームで、スーパーファミコンのゲームをほぼ完全に再現してしまったこの『ヨッシーのパネポン』。スーパーファミコン版経験者もさる事ながら、未経験者にもお薦めできる傑作にして力作だ。この無茶振りの数々は一度、目にする価値あり。パズルゲームとしても良い出来なのでお薦めです。
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